愛だというには切なくて
」のレビュー

愛だというには切なくて

中原一也/奈良千春

二つの別れ…ターニングポイントとなる巻

ネタバレ
2024年12月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ シリーズ4作目。3作目までにも社会の裏・底・闇みたいなものを見せつけられ悩まされてきましたが、ここへ来てとうとう…人の死に直面して動揺を隠しきれません。今まで読んできた先生の作品とはちょっと味付けが違う気がしました。ただ、人の死を見せられることにより現実感が出たのは確かで…死の瞬間に失うものは命や魂だけでなく、積み重ねるはずだった未来も思い出も、やり直せたはずの人間関係も、何もかもを奪うことだと突きつけられた気がして呆然としました。
そして(先生はシリーズの当初から考えていたそうですが)双葉の旅立ち。二つの重大な別れがあることからも、この作品がシリーズのターニングポイントかもしれないと考えます。本来は良いことであるはずの卒業や旅立ちが、これ程に切なく寂しいなんて思ってもいませんでした。私も坂下と同様に、分かっていても辛かったです。それでも双葉のことは乗り越えられるでしょうね…でも、次は?と考えると続きを読むのが怖くなりました。
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