冷酷な覇王の予期せぬ溺愛
」のレビュー

冷酷な覇王の予期せぬ溺愛

佐竹笙/森原八鹿

文体が美しい

ネタバレ
2024年11月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ 初めて読んだ作家様。
タイトル通り表現の仕方が本当に素敵。
一冊の中に主人公2人の2年間が詰まっています。

両親からの裏切り(ある意味戦争の被害者とも呼べる)により猜疑心の塊になった攻めと、ディスレクシアやADHDといったこの時代では到底理解されない障害のせいで身内から蔑まれてきた受け。
受け攻め両視点で物語は進行するので、心の変化が容易に可視化されていて読みやすい。
タイトルもこの両視点を表すには最適だなと思いました。
(攻め側にウェイトを置くこともできるし、受けを重点にして読むこともできる。)

作者様が無料公開されているサイトのSSも併せて読むと「タールグ…(涙)」となります。笑
※タールグは攻め様です。
子供の頃に受けた衝撃を抱えたまま癒されることなく26にもなれば、そりゃ猜疑心の塊にもなります。
受けを美しいものの象徴として自分の中に置いておきたいという気持ちもとてもよく分かる。
それと作者様がXに書かれていた【(中略)という過去があるのでタールグは受けに出逢って「初めて一緒に遊ぶ友達ができた!」という感じ】というのも泣けます。
背景に圧倒的な孤独があるせいで依存や執着になるのだなと勉強にもなりました。

ラストが少々駆け足ですが、お互い補い支え合って生きていくのであろうと予想させる幕引きも素敵です。
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