気難しい王子に捧げる寓話
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気難しい王子に捧げる寓話

小中大豆/笠井あゆみ

究極のすれ違い・両片思いに教訓を得られた

ネタバレ
2025年3月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ これだけのレビュー数にこの高評価は伊達じゃない!!自信を持ってお勧めできる面白さでした。寓話というだけあって、確固たる芯の部分とその他諸々…数多くの教訓が込められた素晴らしい一冊でした。

究極のすれ違いで両片思い…これほど複雑な関係は見た事がなく、のめり込む面白さでした。お互いに(意図的であるないに関わらず)偽りの自分がいて、それぞれに偽りの相手を愛し、憎み、葛藤する…どこまでも捩れた愛憎劇にハピエンを予想しながらも気の抜けない展開でした。

エセルは変貌前、オズワルドは本性がバレた後の、あの何とも気まずい羞恥心が湧き上がるようなシーンの数々には、読んでるこちらまで心の声を聞かれてるみたいな、失敗を見られたみたいな、気恥ずかしい気持ちになりました。

二人それぞれどちらの苦悩も理解できるし、どちらの心情・行動も仕方のないことで、だからこそ起こるすれ違いが面白くもあり切なくもあり…。ラストは、偽りの部分も含めて愛しあえる関係になれた二人に心から安堵しました。軽すぎず重すぎず、でも読み応えのあるストーリーに引き込まれました。
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