スキップしたいな【単行本版(シーモア限定描き下ろし付)】
柴田文
ふう
さん
(女性/60代~)
総レビュー数:155件
このレビューはネタバレを含みます▼
仕事人間と云うよりは、仕事に追われ私生活もままならない永田聖。とうとう過労でホームで倒れてしまいます。それを介助したのは駅員の来栖修平。何方も平凡な、それでも一生懸命生き仕事をする小市民。お礼を兼ねて二人が居酒屋で会話シーンは、壁役の私から見て、その空気感はすでに親友。優しさと優しさの、やさしいぶつかり合い。徐々にお互いの私生活を話し、修平の実家に行くまでに及び、互いにもっと知りたいとまでに。が、修平がゲイとわかり、ギクシャクし始める二人でしたが、逃げようとする修平に対して、全てを受け取りたいと思う聖によって解決されます。BLがおとぎ話でも、超超カッコ良いペアの恋愛夢ストーリーでも無い現実の、生身の二人のお話は、ひどく身近に感じられ、とうとう修平が家族にカミングアウトを決めた場面では、思わず拍手。聖のおかげ。でも、その聖も又、修平の存在で仕事が楽しくなり、二人がありのままの二人である為の、一生一緒が良いと云う生き甲斐を見つけました。
どんな所にでも居るような二人。小さなやさしさを人の為に使える配慮。共感の手を差し伸べられる聖の思い遣りと、勇気を持って胸をはり、ゲイとして生きる決心をした修平の清々しさ。この作品を教えて下さったフォローアー様と手を取り合って、スキップしたい気分になりました。
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