夜明けのポラリス
」のレビュー

夜明けのポラリス

嘉島ちあき

表紙からは感じ取れない深み

ネタバレ
2024年10月31日
このレビューはネタバレを含みます▼ 予想外に深かった……

カースト上位×美人教師というカップリングからして、これはドタバタ学園年の差BLだろうと勝手に決めつけ1、2巻を流し読みしてしまいましたが、とととととととととんでもない。
煌星の自称する、これはまぎれもなく「純愛」の物語です。
あらすじをご覧の通り、1巻と3巻の深刻度が違いまして…
過去を引きずる由良の苦しみがあまりにも丁寧に描かれているため、見ようによっては病みBLとも判定できますが、取り戻せない過去の出来事に惑って、逃げて、でも……という受容のプロセスを2巻でめげずに3巻まで追いかけていけば、ちゃんと適応から再起という救いが待っています。
そして3巻巻末の番外編では、再起どころかインドのお菓子グラブジャムンよりも甘々な、修正ゆるゆるのガッチャンコが…!
柊真の気持ちや煌星の元カノたちの気になる様子もその都度モノローグや会話形式で明らかになっていくので、変に勘ぐる必要もなく読後感もスッキリ。
タイトル「夜明け」には迷いを抜ける過程が、「ポラリス(北極星)」には道標や不変というメッセージがしっかりと織り込まれています。
由良ちゃんの心も、開かずの屋上も、こじ開けたのは煌星(ポラリス的な役割)なんですよね。彼のものの見方、捉え方は前向きでとても魅力的。
もー泣いた泣いた。
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