ジェラシー[コミックス版]
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ジェラシー[コミックス版]

スカーレット・ベリ子

卯一が可愛く見えるかどうか

2024年11月9日
購入してから長いこと寝かしてあったのを、全巻一気に読みました。手が出なかったのは、「四代目ー」を先に読んでいて、こんな嫌な奴(卯一)に引っ掻き回されて、最後にハピエンになる話なんて…と躊躇していたからです。正直、1巻巻から2巻を読んでいるあたりでは、卯一が苦手であ明虎とくっつかなければいいのに…と思いながら読んでいました。でも、そんな単純な話ではなかったーーー。半田のおじさん、浅生田、松見、麻巳を巻き込んで、チリチリ焦げつくような感情・ジェラシー模様が展開されていました。重厚で長い物語の人間ドラマを見終わって、放心状態になりますね。なぜ、明虎と卯一がこれほど惹かれ合うのか、麻巳は女で「生」で、卯一と明虎は「死」を共有している。その心理描写がそれぞれの生い立ちや出来事から語られて、納得してしまいました。最後に、卯一が明虎と離れるシーンは泣いてしまいました。そのあたりでは、すでに卯一が可愛く見えてしまって…。「四代目ー」に出ていた卯一と別人みたいです。ベリ子先生の術中にハマっていますね。読み終わって、私の中では、どうしても麻巳さんの存在が大きくて、卯一と明虎を素直に祝福してあげられない小さい棘のように残っています。卯一が去ったあと、明虎と麻巳は愛し合って暮らせたのだろうか。寂しさを感じなかったのだろうか。卯一が現れて、二人の愛は変わってしまったのではないだろうか…と。BLなんだから、BOYどうしがくっつくのが定石なんですけどね。
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