Kの支配者
」のレビュー

Kの支配者

奥田枠

一般論でははかれない。短いけど深い。

ネタバレ
2025年2月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 人間の心理は他人が理解できるものではないのだと改めて感じさせられるストーリー。洗脳、崇拝、信仰、依存、支配と被支配。それらすべて当事者だけに意味があることです。この話は自分自身を完全にコントロールしようとしたKなりの支配の完了からはじまります。そうすることで自分がいなくなった後のアキの人生も完全に支配した。それがわかっていて止められなかった弟はどれほど悔しかっただろうかと考えてしまいます。2人の間に愛があったかどうか正直わからないけど、Kは自分をコントロールできないくらいアキを欲してしまい、そんな自分を支配するが故の行動だったし、最初に心を囚われ支配されていたのはKだったのだろう。やっぱりこれもひとつの愛だったのかな。この手の話に「もし」は不要だけど、それでももし、アキが支配や依存という形からでなくKを愛する道があったら、Kはコントロールできない自分自身を受け入れられたかもしれないなと思ってしまいます。でもきっとそれすらただの一般論なのでしょう。絵もとても美しく表紙にひかれて手にしました。欲を言えばじっくり長編で小説のように味わいたかったです。
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