このレビューはネタバレを含みます▼
中世ヨーロッパ系魔法世界のお話。アンティブル王国の若き宰相リドリー•ファビエルは雷に打たれて気を失い、目覚めると敵国サーレント帝国の皇子ベルナールとなっていました。リドリーと同じ20歳の皇子は、暴君である現皇帝の唯一の息子でありながら無能•我儘•肥満体で皇帝に嫌われていました。何が起こったかわからないままリドリーは元の身体に戻ろうと動き始めます。まずは敵国の宰相だったときに自分が放った暗殺者をなんとかせねばと、本物の皇子が牢に叩き込んだ騎士団長シュルツを加護の力で自分の奴隷とします。加護とは魔法とは別の特別な力で、リドリーの加護は7人までの人間を自分に従属させてしまうものですが、奴隷となった者は主であるリドリーに異常に執着してしまうこと、解除するにも7人のうちの誰を解除できるかわからないという厄介な点もあるのでした。剣の腕はもちろん家柄も良く清廉潔白なシュルツは奴隷として常にリドリーの側で護衛しながらリドリーに恋情を抱くようになります。自らの持つ火魔法でガッツリ痩せて美しくなったリドリーが、元来の能力の高さと帝国の皇子という地位で無双三昧するお話は小気味よく爽快です。同時代の隣国からの転生は、それほどチートも気になりません。元の国でも下剋上してきた打算的なリドリーが、その有能さで次第に味方を増やし、帝国民のために皇帝を倒す決意を固めてゆきます。ただしなかなかシュルツとリドリーの恋にはなりません。今のところ3巻で一度、ご褒美えっちがありました。4巻でリドリーが王太子となり、いよいよ打倒皇帝の機運が高まってきます。なぜ入れ替わったのかの真相も含めて今後のの展開が楽しみです。