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今月(11月1日~11月30日)
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シーモア島
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投稿レビュー
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純情と紙一重のストーカー




2025年11月14日170ページ。
表題作4話+同録2作+表題作の描き下ろし。
アイドル追っかけ主人公の、ストーカーと純情の紙一重さを体現したキャラクターが良かったです。怖がらせてごめんなさいって心から謝るんですよ。ヤバさという点では、主人公よりお相手のマネージャーさんの方が上かも。ロマンチックじゃないしなんか大丈夫なのかっていう二人なんですけど、きっと大丈夫なんだろうな〜って思わされちゃう。キャラクターの描き方が良い作者さんだと思います。第4話の扉絵もとても良い。
1話目は『ストーカー男子』収録作(改題)。
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・『あたまのおかしいセッ/クス』『巣穴の中のやまあらし』
DK同士、暴力的で痛々しい。幼馴染で、思ったよりも根深く共依存。基本的に闇系好きなんですけど、キャラクターの描き方の良さが仇になったというかなんか悲しくなってしまった。
あたまの〜の方は『ボコり愛男子』収録作。
・『オーバーヒート』
美容師とお巡りさんカップル。お巡りさん、この先も苦労しそうだな〜。 -
読みやすく少し笑える短編集




2025年11月14日164ページ。
アンソロジーに掲載された読切を集めた短編集。
全部エロあり、基本的にエロに情緒は無いw 大丈夫かそれでw って気分になります。
けっこう好きな感じなんですけど、グイッと掴まれるものが自分には感じられなかったので星は3つ。けどなかなか楽しい作品集でした。()内はアンソロジーのタイトル。ほぼ電子版無し。
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・『スマホ越しのアイツ』(ムダ毛男子)
大学生同士、一緒に呑んだり部屋に泊まったり……そんな中で眠っている相手のはみ出した毛を盗撮しては個人的利用にいそしむ主人公。巻末収録の『密林伐採』は、この話の描き下ろし。
・『見えないメガネは外せ』(寮生男子)
大学の寮で同室になる2人、派手ビジュアルにビビる主人公。ちょっと主人公キャラぶれしてませんかwっていうエロシーンでした。
・『損して得を取れ?』(KUKKIRI LOVERS)
バイトの先輩後輩。雨に濡れた服越しにクッキリ。
・『告白2nd』(SENSEI LOVERS)
教師と教え子、同窓会での再会。先生、なかなか可愛気があって、教え子が忘れられなかったのもむべなるかな。
・『深夜のボディーレクチャー』(家出ボーイズ)
幼少期に現場を見てしまったことで性的なことに抵抗がある主人公、家出先で出会ったおじさんとのワンナイト。
・『朝も夜も』(プリティバニーボーイ)
舞台は香港かな。出張中の会社員、菓子屋の息子に出会い、偶然その彼の夜の副業先にも遭遇。これはちょっとしんみりもアリ。幸せになってね。 -
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軽快なアクションと人を守る警官の誇り




2025年11月7日1・2巻174、3巻206ページ。
ネコ型スーツを装着して戦う、仮面ライダーみたいなアクション話。悪役もそれぞれ動物型スーツ。
なんだかんだネコ型キャラデザインには弱いので、ビジュアルから楽しめました。
軽快なアクションとどこか肩の力の抜けた会話、コミカルな中で敵の雑魚キャラは容赦なく肉片にされています。
宇宙からの来訪者に対抗する地球人、「箱舟」やアヌビスの正体も王道、という懐かしさのあるストーリー。主人公の覚悟もカッコよくて、全3巻というボリュームも程良く、スッキリサッパリ読めました。
特撮映画を1本観たような印象で良かったです。 -
初代ガンダムで育った身に刺さる




2025年11月7日249ページ。
『コンバットドール』シリーズ4話+読切3作の作品集。
シリーズの4話は、主役交代タイプの連作。
「コンバットドール」と呼ばれる軍用パワードスーツを装備した人々のオムニバス。舞台は描かれた当時の「近未来」、この感じ懐かしいとともに、この「近未来」が「過去」として存在することにありがたみ。殺伐とした「近未来」での、戦争とそこに息づく世界の片隅での現実。作品世界での戦争については詳しい描写が無く、そこのバックボーンがもう少し見えた方が人の心情も見えて良かったかな、とは思います。けど『未来少年コナン』や『ガンダム』で育った身には親和性が高く、良い意味での定番感がありました。捻くれ者には少々むず痒かったり安易さを感じるものもありましたが、こういうのもいいよね。ちょっとおまけでシリーズまとめて星4つ。
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・『HUNTER』
これも近未来戦争もの。こちらはバイオな動物改造兵器が出てくる話。ストーリー的には、コンバットドールシリーズの原型っぽさを感じるものがありますが、発表はあちらの2話より後でした。
・『バイバイ ブローバック』
戦争から逃げてきた宇宙人と、それに出会って巻き込まれ同居が始まる学生女子のお話。コミカルで恋模様もあり、宇宙人の決意も切なく、王道80年代SFって感じで好きです。これがこの本の中で一番古い発表作で、一番好みでした。
・『サムソン』
遭難した宇宙船、無人の星で生き延びた少女とそれを育てて暮らすロボット。こういう子供とロボットの組み合わせに親の情も加わったのには弱い……王道のいい話でした。 -
変態チックな表面でおとぎ話な夢を包んだ




2025年11月7日179ページ。
表題作と読切1作に表題作の描き下ろし。
独特なエキセントリックさのある作者さん。今作はおとぎ話みたいな舞台での博士と助手のお話。
なんか変態チックで笑っちゃったりはするんですけど、けっこう真剣さがあるのが良いです。油断してるとザクっと切り込んでくる。
「薬を自分で人体実験する科学者」という存在が、そのマッドなところ責任感のあるところで大好物なので、この作品の博士もたいへんに好みです。アプローチ下手クソぶりもかわいらしさがありました。
「性癖の差」も、乗り越えたり相手に合わせちゃうんじゃなくて、違った上で一緒にいる、そういうところが良いのです。
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・『化け物の毛皮』
鬼とホームレス、家族に恵まれなかった二人が出会うお話。 -
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浪漫あるレトロフューチャー




2025年10月31日若かりし頃に読んでインパクトの強かったSF短編集、300ページをはるかに超える大ボリューム本。パワープッシュになっていたのでレビュー。思い出補正付きの星5つ。
描き込みやレトロフューチャーなSF要素にワクワクした記憶。ちょっと女性キャラクターの扱いが「男性から見て都合のいい」感じがあって、キャラクターはそんなに好きにはなれなかったんですが、物語としていろいろと面白いです。
当時人気があったのは、この本の後半収録の『チャイナさんの憂鬱』シリーズだったと思います。
が、自分のお気に入りは『少年化學倶楽部』のシリーズ2話。
少年の心を忘れない(と言えば表向きには聞こえが良い)おじさんたちの宇宙へ向かう情熱やわちゃわちゃが楽しい。この話に出てくる「エーテル気流理論」という設定は、未だに私の中で強い影響があります。現代の科学では否定されてしまった「エーテル」、しかし「真空は完全な無」では光も何も伝わらないのではないかと感覚的に思っており、素粒子の研究が進んできた現在、当時の技術では観測できなかっただけで宇宙はやはり「エーテル」に満たされているという説が復活するんじゃないかと期待していたりする。そんな夢を抱くくらいに、エーテルの流れに帆を張って進む宇宙船には浪漫があるのだ!
もうひとつ、『リトルメランコリア』が好きでした。『くるみ割り人形』を下敷にした、切なさのあるタイムマシン話。 -
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「絵空事」でないファンタジー。面白かった




2025年10月24日1巻204、2・3巻186ページ。
この作者さんの良いところがいい具合に出て、最後までスッキリとっても面白かったです。
「魔王」の方にスポットを当たら、もっと壮大な物語になったかなと思います。が、そちらを物語の背景側に置いたことで、風呂敷は広がり過ぎず屋台骨はしっかりという、個人的に理想的な仕上がり。世界観を過度に説明せず「その世界の当たり前のこと」として扱いつつも、読者に対しての情報開示は必要な分はちゃんとしてある。ベテランの匙加減。サブキャラクターもそれぞれにイキイキしています。
キャラクターの感情にわざとらしさがなくてけっこう現実的、その「絵空事」じゃない実在感が、ファンタジーな世界観の支えになっています。もうね、クライマックスが「ドラマチックに感動的」じゃなかったのが、ものすごく良かったです。
地に足を付けて、自分にできることを、一歩ずつ。理不尽な状況でも人は必ず誰かと出会い、そして自分の生きる方向を決める。「生きる」ことを考えた物語でした。
アンデルセンの『親指姫』も下地として取り入れられており、幼少期にモグラの扱いが不満だった私は満足です。
最高だったのは女王。「ウソをついたら死ぬ」という条件のもとに生きている、自分に正直に天真爛漫な、傍迷惑で魅力的な彼女。鮮やかな母親ぶりでほんと最高だったので、ぜひ読んでほしいです。
主人公の少女の特殊浄化能力があまり絡まなかったのだけは惜しい。けどそれはまあ、そういうこともあるってくらいで。 -
脳内改変されていた




2025年10月24日子供の頃に触れていたこのお話、なるしまゆり『まれびと親指姫』(漫画)が面白かったので、オマージュ元であるこちらを改めて読んでみました。
……あれっ、記憶と違ってた……。
自分の記憶では、「ツバメの正体が実は妖精の国の王子だった」んですが、違いました。
きっと、めちゃくちゃ納得いかなくって脳内改変しちゃったんでしょうね……こう、「ただしイケメンに限る」思想がすごく苦手なわけですが、平たく言えばこのお話ってそういうことですよね?親指姫本人も、見た目の描写ばかりで……アンデルセンさん、あなたこんなんでええんかい。
で、子供の頃から、別にもぐらは悪くないじゃん、と思っていたんですけど、きっと『まれびと親指姫』の作者さんも似たようなことを考えていたんじゃないかな〜。改めてこちらの童話を読んで、「もぐら……幸せになれよ……」という気分になりました。 -
天然甘味も人工甘味も




2025年10月24日146ページ。
10作入り短編集。
ひとつひとつが短く、「百合的感情」を切り取った作品集。この作者さんが描く「少女」も好み。甘いんだけど、砂糖の甘さもサッカリンの甘さもハチミツの甘さも取り揃えてある感じ。
気に入った作品(星4つ)は以下。
・『みちくさ』
離れがたい、その気持ちがすべてよね。
・『タイガーリリー』
長い付き合いのふたり。忘れないことは鮮やかさを増し、もつれた心はもつれているからこそ離れない。これが一番良かったです。あとがきにある「旅の百合話」でできたのはきっとこの話で、その「旅の百合話」もまた良い……そりゃ話もひとつできあがっちゃうわ。
・『彼女の隣』
よじれちゃっててうまくいく気はしないけど、そこが良い。そして主人公にとっての世界で、男の扱いがめっちゃ低いのが好き……この自己中心性と世界の狭さが「少女」よね! -
表題作も良、同録『隣の男』が薄暗くて好き




2025年10月24日302ページ。
表題作5話+短篇2作+表題作の描き下ろし。
表題作は、どうやって歯科医師になれたんだろう……という気はするけれど、感情の描き方が丁寧で好み。強迫性障碍を通して描かれる繊細さともどかしさ。言う人によって、同じ言葉でも全く意味が変わるという、言葉そのものの無力さと人の意志が乗ったときの力強さ。誠実に描かれた印象で、読んでいるときの苦しみの共有感や、読後の少し安心できる感じに前向きさがあって良かったです。星4。
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・『隣の男』
アンソロジー『モブおじさんはボーイズラブの主人公にはなれない』掲載作。主人公の住む部屋の隣に出入りするナギという男、作中で喩えられたようにあくまでも「隣人の飼い猫」なのが良かったです。なついたように思って撫でようとして引っ掻かれて思い知らされる、その傷はいつまでもふと鮮烈な印象とともに痛みをよみがえらせる……薄暗い!これが一番良かったです。なにかちょっと及ばずの星4つ。
・『ライトハウスナイト』
主人公とその先輩とその親友。親友は先輩のことを想っていて、先輩の結婚から話が動きます。心の変化とかいろいろじわっと良かったんですが、ラストが合わなかったです……あの2ページがあることで、なんかこうじわっとしていた感情の変化をひっくり返されて色が褪せた印象です。 -
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Cha Tea 紅茶教室の26レッスン:学ぶ楽しみ、本格紅茶と英国菓子レシピ
本格お茶会入門書



2025年10月17日195ページ。
紅茶の歴史、産地による茶葉の違い、茶器について、おもてなしの心得……「紅茶の淹れ方how-to」「お菓子のレシピ」という実践的なことだけでない、周辺知識を詰め込んだ、正に「紅茶教室」な1冊。また、「Cha Tea 紅茶教室」そのもののメモリアル的1冊でもありました。
なかなか実際の紅茶教室には参加できないので、価値ある1冊であったと思います。
お菓子のレシピは、スパイス入りのものが多かったように思います。
この本を入り口に、おうちでお茶会をしてみたり、紅茶のテイスティングやお菓子作りにアンティーク収集などそれぞれ専門的に興味のある方向へ進んで行けそうです。
時折アンティークショップで見かける持ち手の長いスプーンの謎が解けたのが、個人的最大の収穫でした。
あと、三角ティーバッグの生まれた国を知らなかったのでちょっとびっくりしたり。
そして、おもてなしの心得の中の「いつでもおうちをキレイにしておきましょうね」的な言葉に、耳が激痛でしたw -
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一話目が圧倒的に良い




2025年10月10日高校生女子(演劇部)達の短篇オムニバス。雑誌掲載時に読んでいました。
各話それぞれ良さがありますが、1話目が圧倒的に自分の好みなので、星とレビューはその1話目に捧げます。
ほんとうに、高校生女子にふさわしい、ささやかな、けれどもとても重大な、そんな変化が素晴らしいです。
舞台は、短大で行われるサマースクーリングで、あちこちの高校から集まってきた女子達の1週間の共同生活群像劇です。
背が高くボーイッシュな主人公の、丸まった背中がシャンと伸びる様子が、やわらかくかわいらしくやさしい心の内が、ゲストキャラである刈川さんのさりげないサポートでスイっと表に出てくるんですよ。真逆な感じで学校も違う二人ですが、きっとこの先、細く長く友達付き合いが続いていくように思います。
二人の会話にジンとしたり、スクーリングでの別れの時の刈川さんの服装と表情になぜかググッときたり、帰宅後の主人公の服装にああなんか良かったなあって思ったり。
そしてあんな風に桃を食べてみたいと私も真似したことがありますが全然できなかったです。
刈川さんはとても魅力的なキャラクターで、シリーズとして彼女主役の『双子座の女』が後に描かれています。
ただ、こちらで主人公だった由美はそちらには登場せず、そちらには代わりに由美に似た感じの男子が出てきます。もしかしたら、由美を登場させようとはしたものの、うまく物語が作れずに二転三転した結果なのかもしれないな……と思うくらい、こちらは見事にまとまった続編を必要としない短篇です。めちゃ好き。
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他のメンバーのお話もそれぞれ良かったです。スピンオフや続編もそれぞれに描かれましたが、でもまあ、やっぱりこの短篇オムニバスがメインであり、あとはおまけだな、という印象。更に言えば、1話目が好評だったから2〜6話目を足したのかな、とも思うくらいに1話目が最高。
……そして個人的な趣味で、5〜6話の主役だった洋子がすごく苦手で、単行本に手を出せませんでした。すてきな友達に頼るのではなく、大人の男に寄りかかったという感じで、なんかこう……。最後に見せた笑顔とセリフにすごくゾワっとしたのを覚えています。 -
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ホラーとの付き合い方を考える




2025年10月3日178ページ。
実話をアレンジしたものや完全創作など、怪談話集。
著者自身が少し心霊話と距離を置き気味なスタンスに変化したせいで、各話の著者コメントがいささか冷たい。
巻末の対談を見て、私自身の「怪談」に対する姿勢を見直すなどしました。私、心霊現象はめちゃ興味あるけど、怪談は別に好きじゃないんだな。
一応、著者は「心霊と距離を置く」ことにしたようですが、なんだかんだ言ってこの作者さん、心霊世界と距離が近い場所に居る気がするんですよね。そういう人の描く話って、やっぱりなんかこうゾワっとくる部分がこっちに迫るものがあるといいましょうか。
私みたいなゼロ感だと、「きっと気のせいだよね……」って思えるような現象にすら遭遇しません。ゼロ感だからこそ異界には興味があり、この作者さんのホラー感も好きだったりします。
純粋なホラー作品集としてではなく、ホラーとの付き合い方を考えさせられる作品集でした。 -
応援できるオフィス片想い




2025年10月3日電子コミック大賞エントリー作で、無料読みの2巻を読みました。
1巻の表紙が胸を強調するような感じでちょっとおそるおそる読み始めたんですが、ほのぼの片想いストーリーで、どちらかというと少女漫画っぽかったです。胸のサイズは青年ジャンルだから一応入れたお色気要素ってことなんでしょうが、あまりそこをアピールしてくる感じでもなく(おかげで読み進められた)、むしろこの要素ジャマだな、って個人の趣味的には思いました。
20以上の歳の差がある上司と部下(主人公)。主人公が奥手ながらも少しずつがんばっているのが可愛かったです。
あと、真面目に仕事に取り組んでいるのが好感度高い。仕事そっちのけで色恋にうつつをぬかすような展開ではなかった(少なくとも2巻まででは)のが、応援できてよろしいです。
しかし、真っ当な上司と奥手な部下という組み合わせ、めっちゃ進展遅そう〜 -
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みんなそれぞれもがいている




2025年9月26日174ページ。
「ゲイだから」とかじゃない、「この人だから」好き、っていうのが感じられて、とても好みでした。
「金髪」「オネエ」などの要素も記号的な描かれ方ではなく、なかなかこういう描き方ができる作者さんは居ないな、と思う、月並な表現ながら「血の通った」感じ。
盤の金髪の理由や女言葉の理由が切なく、かつ性自認があいまいなボーダーライン上にある感じが良かったです。中性的?子供っぽい?そういう言葉がピッタリとは当てはまらない、「これが盤という存在である」という印象。実際、ボーダーライン上に居る人間っていうのは、それが性的なものであれ何であれ、よほど気が強くなければ気持ちの収まりが悪いのではないかと思います。そんな不安定さに、ギュッと胸を締め付けられる思いがしました。
この不安定さを受け止めてくれるお相手の正志ですが、この人は自分の意志が明確に強くて、盤を受け止めるには最適です。かといって、スパダリ的完璧な風なキャラではなく、けっこうなひどいこともしてしまう……けど、それを誤魔化すことなく謝れるところが誠実。
また、盤の想い人であった、高校の同級生。最初は「なんだコイツ何がしたいんだよふざけんな」って思ったんですが、彼は彼でずっと引きずってたし盤を大事に思ってたんだろうな、と。盤の恋が叶わないのと同じように、彼は大切な友達を失うわけですよ。どちらもつらい、どうしようもない食い違い。
それぞれがそれぞれにもがいてもがいて、やっと水面に顔を出して一呼吸……これから先もいろいろあるかもしれないけれど、転んだってまた起き上がれる、そんな気持ちになる読後感でした。 -
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睡眠、大事。ほんとに。




2025年9月26日電子コミック大賞エントリー作で、無料読みになっていた分を読みました。
「眠りを売買できる」という謎仕組のアプリを通じてつながる人との触れ合い、それぞれの人間模様が見られるヒューマンドラマ……というのが自分の読んだ範囲ですが、そこから先、眠りの世界の内側のファンタジー展開もあるのかな〜と思わせる様子もありました。
人生のかなりを占める「眠り」、一晩の快眠が3000円ってけっこう安い気もします。買ってみたい。売った側は「眠らなかったことになる」ので身体的負担は大きいですね。
生きていく限り明けない夜は無く、逃避のためでない「明日のためにある眠り」という観点が、なんだか心にしみました。
まともに眠れない状態って、ほんとに精神を蝕まれますよね。睡眠が人の心を救う、こんな物語もなかなか良いと思います。期待値込み、少しおまけの星4つ。
やさしいヒューマンドラマがお好きな方は、読んでみてはいかがでしょうか。 -
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ついつい読んじゃう楽しい少年漫画




2025年9月19日無料読みの機会に読みました。33巻既読。
楽しい少年漫画です。「入間」というネーミングが妙に好き。
悪魔界の設定とかには思うところも多い(設定に細かいタイプなので)ですが、そういう部分は「そういうもの」として受け流し、「ちょっと変わり者の多い学園漫画」として楽しむにはなかなか良い。プラス、主人公ののし上がりバトルストーリー。
作中で、悪魔は「楽しい」が優先される、みたいな記述がありますが、この作品自体がそれを第一基準として描かれているように思います。作者さんが楽しんで描いてそうな、屈託のない雰囲気が魅力です。
特に目新しいという感じではなく深掘りはなく、思いついたエピソードをひとつずつ描いていく感じの話運びで終わりが見えない続けられる範囲で続けていくタイプ……基本的に私があまり得意ではないタイプの作品(だから星の数は増えない)なのですが、作者さんの「楽しい」に引きずられてついつい読み続けちゃう。
何より、アメリ生徒会長がかわいいんですよね〜。キリッとしている普段と、わたわたしちゃう乙女な面と、とってもかわいらしゅうございます。
あと、けっこう入間君もカッコよくて、長距離射撃好きな私は弓の発射シーンの横顔にズキュンと来ました。大事なところで髪をくくるのも、個人的に好きポイントです。
いつまで続くか先が長そうで見えませんが、気が向いた時に読み進める感じに追いかけていって、いつか大団円の結末を見られたら嬉しいな、と思う、そんな作品。 -
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