ボーイミーツマリア
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ボーイミーツマリア

PEYO

少年は一目惚れを貫く

ネタバレ
2024年12月31日
このレビューはネタバレを含みます▼ 幼い頃に見たTVのヒーローに憧れる広沢大河は、その夢を果たすべく高校入学と同時に一直線に演劇部を目指します。そこでダンスチームと踊る美しいマリアという女子部員に一目惚れします。同じ新入生ながら金髪と長いまつ毛で一際目立つマリアを追いかけて、大河は熱い想いを吐露しますが、マリアこと有馬優は自分は男だと言って証拠(!)を確認させると、「お前みたいな物事の表面だけしか見れないようなヤツは薄っぺらい演技しかできない」と冷たく言い放つのでした。単純で一直線な大河は有馬の言葉も素直に受け止め、有馬を傷つけてしまったことを申し訳なく思います。小学生の時に両親の不仲や母親の病気と死を経験した大河は、大切な人を守るヒーローに憧れつつ、あらゆることを深く見ない•関わらないようにしてきたのでした。謝罪する大河に、有馬はもっと演技力を身につけて自分を説得するように言います。有馬もまた、女の子を望む母親に育てられて性別というアイデンティティの不安定さに苦しんでいるのでした。少年漫画を読んでいるような感覚が新鮮です。大河と有馬の二人とその背景、さらに大河の親友•お人好しのテツに大人な福丸、さらに怪しげな見た目の顧問が加わりストーリーが進行してゆきます。DKならではのわちゃっとした空気、幼さの残るピュアさ、そして一生懸命さが爽快でした。エロなしですが読み応えがあります。
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