箱庭の熱帯魚
」のレビュー

箱庭の熱帯魚

Luria

箱庭の外で笑う人

ネタバレ
2025年1月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ 努力家で篤実なサラリーマンの乾さん×風俗店の男娼キャストのホワイトさん。源氏名オペックホワイトさん、日本人らしいです。マジかよ。
Luria先生の作品を読ませていただくのはこれで二作目なのですが、こんなに読みやすかったっけ!?となりました。難しい内容ではないというのもあるかもしれませんが、すらすら頭に入ってきて面白くて読む手が止まらなかったのでびっくりしました。これは、乾さんとホワイトさん、今作の主役お二人の性格が、素直で誠実な性格であることも由来しているかもしれません。内面描写に難しいところがなく、拗れたりもしていないし、共感もしやすい。ちょっと設定は特殊ですが、恋のお話としては結構王道だと思います。気持ちに気づいて、受け入れてもらえるか不安になりながらも、勇気を出して一歩踏み出すお話。
心に残ったシーンは、羽ばたく鳥の中で笑うホワイトさんを乾さんの視点で見るシーンです。自由の中で輝くホワイトさんの笑顔を見て、読者は乾さんに自分の心情を重ねてしまうんですよね。なんて美しくて愛おしいんだろう、と思いました。例えとしてちょっとアレかもしれませんが、ギャルゲーのスチルです。Luria先生の作品は、他だとまだ君純しか読んでいないのですが、君純を読んだ時にも似たようなことを感じたのを覚えています。読み手にエモーショナルを焼き付けるワンシーンを描くのが上手すぎる。
乾さんがかなり好きです。真面目だし、正直だし、言ってることは甘くて綺麗事だと思われるかもしれないけど、こういう人が報われるべき人で、正しいと言われる世界であるべきだと思います。最初から最後まで尊敬できて信頼できる人でした。素晴らしい。ホワイトさんの、実は情が深くて心優しいところもすごく素敵でした。大人びているかと思えば世間知らずで無邪気で、芯が強そうに見えて脆くて弱りやすい、ギャップも魅力的。良いお話に良いキャラクター、出会えて良かった作品です。
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