龍行旅
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龍行旅

AKRU

台湾人作家による東洋妖怪もの、面白かった

2025年1月25日
297ページ。
龍や妖怪の登場する台湾ファンタジー。個人誌発表作を集めた読切連作。内容説明文と試し読みで、兄弟が主役というのに後押しされて買いました。兄弟いいよね、兄弟。
兄弟の、辻芸人として各地を巡る龍探しの旅、その先々での妖怪話。悪い妖怪を倒したり、土地神様と交流したり、人情に複雑な思いを感じたり、各話それぞれ楽しかったです。人喰い妖怪がフツウに出てきて、2話目なんかも最後はほのぼのでまとまってるんですけど考えてみたらそいつ人喰ってんじゃん良いの?ってなる、日本とはいささか異なるワイルドさ。それもまた良し。
特に気に入っているのが4話目の『薬行者』で、弟主役の、薬師の少女と少し旅路を共にする番外編っぽい話で、どこがどう良いのか説明できないんですが、なんとなく好きだなぁって思う話です。
巻末描き下ろしが7ページながら、兄弟の関係がわかる話で、単行本におまけとして入れるにふさわしい良い話でした。
商業連載というわけではないため、龍を探す旅という大きな枠組みに関しての理由や行く末に、はっきりとした道は見えません。このシリーズ自体もまだ作者さんが描くつもりがあるようで、完結もしていません。そのあたりの不安定さがいささか気にはなりますが、一つ一つの話は面白く、この1冊でも満足の仕上がりです。ちょっとおまけの星5つ。
いつか次の巻が発表されたら嬉しいな。
〜〜〜〜〜
今まで中国人韓国人作家さんの作品をそれとは知らずに読んだことがあるのですが、キャラクターの性格だったり倫理感だったりに違和感があって日本人作家でないことを知る……というパターンに懲り、基本的に外国人作家さんの作品は避けています。
今回、試し読みはすごく自分の好みっぽいけど台湾人作家さんということで、めっちゃくちゃおそるおそる読んだのですが、そういった違和感におそわれること無く読めて安心しました。良かった。
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