アノマリーライフ
」のレビュー

アノマリーライフ

日高ショーコ

相手のために動くことで変わる2つの世界線

ネタバレ
2025年1月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 起こるかもしれない未来の見える空木晶と起こってしまった過去の見える深海蛍とは、「見える」僧侶の曽祖父をルーツを持つ従兄弟同士です。小さな時から負の残留思念(恨みを残す幽霊)に苦しめられてきた蛍は、晶に会うと見えていたものが全て消えてしまうことから晶のことが大好きです。けれども17歳の時に蛍とのキスを予知した晶は、驚いて蛍を避けるようになったのでした。そして10年後、蛍は晶に危険が迫っていることを予知し、なんとか回避しようと動き始めます。10年の空白を越えて相手を救わんと、過去の見える蛍と未来の見える晶が、それぞれの時間差を行き来します。次々と時間と場所が切り替わるスリリングなサスペンスが展開しますが、現実の二人が顔を合わせることはありません。そして言葉にはしないもののお互い知りすぎるほど知っている、相手への想いと無条件の信頼とが鮮やかに浮かび上がってきます。さすがのキャラ、さすがの演出、さすがのクライマックスで最後までワクワクが止まらず一気に読了しました。結末を知ってじっくりと読む二読目も楽しめます。
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