ブルーマンデイ スペクター【合冊版(シーモア限定描き下ろし付)】
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ブルーマンデイ スペクター【合冊版(シーモア限定描き下ろし付)】

瀧本羊子

パブリックスクール•ファンタジー

ネタバレ
2024年12月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 良家の子息の通うパブリックスクールで寄宿舎生活を送るルカは移民の母を持つために壮絶なイジメを受けています。たった一人•同室で監督生のイアンだけがいつもルカを庇ってくれるのですが、ルカは自分のせいでイアンにとばっちりが行ってはいけないとイアンにも塩な対応をしているのでした。ある日、ルカは学院の下働きのヤニスさんから旧図書館の鍵を渡されます。そこなら誰も来ないので1人でゆっくりできると言われて訪れてみると、昼間なのにナイチンゲールが囀りながらルカを薔薇の咲き乱れる部屋へと誘います。そこには卒業生だと言うオリバーがいました。オリバーは自分もはぐれ者だから二人でこの場所を共有しようと言います。不思議に気の合うオリバーと楽しい時間を過ごしたルカは、それからは消灯時間後に部屋を抜け出して旧図書館のオリバーの下を訪れるようになります。心配した同室のイアンがこっそりと尾行してみると、ルカは廃墟の中で真っ黒な影と話しているのでした。ゴシックかつオカルティックな設定にワクワクします。タイトルのスペクターはおそらく亡霊(spectre/specter)のことと思われます。憂鬱な月曜日に出逢った亡霊が、ルカの閉じられた小さな苦しい世界の扉を叩き壊し、未来を見通す視野と信じられる身近な存在に気づかせてくれます。エモさに全振りでエロ無しのファンタジーです。ヤニスさんがとってもハグリッドでした。
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