愛に終わりはないけれど
」のレビュー

愛に終わりはないけれど

中原一也/奈良千春

深まる闇に呑まれまいと苦しいターンが続く

ネタバレ
2024年12月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ シリーズ5作目。遂に斑目の過去…人生観を変えた心の傷が明らかになります。そして因縁の相手との再会、それらと並行して起こる犯罪絡みの事件。斑目にとってハードなターンであるのは間違いなく、という事は坂下にとっても同等かそれ以上に苦しいに違いなくて、特に美濃島関係は、事が事だけに解決策はないのが辛いなと思いました。誰にとっても当たり前だけど、時に受け入れたくない事実「過去と他人は変えられない。変えられるのは未来と自分だけ」という言葉が重くのしかかってくるようでした。
前巻までに人の死や社会の闇に踏み込んだ内容を見せられましたけど、まだまだ闇は広がりを見せてきます。今回は、一時期リアルでも問題視されていた貧困ビジネスについてでした。普通に生活している人からしたら、慈善団体のような組織に裏切られるなんて思いもしないし、そんなやり方がまかり通るなんて驚きと恐怖でしかない気がしました。
ラストは、斑目と久住の会話を聞いてしまい、双葉に続いて斑目の旅立ちの予感に怯える坂下のシーンがあります。背中を押してやらなければいけないと分かっていても出来ないジレンマを抱える姿が痛々しかったです。二人がどのような結論(未来)を見つけるのか、最終巻が気になります。
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