かわいそうなミーナ
」のレビュー

かわいそうなミーナ

やまじえびね

中篇2作、ヨーロッパの時代感が良い

ネタバレ
2024年12月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ 215ページ。
中篇2作入り。
近代ヨーロッパの雰囲気が良かったです。
絵はかなり良いのですが、キャラクターの描き方に、刺さるものがもうひとつ足りないな、という感じでした。相性ですね。
〜〜〜〜〜
表題作は、若くして亡くなった薄幸の少女ミーナの話。ピクニックに笑顔になり、青年との出会いに頬を染め、小さなルビーの指輪にときめく、かわいい少女。天国への道に迷ってしまって、はからずも人に害を及ぼす存在になってしまうのがかわいそう。で、途中から話の視点が、ミーナの初恋の男性とその友人達の方に移ってしまって、「さまよえる霊にどう対処するか」という方向に行ってしまったんですね。私の趣味としては、視点を移さずミーナのままで、さまよえる霊そのもののさみしさだったり無邪気さだったりを描いてくれた方が良かったです。
同録は『みずうみ』。シュトルム原作。不勉強にして原作を読んでいないのですが、こちらを読む限りでは、幼馴染の二人が現実を生きる上ですれ違ってしまう切なさが、なかなか良かったです。けどこちらも、もう一歩心の奥に踏み込んでほしかった印象。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!