未成年~未熟な俺たちは不器用に進行中~【タテヨミ】
ヒヌン
このレビューはネタバレを含みます▼
個人的ベストオブ韓国BLです。ヒヌン作家様、この作品を世に生み出して下さり、ありがとうございます。
受験以外には無関心の優等生ジンハが、ある日父親に殴られるクラスメイトで不良のヒチャンを目撃するところから、二人の人生が交わっていくストーリー。
貧富の差はあれど、機能不全家庭でそれぞれ孤独を抱えるジンハとヒチャン。ジンハは同情から、ヒチャンは憧れからそれぞれ近づき、次第に安全地帯としてお互いを求めるようになり、恋愛感情も芽生え…。
投げやりだったヒチャンにも夢や目標ができ、さあ頑張ってみようと前を向き始めたその時。一人だけまともになるなんて許せないとばかりに、現実がヒチャンの足を引っ張ります。ヒチャンの置かれる立場が非常に辛く、未成年である彼らにはどうすることもできません。守られなければならないのに守ってくれない、でも頼らざるを得ない子供が感じる無力さを思うと胸が痛みます。
不慮の事故をきっかけに一度二人は別れ、思い出にしてしまいたい忘れたくないと葛藤しながら月日は流れ…。届かなかった手紙をジンハが見つけるシーンはまるで映画を観ているようでした。(韓国の方って『Love Letter』好きな方多いですよね!?わかります)
学園祭の日、道標が用意されていたかのように運命的に再会、「帰ろう」と初めて結ばれた夜は涙なくしては読めません。会えなかった間の気持ちが涙となって溢れてくる…(泣)ジンハへの愛が崩れそうだったヒチャンを繋ぎ止め支えていたなんて、こんなに荒削りで優しい初恋があってたまるかよ…(泣)
大人になった二人が、安心できる家で好きな人と安心して日常生活を送る、それがどんなに尊く幸せなことか…二人が歩んできた日々を思うと本当に涙が出ます。ここまでよく耐えた、これからは良いものだけを見て綺麗な思い出だけを作ってずっと幸せでいて欲しいと願ってやみません。日本は勿論、韓国でも同性婚が認められる日が一日でも早く訪れますように。
そして、全ての未成年が安心して暮らせる社会になるよう、一成人としてできることをし続けたいと思います。
最後に、ヒヌン作家様の、紫がかった空や陽光のきらめきの描き方がとても綺麗で、感傷的な気分になります…水面に映る夕陽や月光の美しいこと…この光に反射してきらめくさざ波のことをユンスルって言うんですって。こんなぴったりの単語があるなんて…なんと詩的な言語でしょう。
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