波うららかに、めおと日和
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波うららかに、めおと日和

西香はち

戦争に翻弄される夫婦の幸せ祈って

ネタバレ
2025年1月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ 新郎に一度も会わずに祝言。そのハレの日に新郎不在。軍事政権下になりつつある昭和11年がこの作品の舞台です。
そんな緊迫した環境ですが、主人公の瀧昌となつ美が不器用ながらも夫婦になっていく過程が、本当にかわいくてほっこりします。一時の逢瀬が来ることを双方で楽しみにしている様子が、読んでいるこちらもウキウキしてしまう。
なつ美と瀧昌を見ていると、夫婦なのに甘酸っぱい気持ちになります。
反面、瀧昌は海軍なので緊迫した軍事状況に振り回される部分もあり、ハラハラドキドキします。
旦那様がいつ出航して帰宅するかわからない中で家庭を守り、いずれは子を育てて行かなければならない環境って、不安だろうし大変なんだと思うと同時に、この2人は会えない時間が互いを思い愛、労りと信頼の夫婦の絆が深まるんだなとも感じます。
昭和11年以降日中戦争や真珠湾攻撃など戦争激化していくので、瀧昌が無事になつ美の元に帰ってくることを私も毎回祈って読みたいです。
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