このレビューはネタバレを含みます▼
優良物件でありながら誰にも本気になったことのないバツイチの攻め・大津32歳と、優秀な兄との関係を拗らせた悩める青年・アキ26歳のマッチングアプリから始まる手探りの恋。
「わたしのこと本当に好きなの?」と問われるような交際を繰り返し結婚し、離婚までをも経験した大津のその実態は、恋愛童貞。しかし本人にその自覚はなく、古い友人のアドバイスやアキとの出会いで徐々に好きという気持ちを知ることになる。
一方のアキは家庭の事情に悩んでおり、孤独に耐えかね自暴自棄に近い形で大津とのワンナイト(未遂)に漕ぎ着けたものの、予想外に踏み込んでくる大津の勢いに翻弄され……
絵柄もきれいだしとてもお上手な作者さまなのに、恋に落ちるきっかけがつかめず置いて行かれた感じがするのは仕方がない…なぜならメインキャラである大津とアキでさえもがこのまるまる一冊を使ってやっと自分の気持ちに気づいていくから。
人間は誰しも人との関わりの中で知らなかった自分を知るものだから、むしろその方がリアルに感じた。創作物とはいえそこは大津やアキも例外ではなく、たとえば大津が今まで好きだと思っていた相手は「嫌いじゃない人」なだけで、アキに出会いようやく「好き」という気持ちを実感し彼を特別と位置付けるのですが…
擦り合いやチュッチュはしてもガッチリ結ばれることなくお話が終わってしまうので、ゲイのアキが大津を好きになる過程に違和感はなくとも、既婚者だった大津にちゃんとアキを抱けるのか??などと最後の最後で疑っちゃって、せっかくの決意の言葉も軽く感じてしまうのかもしれません…
絶対とはいいませんがノンケ×ゲイカップルにおいてのセック スは通過儀礼のようなものだと思うので、解答編じゃないけれども想いの通じ合ったその後の番外があったならもっともっと評価は高かったです。
星4.5