何それ愛かよ【単行本版】
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何それ愛かよ【単行本版】

ろじ

愛だの恋だの言葉で縛られない関係

ネタバレ
2024年12月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 『青と碧』のスピンオフ。前回作品で二人をサポートしたサブキャラ、葉山青と山村碧の高校の同級生•吉田宇臣と、翠の大学の友人で青の職場の先輩•飯田あたるのお話です。転勤族の両親と離れて祖母と生活していた吉田は高校卒業後、祖母の花屋を継いでいます。そこに碧に連れられて飯田がやって来ます。お互いに本心を見せずに丁々発止と鋭い言葉を投げ合う吉田と飯田は抜群の相性を見せますが、碧いわく「本音で話さなくても本音をむしり取っていく」二人は相手を気に入りながら自分を曝け出せずにグルグルと回遊するのでした。吉田が花屋経営のコンサルを飯田に依頼したことから二人は相手に近づくと共に自分を形作ってきた過去を振り返ります。前作同様エロなしで、それが恋なのか愛なのかわからないけど隣に居て欲しい、生涯かけて一緒に考えようというスタンスがとてもカッコ良いです。ピシピシと言葉を投げ合うやりとりに置いてきぼりを食わされそうになるだけに、描き下ろしの吉田の涙にグッときました。恋や愛やの言葉やジャンル分けに振り回されず、いわゆるケンカップルとも一線を画す二人のお話は、既読の方ももう一度『青と碧』から読み直すことをお勧めします。八重歯の煌めく吉田と切れ長の瞳が凛々しい飯田の組み合わせは眼福でした。
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