スモークブルーの雨のち晴れ
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スモークブルーの雨のち晴れ

波真田かもめ

この世界のどこかに居そうな二人

ネタバレ
2025年3月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ 元製薬会社の同僚で、MRとして成績を競い合っていた吾妻と久慈。8年ぶりに再会した二人は、吾妻は無職、久慈はフリーの翻訳者になっていた。偶然の再会をきっかけに、吾妻は久慈の仕事を手伝うようになる…という物語。ともに過ごす中で、恋心が熟していく様が丁寧に描かれていて、じんわり心が温まります。

この物語の良いところは、ラブストーリー以外の要素がしっかり描かれていること。かつて二人がしていたMRや久慈の仕事である翻訳などの仕事、会っていなかった8年の間にそれぞれ起きたこと、お互いへの理解と反発などが緻密に描かれていて、二人の人物像がリアルに浮かび上がってきます。漫画の世界の住人というより、この世のどこかに彼らが暮らしているように思えてなりません。二人の暮らしぶりを、これからもずっと見守り続けたい。そう願って止まない良作です。
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