午後の光線
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午後の光線

南寝

心が痛いそれでも美しい

ネタバレ
2025年3月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ ラストが衝撃的すぎて言葉にならない。
登場人物たちが淀井の死を確信できずに、淀井のいた形跡をかき集めようと淀井の乳歯を探すシーン。
見つかった乳歯を大切に抱えながら一緒になって探してくれた友達にお礼を言う村瀬と頼りない小さな乳歯が淀井がいなくなってしまったことを明確にさせる。
村瀬のことを思うと涙がとまらない。大切でずっとそばにいて欲しいけど、君が電車に轢かれてバラバラになった姿が見たい。そんなちぐはぐな感情を否定せずに聞いてくれた淀井のことが本当に好きだったんだとわかる。君と離れるぐらいなら今から電車に轢かれて死ねると走る電車に向かっていく淀井は、村瀬を庇護欲から好きなのか分からなくなっていた頃とは変わって愛する人に忘れないで欲しいという純粋な気持ちがわかる。これを見てからの村瀬の合唱コン前の最後の挨拶は本当に心が痛くなる。村瀬が電車で連想するのは、グロテスクなものではなく、淀井といた景色に変わった。もう淀井の治療もいらない。村瀬1人で生きていける。それが何よりも悲しい。人は死と隣り合わせだからこそ、その命はより一層輝かしい。そんなことを教えてくれたような気がしました。
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