鳴かぬ蛍は青に焦がれる
」のレビュー

鳴かぬ蛍は青に焦がれる

仁嶋中道

ちょっと惜しい

ネタバレ
2024年12月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 受けの腕にある痣を起点としてお話が展開していくわけですが、現実でも自分が気にしていなかったことでも勝手に他人からかわいそうって哀れまれたりコンプレックス扱いされ続けたりすると、自分の中でも段々そちらが真実みたいに思える様になってしまうんですよね。受けのそばに攻めが居てくれて良かった。攻めにとっては気にするべくもない何でもないことなので、愛しそうにその部分に触れる描写に受けと一緒にぐっときてしまったな。
本作は受けの彼女がたくさん出てきてお話に絡んできますが、受けとの性的接触は一切ないのでこれ系苦手な方も安心して読めるかと思います。ただこういう、途中で心変わりするタイプの作品はそこまでの感情の動きの描写が重要になってくるのに、この作品は受けが彼女と別れてすぐ攻めが好き!になるのでちょっと納得しづらかったかも。受けが流されて好きでもない人と付き合っていたということなら納得できる流れなのですが、そういうわけでもなさそうな、でもそこまで彼女に想いが強くあったわけでもなさそうな、判別しにくい描写だったのがもやもやするかなぁ。
そんで受けにとって攻めが大事な存在であることは表現されているのにそれが恋愛感情になる流れが急に雑というか、個人的には別に無理して同じ気持ちの「好き」にまとめなくても良かったかな……と思っちゃったな。実際受けも作中でそう言ってはいるけど、そこからのお話の展開全然ずっと「攻めが好き!」って感じですからね!笑 題材への向き合い方やラストがとても良かっただけに、そこだけちょっと残念だったかも。
修正は白短冊。本番なしの抜きあいまでです。
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