漫画界の特級呪物





2024年10月19日
後書きには他の特級呪物の血の轍とおやすみプンプンの作者との対談が載っててそれもまた凄い。特に押見修造先生。作者の半自叙伝らしく、実父からの性暴力、母親からの行きすぎた躾、性暴力に気づいていながらも守らない母親、祖母は新興宗教信者で。もちろん父親が間違いなく悪なんだけど、どちらかと言うと母親を許せない姿が痛々しく描かれている。最終的に自分を自分で許してあげるけど、母親にも守ってもらえなかった自分を愛してあげるのはあまりに難しく辛い。通常絵が上手な先生が心のまま書き殴ったほぼラクガキ状態の作画が精神状態を表してて3巻とかもう心が痛い。作画の差が凄い。まだ囚われていらっしゃるからなのか良くも悪くも勢いが凄い。愛された経験が少ないと大人になって他者から褒められたり愛情を伝えてもらっても信じられず、性を与えないと自分に価値がないと思うらしい。自分の価値は性にしかない、自分は値しない。こんな目にあっても『普通』の人になろうと結婚して母になって酒飲んでまで人付き合いして働いてって思える先生は凄い。偉い。普通の恋がしたかった少女は、傷つけられて壊されて囚われて息をすることを受け入れる。漫画に救われた先生が漫画で我々を救う。

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ゆきんこ さん
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