ライオンハーツ【単行本版】
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ライオンハーツ【単行本版】

三田織

刃のようなトドメのひとこと

ネタバレ
2024年12月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ ちょっと調べれば同性愛なんて古くから存在しているとわかるのに、なぜ犯罪を犯したわけでもなしに当事者をあざ笑い日陰に追いやろうとする風潮があるのか……言葉にできなくてずっと歯痒かったのですが、それはわたしが白い目で見る側ではなく見られる側に問題があるという前提で物事を考えていたからなんだ…と、この作品を読んで気付かされました。
日頃我慢している人がささいなきっかけで突然爆発し怒りを露わにするように、親から当たり前に期待され“普通“の道から外れることを恐れていたしーちゃんだからこそあんなひやかしのような他人のひとことがトドメのように刺さって抜けなくなってしまったのだろう。
わりかし柔軟に育てられたレオとは違い、白い目を向けられる自分がおかしいのだと自分を戒めた結果、“普通“の人たちと同じように残酷にレオを突き放してしまうあの場面は辛かった…
漫画の表現力ってすごいですね、ボロボロ泣けるし読んでいてほんとに胃の辺りがキュッて反応するのだから。
(手作りクッキーで釣ろうとしたくせにいらんことしたそばかすの女の子、多分しーちゃんに相手にされなかった腹いせもあるよね?そういうところだぞ)
ずっと好きだった人とのはじめてのお泊り。その直前にいらん囁きを耳にしちゃったしーちゃんもしんどかっただろうけれど、レオも相当キツかったと思うよ。ウキウキお泊りがダメになるだけでもありえないくらい残念なのに拒絶なんか追加された日にゃあレオみたいに感性豊かな子はなかなか立ち直れませんよ……受容れてもらえて良かったね。

こういった啓蒙的作品が存在するから「白い目で見る方がおかしい!」と思い直し指摘できる世の中になってきたんだと思います。
メッセージしっかりと受け取りましたよ、三田先生。
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