蟷螂の檻
」のレビュー

蟷螂の檻

彩景でりこ

食い尽くされたのはどちらなのか。

ネタバレ
2024年11月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 谷崎潤一郎の小説かと思うほどの倒錯と愛憎が渦巻いている作品。典彦のくそデカの歪んだ執着愛と、それに食い尽くされることを望む育郎の究極愛の物語でした。でも果たして食い尽くしたのは典彦なの?育郎なの?共依存がすぎてもはやどっちかわかんない。蟷螂はお腹の中からカミキリムシが出てしまうと果ててしまうというけれど、典彦だってきっと育郎がいなければ生きている意味すらないのではないだろうか?

そんな中で唯一蘭蔵の存在だけが、人間の良心を具現化したみたいに純粋無垢でなんか苦しかったです。健一とのラストはほんとに良かった。
そして最後の廃墟の育郎と典彦が幸せそうで・・誰も入り込む余地はないですね。この作品がBLで良かったと心から思います。だって育郎も蘭蔵もノンケを一瞬でその気にさせちゃうくらいエッロいし、典彦のイケメンなんだかそうじゃないんだかよくわからないところもサイコとエロを増長させてます。

胸糞だし吐き気がするほどムカムカするシーンもあるし、好き嫌いはあるだろうけどグロさがないとこういう世界観は出せないと思うのも確か。読まずにはいられない。そしてなんだかんだ読み切ったら涙と鼻水でえらいことになってました。読みごたえのあるストーリーと耽美なエロさをがっつり堪能できるすごい作品でした。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!