【電子限定書き下ろし短編付き】転生悪役令息は英雄の義弟アルファに溺愛されています
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【電子限定書き下ろし短編付き】転生悪役令息は英雄の義弟アルファに溺愛されています

滝沢晴/木村タケトキ

王道ストーリーですが…

ネタバレ
2025年1月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 前世では農業を営んでおりファンタジー小説の悪役令息に転生してしまったΩのサミュエルと、彼の義弟でαのセオドアのお話。

あらすじで想像した内容と本文が95%くらい一致した作品です。
テンプレにテンプレを重ね掛けした内容なので、安心して読めるという点では良かったです。

冒頭は現在の時間で始まりますが、その後過去に遡ってストーリーが展開します。
ただ、途中途中で突然時間が飛ぶため、1章部分は結構読みづらかったです。
普通の段落分け程度の空きでいきなり何年も時が経っていたりするので一瞬混乱します。

セオドアが勉強も剣の腕も凄いみたいな表現がありますが、王に対しても(これはワザとかもしれませんが)急な来客に対しても結構態度がよろしくなく、こんなのが将来公爵家の当主になっても大丈夫なのか? と少々不安になってしまいました。
いくら英雄と言えど、成り上がりの平民でもないのだからもう少し礼儀とかはちゃんとして欲しかったかな。
こういうちょっとした引っ掛かりが積み重なって、彼に対してあまり良い印象は抱けませんでした。

一方、主人公のサミュエル。
転生ものの主人公はこうでないと! と、読者が想像する通りの性格、行動。
サミュエルの独自性があまり感じられません。お決まりの鈍感設定も私には可愛いと思えず。
主役2人にあまり好感が抱けないまま物語が終了してしまったのは残念でした。

ただ、聖なるオメガの中の子が、サミュエルの前世で繋がりがあったような描写は、時系列的にどうなっているのかという疑問はあるものの、ちょっと胸熱展開でした。
自由に行き来できる系はなかなか見ない設定だったので、戻った後の彼がメインの話があったら読みたかったかもしれません。

ストーリー自体は可もなく不可もなくな感じだったものの、何点か矛盾としか言えない設定がちらほら。

ラスト近く、セオドアの「サミュエルが初めて発情した17歳の頃から…」というセリフがありましたが、サミュエルの初発情は20歳だったはず。

書き下ろし番外編でも。
彼らの三男視点でしたが、長男5歳次男3歳の表記が。
本編ラストで長男が4歳で、彼も弟か妹が欲しいという文章があったことから、この時点では一人っ子なわけで。

ひとつひとつは小さな矛盾ですが、気になってなかなか先に進めませんでした。
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