トロイメライ【ペーパー付】【電子限定ペーパー付】
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トロイメライ【ペーパー付】【電子限定ペーパー付】

涼子

孤独からの逆転満塁ホームラン

ネタバレ
2024年11月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ 『肩甲骨とワンピース』と地続きな、続編みたいなスピンオフ。
わたしは『トロイメライ』から読みましたが、追って『肩甲骨』を読んだ時との印象の差が激しいので、作品を深く理解したい場合は両方読んだ方がいいと思います。※時期が合えば全部読みホで読める
いやはや…機能不全家庭やセクシャリティの生み出す負の連鎖はほんとうに人を生きづらくさせますね。シリーズに出てくる登場人物ほとんどの生い立ちには翳りがあり、精神的に満たされていません。
落ち着いた絵柄も相まって読み始めはなんだか心許ない感じがするのですが、欠けた心を埋めるべくそれぞれが行動する中でそれぞれの出口を見つけて最終的にはみーんなハッピーエンドでびっくり。
そうなるまでがなかなかハードで、まず高杉のクズっぷりが目に余る。若き勇の頑張りによりしれっと幸せを手にいれましたが、過去にDVかました元恋人のその恋人の従兄弟とくっつくってどういうこと??ひかると勇、兄弟同士で理解はあるんでしょうか…ひかるは高杉を許しているのでしょうか…そこに一切触れていないところが気になります。
作中1番イカれているのは立派な肩書を持つ臨床心理士高杉で、ラブラブ行為中、勇の耳にピアスを開ける時の瞳孔の開き具合がとくにヤベーので必見。
でもご安心ください。初めこそターミネーターのように冷え切った彼でしたが、ブレイクスルーを果たしたこの頃にはすっかり落ち着きを取り戻し、表情は豊かで物腰も柔らかくなっています。

単話版のアンニュイな表紙もよき。
読後感スッキリとはいきませんが、隠れた名作だと思います。
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