このレビューはネタバレを含みます▼
擬人化された鶏のお話。養鶏場で生まれたコッコはたくさんの優しいお姉さん達や一緒に孵卵器で生まれたぴよちゃん達とともに育ちます。無精卵を産み続けるお姉さん達の夢が、いつか卵を孵すことだと知ったコッコは、幼いながら自分がその夢を叶えようと決意するのでした。でもある嵐の夜、コッコはお姉さん達にカッパと長靴を貰って養鶏場から遠くに逃げるように言い渡されます。いつまでも小さくて卵も産めないので追い出されるのだと思ったコッコは泣きながら、いつかお姉さん達の夢を叶えますと孤独な旅に出るのでした。本当は雄だとわかったコッコがお肉にされないようにそっと逃してもらったのでした。厳しい旅の途中で雄鶏の象徴であるトサカも尾羽も失ったコッコは、決して子供が生まれないという孤独の森に辿り着き、そこで暮らし始めます。そのコッコの家に、ある日自意識の高い雄鶏がやって来ます。「夫になる」と高らかに宣言したオットはコッコが雄でびっくりしますが、居場所の欲しいオットは敢えて指摘せずコッコと一緒に暮らし始めるのでした。いつか卵を産むんだと夢みるコッコに誰も性別のことを言わず、コッコを静かに見守ります。チャラいオットとショタみ溢れるコッコとのお話はメルヘンっぽくありながらも色んな風刺に富んでいます。つるっとしたコッコの身体の線が可愛らしく、オットの変化も良きでした。