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レビュー

今月(4月1日~4月30日)

レビュー数64

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シーモア島
ベストアンサー95件
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投稿レビュー
  • まんがグリム童話 藤田あつ子傑作選 中国悪女伝説

    藤田あつ子

    中国昔話っぽい短編集(悪女とは限らない)
    2025年4月30日
    5月9日まで、2巻無料読み、3・4巻半額。
    短編集。2巻まで既読。
    レディコミっぽさは特になく、全方面におすすめできます。
    「悪女」と銘打たれていますが、悪女じゃないのも多いです。
    ドロドロ感もあまりありません。中国古典って、残酷な話がさも当たり前のように書かれている印象が強いのですが、その印象と同じように、さらっとドライで良いです。
    1巻は、二話目以外はそれぞれが更に三つのショートに分かれているので、かなりスパッとまとまった話ばかりでその容赦なさが良い。高校時代にこういう短い物語を漢文の授業で習ったな、って思い出す感じでした。特に、三話目の『其の三 名画』が、サラサラと話が流れていってスターンとナタで切ったようなオチで、なんか好きです。
    2巻は三話目までイソップ原案ですが、舞台は中国だしエッセンスが入ってる程度。一話目の『翡翠の徳』が、途中まで旦那がダメダメすぎてヒヤヒヤしましたw 二話目の『犠牲者』は、人々の思惑が絡んでおもしろかったのと、これが2巻までの中では最も悪女であったと思います。
    〜〜〜〜〜
    2025年4月現在、すべて読み放題に入っています。これが読み放題で読めるというのはたいへんお得。
    作品内容文に各話の紹介がされているのが、短編集の内容文として有能です。
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  • 高加水生地の粉ものレッスン パンにもピザにもおやつにもなる

    内田真美

    捏ねないで作れるのでとても手軽
    2025年4月29日
    111ページ。
    リュスティックを作ってみたくて購入。
    手軽さという点ではかなりポイント高いです。「捏ねなくていい」って素晴らしい。
    また、リュスティックのレシピをネットで探すとモルトが入っているものが多いんですが、こちらはモルト無しなので、材料の揃えやすさという点でも嬉しい。パン作りに慣れていないこともあり、作ってみたものの微妙な出来にはなってしまいましたが、また作るぞ〜!って思える手軽さでした。

    同著者のお菓子本が好きなので選びました。
    パン生地そのもののレシピは3種類(ピザやリュスティック用(基本の高加水生地)、ホットク用、カンパーニュ用)で、各種具材のアレンジがいろいろ載っている構成です。アレンジはハーブとかサワークリームを使うような少し複雑でおしゃれな味の方向性。あと、ホットク生地にはアジア系。
    めんどくさがりで子供舌の自分は、ハーブや香辛料系の具材アレンジをする気は無いし、ホットクに興味無いし、カンパーニュは材料の支度や難易度の点で手を出さなさそうだし、という感じなので、ちょっと割高なお買い物ではありました……が、料理本や手芸本にはお気に入りのレシピがひとつでもあれば充分という気もするので、買って損というわけでもありません。
    アレンジ好きなタイプには、お得なお買い物になるかもしれませんね。
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  • スーパーの食材で フランス家庭料理をつくる 三國シェフのベスト・レシピ136 永久保存版

    三國清三

    三國シェフのチャンネルを観るために
    2025年4月29日
    167ページ。
    この1冊で完成する料理本、としてよりも、三國シェフのYouTubeチャンネルを見るお供として使うと良いように思います。
    この本で、材料や完成写真を眺めて「これなら作れそう、これが美味しそう」と思ったものを→動画で探して作り方を視聴してコツなどをおさえた後に→この本の作り方を見ながら実際に作る。
    動画を見ながら作っていると動画のスピードに追いつけなくてあわあわしちゃうタイプなので、上記の手順を踏むのが向いています。
    また、「うま味調味料(ブイヨンなど)を使わない」というスタイルのレシピなのもありがたいです。
    ヴィシソワーズを作ってみましたが、今までで一番美味しくできました。……家族がヴィシソワーズ好きだったら何度でも作るのに……(我が家ではヴィシソワーズ好きが自分しかいない)。
    あと、村上信夫さんのレシピをアレンジしたというもの(カレーピラフと鶏ひき肉カレー)が載っており、帝国ホテル料理長の味(に近いもの)を楽しみたいと思う自分には嬉しかったです。
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  • そこをなんとか

    麻生みこと

    キャラの好みは合わなかったけど
    ネタバレ
    2025年4月29日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 本格弁護士もの、の一歩手前という印象で、少女漫画として読むにはバランスが良かったのではないかと思います。
    なかなかおもしろく読めました。
    主人公はフツウの女の子だな、という感じで、嫌いとまでは行かないけれど決して好きなタイプでもなかった……そして自分が訴訟をするとなった時に、担当弁護士がこの子になっちゃったらちょっと……割と……ヤダ。
    個人的な趣味として、私は赤星くんが苦手ぇ〜〜〜〜なタイプだったので、読んでて恋愛面でイラつく展開とかがあって、また読みたいなと思える作品ではありません。
    けど読みやすく、キャラの好みが合えば楽しい作品だと思います。
    いいね
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  • 神の庭付き楠木邸

    安斎アキラ/えんじゅ/ox

    オカルト好きには設定が引っかかった
    ネタバレ
    2025年4月29日
    このレビューはネタバレを含みます▼ モフモフとのんびりを気軽に読むというのには良いのかもしれません。
    オカルト好きとしては、主人公の能力設定に違和感があって、続けて読んでいこうという気にはなりませんでした。
    「悪いものを寄せ付けない」はアリですが、「文字に力が宿る」設定がなんか違う。
    表札で結界が発生するのはわかる(ここは自分の場所であるという宣言)、でも買い物のメモ書きで悪いモノが祓えるっていうのは……なんか違う。文字に力が宿るっていうのは、力あるものの書いた文字には書かれた文字の意味が具現化する、ということなんじゃないかと思っているので、「卵」とか「牛乳」とかが具現化してもなぁ……って。
    オカルト的ほのぼのライフではなくて、あくまで主人公チート系なのかな、と感じて脱落。中立の3。
    いいね
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  • ぼくらの

    鬼頭莫宏

    あくまで作者が「神」である世界での残酷さ
    ネタバレ
    2025年4月29日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 少年少女に戦わせる話って、主人公と同世代の頃はワクワクできましたが、大人になると心配が強くなりますね。
    この物語も、交代していく主役の子供達がかわいそうです。
    で、残酷な物語と言うのはそれはそれで良いと思うのですが、個人的にこの作者さんの描く残酷さは「アウト」でした。
    デビュー作の『ヴァンデミエールの右手』で注目、その後ポツポツとヴァンデミエールシリーズを読んだりしつつ、この作品を最後まで読み、その結論に至りました。
    どうしようもなく残酷な展開になるのは良いんですが、この作者さんの残酷さは意図的である印象です。
    作者さんが登場人物と一緒に苦しんでいるのではなくて、登場人物が苦しむのを読者に見せつけて「どうだ、苦しいだろう」と笑っている印象。
    そうなると、物語の世界が「どこかに実在するかもしれない」世界ではなくて、作者の作ったジオラマに見えてしまうため、自分の趣味ではありませんでした。
    いいね
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  • 岡本倫短編集 Flip Flap 新装版

    岡本倫

    話のたたみ方が趣味に合わなかった
    ネタバレ
    2025年4月29日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 314ページ。8作入り短編集。
    勢いはあるものの、作者さんとは趣味が合わない感じでした。
    〜〜〜〜〜
    ・『きみとこうかん』
    超能力を持った少女の話。悪くはない……んですが、あとがきで著者本人が「訳のわからないシチュエーション」と認識しつつそのまま描いてしまったその姿勢が苦手です。
    ・『アルマージュ』
    女優を目指すスタントマン女性。ホテル火災での救出劇。なんか無茶苦茶ながらも痛快さのあるアクションでした。けど主人公が妙に口が悪いのと、オチが趣味じゃない。
    ・『レジストラ』
    昭和が舞台だけどあまり昭和っぽさは感じない。記憶操作能力者が活躍する、戦後の秘密文書をめぐる事件。能力者の過去が全くわからないので物足りない。
    ・『カリエラ』
    まだ本気出してないだけ、そんな感じの痛々しさがある「仕事をテーマにした増刊」用の読切。
    ・『メモリア』
    夢見る女の子の純情はかわいかった。全体的には良い話。でもまあ、裸で「恥ずかしくない」は無理がありすぎだし、ラストのセリフが私の逆鱗に触れた。あれを女子に言う男は私の地雷。
    ・『MOL』
    人形好き男子と、研究所から逃げ出してきた人形サイズ女子の恋物語。研究所は話に絡まなかった。
    ・『デジトポリス』
    暗い過去持ちな爆弾処理人女子の話。〆は命の大切さを説く良い話方面なんですけど「部長、その話もっと早くにしてやれよ!」ってなっちゃってあかんかったです。
    ・『エルフェンリート』
    天才ピアニスト少年とそれを追いかけてバイオリニストになった少女。勢いはある。
    〜〜〜〜〜
    長編作品を途中まで読んだことがあり、最後まで読もうかどうかの判断のためにこちらを購入。
    いい意味での「異様さ」を長編作品では感じたために気になっていたのですが、思ったよりも話のたたみ方が自分の好みではありませんでした。
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  • Under the Rose

    船戸明里

    倫理観が合わなかった
    ネタバレ
    2025年4月29日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 本格英国もので、最初の頃はとても楽しみに読んでいました。
    ……が、5巻で脱落。
    自分にはどうがんばっても、アーサーがひどいだけにしか見えないんですよね。なのにアーサーは「愛情深い」とかそんな感じで、非難される側に回らないんですよね。
    これは作者さんの趣味であるかもしれませんし、当時の英国の倫理観的なものかもしれません。12人の王子と姫という童話モチーフで描かれた『Honey Rose』との整合性をとるために齟齬ができてしまったのかもしれません。どれなのかは明白ではありませんが、いずれにしても自分には耐えられない……エヴァンゲリオンのゲンドウを「かわいいんですよ」と思えないタイプの人間には、この世界が許せないです。
    あとはとにかく話が暗い方暗い方へと進む、これは作者さんの趣味だと思いますし、酷い目にあう人が好きというヘキはあるとも思います。
    ……そしてこの作品が完結する日は来るのか……?と、2025年現在、別作品のコミカライズを始めるという情報を見て思ったり……。
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  • Get Ready?

    南マキ

    イチカからスズへの感情の強火っぷりがいい
    2025年4月27日
    5月6日まで3巻無料読み4巻5巻半額。
    コスメ動画配信が題材。
    「ブス」の呪いをかけられた主人公スズちゃんが、イチカの圧倒的好意の後押しとコスメの魔法で自信をつけて成長していくのがステキな序盤。小学校時代に男子連中から「デブ」の呪いをかけられた自分にとって、スズちゃんがイチカに救われたことが本当に嬉しい……ああいう呪い、ほんとなかなか解けなくて自尊心削るんですよね……。
    イチカからスズへの感情は、まっすぐで眩しくてとても強火。その強火っぷりが楽しいのと同時に、何があっても大丈夫っていう安心感があります。良い。

    実際のコスメがズラーっと出て来たりするので、「今すぐ」連載を読むのが一番向いているんじゃないかなと思います。
    不朽の名作っていうタイプではなく、新鮮なうちに「続き楽しみだな〜」ってしながら読みたい……ってことで連載を追って読んでいる作品。
    電子の強み、好きなページに好きなようにカラーを使える、という利点がこの作品にはピッタリマッチ。白黒だとメイクのビフォーアフター表現に限界がありますが、アフターにカラーページを持って来られるのはとても華やかで気分がフワーッと上がります。

    ストーリーは、ツッコミどころとかもあるんですけど、この作者さんの勢いはそういうのを吹っ飛ばす魅力がある。各エピソードや増えて行くキャラクターそれぞれを、楽しく眺めています。
    オマケ漫画がまた楽しいんですよね〜、毎度笑っちゃう。

    自分の好みなキャラは御手洗さん、一番応援してるのはイチカ、いい奴なんだけど諦めてくれって思ってるのはミチル、そして、ずっと絶対許さんと思っているのは多和田……なんですけど、14巻現在、段々見せてくる頑張りに「くそぅ……まだまだ許してなんか……許…………」みたいに心が乱れておりますw

    私はほぼ化粧をしないので、コスメ関連の部分はあまりわかっていないけれど、スズちゃんと作者さんのコスメ好きパワーに引っ張られて、コスメと若いお嬢さんのキラキラにニコニコしています。親戚のおばちゃん気分。
  • 花ゆめAi トワイライトアワー

    南マキ

    やさしくじんわりな幼馴染の恋
    2025年4月27日
    34ページ読切。
    勢いある作風が魅力の作者さんですが、こちらはじんわり雰囲気のあるお話。
    雰囲気の静かさと気持ちの強さが、なんかいい感じのものを醸し出しています。
    廃電車での二人きりの時間、詩の朗読、雨、かなしい記憶とそれを埋めるあたたかさ。
    「あなたの為に」という押し付けがましさの無いやさしさは良いものです。
  • 怪しいおまわりさん

    無機質

    におうな……
    ネタバレ
    2025年4月27日
    このレビューはネタバレを含みます▼ いわゆるヒューマンドラマ(ちょっと笑いもある)みたいなのかと思って読んでみましたが、これは合わなかったです。
    BLの匂わせ分量が多い……というより、目線が腐女子っぽい?
    ただ仲良くわちゃわちゃしているのなら良かった(むしろそういうのが好き)のですが、これは……そういうのとは「違う」気がしました。
    自分がBL読みだから同属感知アンテナの感度が高すぎるだけという可能性もありますが、「ナマモノBLはNG」という主義の自分にはなんかそのNG判定に入っちゃうような感じでした……それとは別だって頭ではわかるんですけどね。
    星は中立の3。
  • 雪の女王

    藤田貴美

    童話の漫画化はこういうタイプが良い
    2025年4月24日
    212ページ。
    表題作は、アンデルセンの『雪の女王』の、描かれていない部分を膨らませた作品で、本の半分くらい。
    原作ではあっけなく過ぎた山賊の娘との交流が、この作品では山賊の娘の心情にスポットを当てて、少女の友情ストーリーになっています。終盤で、山賊の娘がカイにかける言葉、これが良い。原作と同じ言葉であるのに、原作以上の含みがあり、原作とは違う「もう一人の女王」としての貫禄充分。
    原作の忠実な漫画化とは少し違う、けれども原作の設定だけを取ったようなものと違って、原作世界を壊すことなくうまく独自の解釈を入れてある……童話の漫画化はこういうタイプがいいですね。
    巻末には描き下ろしのショート漫画『泣きむしなさかな姫』が収録されており、こちらもかわいらしさともどかしさのあるおとぎ話で良かったです。
    〜〜〜〜〜
    同時収録されている読み切りは、いずれも現代日本舞台。
    片方は恋愛もの、もう片方は高校生の殺し屋設定でふんわり重めの背景をちらつかせたもの。
    どちらも、キャラクターとストーリー共に自分の好みに合うところがありませんでした。
  • 雪の女王

    アンデルセンハンス・クリスチャン

    花たちの語る話が好き
    2025年4月24日
    昭和30年翻訳版なので、ことばが古めかしくて良いです。
    古い作品には古い翻訳が合う……無理に新訳を出さなくていいのよ……と思っているタイプにはありがたいですね、青空文庫。無料ですし。
    藤田貴美『雪の女王』(漫画)を読むのに合わせて、読んでみました。ぼんやりと内容は知っていても、きちんと読んだのは初めてかもしれません。アンデルセン童話はキリスト教賛美色が強いのが個人的欠点ではありますが、だからこその美しさもあって良いですね。
    作中、物語の主流から少し外れて、花たちが自分たちの物語をそれぞれする場面があるのですが、そこがなんだか好きです。
    しかし、改めてこうして読んでみても、「カイ、何もしてないな……」「ゲルダってカイの何がそんなにいいんだろ」「雪の女王は何がしたかったんだ」という感想は変わりませんでした。
    これは自分がひねくれ者のせいなのか……?いや、それだけじゃないはず……みんなきっとチラッとは思ってるはず……!
  • 魔法少女事変

    赤羽ぜろ

    パロディ色強めの若いパワー作品
    2025年4月24日
    5月1日まで全3巻半額。
    1巻179、2巻153、3巻217ページ。
    程よい笑いといろんな既存作品へのオマージュとを、きれいで勢いある絵柄に前向きストレートな希望でまとめています。
    設定や話運びにはツッコミどころが満載ですがパロディ色が強いので、まあ別にいいかなって放置して読めます。
    主人公と幼馴染コンビに幸せあれ。
    多様性に関する部分には引っかかるものがあって同調しかねますが、そういうのも含めた一種の青臭さとパワーが溢れていて、こういうのも大事よねってほほえましかったです。
  • シャーリー

    森薫

    膝下丈で回ると広がるスカートには夢がある
    2025年4月18日
    もちろんペチコートとドロワーズにも夢がある。
    「メイドさん」だから「メディスン」という雑なネーミングなのにも趣がある、著者最初期作品(と、その続き)。
    1巻収録作は同人誌発表で、発表当時「ものすごいのがキター!」ってワクワクしたのを覚えています。
    1巻には『シャーリー』の他、5歳の坊ちゃんと遊び相手のメイドとコマドリの雛の話『僕とネリーとある日の午後』、イタズラ仕掛け好きの子爵の大旦那と強気なメイドの日々『メアリ・バンクス』が収録されています。
    2巻収録作は商業発表。着々と描き込みがみっちりしていきますw
    〜〜〜〜〜
    仕事はものすごくできるけどまだまだ少女であどけなさもあるシャーリー、少しうっかり屋さんの主人ベネット。二人の日常はなんてことないけれども、ガラス瓶にひとつひとつためていくビー玉のようで、いつか振り返ったときにそのきらめきを懐かしみ、笑顔になって、新しい一歩を大切に踏み出せる……そんなやわらかな光をたたえています。
    シャーリーがベネットに向ける「大人」への憧れの眼差しと、ベネットがシャーリーに向ける「子供」への慈しみの眼差し、友人でも家族でもない関係性の中でのお互いを尊ぶ心が、相手が喜ぶと自分も嬉しい様子が、なんとも好ましいです。
    そんなやさしい雰囲気の中で、膝下丈で回ると広がるスカートとか、人形に自分で服を仕立てるとか、コルセットとか、蓄音機とか、靴のデザインとか、紅茶を注ぐ姿とか、現実では些細ながらも著者によってクローズアップされている愛すべき物や事柄に「そこが大事なんです!」って著者に同化する勢いでのめり込みたい。
    あと、1巻と2巻それぞれで見られる、シャーリーとベネットの「暖炉の火を見つめる横顔」が、すんばらしい対比になっているなと思うので見て!そこが大事なんです!
    あとは2巻の夢のシーンが可愛すぎて悶えます。

    世界名作劇場の『牧場の少女カトリ』のようなさりげない日常の短篇連作が一番向いている作者さんだと思っており、この作品が最高に好みです。今後も、あまり大きなストーリーを混ぜないでほしいと切に願っています。
    〜〜〜〜〜
    まだ単行本に入ってないのもけっこうある(Wiki調べ)ので、単行本が出せる分たまるまでの繋ぎに、単話で配信してほしい……とりあえず要望は出版社に出しましたが、同じ要望が集まって実現したら嬉しいな。
    さあ、あなたも要望を出そう!
  • 乙嫁語り

    森薫

    パリヤさんが大好き(13巻既読)
    ネタバレ
    2025年4月18日
    このレビューはネタバレを含みます▼ メインであるアミルとカルルク夫婦は、アミルは良い子だしカルルクはものっすごい男前なので安心して見ていられます。お見合い結婚にある種の運命的憧れを感じるタイプなので、この二人の夫婦としての愛情が健やかに育って行くさまは、非常に素晴らしい。こういうのがええんじゃい。

    行末が気になるのは何てったってパリヤさん!
    パリヤさん、少し空回り気味で言葉選びが上手じゃなかったりしますが、めっちゃくちゃかわいいな〜って思うキャラクターです。自分のメモも兼ねて彼女が見られるところを。
    ・2巻第六話で初登場、
    ・3巻のおまけ漫画と後半にちょいちょい顔を出しつつ第十六話で通りすがりの親父さんに気に入られ、
    ・4巻第十八話で縁談が進み(この話の最後のページがものすごく沁みる)、
    ・8巻では苦手な刺繍をがんばりつつ恋心を育てたりうっかり見られたくないところを見られちゃったり自分の在り方に迷走したり新しい友達ができたり、
    ・9巻では水車を見に行ったりハプニングもあったりしつつ、お相手との距離を縮める努力が不器用でかわいくて、着実な成長に読んでるこっちはニコニコです。ウマル、あなた見る目あるよ……って謎目線で頷いているw
    ・12巻の第七十九話と第八十話ではちょっとした日常のパリヤさんが見られてそれも良かった。

    あとはとにかくお婆様がかっこいい!1巻での弓持つ姿、5巻番外篇、その他いろいろ、肝の据わった女傑っぷりが最高です。

    他にもいろんな「乙嫁」が登場する中、4巻の双子の話では「嫁に出す母」の気持ちが描かれており、娘を持つ母として胸を打たれるものがありました。

    少し話が長くなってしまっていたり、ちょっとタラスさんが苦手だったり、あんまりロシアとか絡んで話が大きくなりすぎると好みから逸れるなっていう警戒心だったりで、星はひとつマイナスです。
    しかしパリヤさんの嫁入り姿を見るまでは死ねない。
    そして個人的なこの作品での最大の謎は、アミルがどうやってあんなに屈託のない良い子に育ったのかということだったりします。あの一族で……あの親父で……
  • エマ

    森薫

    ウィリアム、貴公を許さない……!
    ネタバレ
    2025年4月18日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ってなってしまっているため、返し読みができません。
    ストーリーは王道ロマンス、絵や演出も素晴らしく、キャラクターもそれぞれがイキイキと動き回って楽しい。
    そんな中、私、そもそも令嬢が好きということもあいまって、かわいらしくて素直で品のあるエレノアが最高のご贔屓キャラなんですね。
    だからもうですね……ウィリアムのエレノアへの仕打ちがもう本当に本っっっ当に許せなくってですね……モニカお姉様が憑依したかの如く「あたくしの天使(と書いてエレノアと読む)に何てことを!」って怒髪天になっちゃってですね……。エレノアは天使なので、人を恨むこともなく立ち直ってはいます。が、だからと言ってウィリアムの所業を許せるかというとそれは別問題で、いやもうあたくしは生涯許さなくってよ?
    実のところ、エマというキャラクターもあまり好みではなく……このタイプ、かなり作者さんはお好きなんだな、とは思うんですけど、私はけっこう苦手です。控えめ、って言うよりも、なんかこう、したたか。作中では出てきませんでしたが、ウィリアムがエレノアにしたことを知ったら、エマはどんな反応をするんだろうな、というのはめちゃくちゃ気になるところです。その反応次第で、自分のエマという人物に対する評価が定まる気がする。
    そんな感じで、最終回に「めでたしめでたし」って思えない……ロマンス物語としては致命的でした。

    とまあ、それはそれとして、番外編集は星5つです。
    ケリーの若かりし日のエピソードと、リスの話が特に好き。
    この作者さんは、どちらかというとこういった短篇の方が向いているなと思います。細かいところまで行き届いた視線で、表情から滲み出る感情を、ふとした仕草にあらわれる性格を、そして著者本人のこだわりの好きポイントを、余すことなく描き出す。
    逆に、ストーリーの大きな流れに関しては、詰めの甘い印象があり、せっかくの良いところを堪能できなくなるのが個人的に惜しいです。
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  • 少年のアビス

    峰浪りょう

    ファムファタルの血筋
    ネタバレ
    2025年4月18日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 主人公を応援できない、鬱で閉鎖的作品。
    主人公は、その「閉鎖的」なところに囚われているのではなくて逃げ出そうとしていないようにも見える。その停滞した感じが、田舎のリアル……なのかどうかは自分に田舎がないのでわからないのが残念ですが、田舎のある皆様いかがでしょうか。実際こんな(誇張はされてるとしても)なの?
    主人公の母親がもう人を引き摺り落とす天才だなと思うと同時に、主人公もまたその血を色濃く受け継いでいるなって。気の毒さを上回る魔性がある。儚げな見た目と謎めいた視線で獲物を沼に沈める……村の古老が旅人に「あの親子には関わっちゃなんねぇ」って言いそう。
    柴ちゃん先生なんか、だいぶヤバい人ではありましたが、主人公に引き摺り込まれちゃってかわいそうだなという気もしますし……誰よりも何よりも、玄が本当にかわいそうでした。玄がらみのエピソードが一番抉られました。
    似非森の正体とか、話の畳み方が、あまり好みではなかったです。白雪姫の母親には焼けた靴を履いて死ぬまで踊ってほしいし、カチカチ山の狸は泥舟で沈んでほしいし、真魚には二度と朝日を見てほしくない。
    あと、この鬱々とした感じで18巻はちょっと長すぎた。
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  • 兎が二匹

    山うた

    一読目はおもしろかった
    ネタバレ
    2025年4月18日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 序盤のインパクト、不老不死の設定、過去の経験など、一読目はなかなかおもしろかったし、かなり泣きました。
    が、二読目でガラッと主人公の印象が変わり、自分の許容できる作品ではなくなってしまいました。
    序盤の、サクがすずを殺し続けるシーン……最初に読んだ時にはそのまま作品の流れに乗ってそこまで気にならなかったのですが。
    サクとの出会いやその後を読んだ後に改めて読むと、もう、私には怒りしかない。
    よくも、よくもまあ、あんな目にあっていた子供に、あんなことをさせたものだ……そこにあるのは自己中心性、どこまでも自分勝手な人間である、という風に、印象が塗り変わってしまいました。そうなるともう、不快さが勝ってしまって作品をしみじみと読むことはできなくなったという。
    元は読切だったものを連載にしたようで、おそらく、サクとの出会いは後付けなんでしょう。
    ただの恋人ならあの関係でも良かった、けどなぁ……あの過去があってあれはなぁ……個人の趣味として「ナシ」です。
    他作品も読んでみましたが、全体的に「こうやって読者を感動させよう」みたいな意図が見えがち、そしていささか物事の見方が平面的。絵は好きです。泣き笑いみたいな表情がうまい。
  • 陰陽師

    岡野玲子/夢枕獏

    どうしても真葛が苦手
    ネタバレ
    2025年4月18日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 10巻あたりまで読みました。
    序盤は素晴らしいです。原作は未読ですが、最初の方はある程度原作に沿っていたはずですし、幽玄という言葉が似合う絵柄で、非常に良かった。キャラクターは博雅がとても好きです。感受性が豊かで優しく朴訥とした強さがある。
    で、漫画オリジナルキャラである真葛が出てきた辺りから、段々と自分の好みから外れて行き、最終巻に行きつかずに脱落してしまいました。だってどうしても真葛が苦手で、終盤を読む気力が切れちゃったんですもん……。
    要するには、岡野玲子さんと感覚が合わないのだと思います。別作品を読んだ時にも感じたのですが、なんというか、他者への尊重がいまひとつ足りない。真葛というキャラクターはそれが顕著だと思います。
    個人的な事情としては、菅原道真公に思い入れがあるため、この作品で、真葛にあのような軽んじられた扱いをされるのに耐え切れなかった……。
    原作ではどうなんでしょう。真葛は居ないとしても、菅公がこの漫画版と似たような扱いだったらイヤだな……と思ってしまって、原作に手が伸びないままです。
  • 裏切られたので、王妃付き侍女にジョブチェンジ!

    雉間ちまこ/青山克己

    設定がもったいない(1巻のみ)
    ネタバレ
    2025年4月18日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 無料の1巻を読みました。
    令嬢ものの定番、婚約破棄からのスタートですが、その設定があるのがもったいない。
    単純に「王妃付き侍女の事件簿」みたいな感じの方がすっきり行けた気がします。
    婚約破棄がらみのいろいろが物語をごたつかせてしまっていると思います。婚約者であるラウルがほんとにイラつくのは勿論として、王弟妃はなんなの?って感じだし、王弟は何してんの?(1巻丸々登場しなかった)って感じだし、王宮であんな噂に晒されるのも理解できない。婚約破棄された令嬢によるザマァストーリーかと思って読み始めたら、そのあたりが宙ぶらりんなまま、宝石がらみの事件話がスタートしちゃって、どういうスタンスでこの作品を楽しめばいいのかよくわからなくなってしまいました。
    レビューに目を通してみたところ、王弟妃とかの話がなかなか出て来なさそうだしすっきりもしなさそうだし、リタイアです。
  • 終末の箱庭

    岬かいり

    あまり「終末」っぽくはない(2巻まで)
    ネタバレ
    2025年4月18日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 各巻の作品内容文に引かれて、2巻まで読みました。
    オムニバスホラー。内容文から期待するよりも、普通にホラー漫画という感じでした。あまり終末感が無かったのがちょっと納得いかない。
    コミックスレーベルは「裏少年サンデーコミックス」ではありましたが、雑誌レーベルの「ちゃお」の方が、この作品のイメージです。少女マンガ誌ホラー。そして、ホラーとしては、絵柄に暗さが少ないのが雰囲気を盛り上げきれなかった印象です。
  • エデンの箱庭

    Dite

    ふんわりSFのような微BL風味作品
    ネタバレ
    2025年4月18日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 176ページ。
    近未来が舞台のSFのような微BL風味作品。
    あまりにも謎めきすぎていて、雰囲気を楽しむに到りませんでした。
    どうして荒廃してしまったのか、どうして主人公の親は死んだのか、あの研究施設は何なのか、花屋の店主の正体は何なのか、全部ふわ〜っとしていて、理屈屋には何も得ることができずに終わりました。
    ぶっちゃけ、あの「種を飲ませる」という要素がが描きたかっただけなのではないかと思いました。
  • きみは四葉のクローバー

    こうし

    善きものに幸福を、悪しきものに復讐を
    2025年4月17日
    クローバーっていろんな花言葉があるんですね。いろいろあるのを総合するとちょっとヤンデレ感が出ておもしろい。
    宇一に悲惨な結末を迎えさせないためにがんばるよつはちゃん。
    目新しさがあるわけではないタイムリープものですが、やり過ぎな残虐性とか意味なくラッキースケベ展開とかが無く、気軽なエンタメとして摂取するのにほどよいバランス感。個人的には雨宿りのシーン(3巻収録)が、ちょっとエッチではない方向の展開だったことに、宇一(と作者さん)への信頼度が上がったので、宇一の幸せを応援したいです。
    八重が笑っちゃうほどキモいのも見どころ(?)。

    3巻段階でもまだまだ謎ばかり。追いかけ切れるかちょっと不安なペースの話の進み方ではありますが、行ける範囲でついていこうかなと思います。
    いいね
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  • ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ

    魚豊

    えっこれコメディーなの?(1巻のみ)
    2025年4月17日
    1巻無料になっていたので読んでみました。
    『チ。』を途中まで読んでいてどうしてもひっかかるところがあって続きを読むか迷っており、こちらが短く完結しているので手を出してみることに。最後まで読んだらレビュー更新します。
    現段階では、なんかもう読んでてつらくてつらくて、ジャンルがギャグ・コメディーになっていることに驚愕しています。私、お笑いがけっこうな割合でイジメにしか見えなくて積極的にお笑いには触れないんですが、この作品が「ギャグ・コメディー」に分類されているのもそれに近しく……えっ、みんなこれを笑いながら読めるの?って挙動不審になってます。
    主人公を「かわいそう」と感じるのは自分の傲慢である。けれども主人公の周囲のセミナーの輩とかに嫌悪と怒りを感じるのは、自分の選んだ正義である。そんなスタンスで、年末あたりに続きを買って読もうと画策しています。
  • 異世界の沙汰は社畜次第

    采和輝/八月八/大橋キッカ

    確かに「社畜」ではないし、ジャンルはBL
    ネタバレ
    2025年4月17日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 低評価レビューに多い「社畜じゃない」「女性マンガじゃなくてBL」というご意見をざっと見つつ、自分はBL耐性もあり、前から気になっていたので、無料の1巻を読みました。
    先人達のご意見は正しかった。
    社畜は飼い慣らされて所属先に尽くすものであって、自分で勝手に突っ込んで行って働きまくるのは……まあ違うよね。
    原作小説がBL分類なのに、こちらを女性マンガ分類にしたのは……出版社のご意向でしょうか。最初はBLに分類されてた気もするんですけど。魔力酔いの治療の方法がアレっていうのは、BLジャンルだから許される、BL展開のために作られた設定ですよね……あれをそのままにして分類を「女性マンガ」にしちゃうのは、そりゃあイヤな思いする読者も出るし、誰得なのかと。自分は「BLジャンルに分類はされてるけどギリブロマンスって言い張れる」くらいだから「女性マンガ」分類にコミックでは移動させた、という作品かと予想して読んだんですけど……あれはいかんと思う。
    異世界の「時間」や「通貨」についての言及があったのは、ファンタジー設定として良かったです。
    ……が、キャラクターが無理でした。
    聖女になった女子高生の、主人公に対する態度……必死に助けようとしてくれて巻き込まれちゃった人に対してあれは無いし、いわゆる悪役令嬢ものに出てくる「愚かなヒロイン」まんまでドン引き。
    主人公も、自分勝手に「仕事」と称して自分の能力を使っているだけ、「仕事」の「仕」の字の意味が抜けちゃってる感じで好感が持てませんでした。
    もっとコミカルでテンポ良い描かれ方ならまだそういうキャラにも「まあ仕方ないなぁ〜」って思える気はしますが、比較的シリアスにじっくり描こうとしている印象の中では耐え難し。
    ……そして、今作を読んで何より驚いたのが、原作者さんが『悪役令嬢たちは揺るがない』と同じ方だったことです。
    えっ……ほんとに……?あっちの輝く令嬢たちを書いている人が……??と、当惑しきりになるレベルでびっくりです。ラノベが苦手なので原作は全く読まないのですが、コミカライズ担当の方の手腕というのもかなり大きいのかもしれないな……と、しみじみしております。
  • 一目惚れと言われたのに実は囮だと知った伯爵令嬢の三日間 連載版

    藤谷陽子/千石かのん/八美☆わん

    少女漫画にR描写を入れないでくれ頼むから
    ネタバレ
    2025年4月17日
    このレビューはネタバレを含みます▼ すれ違いがちょっと無理矢理感あっても、少女マンガだからこういうのもアリだよねってそれなりに楽しく読んでたんですよ。
    それなのに、あのRシーンは……少女マンガと思って読んでた民として「約束が違う!」という気分になりました。
    原作にあのシーンがあったとしても(未読なので不明ですが)、少女マンガジャンルでコミカライズしている以上、ぼやかす、シチュエーションを変える、などの対処はできるはず。
    氷点下まで冷めたので、そこで脱落しました。
    いいね
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  • 土かぶりのエレナ姫

    晴海ひつじ

    前世要素、いらないのでは……(1巻のみ)
    ネタバレ
    2025年4月17日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ・身体が弱かった前世の無念を晴らすために興味のあった農業をしたくて張り切る←わかる。
    ・作物の種類も異なる異世界で前世農業知識(実践はほぼ無い)で無双する←わからない。
    農業要素が気になったので読んでみたはいいのですが、主人公が実地経験もほぼないくせにやけに自信たっぷりに振る舞っているのも、その思いつきをやたらと持ち上げる周囲を見るのも、農業従事者に失礼なレベルなんじゃないのって気分になって脱落です。
    前世要素が無くて、主人公が初めて触れる土仕事の難しさに一喜一憂しながら成長していく、そんなお話だったら好みだったな〜。
    恋愛色の強いフツウの少女マンガだったな、という印象なのと、主人公と王子の「ふとしたふれあいに見つめ合う」的シーンの多さに辟易し、最終的に王子のとった手段(仮にも婚約者のいる女性にキス)にドン引きという、恋愛描写も合わなかった。
    絵はかわいいです。
  • やり直し令嬢は竜帝陛下を攻略中

    柚アンコ/永瀬さらさ(角川ビーンズ文庫)/藤未都也

    妹姫の境遇が心配で仕方がない(2話まで)
    ネタバレ
    2025年4月17日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 2話まで読みました。主人公の性格が合わないため脱落です。
    主人公が殺される原因となった「禁断の兄妹関係」で、まず自分が心配になったのは妹姫のこと。病弱ということもあり、兄王子に不本意な関係を強いられているのではないか?序盤段階では表情も何も出てこないし、主人公と親交があったか無かったかもわからない、何も描かれていない状態の中、主人公は妹姫を全然心配してくれないし兄王子を「シスコン」と位置付けるだけ(そしてそのまま巻き戻ってしまった)。
    竜帝に対しても、なぜ年齢にこだわるのか「魔力量」のワードが挟まれているにも関わらずあまり疑問に思うこともなくとにかくロリコン方向に持っていく。あと何も竜帝のことを知らないくせに「更生」という言葉がつるっと出てきたのがイヤ。
    あまり優しさも知性も期待できないヒロインだな……と感じました。
    ドタバタとした少年マンガとして読むにはアリなのかもしれませんが、「巻き戻りの令嬢もの」として見るには趣味が合わなかったです。
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  • 桃源暗鬼

    漆原侑来

    理屈屋は効率の悪さに脱落
    ネタバレ
    2025年4月17日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 5巻まで無料……だったけど1巻でリタイアです。
    桃太郎の子孫VS鬼の子孫、という設定ですが、それ以上の情報が見えません。そこはまだ序盤なのである程度仕方ないですが、それにしても情報開示が遅い気がします。桃太郎がどんな存在なのか、鬼のコミュニティはどうなっているのか、もう少しわからないと落ち着いて読めない……理屈屋なので。
    鬼の学校というものも出てきましたが、なんて効率の悪い……という印象です。鬼のコミュニティで育ってない主人公が力の扱いを知らないのは当たり前のことで、その扱いを教えもせずに色々やらせて「効率が悪いのが嫌い」って。
    とりあえず、あの鬼の特殊能力は血の塊なんでしょうか……漫画の必殺技に対して野暮ではありますが、死ぬよねあの出血量。
  • 奈落の鎖~DVからの逃走~ 超合本版

    宮島葉子/万衣花

    気軽に読めるサスペンスドラマ
    2025年4月16日
    30日まで無料読み。471ページ。
    単行本版と分冊版が、ともに2025年4月現在読み放題に入っています。
    スタートはDVですが、逃亡先で触れる人情、過去の事件、夫の異常性など盛りだくさん。酷い目には遭いますが、ドロドロはせず、勢いよく最後まですっきりと。火サスの気分で楽しめました。
    主人公がちゃんと「母親」してるな、ってところに好感が持てます。
    一方、作品に出てくる主人公以外の母親キャラクターは、みなさんなかなかの難アリな生き様。
    特に主人公の母親が私はイヤです。作中、主人公が新婚旅行で殴られた段階で逃げられなかったのは、間違いなくこの母親のせい……どこに出しても恥ずかしい毒親であると感じますし、そういう母親に育てられた娘って、我慢しなければならないっていう認知の歪みで初動をミスりがちだよなって気がします。
    MVPは、ホームサービス女社長の息子さんに進呈します。
  • 闇夜の本

    坂田靖子

    このさりげなくあたりまえなファンタジー
    2025年4月12日
    全3巻の、ファンタジー短編集。各巻200ページぐらい。
    〜〜〜1巻〜〜〜
    ・『大嵐』春の嵐に吹き飛ばされたおじいちゃんとパパとマイク。森に住む少年のトキとその相棒のバンダに会って過ごす、ひとときのメルヘン。おじいちゃんの心情、ラストまで素晴らしい傑作。星5つ。あと「しそ茶」はたぶん「バジルティー」のこと。
    ・『月世界通信販売』深夜に訪れる郵便屋、おとなりさんから聞こえる謎の歌と叫び声。謎が解けたその後に、きっと幸福が訪れる、そんな予感であたたかくなる話。
    ・『非常識な死体』コミカルな「蘇った死体」の話。いわゆるゾンビとはちょっと違うけど、死体ネタに笑う。ラストの真相も、エピローグ的な最後まで、飽きないおもしろさ。星5つ。
    ・『ジュラ』母を亡くした娘と、その父親と再婚相手。イマジナリーフレンドの要素を加えた切なさのある話。みんな良い人であり、だからこそあたたかさが切ない。星5つ。
    ・『神が喜びを下さるように』かつて別れた恋人同士の二人に起きる、クリスマスの奇跡。ケーキくずやベルベットリボンの裁ちクズにボタン、こまごました描写が好き。
    〜〜〜2巻〜〜〜
    全篇星5つ。
    ・『西風星』1巻にも登場したバンダとトキの、西風を吹かせる星を探しての、山向こうへの小冒険。ひなぎくには、trembling starというウェールズでの呼び名があるそうです。
    ・『骨董刺繍』骨董店での不思議な出来事。海とバラのイメージがすてきで、店主と息子のやりとりが軽妙。この1話しか無いのが少し残念なくらい、気に入っている話。
    ・『浸透圧』シリーズ3話。学生二人が巻き込まれる、異次元世界の騒動。著者の空想が自由に繰り広げられて、にぎやか楽しい。
    〜〜〜3巻〜〜〜
    この巻だけ舞台が日本。
    ・『夜のタンゴ』みんなのうたの赤鬼と青鬼のタンゴからできたお話なんだろうな。楽しい、鬼との遭遇。
    ・『テルテルボーズの怪』梅雨時、湿気まくる安下宿のようすに笑う。
    ・『盂蘭盆会』明るくにぎやか、現代バケモノ話。
    ・『紅葉おろし』平安時代のあやかし話。著者らしい、人と妖とのへだたりの無さがとても好きな星5つ。
    ・『クリスマス配達員』現代クリスマス話。各ご家庭の様子がさりげなく良いハートフルクリスマス。
    ・『百鬼夜行』平安時代。気ままなお公家様と振り回される奉公人のやりとりが楽しい。ガイコツの芸もなんか良い、星5つ。
  • 遠野物語

    鯨庭/柳田国男/石井正己

    原作に忠実なコミカライズではないので注意
    2025年4月12日
    連綿と続く土着の「得体のしれないもの」を拾いとった『遠野物語』、その朴たる存在が素晴らしい……と思っているタイプには向いていないので注意。
    『遠野物語』を下敷きにした、創作です。
    絵柄は良いですが、いささか価値観に現代っぽさが見えるのと、物語に「理由」を与えてしまっているため、これを『遠野物語』の題のままにしているのは個人的にちょっと……せめて『遠野物語より』にして。「より」を付けて。
    妖怪ものがお好きなら気にいる方も多いと思います。
    私は『遠野物語』に思い入れが強すぎるため中立の3。
  • ブスに花束を。【分冊版】

    作楽ロク

    うぐちゃんが良かった
    ネタバレ
    2025年4月12日
    このレビューはネタバレを含みます▼ モブ系オタク主人公とさわやかイケメンとのラブコメ。
    自虐ネタとか、自分もコミュ障だし「わかるぅ〜」って笑えるところも多かったです。
    でも、主人公がパッとしない。外見ではなく、中身が。割と最初から最後まで同じ感じで、あまり成長が見えないというか……悪い子ではもちろんないんですけど、なんかいまいち応援したくなる感じがありませんでした。
    主人公より、最初にライバルポジだった鶯谷さんが良かったです。うぐちゃん、がんばりやさんだし基本良い子で好きです。
  • 大きくなったら女の子

    御厨稔

    ジェンダー論とかそんな感じ
    ネタバレ
    2025年4月12日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 男女の立場が現実と違う世界の話。
    サイエンスフィクション的な視点から見ると、この社会はちょっと成立が難しいんじゃないかな……って思ってしまうので星の数が伸びません。大きい個体が「女性(産む性)」になるのは良いとして、この世界の男女比の分布で、猫みたいな多胎妊娠ではない人間という種が繁栄するのはちょっと厳しい気が。いくら双子率が高いという設定を持ってきても、子供を産むことができる期間は20年程度、女性が産むことに専念していないと、近代以前の状況ではあっという間に人口が減るだろうし……粉ミルクが無い時代は母乳で育てるしかないわけだし……。
    ジェンダーというものを考える機会としての作品ではあります。が、おそらくは作者さんが抱えているであろうジェンダーへの複雑な思いであるとか性的指向であるとかを整頓しながら描いている印象で、エンタメとして読むには私はちょっと。あくまで、現実のジェンダーについての戯画化という感じで、異世界を構築しているのとは違う気が。
    また、この作品に限らず、ジェンダーについて扱うものは、「種として」と「個として」の問題が分けられていないものが多い気がします。ジェンダーは、誰かが決めたものではなく、人間社会が続いてきた中で「種としての生存」を有利にするための積み重ねという一面もあると思っています。過去の積み重ねを尊重した上で、「個としてのあり方」を別問題として尊重する、そんな意識を自分は持ちたい。
    ついでに、個人的には、「女の子」になった個体が髪を切って着飾らないようになるという設定が、母親になったらオシャレする必要ないだろ?っていう思想と重なってしまうのが少し苦手でした。

    BL作品を多く描いてらっしゃる作者さんの別名義。
  • おちたらおわり 分冊版

    すえのぶけいこ

    ある意味とても面白かったw
    ネタバレ
    2025年4月12日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ママ友同士の思惑渦巻くリアルなドロドロヒューマンドラマ……と思って読み始めたら違ったw
    もう無茶苦茶だな!って感じの派手な展開、それぞれのご家庭エピソードにも浮気やら制裁やらが華々しく絡み、ママ友は水商売にまで身を落とし、主人公とボスママの因縁は百合風味を帯び、爆破事件が起き、ヘリコプターまで、ヘリコプターまで登場……!
    なんだこりゃw もうママ友とかそういう話じゃねぇww ある意味面白くはありました。
    とりあえず主人公はパッとせず、夫じゃない優男になんかちやほやされていました。こういう立ち位置って割と女性向けにはある気がするので、これがドリームな層も存在するのだとは思います……が、私は夫一筋で夫婦協力し合うのがステキ〜って思うタチなので、別の男が都合良く白馬の王子的にうろちょろして主人公が健気ヒロインみたいに振舞っているのはどうにもイラつくので星マイナス。
  • 王太子様、私今度こそあなたに殺されたくないんです! ~聖女に嵌められた貧乏令嬢、二度目は串刺し回避します!~ 分冊版

    おしばなお/岡達英茉/先崎真琴

    主人公、好みのタイプじゃない(6話まで)
    ネタバレ
    2025年4月12日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 主人公の王太子への愛情が圧倒的に足りないー!
    序盤、聖女側に嵌められて処刑されることになった主人公が、戦場から帰った王太子に殺されてしまうわけですが。
    「信じてくれないの?」って王太子に対して思ってるんですけど、王太子、特に主人公を断罪するようなこと言ってないんですよね。後々明らかになる真相があるからだと思うんですけど……「王太子が主人公を信じていない」よりも「主人公が王太子を信じていない」と感じてしまいました。ヤンデレメリバ好きとしては、愛する人に殺されるのって悪くないよなぁ……とも思いますし(問題ある思想)。
    殺されて巻き戻った主人公は、「もう王太子に関わらない」的にすっぱりさっぱりニュー人生をスタートさせちゃって、いやアナタ身分差恋愛で王太子と愛し合っていたんじゃないの、積み重ねてきた二人の時間はそんなにあっさり割り切れるものなの、もっと複雑な心の内を見せてくれよーーー(葛藤好き)!!ってなりました。死の間際まで、王太子の腕の怪我を心配しているくらいの健気さがあれば良かったけど、そういう優しさとかがないから、王太子と恋愛関係にあった何年かの間に王宮で味方も増やせなかったんじゃないのかと思ってしまうわ……。
    魔術学校に「王立」と「国立」があるのが意味不明だなって思ったりしつつも、続きを読もうとはしたんですが……主人公、かなりの有能設定だと思うんですけど、ギディオンに対して「前世の雰囲気と違すぎるな?」みたいに探っていこうともしない。このキャラクターは自分の趣味じゃない、と判断して6話(分冊だと4)で脱落です。
    いいね
    0件
  • 完璧すぎて可愛げがないと婚約破棄された聖女は隣国に売られる

    綾北まご/冬月光輝/昌未

    雰囲気がカジュアルすぎて脱落(1巻のみ)
    ネタバレ
    2025年4月12日
    このレビューはネタバレを含みます▼ そもそも、有能な「聖女」を手放すというのが、国家としてあまりに無能すぎるんじゃないか……とは思う。
    タイトルからある程度国家が無能であることは予測できたとはいえ、これが第二王子の独断で実行されたと仮定してもそれが実行できちゃう時点で国家としてはもう……主人公はがんばってて成果も挙げてるのに、国民からの扱いが「作者の都合的に」ひどい。
    隣国に行ったらものすごく歓待されて、誰も表情の冷たさを気にすることもない。かなりのご都合感がありました。
    妹が姉を慕っているのが個人的な趣味一致ポイントで良いんですが、あれだけ慕っているのであれば、妹からダダ漏れる「お姉様大好き」感によって、国民からの姉への感情にも良い方に影響しそう……と、いろいろ違和感があったのですが。
    脱落の決定打は実はそこではなくて、
    《貴族階級の妹が尊敬する姉のことを「姉さん」と呼ぶ》
    ここがいけませんでした。
    貴族のご令嬢が!姉のことを呼ぶなら!「お姉様」じゃろがーーーい!!!(個人の趣味です)
    隣国の王子も聖女に対して言葉遣いが軽い。貴族階級描写には丁寧さであるとか格式であるとか、たとえ「なんちゃって貴族言葉」になってしまっていても作り手側にそういった意識があってほしいです。
    貴族という存在をカジュアルに扱いすぎな雰囲気で、自分には合わないと判断、脱落です。
  • 31番目のお妃様

    七輝翼/桃巴/山下ナナオ

    お妃選びシステムが理解できなかった(1巻
    ネタバレ
    2025年4月12日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 無料の1巻と立ち読み増量中の2巻頭とかの立ち読み部分を読みました。
    お妃が31人って、どうしてそんな状況になったのかな〜、って気になって読んでみたんですけど。……? 31人居るのはお妃じゃないね?あくまで候補だね?
    お妃選びのシステムがいまいち理解できなかったです。31番目の候補がそこまで敬遠されるのが理解できない……いくら会えるチャンスが少なくなるとは言え、必ず会えるんだから貧乏貴族とかには大チャンスなんじゃなかろうか。本当に「31番目のお妃」ならミソッカス扱いになるのが嫌なのはまあわかる、けどあくまで「候補」みたいだし……あれっでもやっぱり最初は「お妃」としか言ってないな、なんかいろいろどうなってんのと混乱です。選ぶ3ヶ月が終わってからもお妃教育のために複数(しかもお妃にはなれないと決まっている令嬢)を後宮にとどめておくとか、理解できない……。
    王様が「笑顔がないから」って候補を篩い落とすのもあんまり……そんなの割と訓練でどうにかなるだろうし、王妃の資質はそんなものではかれないのでは……?っていうか私がクールビューティー大好きなのがいかんのだろうか。
    お茶会シーンでの主人公が出す「薬草茶」についても、別のお妃候補が「東方の貴重なもの」だって言ってたり、低温で淹れるのがいいって設定で……もしかして玉露の緑茶のつもりで描いてるの?それだと薬草じゃないよ?
    王の横に並びたい、みたいなのも、「田舎娘がずいぶんとわきまえないことね?」と悪役令嬢ばりの感想が出てしまったので、合わないんだろうなと思います。
    たぶんこの先ボロボロ気になる所が出てきそうだなと感じたので、理屈屋は脱落です。
  • かわいいきみ~美人な幼馴染と平凡な僕~

    りゆま加奈/世迷い

    ナホが哀れではあるけど(5話まで)
    ネタバレ
    2025年4月12日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 素直でかわいそうなナホと、なんか執着してそうなカナ、という構図で、割と好きな組み合わせではあります。
    けど、ナホのキャラクターの描き方にモヤモヤが晴れずに脱落です。勘違いの痛々しさと気付きのしんどさが良かったので星3つ。

    モヤつくのは、ナホが素直でいい子なのは良いとして、あまりにも幼い描かれ方であること。高校生であの感じでは、なんらかの障碍を疑います。そして、基本的にいい子であるので、クラスでの扱いがなんか微妙……友達くらいいそうな気がするんですが。ナホを「かわいそう」な状態に持っていきたい作者の意図が強くて納得のいかない感じの描かれ方でした。
    あと、これは絵柄と趣味の都合なんですけど、ナホの見た目が外見的にかわいい……。確かにカナとかの派手な感じとは違うんだけど、黒目がちでちょっと小柄で、愛され系のかわいさがありません?読みながらナホが自分のことをかわいくないって言うたびに、「いやタイプが違うだけでかなりかわいいよ?」って心で励ましちゃった。
    そしてナホのあの勘違いは、小学校高学年や中学生の時に誰かから指摘される気がするし、指摘されていたら気付けた素直さがある……設定が中学生だったら良かったかもしれません。けどそれだとBLコンプラ的にエロに行けないからダメだったのかな。
  • 悪役令嬢たちは揺るがない【分冊版】

    赤羽にな/八月八/春野薫久

    ついて行きます、セラフィーナ様!
    ネタバレ
    2025年4月7日
    このレビューはネタバレを含みます▼ コミックは連載中ですが、原作小説(未読)は完結しているので安心して連載を追っています。
    舞台は乙女ゲームベースの異世界ものながら、主役たる「悪役令嬢」たち三人は転生者ではありません。
    三人のうちの最初の主役たるセラフィーナ様がめっちゃ好みです。この最初の話の描き方で、続きも追いかけることを決めました。
    悪役令嬢もののお約束として、王太子による婚約破棄があり、あれに対して「愚かにも程があるだろ」っていうストレスが(お約束だとわかってはいても)いつもあるんですが。そんなストレスを蹴散らしてくれる良エピソードで、すっきりしましたわ!高貴ですわ〜!
    貴族が貴族たる責務を意識しているという設定は大好物で、その中で自分の道を自分の足で歩いていく彼女達、最後まで見届けるのを楽しみにしています。
  • 偽りの悪女ですが末永く幸せになりましょう~お望みの”恋多き女”を演じているのに夫の様子がおかしい~ 分冊版

    大川なぎ/柊一葉

    脇役好きは主役カップルの従者にご注目あれ
    2025年4月7日
    この原作者さんの別作品が好きなので読んでみました。
    作画担当の方は初めてですが、演出が楽しくてスムーズに読めます。
    「全然演じられてねぇw」ってツッコミを入れつつも細かい部分はツッコミ入れずに楽しみたいラブコメ。主役カップルのそれぞれの従者もいいキャラで、ポンコツ気味な主人を支える姿に笑いと愛を感じます。
    あんまりドロドロ方面に進まずに、あっけらかんと楽しく走り切ってほしいな〜、と思いながら連載を追おうと思います。
  • 可愛い義妹が婚約破棄されたらしいので、今から「御礼」に参ります。

    桜井しおり/春先あみ

    なんかこういうの昔読んだ気がw(1巻のみ
    ネタバレ
    2025年4月7日
    このレビューはネタバレを含みます▼ これはギャグ漫画ということでよろしいんですのよね?
    ワイルドな設定、ワイルドな展開、ワイルドな握力、なんかこのワイルドさ、何十年か前の少女漫画で見た気がするw
    ノリについて行けさえすれば、楽しめるんじゃないかと思います。
    私は1巻で脱落しますが、浦島太郎が始まってしまうのかと思った婚約破棄シーン、颯爽と馬を呼んで成敗に乗り出す令嬢、あまりにもザコい王など、笑わせてもらいました。
    ワイルドさにツッコミ入れつつ楽しむスタイルのお話も、また一興ですわよね。
  • おじ転生~悪役令嬢の加齢なる生活~【単話】

    相葉キョウコ

    おいたわしすぎますわ……!(5話まで)
    ネタバレ
    2025年4月7日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ベテラン作家さんなので、読みやすさは文句なしです。
    しかし、1話目が、インパクトは大事とは思うものの、令嬢ものとして読むには少々お下品でしたわ……。笑うというよりも、クロエ様がおいたわしすぎてもう……。
    5話まで読んでみましたが、ちょっとBLっぽい笑いも絡めようとしているのかな、という気配も感じ、保留中。
    あと、一度不摂生で死んでる身体なわけで、あのままで大丈夫なのか心配でしょうがない……見た目の面白さのためにあのままなんでしょうか。悪役令嬢系は、個人的には令嬢の努力が何より大事ポイントなので、この作品でもまず「死なないためにダイエット」が来ると思ったんですが、完全スルーなので、自分の好みとは方向性が違うかな。
    けど随所笑えます。
  • マダムと理想のアンドロイド

    村崎ユカリ

    オタクの贅沢で楽しいお遊び
    2025年4月7日
    SF的な「アンドロイドと人のと交流」を期待して読んでみたら違ったw 1巻分くらい読みました。
    それぞれの人が作るそれぞれのアンドロイドのオムニバスで、個々のオタク的趣味が赤裸々なアンドロイドが誕生していきます。
    見どころは何よりも、各々がアンドロイド製作の際に差し出す「わたしの考えた最強(に自分の趣味を詰め込んだ)のキャラクター」の設定書。イタいw イターーーーーいwww だがその熱量がイイ!!
    この設定書を実用アンドロイドとするために店員さんが設定を一緒に詰めてくれるんですが、ああ〜このお仕事ものすごく楽しそう〜!ってうらやましくなりました。
    自分としては繰り返して読むタイプの話ではないので星は3つですが、楽しい作品です。
    あと、自分だったらどんなアンドロイドがいいかなぁ〜って、作れもしないのに考えちゃいますね!皆様はどんなアンドロイドを作りますか?私は地味目だけどふわっと笑顔がかわいいメイド(スカートはふくらはぎ丈)一択です!「奥様」って呼んでもらうんだ!
  • 甲子園の空に笑え!

    川原泉

    『銀のロマンティック…わはは』が最高
    ネタバレ
    2025年4月7日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 最高なのに、表題でもなく作品内容文にも入れてもらっていない……昔読んだことがあって探している方、川原泉のフィギュアスケート漫画『銀のロマンティック…わはは』はここに収録されていますよ!
    少年と少女の挫折と努力と銀色に輝きいつまでも消えない記憶……著者独特のシニカルさコミカルさと素直な部分がちょうどいい感じにまとまっている傑作です。飼い犬ポチの忠誠にも涙。
    6点満点制だった時代のフィギュアスケート、伊藤みどり選手のキレと高さのあるトリプルアクセル、明るい演技が大好きでした。一方、テレビの解説アナウンサーとかが「スタイルが〜」「もっと色気が〜」ってぐちぐち言ってたり、「芸術性が〜」ってしたり顔で言っててムカついていました。「芸術性は色恋や色気だけじゃないし、同じ日本人なんだから良いとこ応援せんかい!」って。
    そんなフラストレーションを全部晴らしてくれたこの作品。
    色気とかとは違う芸術性と高い技術力で世界と正々堂々と勝負する……いや、勝負と言うにはふさわしくないかもしれない、純粋な挑戦。そうなんだよ、スポーツってこうあってほしいんだ。
    現実との差でも涙を誘われるこの作品は、とても美しいと思います。
    〜〜〜〜〜
    表題作は野球漫画、これも良いです。後年、同主人公のプロ野球漫画『メイプル戦記』も描かれていますが、こちらの余韻が私は好き。
    もひとつ同録に『ゲートボール殺人事件』。これはゲートボールチームと極道との絡む、殺人事件コメディー。しかし、実際にゲートボールでの高齢者の暴力的諍いが多かったっていうのが恐ろしいですよねぇ〜……廃れて良かった。
  • メダリスト

    つるまいかだ

    フィギュア好きだったから辛い思いが蘇る
    ネタバレ
    2025年4月6日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 伊藤みどり選手のトリプルアクセルが大好きで、その後に現れた浅田真央選手を応援して、と、フィギュアスケートが好きでした。
    だからこの作品にも興味があって読んでみたし、でもだからこその辛さで読み進める勇気が出ません……。
    作品自体は、いのりちゃんと司先生、ダブル主人公って感じで(読んだ範囲は)、単純な主人公強くなってくストーリーとは一線を画す良さがあります。
    けど、あの頃のフィギュアスケートを見ていた身としては、いのりちゃんの努力が報われるかどうかが心配すぎて心臓に悪くて、きちんと読み進めるのが厳しい……。素晴らしい演技に対して「色気がどうの」って言うアナウンサー、審判の裁量で決まる謎の加点や減点、狙ったようなルール変更……採点競技のドス黒さが、いのりちゃんにのしかかってくるんじゃないかという恐怖がすごくて、テレビ画面の前で悔し涙を流した気持ちが蘇っちゃうという。
    入り込める作品だからこその感情の揺さぶられ方なので、あの時代にトラウマが無い方であれば、この熱量ある作品を追いかけるのはとても楽しいと思います。いいな。
  • 平和の国の島崎へ

    瀬下猛/濱田轟天

    無邪気さある主人公が良い(2巻既読)
    ネタバレ
    2025年4月6日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ハードな過去を持つ男の、ハートフルでハードな日々。
    無邪気さのある戦闘訓練されたキャラクターはとても切なさがあって良い。
    過去もちらちら見せてはくれているものの、それでどうやって生きてきて今日本に戻ってきているのか、という部分は2巻になっても明瞭につながった線が見えている状態ではありません。そういう部分がわかっている方が入り込めるタチなので、これから徐々に明らかになっていくのかもしれないけどペースが遅いな、と感じました。コロニーの位置付けとか公安の監視がどうなってるのかとかが気になる。特に監視人との関係性が……1話目でスマホの位置情報を提供してもらってるけどそんな要求が通るような関係なの?って気になりました。
    あとは初読みの作家さんなので、そういう部分をきっちり作り込んでから描くタイプなのかはたまた大雑把に決めてあるものを後から詰めていくタイプなのかがわからないのが不安材料です。様子見。
    キャラ背景をそこまで気にしなければ、個々のエピソードは臨場感あるアクションに味のある演出で、おもしろいと思います。
    特に印象深かったのは、1巻の3〜4話目。連合赤軍ベースのお話で、こういう決断をしちゃうところがほんと独善的で暴力的でいかんのよね、などとしみじみしました。
  • 愛すべき娘たち

    よしながふみ

    完成度的には星5つ
    ネタバレ
    2025年4月6日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 娘、母、祖母、3世代の「娘」たちのそれぞれが描かれ、完成度の高さは素晴らしいです。
    ただ、リアルすぎて、そのリアルさに気持ちが沈んでしまった。
    祖母のしたことが、ひどいと思うんですよね。祖母は、自分のコンプレックスを弱い立場である我が子に押し付けて自分の鬱憤を晴らしていたに過ぎない。これは、個人的に「親としてしてはならないこと」の筆頭にあたると思っています。けれども作中でこの祖母には何の罰も与えられない。孫に軽蔑もされず、人はそれぞれ弱さもあるって感じでただ許されてしまって、なんとなく平和にまとめられちゃうの。
    現実はこんなもんではあるんですよ。祖母に不当な扱いを受けた母、その母の娘は祖母に可愛がられて「お母さんは気の毒ではあったかもしれないけど自分に優しかったおばあちゃんは好きだし」ってなるの。自分の立場がこの母に近いから、せめてフィクションでくらいもう少し報われてほしいっていうか娘に味方してほしいっていうか祖母にバチ当たれっていうか……。
    この作者さん、他の作品でもそういう傾向があって、ご本人がおおらかで細かいことを気にしないでいられるタイプなんだろうなって推察します。
    描写が上手いだけに、そのおおらかさに「過ぎたことをいつまでも引きずるものじゃないよ?」「復讐は何も生み出さないよ?」って責められている気分になってしまって、読後感がとてもつらかったです。
  • BLゲームの主人公の弟であることに気がつきました

    加奈/花果唯/しヴぇ

    面白くはあるんだけど根本設定が微妙
    ネタバレ
    2025年4月6日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 見やすい絵柄だし、ストーリー展開も細かいところは捨て置いて気軽に読むには悪くない。
    ……んですけど、どうしても根本設定が……。
    BLゲームの世界への転生なので、周囲はBLワールドで主人公も見た目は男子。
    でも、主人公の中身はあくまで女子なんですよね……。
    表面的にはBLワールドが展開しているものの、内容は乙女ゲー状態になるわけで。どんな気持ちでこの作品を読めばいいのかわからないの……って、BL読みとしては微妙。
    そして主人公に対して、「気を確かに持て!BL民たるもの、女子の自分とのフラグは折って、周囲のBをLさせるのに総力を挙げるべきだろうが!」と、叱咤激励したくなっちゃいます……いやその思想の方が気が確かじゃないのはわかってる、わかってるんですけどね?

    推しは楓君です。
  • 鋼の錬金術師

    荒川弘

    華やか元気なゲーム系ファンタジー
    ネタバレ
    2025年4月6日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 本格ファンタジーと言えば『指輪物語』でしょ、というタイプなので、こちらの作品はちょっとゲーム寄りのライト寄りファンタジーであると認識しています。そういう立ち位置で読んで、かなり派手でワクワクする良い冒険少年漫画であったと思います。ダーク……とはよく言われていますが、錬金術という題材にダークさはあるものの、メンタル面にはあまり暗さを感じないので、個人的にはダークファンタジーの印象はありません。
    兄弟の関係性大好き人間として、二人の兄弟関係は非常によろしかったです。兄弟、かくありたし。
    物語的には少しおまけの星4つですが、キャラクターの趣味がちょっと合わないので星3つ。
    女性キャラがね、少し苦手なんですよ。みんななんというか物理的に強い。そういうキャラクターも好きではあるんですが、身体弱い人間としては、この作者さんの描く世界がなんかこういたたまれない……。
  • タコピーの原罪

    タイザン5

    どのキャラよりも、しずかちゃんが恐怖
    ネタバレ
    2025年4月6日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『ドラえもん』をベースにダーク展開させた作品。どんでん返しがあったり、2巻でまとめたのも成功していると思います。こういうオマージュ作品はダラっと続けると鮮度が落ちます。
    結末がどうにも苦手だったので、星の数は伸びませんでした。
    タコピーよりも何よりも、しずかちゃんが恐怖。
    こういうタイプ、居る……なんかいつも誰かに寄りかかるっていうか……他者を利用しても「自分は悪くない」っていうタイプ……。
    一応ハピエンってことにはなっていますが、しずかちゃんの根本は変わっていない。まりなちゃんに寄りかかっているに過ぎないように見えるわけで……。
    ((以下妄想))
    しずかちゃんって、なんかこの先、まりなちゃんに彼氏ができたとして、その彼氏を奪っていくような気がするんですよね。
    決してしずかちゃんが能動的に奪うのではなく、彼氏が心変わりするだけ、っていう感じで……でもそこで、まりなちゃんに申し訳ないしって口先では言うけど断固として拒否はせず付き合っちゃう感じで……。
    でもそれに対して、まりなちゃんがしずかちゃんに怒っても、「私は何もしてないよ?あっちが勝手に言い寄ってきただけ、何がいけないの?」って言うような……。
    いいようにまりなちゃんが利用される未来が見えるようで、まりなちゃん逃げて、全力で逃げて、って思ってる。
  • 雪と墨

    Marita

    BL畑の住人は注意
    ネタバレ
    2025年4月6日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 連載を追っててラストでド地雷を踏み抜いたBL民です。
    転生とかタイムトラベラーとか、ルールは矛盾の無いようによく考えられていました。
    それが自分の好みかと言うと、それは「ヒトの考えたルール」であり「自然に定まったもの」や「神の領域」とは違うな、と感じたため、あまり好みではありません。
    そしてラストが何より……
    連載当初はBLと分類されていた気がしますし、自分もブロマンスかなというつもりで読んでいました。そこにあのラストは「ナシ」です。
    性別とかいろいろ超えた絆みたいなものを期待して読んでいたのに、あれが作者さんにとっての最大のハピエンだったのかと思うと、それまでの展開とかも所詮味付けとしてのものに過ぎなかったのか……と。
  • イティハーサ

    水樹和佳子

    古代SFファンタジーの名作
    ネタバレ
    2025年4月5日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 名作って書いといてなぜ星4つなのかというと、主役カップルがあまり好きではないからです(良い子達ではあると思ってるけどちょっとイラっとするところがある)。
    その個人的趣味を横に置いて「名作」と言わしめるこの作品、読み放題で読めるので、ファンタジー好きは一度は読んでみてほしい。
    〜〜〜〜〜
    古代日本を舞台にしたSF要素混じりのファンタジー。一神教と多神教の関係も考えさせられる、日本的宗教観を見直せる作品。
    ラストに駆け足感はあるものの、作者さんの描きたいものは全部描けたのではないかと思います。
    「多様性」の本来の意味を保っているのは日本だけではないかと思っているので、「海外では〜」に踊らされずに日本的価値観を大事にしたい、そんな思いを強固にする……善と悪についてなどいろいろと考えながら読める、貴重な作品。
    ドラマチックな場面もたくさんあって、丁寧な描き込みでの素晴らしい仕上がりになっています。
    そんな中で、実は自分にとって最も印象的なのが、ラスト近くの、桂とかつて天音信徒だった女性とのやりとり。人の本質はなかなか変わらない、一神教に入れ込むタイプというのは常に拠り所を他者に求めるのだな、と、そら恐ろしく絶望的な気持ちにおそわれました。
    すっごい細かいことながら引っかかるのが、トオコとヨオコの名前で、あの漢字を当てると歴史的仮名遣い(つまり昔の発音)ではトホコとエウコになるはずだから音の共鳴はしないんじゃないかって部分。
    そんな私の推しは、断然、桂と青比古です。覚悟があって自制心があって他人のために動ける、凛とした二人。ぜひぜひ、この二人に注目の上、お読みください。
  • 君と宇宙を歩くために

    泥ノ田犬彦

    頑張ってる作品とは思うが自分はモヤついた
    ネタバレ
    2025年4月5日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 数話分読みました。
    ドロップアウト気味な子と変わり者な子の友情もの。
    少し時代設定が昔ではっきりとした言葉では出てきませんが、二人ともいわゆる発達障碍傾向が強めな子ですよね。かなりよく調べて描かれているのではないかと思います。
    発達障碍がよくわからないという人には気付きがあり、当事者にとってもいろいろ得るものがあるんじゃないかと思う作品です。
    ただ捻くれ者の自分としては、これを「感動する」とエンタメとして受け入れるのにはいささかモヤつくものがありました。読切とか1巻完結ならまだいいけれど、それ以上続けて読むのはちょっと。
    テレビ番組の『はじめてのおつかい』が激烈に苦手なタイプには……あかんかった。あれほどではないけど、これにも近しいものを感じてしまった。
    発達障碍が身近な場所にいる自分としては、この作品には居心地の悪さを感じますし、もし当事者が何かモヤっとするものを感じたら「大丈夫だよ、モヤついてもいいんだよ」と言いたいです……けっこう、自分が嫌だと感じているのに気付けずにストレス溜める、っていうパターンもあるのでね……。
  • 君には届かない。

    みか

    初期案の方が見たかった
    ネタバレ
    2025年4月5日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 2、3巻あたりまで読んで、長くなりすぎちゃって脱落です。
    繊細さのある幼馴染ものBL、なかなか良いと思います。自分があまり恋愛ものの長編を好まないだけです。
    で、こちらの作品、最初期の案ではヤマトが女子というのがあったらしいんですよね。
    ああ〜〜〜、どっちかってーとそっちが読みたかったぁ〜〜〜!
    背が高いことにちょっと引け目があって素直になれない女子とか、そういう乙女ゴコロ大好物なんですよね!
    しかしヤマトは男子になってしまったので、読みたかったけれど叶わぬ脳内作品としてここに供養します。
    いいね
    0件
  • 午後の光線

    南寝

    丁寧に描かれた作品(好みではなかった)
    ネタバレ
    2025年4月5日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 生と性と死とを丁寧に描いた作品だと思います。
    ただ、自分の趣味かというとそこは別問題。
    苦しい気持ちであるとか、思春期の不安定さとか、いろいろあるんですけれども……自分の感覚的に、なんか違う感がありました。そこでそっちに行くのか、という、同調できない部分があって入り込めませんでした。
    そしてラストに関しては、ここまで丁寧に描いて来たのに対して、あの終わり方は好みじゃなかったです。
    リアリティとかは横に置いておいて、作劇的に、確かにあれはエンドマークを付けやすいと思いますが、せっかくのそれまでの良い意味でのもやもや感を断ち切ってしまったようで、少しもったいなかった気がします。
  • ミステリと言う勿れ

    田村由美

    上から目線がキツい
    ネタバレ
    2025年4月5日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 同著者の『BASARA』が好きだったので読んでみたものの早々に脱落です。
    この作者さん、勢いあるストーリーやキャラクターは得意だと思うんですが、論理的っていう方向には強くないように思います。
    全体的に上から目線、「正しい」思想への誘導的演出……少し前から、キャラクターへのヨイショ的な雰囲気が目に余るようになっていましたが、今作はそれが更に強いです。
    こういうタイプのミステリー作品では、主人公無双ではなく、物事の多面性であるとかそういう方向を見たかったなと思います。
  • 悪役令嬢の中の人~断罪された転生者のため嘘つきヒロインに復讐いたします~ 【連載版】

    白梅ナズナ/まきぶろ/紫真依

    気高き復讐の令嬢……と悪辣ヒロイン
    ネタバレ
    2025年4月4日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 8冊無料読みだったので読みました。
    ずっと別の作品と内容を取り違えて認識していたせいで、こちらの作品を読んでいなかったのですが。
    なにこれ面白いーーー!
    ジャンルが「少女マンガ」ではありますが、内容の勢いは「少年マンガ」に近いかも。色恋が薄い、それがいい。『スケバン刑事』で育った身にジャストフィットしました。
    ゲーム世界への転生、ヒロインと悪役令嬢がどちらも転生者というパターン。
    ヒロイン転生者がこれでもかと悪辣、もはや顔芸と言っても過言ではない表情、ナンダコレw
    しかし、色モノ的な部分だけではなく、しっかりと中心にある精神性がとても良い。
    転生者であるエミと、本来の悪役令嬢である主人公の、交わることのない……けれどもお互いをこの上なく大切に思っている、その友情に胸熱です。
    もうすぐ完結らしく、まとめて読む日を楽しみにしています。
    ……しかし、本来のヒロインの魂は……どうなってるんでしょうね……気の毒です。
  • ごめんあそばせ、殿方様! ~100人のイケメンとのフラグはすべて折らせていただきます~ 【連載版】

    セロタ/マキムラK

    そこはかとなく納得いかない
    ネタバレ
    2025年4月4日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 無料読みで単行本1冊分くらい読みました。
    運命に抗う系は好きなので読んでみたのですが、なんかこう……そこはかとなく「違うな?」って感じが……。
    悪役令嬢に入れ込んでいる主人公がヒロインに転生、っていうのは良い。100人のフラグを折ってやる、っていう大げさな設定もコメディとして良い。でもね、フラグを折るために相手に嫌われようとするのはわかるけど、やっていることが「嫌われる」というよりも「相手を叩き潰す」方向性なのが、ちょっと自分の性格的に受け付けないものがありました。相手何も悪くないのに。その理不尽さを笑いに変えるところまでは到達していないように思います。
    嫌われるためにだったら、自分の見た目を悪くするとか、いろいろとあると思うんですよね。っていうか、この性格の中身では、100人も言い寄って来ない気がしないでもない。
    100人のフラグ、と大きく出ているのに、このペースでは100人なんて程遠い感じだし、1ページに1人のフラグを折っていくような勢いある笑い演出も、少なくとも読んだ中には見当たりませんでしたし……。
    悪役令嬢の魅力も、単行本1巻段階では全くわからなかったので、脱落です。
  • 黒狼王と白銀の贄姫

    白木苺/高岡未来/vient

    スムーズに読めなかった(1巻のみ既読)
    ネタバレ
    2025年4月4日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 1巻無料読みだったので読んでみました。
    言葉遣いにぎこちなさがあるのがまずちょっと。
    設定面にもなんかこういろいろと入り込めない……「蛮族」って言葉を使っているけど文化的な違いが見受けられないとか……。主人公の出生は、まあ本人は悪かないんですけど、王妃の妊娠中の不貞の子な訳で、そりゃ憎まれもするなって……。
    作画も難ありで、人物はきれいでも、空間を描くのはまだ不得手なもよう。王も揃っての家族の食卓シーン、食べ物はラフのようだしやけにテーブル狭いし……ちょっとびっくりしました。
    二人のロマンスだけを見れば大丈夫なのかもしれませんが、自分は細かいところが気になるタイプなので脱落。
  • ベル・プペーのスパダリ婚約~「好みじゃない」と言われた人形姫、我慢をやめたら皇子がデレデレになった。実に愛い!~(コミック)【分冊版】

    朝霧あさき/セレン

    絵はキレイ、内容は好みじゃない
    ネタバレ
    2025年4月4日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 無料読みで3冊、その続きもいくつか読みました。
    絵はとてもきらびやかで、ドレス好きにはなかなかの良さ。
    内容は、強い少女というのが好きなので読んでみたのですが、これ、強い「少女」とはいささか異なる。
    皇子もやけに女性っぽくて、単純に男女の見た目を逆にして描いているように見えました。
    あと、皇子のデレが早すぎる。
    強い女子が強い男子を籠絡していくさまを見られるのかな、と思っていたので、あまりの予想違いに脱落です。
    皇子……設定的には虐げられていたとか愛されてないとかになっているのであるから、毒殺もされかけてるわけで、もっと警戒心が欲しいし、父王からももっとひどい扱いを受けていると思ったのに案外普通に愛されてる感じでなんか齟齬のある印象でした。
  • 王太子に婚約破棄されたので、もうバカのふりはやめようと思います

    南乃映月/狭山ひびき/硝音あや

    「バカのふり」とは…?(1巻のみ既読)
    ネタバレ
    2025年4月4日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 無料になっていた1巻を読みました。
    「バカのふり」をするのって、相当利発じゃないとできないんですよね。なので、どうやって「バカのふり」をしていたのか、その頭脳戦みたいなところや、「バカのふり」している時と真の姿のギャップを見るのが楽しみでした。
    が、設定の齟齬が大きすぎる。
    王子の一言で「バカのふり」をすることになるのは良いんですけど、王子の仕事を代わりにやってたりそれを周囲の人間も知っているしなんなら頼りにしてるんですね。
    どうがんばっても「バカのふり」ができている状況では無い……。
    思わせぶりな王と王妃や一途な弟王子の先行きが気にはなるものの、理屈屋の自分は脱落しました。
  • 佐伯かよの作品集

    佐伯かよの

    昭和を懐かしむ短編集(1巻既読)
    2025年4月3日
    短編集。
    1巻『彩子』は192ページ3作品入り。
    ・『彩子』
    さえない子を略して「さいこ」と呼ばれる、コンプレックスだらけの主人公。個人的には、成績がめちゃ良いんだからそんなにオドオドしなくてもいいのに〜イヤな奴らなんか学力で殴っちゃえよ!って応援しちゃいますが。助けてくれる理絵がめちゃくちゃ良い子です。二人の友情が育っていけばいいな〜って思いながら読んでいたので、展開の方向性が少し好みからズレ、呆気なさがありました。あと光崎は乙女の敵なので許しません。
    ・『フライング メール』
    憧れていた従兄が元クラスメイトと結婚する……大ショックの主人公が飛行機事故に遭い、精神がそのクラスメイトの中に入ってしまったという話。徹底的な失恋がかわいそうなくらい。クラスメイトの気持ちも見たかったな。これが一番良かったです。
    ・『オン ザ ウェイ』
    新谷かおる原作。舞台はアメリカ、自動車メーカーの買収と非合法カーレースの話。昭和のワイルドなアクション漫画、楽しかったです。主人公が1話目に出てくる理絵ですが、話につながりはありませんでした。
    〜〜〜〜〜
    佐伯かよの作品、読み返したいほど好みではなくって星4に及ばないんですが、ついつい読みたくなって最後まで読んじゃうという点では星3以上に好き、という微妙なラインにある……今作も読めて良かったです。楽しめました。
  • 愛すべき私のけもの 【分冊版】

    ハルモト紺

    大丈夫かってくらい期待している
    2025年4月2日
    1話目無料読みかつ0円販売。
    お気に入りの作家さん、ファンタジーという好みのジャンル、以前描かれた中世オメガバース作品がめっちゃ気に入っていることもあり、期待値MAXで1話を読みました。
    きっちりと考えられている設定、見え隠れする伏線、そして描き込みが丁寧な絵。
    これは先行きが楽しみです!
    少し陰のある主人公、闇から生まれた魔物、戦争の傷がまだ癒えぬ村……薄暗さのある雰囲気の中、どんな秘密が隠れているのか、そしてどんな光を見せてくれるのか。
    「描かれていない部分」まで大切にする作者さんだと思っているので、ゆっくりとでも丁寧に物語を進めてほしいです。
    1年で単行本1冊分くらいのゆっくりめペースの連載、期待値が上がりすぎないよう、気を鎮めながら楽しみにお待ちしています。
    できることなら2〜3巻で完結するとありがたい……あまり長編が得意ではないもので……。

    連載開始から注目しているのに、3月24日に単行本1巻が出て4月2日現在レビューゼロという状況に思い余ってレビュー入れました。とりあえずみんな読んでみませんか。
  • 悪い夢のそのさき…

    うぐいす祥子

    寄せ集め、いえバラエティに富んだ(作者談
    2025年3月3日
    178ページ。短編集。
    表題作は、一応全5話のシリーズですが、キャラクターにもストーリーにも特につながりのない、ホラー読切集です。基本は荒唐無稽で笑いに到達する感じのホラーです。3話目の『彼女のスーツケース』は正統派ホラーでミステリーな感じで面白かったです。そして4話目の最後のセリフが、この作者さんらしいなって思って大好きです。
    〜〜〜以下同録作について〜〜〜
    『恋の亡霊』は元気にグロく、『囚われ人』は緊迫感あるバトル系で、いずれも主人公のその後が心配です。
    『同級生』と『旧友』はショート。いずれも不気味で良かったです。
    『死体と暮らすな子供たち』はゾンビもの。がんばる小さな姉弟がおそろしくもかわいくかわいそう。題名から同著者『闇夜に遊ぶな子供たち』の関連作かと思ったら全然関係なかった……『闇夜に〜』が大好きなんですが販売終了してしまって悲しい思いをしていましたが、2025年現在、完全版が電子化されており、ぜひぜひシーモアさんでも販売してほしいです。リクエストはしました。
  • 艮(うしとら)

    山岸凉子

    合わない部分もあるけどすごく好きな部分も
    ネタバレ
    2025年3月3日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 207ページ。
    ホラー3作+エッセイっぽい1作の、4作入り短編集。発表年は、2014〜2021年。
    〜〜〜〜〜
    ・『艮(うしとら)』表題作。およそ80ページの中篇。「インチキ霊能者」と、その担当編集者(こっちが主人公)の、鬼門にまつわる心霊話。心霊部分はおもしろいんですが、私はこの主人公が苦手……恩知らずって言うか、自分勝手って言うか……。
    ・『死神』看護師の語る、「お迎え」にまつわる話。
    ・『時計草』あの世に踏み込んだ様子の話。これが一番ホラーっぽくて良かった。
    ・『ドラゴンメイド』中世ヨーロッパの伝説(クードレット作『妖精メリュジーヌ伝説』)にまつわるエッセイ漫画。この伝説、日本昔話の「鶴女房」とかに通じる異類婚姻譚で、とても好きです。電子本もありますので、興味のある方は是非!その関連で、『ベリー公のいとも豪華なる時祷書』にもふれられており。この時祷書、ものすごく美しく本当に豪華で、NHKの日曜美術館で取り上げられたこともあるので、視聴の機会のある方は是非是非!
    〜〜〜〜〜
    この作者さん、捻くれ者にはどうも素直に受け入れられない部分が根幹にあります。いささか説教っぽい思想があるのに、表題作の主人公のような性格の人が善人寄りの描かれ方で出てくることが、どうにも自分の中でうまく消化できません。
    けど今まで読んだいくつかの中では好きな作品もあるので、自分好みを探してまだ読みます。電子化万歳。
  • ソムニア

    冥花すゐ

    「夢」と「現実」の対比が見たかった
    ネタバレ
    2025年3月2日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 189ページ。
    帯に「メリーバッドエンド」って明記されてて、「公式がそれ書いちゃってええんかいw」ってツッコミつつ買いました。だって近年のBL界隈でメリバは貴重。
    自分には設定がふわっとし過ぎで、ストーリーとしては星2つ……ですが、主人公の望みに応えるために先生が口にする冷淡な言葉が痛々しくて先生かわいそうでたいへん良かったので、総合星3つです。
    以下覚書。
    〜〜〜〜〜
    気になっていた作家さんの初読み。別作品を読むのを迷うくらい、理屈屋にとっては設定がふわふわでした。作中で「夢」が多用されているように、作品自体が夢マボロシであるかのごとくの描き方であればそれはそれで不気味で良いと思うのですが、悪夢や白昼夢と呼べるほどの歪さや精神性は感じ取れませんでした。個人的には、主人公サイドの「夢」感と、先生サイドの「現実」感の対比や齟齬が見たかったな、と思います。
    がっちり設定大好き民としては、とにかく「現実」側の設定が足りない。主人公の病気がどんなものなのかととか先生がしている裏稼業は何なのかとか主人公以外の診療所の患者はどうなってるのかとか。……特に診療所にいる人達の顔が描かれていないところに、主人公の病気に伴う記憶の阻害なんかが絡むのかな〜ってドキドキしつつ読んでたもので、おそらくただモブだから顔が描かれていないんだなって思うとしょんぼりでした。深読みし過ぎな自覚はあります。
  • 培養肉くん

    宮崎夏次系

    シュールっぽい雰囲気
    ネタバレ
    2025年3月1日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 両巻151ページ。
    ずっと気になってた作者さんなので読んでみました。
    SF的舞台での、雰囲気ある作品。
    自分には相性が良くなかったようで、どっぷり雰囲気に浸かれるような幻想も、いろいろ考えたくなる哲学も、受け取ることができませんでした。シュールな印象はあるものの、理屈を捨て切れていない、少しどっちつかずで作為ある感じ。
    なんとなくよくわからないまま進み、なんとなくよくわからないまま終わってしまいました。
    中立の星3つ。
  • グリムのような物語 トゥルーデおばさん

    諸星大二郎

    ちょっと自分の趣味とは違う
    ネタバレ
    2025年2月10日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 255ページ。
    グリムの「ような」とあるように、グリム童話から着想を得た、著者の創作した物語集。原話を深掘りしたタイプではありませんでした。
    『赤ずきん』と『ブレーメンの楽隊』は比較的原話の印象が強く残っている、原話のアレンジと呼べる作品だったと思います。『赤ずきん』が一番良かったです。
    〜〜〜〜〜
    お試しで購入した2冊のうちの2冊目。
    有名な作者さんですが、自分にはいまひとつしっくり来ない。どことなく、作品から「理由」が浮かび上がってこないと言うか……。ゾワっとする感覚やグッと掴まれる感覚などが得られないまま読み終えてしまいました。
    趣味の問題だとは思います、中立の星3つ。
  • 未来歳時記 バイオの黙示録

    諸星大二郎

    サイエンス要素は低い
    ネタバレ
    2025年2月10日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 244ページ。
    未来の混沌の様子を描いた連作。
    SF要素は薄く、あくまでホラーという感じ。
    この題材なら、もう少しサイエンスなフィクションを摂取したかったですが、そのあたりはふわっとしており物足りない。
    ベテラン作家さんですが機会がなく読んでいなかったので、お試しに購入した2冊のうちの1冊。
    心の奥に入り込むようなホラー感は得られませんでした。
    中立の星3つ。
  • gateau

    gateau編集部

    未単行本化作品発掘を目指して
    ネタバレ
    2025年1月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 読切作品など、単行本にならなかった作品目当てで22冊購入しました。//
    目当てのひとつは、2017年の1、2、4月号掲載、鈴苑『舌先の恋人』。3話で物語も一区切りついています。もう少し続きを描くか、読切を描けば、単行本にもなったろうになと思うと惜しい。クセ強めの色気ある絵柄で、怪しげな雰囲気が良かったです。霊とかも出てくるオカルト系、少年を守ってくれる「父親の友人」は何者なのか、謎めいた部分がもう少し明かされたら、妖怪もの好きの自分としてはより好みですが、BLとしてはこの3話でふんわりと雰囲気を楽しむのもアリ。//
    2017年の1〜3、6月号掲載、kayama『それでもきみを忘れられない』は、ブツ切りで4話目より後が止まっています。単行本発売予定もあったのに、なぜか最終回が描かれず。キレイではない、アクの強い性格の登場人物達がなかなか良かっただけに残念。//
    2017年10、12月、2018年2、4、6、9月号に、上原あり『りある≠げえむ√H』掲載。単行本が販売終了してしまって、こちらで読めて助かった。チャラくて自分をごまかしてる感じの主人公と、ゆめかわ系見た目のウブな男子。ふんわりBLファンタジーなんだけど、なんとなくこの作者さんのは好き。単行本で見たかったな〜。//
    2020年5〜7月号に、浅井西『いとこ、同士』掲載。血縁もの好きなので読みましたが、血縁ものの良さが出る前に連載が止まってしまいました。3話までの段階だと、子供をたらしこむやべー奴という状態です。そこからどう挽回していくか見たかったな。//
    りべるむ『投愛』の単行本の続き(7話以降)も載っており、2020年7月号には12話目が掲載されています。しかも作者コメントで「次で最後です」とありました……が、その「最後」は訪れないまま現在に至ります。
    〜〜〜〜〜
    22冊雑誌を読むというのは思った以上に大変でしたが、読んだことのない作家さんの作品もいろいろ見られて参考になりました。
  • かみさまの贖罪

    大塚素

    生きることを選ぶということ
    ネタバレ
    2025年1月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 1〜4巻194、5巻242ページ。
    親に敷かれたレール上を生きてきた空虚な主人公・空室、両親を目の前で殺されて復讐に生きる娘・松明。この二人を中心に、SNSを通じた人間模様が描かれた作品。
    慎重さのある作風で、善悪の押し付けや派手にしようとする感じがなく、無闇に色恋に持っていく方向性でもなく、私の好みでした。
    各キャラクター、それぞれに実在感があって良かったです。2巻から3巻にかけて描かれた、親との問題を抱えた少女二人のエピソードが一番好きで、それぞれの温度差だとかそれでも出会えて良かったねとか、ここに出てくる父親の描き方も良かったなと思います。
    そして、復讐は完遂されて然るべき派の私、松明を追う警察の二人には、もうやめて〜ほっといてやってくれよ〜って思いながらハラハラと読んでました。正直、松明には、「よくがんばったね、あなたが苦しむ必要なんて無いよ」って感想しかない。たとえ、彼女の両親を殺した男にどんな事情があったとしても。
    さて、作者さんによると、まだまだ描き足りなかったところも多いというこの作品。打ち切りということなんでしょうかね。
    確かに、ラストに唐突感があったり(そこらへんで星マイナス)(ただその展開にした意図はわかる気がするし作者さんの人間の描き方からすると自然でもある)、不足感は否めません。が、作者さんの満足するまでエピソードを描き続けたら不必要なまでに長くなりすぎる可能性もあり、作者さんの力の限りまとめたというこの作品は、これが最良の形であるようにも思えます。
  • 1月にはChristmas 初期読み切り集 11

    岩館真理子

    繊細な湧水のような少女漫画
    ネタバレ
    2025年1月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 205ページ。
    中篇2作入り。
    ずっと気になっていた作家さん、ようやくの初読みです。
    表題作、大島弓子作品を彷彿とさせる繊細さ。切ないクリスマスもので、なんかもう瑞希ちゃんがかわいそうで仕方がない。
    同録作品は、最後の最後でマイ地雷を踏み抜いてしまったのでノーコメです。
    精神世界にグイッと入り込む大島作品と比較すると、こちらの作家さんの方が現実世界な感じがあります。
    繊細で甘やかな昔の少女漫画、不幸要素がキレイな水のように描かれる、こういう少女感も良いよね、と思いました。
    自分の創作作品の趣味が幻想や哲学系メンタル寄りなので、再読したいかどうか基準の星の数が伸びませんでした。
  • 萩埜まこと短編集 どこかの星のふたり

    萩埜まこと

    感覚が合わなくて納得がいかなかった
    ネタバレ
    2025年1月27日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 235ページ。
    5作入り短編集。
    日常からSFファンタジーまで、いろんな話。
    設定にもキャラクターにも感覚が合わずに、全体的に納得がいかない。内容に没頭はできませんでした。いささか話作りに自己満足感が強い気がします。
    モヤモヤが強くて読み返すのがつらいので、自己基準に従って厳しめの星2つ。
    特に個人的アウトだったのは巻頭作『窓辺のリノア』。話の本筋は割と好きな方向性ですが、主人公と会話をしている猫の設定が中途半端。会話しているので、主人公に不思議な力があるのかな、とか、ファンタジー方向に行くのかな、とか思いながら読んでいたのですが、全然そこには触れられずに終わってしまいました。著者作品解説によると、初期設定の名残りとのこと……こういうのを残してしまうのも、それを解説で屈託なく書けてしまうのも、物語作りの姿勢として自分には合わないなと思いました。
    この巻頭作、猫の設定を初期設定寄りに修正して、同一タイトルで連載化したようです。
  • 加持祈祷うけたまわりマス

    佐野絵里子

    オカルト事件解決話、マイ趣味からはズレた
    ネタバレ
    2025年1月26日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 219ページ。
    表題シリーズ3話と複数の番外編(ショート)、表題シリーズと関係があるのかないのか不明瞭な短篇(猫もの)、耳なし芳一のアレンジ、ささやかな探偵っぽいシリーズ2話。
    時代ものを描いてらして気になっていた作家さん、お試しに読みました。昭和後期から平成初期の時代感。
    表題の高校生神主シリーズ、設定的に好みなので楽しみに読んだのですが、方向性の趣味が一致しませんでした。オカルト系の話は、「向こう側」の様子を見るのが好きなのですが、この作者さんの描き方だとその気配が感じられません。陰陽師の不思議な力みたいなのは出てくるのですが、描かれているのは「こちら側」の様子だけという印象です。
    また、探偵っぽいシリーズの主役二人を表題シリーズの脇役として改変の上流用しているのが、自分の好みの作劇方法ではありませんでした。
    趣味が合わないせいか、キャラクターの性格も、芯がつかめずに魅力を感じられませんでした。
  • 龍行旅

    AKRU

    台湾人作家による東洋妖怪もの、面白かった
    2025年1月25日
    297ページ。
    龍や妖怪の登場する台湾ファンタジー。個人誌発表作を集めた読切連作。内容説明文と試し読みで、兄弟が主役というのに後押しされて買いました。兄弟いいよね、兄弟。
    兄弟の、辻芸人として各地を巡る龍探しの旅、その先々での妖怪話。悪い妖怪を倒したり、土地神様と交流したり、人情に複雑な思いを感じたり、各話それぞれ楽しかったです。人喰い妖怪がフツウに出てきて、2話目なんかも最後はほのぼのでまとまってるんですけど考えてみたらそいつ人喰ってんじゃん良いの?ってなる、日本とはいささか異なるワイルドさ。それもまた良し。
    特に気に入っているのが4話目の『薬行者』で、弟主役の、薬師の少女と少し旅路を共にする番外編っぽい話で、どこがどう良いのか説明できないんですが、なんとなく好きだなぁって思う話です。
    巻末描き下ろしが7ページながら、兄弟の関係がわかる話で、単行本におまけとして入れるにふさわしい良い話でした。
    商業連載というわけではないため、龍を探す旅という大きな枠組みに関しての理由や行く末に、はっきりとした道は見えません。このシリーズ自体もまだ作者さんが描くつもりがあるようで、完結もしていません。そのあたりの不安定さがいささか気にはなりますが、一つ一つの話は面白く、この1冊でも満足の仕上がりです。ちょっとおまけの星5つ。
    いつか次の巻が発表されたら嬉しいな。
    〜〜〜〜〜
    今まで中国人韓国人作家さんの作品をそれとは知らずに読んだことがあるのですが、キャラクターの性格だったり倫理感だったりに違和感があって日本人作家でないことを知る……というパターンに懲り、基本的に外国人作家さんの作品は避けています。
    今回、試し読みはすごく自分の好みっぽいけど台湾人作家さんということで、めっちゃくちゃおそるおそる読んだのですが、そういった違和感におそわれること無く読めて安心しました。良かった。
  • 太陽と月人

    飯田晴子

    理屈屋にはついていけなかった
    ネタバレ
    2025年1月23日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 183ページ。
    転生もの好きなので読んでみました。が、これは読むのが大変でした。理屈屋には「?」がずっと脳内に浮かび続けてしまって、作品のテーマであろう「魂」にまで思考が及びませんでした。
    時空を超えた生まれ変わりというのは良いにしろ、過去の同一性も無いパラレル的要素も見受けられたり、うまく時間と人物が噛み合いませんでした。
    キャラの性格も漠然としていて実在感が薄い。
    個人的には、慎重派の主人公が医学部に入って新歓コンパで急性アルコール中毒、っていうくだりが一番冷めました。
    太陽の成長後の姿も、あれだけ兄に大事にされて育ってたのに強カン未遂するようなのになるっていうのが違和感すごかった。
  • あらあらかしこ

    波津彬子

    入れ子構造の不思議話、最高です
    2025年1月23日
    各巻約200ページ。
    明治末から大正時代!書生!!不思議話!!!そして猫……!私の好きな波津彬子全部盛りって感じです。「雨柳堂」の新規供給がない今、これはたいへんありがたい。
    小説家のもとに、誰かから届く不思議な話の書かれた手紙、その内容に呼応するような書生の身の回りでの出来事、という入れ子構造の読切連作。更に大きな流れとして、書生のいわくが徐々に明かされていきます。
    読後感がほわっとするので、スキマ時間にお茶を一服の気持ちで読めるのも良い。
    特にお気に入りの話は、第六話『嫁入り狐』(1巻収録)。いろいろと笑った。あと、第十話『新茶』(2巻収録)。ふわっとお茶の香りに包まれるようで気持ちが良かったです。
    小説家・高村先生が、自作の小説の幻想譚より新聞小説を褒められて不満気だったので、「私は絶対に幻想譚を推します!」って言って差し上げたいw(漱石は断然『夢十夜』派)
    イチ推しキャラは、高村先生に見合い話を持ってくる伯母様。こういうキリっとした頭固そうなキャラ、この作者さんが描くと味わい深くてよろしいです。
    〜〜〜〜〜
    実際に日常的に和装をなさっているので、和装の描き方が自然で素晴らしいんですよね。そして実際に猫を飼ってらっしゃるので猫のかわいらしさが素晴らしいんですよね。櫨染さん(さん付けしなければならない気がする)最高です。
  • 箱庭綺談

    雪路凹子

    耽美ファンタジーにギャグを添えて
    ネタバレ
    2025年1月22日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 1巻286ページ。
    寄宿舎を舞台にした群像劇。BLジャンルではありますが、ラブメインではない、主役交代型の連作です。
    著者作品としてはシリアス分量が多めなので、私好みです。思考にも真剣さがあって良い。……でもちょいちょいギャグテイストは入る。個人的には、耽美は耽美で突っ走って欲しい……耽美さを嗤って見てる人をもいつの間にか耽美世界に引き摺り込んで欲しい派なので、星5つに届きません。
    けどこれはかなり良い!
    半ズボンにリボンタイ、ソックガーター、トドメにパフスリーブの制服。いわくありの少年達。「七宝国」というファンタジーな世界観。そして寄宿舎。寄宿舎ですわよ。
    各話タイトルに内容を表す四字熟語が配されており、それもまた厨二ゴコロをくすぐられますね!難しいのでググりました!
    まだ連載は続いていますが、連作形式なので1巻だけの購入でも続きが気になるタイプのもどかしさはありません。興味を持った方はぜひどうぞ。
    1巻では第五話の『不易流行』がスパッとしていて好きです。
    〜〜〜〜〜
    「でも少し…この風…泣いてます」って言いたくなった人は私と握手!
  • 高橋留美子傑作集 金の力

    高橋留美子

    安定感と昭和感の枯れたオジサン短編集
    ネタバレ
    2025年1月18日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 210ページ。
    ビッグコミックオリジナルで年1掲載される短篇を集めた6作入り。すでに超大御所なのにこうして短篇を発表してくれるのは、短篇好きとして嬉しいところ。
    往年の勢いは無いかもしれませんが、ものすごい安定感といい感じに転がる巻き込まれ話、そこはかとない昭和感、やっぱり読みたくなります。
    〜〜〜〜〜
    ・『ふたりの家』舅と同居する男やもめ。家事代行サービスの若い女性が与える生活の潤いと、バカバカしくもささやかな妄想。星4つ。
    ・『きみはNo.1』年寄りの愚痴やらなんやらを聞く「デトックスサービス」に勤める男の巻き込まれるちょっとした騒動。このサービス、大変そう〜。星4つ。
    ・『嫌なランナー』銀行勤務の男の前に現れる、小さな走るおじさんの姿。銀行がらみの事件と、ちょっと不思議な話。
    ・『昔の女』マスク姿で現れる謎の女の霊。掘り返される過去の出来事と熟年夫婦の危機と。コロナ禍中の作品だからマスク。
    ・『Sに捧ぐ』亡くなった同級生に預けられた指輪。「S」っていったい誰なんだろね?という話。この同級生、彼女取ったり歌手になったりコワイ人に追いかけられてたりととんでもないんだけども、そんなのでもどこか憎みきれないという主人公の人の好さよ。星4つ。
    ・『金の力』定年後、犬の散歩を機に会えたかつての憧れの女優、とその旦那。旦那に巻き込まれてのひと騒動。元女優がさっぱり強くて好き。
    〜〜〜〜〜
    高橋留美子(偉大すぎるので敬称略)は天才だと思うんですよ。
    ときたま耳にする「少年マンガ描きの女性作家は男性名にしないと」とか「実際に経験しないといいものは描けない」とか、そういうのに全く目をくれずにすべて蹴散らす圧倒的なチカラ、とにかく描き続ける圧倒的な体力、イメージとしてはコース上にあるハードルを全く気にせず(あることにも気付かず)ただ進んで行く巨人です。
    これこそが天才だと思うんですよね。
  • あかちゃんのドレイ。

    大久保ヒロミ

    ハードな育児に笑いとほっこり
    ネタバレ
    2025年1月16日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 各巻120ページ前後、5巻のみちょい増量139ページ。
    わかる、わかるよ、ってなる育児漫画。猫飼いが猫の下僕であるように、母はあかちゃんのドレイとなるのですw
    全6巻で、第一子妊娠から第二子誕生までが描かれています。
    過ぎしあの頃を思い出しつつ、笑いながら読みました。ハードさを深刻にしすぎず、あたたかさを感動的にしすぎず、育児エッセイ漫画として等身大な感じに好感が持てます。ほんとこんな感じだった。
    夫ピロキにちょっとイラッとしつつも、相性の良いご夫婦なんだろうな〜って思える、安心して読める作品でした。
    あとですね、真面目な話としては、この作者さんの子供に対する接し方がけっこう見習うものがあると思うんですよね。子供を自分の付属物としない、対等さのある感覚をお持ちな気がします。そこ、大事ですよね。
    2025年1月現在、読み放題に入ってます。
  • 女房、きつね仕立て

    四ノ原目黒

    「狐女房」とは異なる方向性の昔話。良い!
    2025年1月15日
    195ページ。
    表題作3話で本の半分くらい、そこに読切3作とオマケを収録した作品集。
    表題作、タイトルおよびジャンル(少女マンガ・恋愛)で、てっきり異種婚姻譚かと思いきや、違ってました。助けた子狐との男同士の友情話で、そこに、狐側の「仲間を殿様に狩られた恨み」だったり、主人公の幼なじみの少女のかわいげだったりが絡み、とても良かったです。星5つ。
    〜〜〜〜〜
    ・『よわむしのシゴト』異世界ファンタジー。森のヌシの生贄にされた少女と、ヌシの中にある世界。楽園を築く話。少しメッセージ性が強い。
    ・『キュッキュ』洋風現代。犬を拾った女の子。犬と女の子が流れ星に願ったのは……?確かにハートウォーミングな話なんだけど、展開が思ってたんと違う方向に行っておもしろかった。星5つ。
    ・『ブチの家』現代日本。おばあちゃんの家、その飼い猫、そして飼い猫のテリトリーに入ってきた男の子(孫)。猫対男子のやりとりが楽しく、まとめ方もほど良い。星4つ。この作品の4コマが、描き下ろしオマケとして付いてます。
    〜〜〜〜〜
    明るくて、ちょっと笑えて、ふわっとハートウォーミング。あとがきに、いくつかキャラ名の由来があるんですが、その雑なセンスが好みですw
    「恋愛」ジャンルではなく「ヒューマンドラマ」ジャンルだと思うので、そういうのがお好きな方はご一読を。
    ヒューマンドラマ自体は好きだけど、あまり演出とかが大仰なのは好きじゃない……という方に特に向いています。
  • パリのクロッシェレース ドイリー:アンティークを知る、つくる、使う

    福島明子

    かぎ針編み経験者でアンティーク好きな方に
    2025年1月13日
    131ページ。
    「知る、つくる、使う」とあるように、「つくる」だけの実用手芸本ではなく、レースの歴史とか著者のパリエピソード読みものや、実際に使用した写真などが収録された、総合本です。
    その中でも「つくる」の分量は多く、40点の編み図が掲載されているというのは、なかなかお得な気がします。アンティークレースのデザインは、現在のものとはまた違った雰囲気があり、それが40点も実際に編めるというのは素晴らしいです。そこは星5つ。あれもこれも編んじゃうぞ〜!
    〜〜〜〜〜
    注意点は以下。「多くの編み物本にある、編み方の基礎は載っていない」「使用糸、使用編み針も載っていない(サイズは書いてあるがあくまでアンティークレース実物のサイズである)」「表紙のドイリーの内、上から2番目と3番目の編み図は載っていない……ってかクロッシェレースではなくボビンレース(立ち読みで見られる中扉の繊細なレースもクロッシェではなく、別の技法。もちろん編み図は載ってない)」
    ……と、上記注意点をまとめると、編物実用本としては中途半端(材料や基礎を載せていない)、また、実際に作れるのは確かに「クロッシェレース」ではあるものの、読み物や表紙にクロッシェ以外のものを載せているので、タイトルに違和感があります。なぜわざわざタイトルに「クロッシェ」を入れてしまったのか……。そのあたりで星マイナスですが、編み図の掲載されているドイリーはステキデザインが多く、アンティーク好きでレース編み好きには満足度の高い一冊になると思います。
    〜〜〜〜〜
    で、さっそく96ページ掲載のオーバルのものを編んでみたんですが。奥付けに「一部の作り方は編みやすいように翻訳しています」との注意書があるように、実物と編み図にズレがあります。最終段の編み方は「間違い」に近いと思います(実物写真見て編み方変えました)。また、よく見ると本体部分ネット編みの増やし方も実物と異なります。ドイリー説明で「幻のオーバル」「美しいオーバル」と形を大絶賛されているにも関わらず、その形に影響を及ぼす部分を編みやすさのために変えてしまうとは……全体写真もドイリー単独ではなく中心部が隠れているため、写真をよく見て実物に近付けるのも厳しい(私にはできない)……ある意味読者にとっても「幻」のオーバルドイリーです。
    けどオーバルの編み図は珍しく、出来上がりもかわいく、おすすめです。
  • 好きな模様で編むかごバッグ

    Ronique[ロニーク]

    自分好みのかごトートが作れちゃう
    2025年1月10日
    底の部分5種、持ち手6種に、本体のための模様編み100種が収録されていて、自分好みのかごトートが編めます。こういう本は、どういうのを作ろうかと組み合わせを考えている時間が夢いっぱいで楽しいですね!
    底や持ち手は立ち読みで見られますので、どういうタイプがあるのか確認してから購入なさると良いと思います。
    基本的にはサイズ調整などを自分でやりたいという意欲のある中級者向きだと思いますが、アレンジバッグとして11種類(トート以外もある)、そのまま編み方が載っているものも収録されています。
    本の中で紹介されている材料は、かの有名なエコアンダリヤですが、本物のラフィアで編んだらさぞ高級感あるものができるだろうな〜……などと妄想しつつ、私はそこまで本格ではないダルマのギマで編んでます。
  • 天使の化石

    亀井高秀

    世紀末に描かれた懐かしの傍流少女マンガ
    ネタバレ
    2025年1月6日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 219ページ。
    1995〜1997年に描かれた6作入り短編集。
    BLジャンルになっていますが、少女マンガです。主人公が女子じゃなくて恋愛メインじゃないあの頃のあの感じ。全部の話に何らかの形で死が絡み、ちょっと描き方にカッコつけ感がある。
    要素的には好きなんですが、ググッと来るもの、心に残るものがもう一歩でした。でも悪くないです。
    〜〜〜〜〜
    ・『天国の門』近未来SF、博士の残した研究をめぐっての攻防と、博士とその娘との不器用な感情。これが一番良かったです。
    ・『水底の声』事故で両親を亡くし、親戚に引き取られた主人公。残された者の感情や、出会った同年代との少年と共に向かった「死」と選択。主人公に同調できなかったけど、なかなか良い。
    ・『Kiss of Death』男子高校生、謎の殺し屋に出会い少し日常を見直す話。
    ・『夏の天上』年子の兄弟、身体の弱い兄とそのせいで放置気味だった弟。
    ・『長い夜が明けるまで』妻を亡くした探偵と押しかけ女子高生。
    ・『天使の化石』未来のSF、アンドロイドと、逃亡する姉弟。SF設定好きとしてはもう少しアンドロイドの設定を詳しく見せてほしかった。
  • 涙子さまの言う通り

    山本ルンルン

    美酒のごとき毒に酔うレトロサスペンス
    2025年1月6日
    1巻209、2巻207ページ。
    キュートでポップな作風に特徴のある作者さん。私はその中にある純度の高いイノセントな毒っ気が好みな訳ですが、今作はその毒分量が非常に高い闇系です。待ってた!
    昭和初期の日本が舞台、怪しい犬神系宗教の教祖である美少女・涙子と、その周辺で起きる事件、その事件を追う若い警察官・沢渡の物語。
    レトロな雰囲気、番犬の居る洋館、ほんのり漂う百合、その他諸々いちいち好みでたいへんよろしいです。
    そして、一番気に入っているのが、主役二人のキャラクター設定。涙子がサイコパス感あるのはもちろん良いんですが、それに相対する沢渡が、涙子の「同類」であるところが素晴らしい。正反対の立場にありながら根底に同じものも流れている、そういう関係性良いよねぇ〜〜〜!
    あと、なんてったって「なみだこ」という名前が良い。「さくらこ」とか「みどりこ」とかの「子」が付く4音名って、すごくお嬢様感あってすごく好きです。
    権力が絡む物語そのものも面白く、時代設定がなんちゃってではなくガッチリ年が特定できるので、この先どう展開するのか、第二次大戦が絡むのか、気になるところです。
    〜〜〜〜〜
    不定期連載なので刊行ペースが遅めですが、2巻が10話まで収録で、現在14話まで進んでおり、今年中には3巻が出て完結するんじゃないかとふんで購入。続きが気になる〜!
    (連載中につきレビューは適宜変更)
    2月に最終話が雑誌に載り、3月には3巻発売予定だそうですよ!楽しみです。
  • キューティーバディー

    大久保ヒロミ

    これからって感じの著者デビュー単行本
    2025年1月4日
    202ページ。
    表題作が半分くらい、それに読切3作入り。
    著者の初単行本だそうです。
    読切3作はいずれも、笑い多めながらかわいげのある恋愛もの。星評価はこの読切3つに。
    表題作のチアリーディングものが、チア部分はそれなりに楽しめたのですが、やたらとHがどうのっていう話が絡んできてイヤだな(個人の趣味として)って思ってたら……当時(2000年代初頭)の掲載誌の特集テーマのせいでした(あとがきによると)。
    まだまだこれからって感じの、初々しい作品集でした。
    2025年1月現在、読み放題に入ってます。
  • 人は見た目が100パーセント

    大久保ヒロミ

    すっきり笑える女子モドキの美容
    ネタバレ
    2025年1月4日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 1巻150、2巻117、3巻148、4巻130、5巻122ページ。
    4巻でいったん連載は完結しており、5巻はドラマ化に伴う追加連載分です。
    女子モドキ三人組の奮闘が楽しい。それぞれ見た目のタイプが違うだけでなく世代も違うという設定が良かったと思います。いろんな立場からの発言がとてもおもしろかったです。
    自分も女子モドキの自覚があるので、彼女達三人の言ってることに思い当たる節が多すぎて……わかる、わかるよ!おしゃれはしたいけどよくわからないし、出来れば楽してキレイになりたいんだよね〜(でもこの「楽して」という根性がダメなんだよね〜)!それでも実際に行動してる分、私よりは確実に女子力高くがんばってて偉い。
    美容やファッションは移り変わりが激しいので、情報自体はちょっと古いんですが、女子のキレイになりたいメンタルは普遍なので、作品の面白さに影響はありません。2巻に「シャツイン」を取り上げた回があり、3巻のあとがきで作者さんが「前だけイン」について触れられてるんですが……シャツイン回が面白かったので、連載時期の関係で叶わぬことながら、前だけインの回も見たかったな〜きっとすごく笑えるだろうな〜、と、それだけが惜しいと思っています。
    基本、1話1テーマの読切形式ですが、3巻から4巻にかけての大きな流れの展開も良くて、やっぱりこの三人は三人一緒だから良いんだよね……!と、しみじみするなどしました。
    で、特筆したいのが、総務のおしゃれ女子達。女子モドキからすると眩しすぎるほどかわいい彼女達、漫画ではそういう立ち位置のキャラクターってけっこう主役相手にマウントとってくるようなのが多い気がするんですが、この彼女達は単純に努力家のおしゃれ好き女子で、主役三人組のおしゃれに対して、素直に「かわいい!」って声がけしてくれるんですよ。良い子達なんですよ。
    気持ち良く楽しめる女子モドキあるある、2025年1月現在読み放題にも入っているので、女子モドキの皆様、ぜひご一読ください。
    〜〜〜〜〜
    最後にアラフィフの私が、一つだけ三人組に言いたいことがある。
    白髪は抜いちゃダメ……ダメなんだ……!
  • Shattered

    山本青々

    ただそこにある「業」
    2025年1月2日
    170ページ。
    野田(教師)と三谷(生徒)。救いは求めていない、理解も必要ない、そこにあるのは「業」である。
    野田の内側から湧き上がる緋赤の熱、三谷の蒼炎の眼差し、とても良かったです。
    それぞれの性癖は、それぞれの過去によって強化されてはいるものの、それは「理由」ではないな、と感じさせ、二人が出会ってしまったことも、その生まれつきの「業」を増幅させこそすれ、そこに美しい「意味」を見出せるものではない……。
    この作者さん、前作でもそうなんですけど、嗜虐性を描くのが上手いですね。私は「ただそこにある怪異」タイプのオカルトものが好きなんですが、この作品にはそれに通ずるものを感じます。
  • 小さな紳士と山の化け物

    ぬら次郎

    キャラが光るほのぼの王道恋物語
    2025年1月1日
    1巻165、2巻159、3巻141ページ。
    フルカラー。作中に「ありきたりな物語」とあるように、奇をてらわない、ほのぼのとした恋物語。それぞれの山にいる神様の設定には少し悲しくなっちゃう部分もありますが、基本的に王道ほのぼの(ライバル有り)です。
    こういう作品は、キャラクターが好みに合うかどうかが大きいと思います。私の好みには合いました。
    小柄ながらも紳士な猫、大きな化け物とはいえ心は可愛らしい乙女なお嬢さん、お嬢さんのためにがんばる猫紳士がステキです。ライバルキャラの火山の王も男前でした。
    また、フルカラーを活かした演出も良かったです。
    本編終了時は、素直にかわいく星4つかな、と思ったのですが、続く特別編2本がとても良い締め括りになっており、これは4つでは不当だなと思いまして、ちょっぴりおまけの星5つです。
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  • 犬火の兄弟

    吉田真百合

    どうしようもなく違って哀しいほどに同じ
    2024年12月31日
    281ページ。
    山の犬神の代替わりに端を発する物語。山を追い出されたノジ(人間)とイノ(犬)、過分な権利と迫害により変容していくノジがおぞましく、それでも隣にいようとするイノの純真が切ない。
    二人の種族と心、どうしようもなく違って哀しいほどに同じ。決して誰かが悪かったとは思えないやりきれなさ。
    どうがんばっても埋められない違いがある、それでも大事な相手を大事にしたまま、二人が歩んで行く道の選択……最初から最後までザクザクと胸に刺さる感情、そして結末まで、素晴らしいです。
    〜〜〜〜〜
    作中の癒しは、カツ兄さん(犬)とタキ(人間)の夫婦。平和な異種婚姻譚と、カツ兄さんの男前さに和みます。
  • 少女支配

    筒井いつき

    潔癖さのある百合感が好み
    2024年12月18日
    1巻209、2巻191ページ。
    4人の少女と、殺人と、恋愛と。
    この作者さんの描く百合感がけっこう好きで、これも百合描写は良かったです。潔癖な感じと触れ合いたい気持ちと、ちょっとダークサイドなメンタルが良い。
    殺人の絡んだサスペンス部分が軽すぎて、そこのハラハラ感は薄く、ちょっと鑑賞の妨げになった……計画的殺人無しの、4人の少女の群像描写だけの方が、自分の好みだったかもしれません。4人とも、なかなかの少女っぽさで良かったです。
    その一方、出てくる男性キャラがもう、軒並みばっちい!
    少女を食い物にする男どもで、もうほんと、ペッペッてしてから手を洗いたいばっちさ。
    そんな感じで、良いところばっちいところ相殺って感じになってしまって星の数が少なめですが、他作品ももっと読みたいなって思う作者さんです。
  • 太郎は水になりたかった

    大橋裕之

    中学時代の、妄想を混ぜた日常
    2024年12月16日
    1巻179、2巻162、3巻229ページ。
    中学時代って一番厄介ですよね。そんな厄介な時期を、日常と憧れと少しのファンタジーと妄想で描いた作品。中学生男子のちょっとキモチワルイところにリアルさがあります。
    かなり面白かったんですが、そのキモチワルイところが、かつて中学生女子であった自分にわずかな恐怖心を引き起こして落ち着かない分、星の数が上がりませんでした。ごめん。
    けどそこを含めての良作だと思います。
    太郎とヤスシの、ちょっと上手くいかないこともあるけど確かに繋がった友情も、いいなって。
    ……翼の生えた細井くんに関しては……誰か、誰か彼に事実を教えてあげて、という気持ちと、内緒にしておいてあげたい気持ちとのせめぎ合いで、答が出ません。
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  • ハルタオルタ

    ハルタ編集部

    セール時に購入できればお試しとして良い
    2024年12月14日
    899ページ。
    41篇入り、ハルタ作家陣による読切集。
    森薫さんの影響が強く出ている作者さんが散見される印象です。絵とか演出とか。
    〜〜〜〜〜
    以下、星4以上作品感想。
    ・山本ルンルン『魅惑のタピオカミルクティー』(10p) タピオカミルクティー屋の2階に隠されたひみつ。タピちゃんがかわいくないようなかわいいような。軽いホラー味があって良かったです。
    ・吉田真百合『愛の焦土』(24p) 画家のゴッホとその弟テオをモチーフにした、宇宙人の兄弟の話。個性ある絵柄に激しい感情がザクザク刺してくる、素晴らしい。星5。こちらは単行本『ライカの星』に収録されています。
    ・四方田千紘『浴槽のシンデレラ』(16p) 浴槽の上に浮かぶ謎の片足。クセの強い絵柄でかなり好き。ドロっとした雰囲気があって、もう一歩メンタルに踏み込みが欲しい感じはあるけどなかなか良かったです。おまけの星4。
    ・氷堂リョージ『捨て丸さま』(24p) 汚部屋のOLと神様の断捨離コメディー。自分に思い当たるところがありすぎて、OLと一緒に叱られてる気持ちになりつつ楽しく読みました。オチもスッキリ。
    〜〜〜〜〜
    あと、右野マコさんが、珍しくシリアス路線の一般作品を描いています。好きな作家さんで、話のアイディアも良かったと思うんですが、演出が足りなくて惜しかった……BL以外、こういうのも描く意欲があるのならぜひどんどん挑戦してほしいし、良い編集さんに会えて構成力がアップしたらもっとワクワクする作品を見せてくれるんじゃないかなって期待。
  • 完本 みちくさ日記

    道草晴子

    生きるのが下手な「私達」へのエール
    2024年12月13日
    403ページ。
    『みちくさ日記』と『よりみち日記』、それに出版が頓挫した『よりみち日記 2』をすべてまとめた、エッセイコミック。
    中学生の頃に統合失調症と診断され、長い入院生活を送った著者。入院生活のこと、退院してからの生活のこと、漫画への思い、いろいろ詰まった記録です。
    著者は本当によくがんばっていて、その困難の中からこの作品を世に送り出したことは敬意に値すると思います。
    何よりおそろしい困難は、統合失調症が誤診だったということで、そもそもは発達障碍があっただけなようなんですよね……。
    『みちくさ日記』のレビューにもちょっと書きましたが、親の存在感がとても薄い。よくその状況を生きてきたと思います。
    ずっと苦しい思いを抱えて、その中でも楽しみを見出し、誰を恨むこともなく、人に「幸あれ」と願える。
    この果てなくやさしいひとに、幸あれと思いを込めて。
  • フランチャイズ! つくだ☆マジカル

    小田扉

    出オチに非ず、ぜひ最後まで!2巻だし!
    2024年12月12日
    1巻233、2巻217ページ。
    出オチ漫画かと思いきや、コミカルな中にも泣かされちゃったりする人情コメディー。さすが小田扉作品。少し変わってるけど本質を突いたところがあったり、つながりが無さそうなところがさりげなくつながっていくのがピタゴラ装置感があったりして、好きな作者さんです。
    元(現役?)魔法少女のボナンザ、その彼女が経営するコンビニ(?)にバイトで入ったあつみちゃん、工場の従業員は魔物だったり、「どうなってんの?」って設定なんですが、それぞれの生き様が描かれていくのを見守る内に、けっこうきっちり回収されていきます。特に、犬(?)のキラリンがあの姿になったエピソード(2巻収録)、あれを涙なくして読める人が居るであろうか、いや居ない。あつみちゃんに忘却魔法が効かなかった理由も、なんとなくそういう体質だったのかな〜って流して読んでたのにめちゃくちゃきれいに回収されていて感動すら覚えました。
    笑ったり泣いたりしながら、「魔王」とは何だったのかって考えたり、魔法世界の運営のひどさにドン引きしたり、たいへんに面白かったです。
    回想でのボナンザ戦闘シーンもなんか好きw ボナンザ〜、ステッキ、ステッキ〜!
    小田扉作品中、最も好きになりました。そして角煮まんが食べたいです……。
  • ピチカートの眠る森

    幸村アルト

    エリソン、君は星5つでは足りない
    2024年12月12日
    無料マラソン企画に乗って、1巻を読みました。
    ファンタジックでヨーロッパ、背後に流れている音楽、とても少女漫画らしくてかわいらしい。
    そして、根本的に恋愛に興味が薄いため(シュラが女の子だったら友情ファンタジーでもっと好みなのにと思ってしまうレベルに)、主役二人を差し置いて、完全に妖精のハリネズミのエリソンにハートを鷲掴みにされてしまいました。
    エリソン、素晴らしい……!幸運を招くハリネズミのその姿、「紳士的」が口癖であるその紳士たるべく努力する精神性、もうその一挙手一投足が素敵……!しかも、家の初代持ち主であるシャルルとの親交もあったもようで、チェスの話とかもうどんな時間を過ごしていたのかって妄想が止まらないじゃない!?エリソンとシャルルの話が見たい、見たいぃぃ〜〜〜(ジタバタ)!!続きを追いかけていたら、番外編とかで見られるの?見せてくれるよね??
    ……と、完全に間違った方向に舵を切ってしまいました。
    1巻巻末の番外編、ある日のエリソン氏の様子とシャルルとの厚い友情が垣間見られて最高でした。
    それはそれとして、主人公は好感度が高く、主人公と母親との関係に胸を痛めつつ、この素直な少女に幸あれ……と、エリソン達の隣の妖精ポジションから願わずにはいられない。
    今後が気になりつつ、まだ連載中につき中立の星3つ。
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  • 雲一族と泥ガール

    三月えみ

    作者買い、チグハグ感が否めなかった
    ネタバレ
    2024年12月11日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 1、2巻171、3巻195ページ。
    好きな作家さん、クリィミーマミのスピンオフ作品やBL作品も良いので読んでみました。
    が、打ち切りとか以前に、どうしてこれで連載になっちゃったんだろう……という印象でした。2巻に収録されている読切『あねごころ』が連載になるはずが二転三転してこうなったとのこと……あれでは地味すぎると判断されたのでしょうか。ちょっと迷走した気がします。変更に変更が重なると、綻びが出やすくなると思うんですよね……。セレブ世界に飛び込む設定をメインに据えるのならば、思い切っておおもとにある大家族要素を切った方が良かった。
    接ぎ木をモチーフにした家族の話、それ自体は良いと思うんですが、やっぱりあくまで養子という立場である主人公があそこまで強気なのがちょっと。血縁も無いセレブ一家のもとにあの勢いで居座れるって、なかなかに図太い……主人公のがんばりが浮いてしまって、入り込めませんでした。なんだかんだ言って、血縁というのはそう軽視できるものでは無いと思います。ってか、法的にはどうなってんだろう……正式な養子であったらそれなりに権利があるはずで七海家も放り出すことはしないと思うし、養子としての籍を入れてないのならそれは養父である金一郎が悪いよねぇ……。
    ラストをまとめるためではあるだろうけど、七海家側のキャラクターがブレてる感じもあり、そもそも主人公の養親がどちらもセレブ出身というのも無理があったなぁって気がします。理屈屋にはツッコミどころが多く、もったいない感じでした。いろいろとモヤモヤが多くて、厳しめの星2つ。
    また別の場所で、一般作描いて欲しいです。人情ものの連作なんか向いてると思っています。
  • かわいそうなミーナ

    やまじえびね

    中篇2作、ヨーロッパの時代感が良い
    ネタバレ
    2024年12月11日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 215ページ。
    中篇2作入り。
    近代ヨーロッパの雰囲気が良かったです。
    絵はかなり良いのですが、キャラクターの描き方に、刺さるものがもうひとつ足りないな、という感じでした。相性ですね。
    〜〜〜〜〜
    表題作は、若くして亡くなった薄幸の少女ミーナの話。ピクニックに笑顔になり、青年との出会いに頬を染め、小さなルビーの指輪にときめく、かわいい少女。天国への道に迷ってしまって、はからずも人に害を及ぼす存在になってしまうのがかわいそう。で、途中から話の視点が、ミーナの初恋の男性とその友人達の方に移ってしまって、「さまよえる霊にどう対処するか」という方向に行ってしまったんですね。私の趣味としては、視点を移さずミーナのままで、さまよえる霊そのもののさみしさだったり無邪気さだったりを描いてくれた方が良かったです。
    同録は『みずうみ』。シュトルム原作。不勉強にして原作を読んでいないのですが、こちらを読む限りでは、幼馴染の二人が現実を生きる上ですれ違ってしまう切なさが、なかなか良かったです。けどこちらも、もう一歩心の奥に踏み込んでほしかった印象。
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