選ぶ覚悟、失う覚悟





2024年11月18日
冒頭からいきなりのやるせなさに長いこと読めずにいた作品です。どう足掻いたところでこれが結果なんだと重たい気持ちで読み始めたのですが、プロローグで読んだ結末と読み終えたあとの結末とでは感じるものがあまりにも違いました。暁海は世間的には普通でない許されない選択をしたけれど『ここは私が選んだ場所』ならそれでいいのだと思えるラストでした。本作の登場人物たちは皆揺るぎない強さを持っているけれど、瞳子さんにしても北原先生にしても世間的には許されない部類の人たちで、それでもこんなに凛と生きられるのは選ぶ覚悟と失う覚悟を持っているからなのだと思いました。羨ましい強さだけど私にはできそうにもありません。正解を選んで生きてきた私は瞳子さんや北原先生のような人を色眼鏡で見てきたし、これからもそれは変わらないと思う。作中の「誰に罵られようが誰に恨まれようが」という考えにも共感はできません。でも「正しさだけで全てが決められたらどれほど楽だろう」という一文を読んでハッと気づかされました。私は正解を選んできたわけじゃなくただ楽な方を選んできただけなのだなと。正解な生き方でもそうじゃない生き方でも自分の信じたように生き、最後に『自分の選んだ場所』に辿り着ければそれでいいのだと思えました。

いいねしたユーザ3人
-
hiran さん
(女性/60代~) 総レビュー数:0件
-
おもち さん
(女性/50代) 総レビュー数:9件
-
まんまるまるまる さん
(女性/60代~) 総レビュー数:3件