夕陽が落ちても一緒にいるよ
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夕陽が落ちても一緒にいるよ

中原一也/ミドリノエバ

割れたビスケットのカケラ

ネタバレ
2025年1月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 冒頭の酔っ払って帰ってくる父親。そんな父親のことが大嫌いなのに、気遣うかのような仕草を見せ、毛布をかける自分、、刺激して、これ以上殴られるのを避けたいという描写。アキは毒親の元生まれ育ちながらも、立派に介護の仕事をやり遂げていて、懸命に生きています。そんな中、今度は出て行った兄が金の無心をするようになり、攻めも受けも追い詰められていきます。煮付けBLというものを知らず、作家買いでした。作者さまのSNSでも、煮付けBLです!と大々的に宣伝されていたのでとても熱の入った作品制作となったのではないかと思います。全体的な流れは悪くなかったと思うのですが…この先生は殺人事件とか刑事物も得意な先生ですから、この作品もミステリーにしてしまったほうが、面白かったんじゃないかな…と思います。攻めは昔自分の父親を殺したんじゃないか…と思いながらも追求できず、新たな事件が起こる。。舞台は万全だと思うんですけど、犯人は攻めなので、刑事物ではなく、あくまで現代文学として描きたかったんだろうな〜というのはわかるんですがね。結局父親、兄をどうやって殺したのかハッキリとした描写は出てこないのでそこが気になってしまいました。解決編欲しかったです。今回はそれ以外のところがメインなんで、仕方ないんだけども、攻めが刑期満了して出てきた後の2人の暮らしとか、その後みたいなのもないので、かなりモヤつきます!!つ、つづきで幸せな2人をくれーーー!!!!それか、2人殺したけど、完全犯罪で罪を立証されず、ダークサイドに落ちてもそれでもなお覚悟と意志を持って生きていく2人みたいなんであって欲しかった。反社な攻めでもない限り無理か。でも、受けを一人ぼっちにしないでほしかった。攻めからの手紙が泣けます。10年間一度も接見できず、返事がなかったことも。スーパー攻め様とかじゃない、等身大の攻めなんだろうな、これが。読む時期を選びそうな作品です。個人的には妙に現実的なところはあまり…なので、最後には何もかも解決して幸せな2人というのが見たかった。これだって一つの幸せには違いありませんが、受けがまた苦労しそうなのがなんとも…。BLはファンタジーでいいと思ってるので、結構世の中のシビアな面見せつけられちゃった感じ。心に余裕のある時に読みたい本ですね。
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