正反対な君と僕
」のレビュー

正反対な君と僕

阿賀沢紅茶

人間の心の機微を絶妙に描いた傑作

ネタバレ
2025年1月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ とにかく、老若男女問わずに読んでほしい素晴らしい作品。本当に大好きで、何度も読み返してます。青春ラブコメとか、不器用だけどまっすぐな若者たちを描いた群像劇とか、色々とほめ方はあると思うのですが、一番すごいのは、この気持ち何て言ったらいいのかな、というすごく微妙なところを上手に言語化してくれる作者様の才能です。と言って、登場人物たちが長々と説教たれたりとか、そんなことは全然なく、話の流れで自然に読ませてくれて「あーその気持ちわかる!」とか、「そうそう、まさにそんな感じ、よくぞうまく説明してくれた!」という気持ちになります。登場人物は色々とこじらせている子たちもいるのですが、基本的にはみんなまっすぐで一生懸命生きていて、うまくいかないこともたくさんありますが、意地悪したり、誰かに悪意を向けて楽しんだり、とかそういうのは全然なく、ストレスフリーで読めます。鈴木&谷のカップルもキュンキュンして、かわいいし、全然正反対じゃないじゃん、超お似合いじゃん!と思わせてくれるのですが、一番すごいのは平&東ですね。美男美女なのに、自分を全然大事にしないでろくでもない人々とばかり付き合ってきた東と、自分に自信が持てず、みんなから陰口たたかれたり悪口言われたりしている気がいつもしている被害妄想気味の平。すごくめんどくさいというか、こじらせているのですが、この二人が鈴木や谷やその他のメンバーと一緒に学校生活を過ごす中で、そして何よりも二人同士で色々話し合って楽しい時間を共有することで、二人がそれぞれすごく成長していき、最後(最終回より一個前のエピソード)の卒業シーンで感動的なやりとりをすることになります。本当によかったなータイラズマ!と最後泣きました。ここまで持ってくる作者様、本当にすごいです。唯一無二のキャラクター造形、人間関係描写、他の漫画では絶対に見られないと思います。ほかにも一見チャラそうだけれども、裏表がなく、真面目で誠実な山田とものすごく引っ込み思案で人見知り激しい西との組み合わせも素敵だし、そのお友達(本ちゃん、佐藤やナベなどなど)もみんな個性たっぷりで、現実に存在するんじゃないかと思うぐらいキャラがしっかりしています。おばさんの私も感動しましたが、若い子にも、もっと年配の方も楽しめる素晴らしい作品と思います。何なら中学で道徳の教科書にしてほしいぐらい(笑)。太鼓判です。
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