僕が夫に出会うまで
」のレビュー

僕が夫に出会うまで

七崎良輔/つきづきよし

つきづきよし先生に拍手を送りたい。

ネタバレ
2025年2月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ LGBTQという言葉を認識したのは数年前。そしてこの本が発売されレビュアーさん方の感動したというレビューに好きな作者だったので拝読(「あの世でお前に好きだと言える」は最高😩)実話という事もあって感動に感動でした。それから数年後、SNSでこの作中の旦那様のアカウントのコメントが流れてきて、ショックでした。主人公の彼に対しする罵詈雑言でした(お二人は数年で終わられていた)

今回改めてこの作品を読み返したのは、ドラマ化されたあるBL作品のドラマ版SNSのツイートに対してあるLGBTQ団体を運営されている方が、「彼女になった気分で」と投稿してしまうのは根深い異性愛規範の表れで、BLを単なる売れる為のネタとしか捉えていないのでは…というコメントを拝見し、BLって何?とまた穴に落ちたからです。

LGBTQの活動もされている原作のご本人の物語でBL漫画のこの作品を読むと私は主人公の方に感情移入するわけですが、それはBLを漫画として読んでいるからで。私にとってBLはゲイの人達の世界の漫画ではなく、(「風と木の詩」竹宮惠子先生が生み出したひとつの作風)少女漫画として読んでいるから感動で…現実のお二人が別れてもこの作品の素晴らしさは永遠で。この永遠という言葉も、その美しい世界(表紙の柔らかい光の中の2人とか…)の源に鎮座するのは萩尾望都先生なのですが…しかし先生は先生の作品はBLじゃないと仰っている。池田理代子先生の「おにいさまはへ…」は今も少女漫画。BLは(百合も)少女漫画だったのでは?と、そんな事を思いながら再読でした。そう思うと「彼女になった気分…」のツイートも無意識に出たのかもしれないなと。そこに悪意は無いのだろうなと思いました。逆にBL漫画としてでは無くマイノリティの方々の物語だと意識しながらまた読むと、美輪明宏さんの言葉を思い出しました。”LGBTQというけれど、そもそもそれ自体が日本の文化なのです”(平賀源内然り…)日本は欧米の様な同性と異性愛が完全に分かれていない社会で、だから気楽だったと。

以上の事からまた読み返したこのお話…漫画家として実際のお二人を漫画にされたつきづきよし先生に本当に素晴らしい作品ですと、強く思いながらの読了でした(パチパチ✨)
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