このレビューはネタバレを含みます▼
教師が天職だと自負する熱心でタフな清川先生と、生徒思いだけど危なっかしくて頼りなくも見えてしまう野田先生のお話。すごかった。すごい場所まで辿り着きました。教師である二人の持つ性癖は、俗に言うSM。私のように中途半端な知識しか持たない人間には安易なイメージが先行してしまいがちな性的嗜好ですが、こんなにも相手への信頼と人間性が求められるものだとは。清川先生の悩みも、野田先生が親から与えられてしまった呪いも、読み始めた頃には想像も出来ないくらい深いものでした。それでも愛と信頼の上で行為を行い、自分への疑いを冷静に持つ。このテーマで職業を教師としたの、まさにピッタリで凄いです。後半、間違った方法で生徒を助けようとする野田先生に対し清川先生が取った行動と言葉は、尊敬し合う二人の人間性と関係性が垣間見えるものでした。褒められた選択ではないかも知れませんが、救えたものはひとつでは無かったはず。命にも関わる性的嗜好を持つ二人の、未来がひらいた瞬間でした。お互いを想い合いながら用意する道具たちと、『Sってなんなんだろう』からの野田先生の決心も、大変興味深く、素敵です。重いテーマですが読後は爽やか。とても面白かったです。クスッとできて、私も弟くんの描き下ろしが好き!お相手は一生お兄さんたちに頭が上がらないだろうなあ笑