あらあらかしこ
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あらあらかしこ

波津彬子

入れ子構造の不思議話、最高です

2025年1月23日
各巻約200ページ。
明治末から大正時代!書生!!不思議話!!!そして猫……!私の好きな波津彬子全部盛りって感じです。「雨柳堂」の新規供給がない今、これはたいへんありがたい。
小説家のもとに、誰かから届く不思議な話の書かれた手紙、その内容に呼応するような書生の身の回りでの出来事、という入れ子構造の読切連作。更に大きな流れとして、書生のいわくが徐々に明かされていきます。
読後感がほわっとするので、スキマ時間にお茶を一服の気持ちで読めるのも良い。
特にお気に入りの話は、第六話『嫁入り狐』(1巻収録)。いろいろと笑った。あと、第十話『新茶』(2巻収録)。ふわっとお茶の香りに包まれるようで気持ちが良かったです。
小説家・高村先生が、自作の小説の幻想譚より新聞小説を褒められて不満気だったので、「私は絶対に幻想譚を推します!」って言って差し上げたいw(漱石は断然『夢十夜』派)
イチ推しキャラは、高村先生に見合い話を持ってくる伯母様。こういうキリっとした頭固そうなキャラ、この作者さんが描くと味わい深くてよろしいです。
〜〜〜〜〜
実際に日常的に和装をなさっているので、和装の描き方が自然で素晴らしいんですよね。そして実際に猫を飼ってらっしゃるので猫のかわいらしさが素晴らしいんですよね。櫨染さん(さん付けしなければならない気がする)最高です。
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