フォロー

0

総レビュー数

1495

いいねGET

2997

いいね

247

レビュー

今月(9月1日~9月30日)

レビュー数22

いいねGET54

シーモア島
ベストアンサー49件
いいね3424件
投稿レビュー
  • サドのオトコを落とす方法【電子限定おまけ付き】

    ヤマヲミ

    本編からあとがきまで余す所なく面白い!!
    2025年9月22日
    最っ高〜!!でした。初っ端から「サドって…そっち?」多少の軌道修正が必要でしたけど楽しかったです。あの◯ムちゃんで有名な方言が、あそこの地域のだって知れたのも個人的に価値がありました。そして風太くんが可愛い〜!!ちびっ子好きには堪らないと思います。

    そして、ヤマヲミ先生といえば面白くて有名なのが「あとがき」ですよね。今回もみっちり見開き2ページが文字で埋め尽くされていて、内容は…先生からしてみれば笑い事じゃないのでしょうけど、ごめんなさい、吹き出して笑ってしまいました。かなりおすすめです。
    いいね
    0件
  • 【単話】ベッドイン・ルール 番外編

    藤河るり

    それしたら意味ないし意味が変わるのでは?
    ネタバレ
    2025年9月21日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 表紙などを除いて正味18ページ。決して多くはないページ数ながらも、小さなコマや細部まで手抜きなしの美麗な絵と、いい意味でツッコミどころ満載のストーリーでした。

    ツッコミその1/「◯でいけない」からって、道具とか内緒でとか色々と頑張る方向性が間違ってる気がしました。

    ツッコミその2/「マスター◯ーション」て、一人でするから日本語でも「自◯」というのであって…受けちゃん可愛さに共同作業しちゃったら意味ないし、意味が変わってくるのでは?と思いました。

    その3/「僕にだってプライドがある」と強気な史音でしたが…まぁ案の定というかお決まりというかの展開・チョロさ加減に笑ってしまう。

    と、こんな具合でかなり楽しめました。
    いいね
    0件
  • すてきな命の救いかた

    イーライ・イーストン/冬斗亜紀/麻々原絵里依

    限界突破に尽力するラヴの広く深い愛に感動
    2025年9月20日
    シリーズ4作目。前回、起承転結でいうと1作めが起、2・3作めが承という感じと評価しましたが、我ながら上手く例えられたなと思いました。その流れでいうとこの4作目が「転」のようなお話でした。

    シリーズものにありがちな、主人公を変えながら続いていくという面ももちろんありますが(というか読者もそれを求めてる)スケールとか世界観の広がりを見せることも出来ていたし、何よりもマッドクリークという町全体が分岐点に差しかかり、未来へ大きく舵をきったターニングポイントと言える巻だと思いました。

    その一番の立役者であるラヴは、前作に出てきました。そんな引き継いだ流れ・前情報があるので、今までのクイックとつがった人間(ティム・マット)より断然飲み込みや理解力が高くて、かなり順応するのが早かった気がします。おかげで読者もその辺の「知らない」ことで起こるすれ違いにヤキモキしなくて済みました(笑)。それどころか、ラヴの一人犬種当てクイズ?に耽る様子が、哀愁を感じつつも可笑しくて笑ってしまいました。

    あとは、犬から人になった「一代目」と言われるクイックの懸念事項について…少し考えれば思いつきそうな問題なのに、I〜3巻までまるで意識していなかったことが急浮上した瞬間はドキッとしました。その直後、サミーの事実が明かされた時はものすごくショックでした。

    そんな重大な問題も種族の違いさえも乗り越える、ラヴの大きく深い愛に感嘆しかありません。その上、マッドクリークが抱えるコミュニティの限界にも身を挺して事に当たる姿勢に感動しました。

    ラヴの崇高さ博愛・見識の広さとランスの為人が…対照的で、ちょっとアレでしたけど、最後には町を一番に考えて自分ともラヴとも折り合いをつける所は、やはり男前だなぁと思いました。次作で「結」となるか、まだまだ続くのか楽しみです。
    いいね
    0件
  • 王の獣~掩蔽のアルカナ~

    藤間麗

    大人も子供も楽しめ、考えさせられる作品
    2025年9月19日
    普段はBLばかり読んでいて他ジャンルの作品とは縁がないのですが、何かの時に6巻まで無料で読んだら止まらなくなり…一気に完結まで読み終えてしまいました。

    レビューを書く段階になって初めてあらすじを読んで知りました…こちらは『黎明のアルカナ』の続編ではないけどシリーズで後発作品なのですね。知らなかったとはいえ、先に読んでしまっても問題なく楽しめました。

    超個人的な感想というか見解なんですけど…前半と後半でストーリー展開のスピードが違った気がします。前半がゆっくりで後半が急ぎ足だったような。後半の方が複雑で濃い内容が多かった割にサラーッと流れるように過ぎていったので、欲を言えば一つ一つをもう少し噛み締めながら読みたかったかなぁと思いました。

    ジャンルが少女漫画なので、お色気シーンも戦闘シーンも過不足がなくて、大人も子供も(と言っても中高校生くらい?)十分楽しめるような絶妙な作りになっていました。
    いいね
    0件
  • この度幼なじみと仮婚します【電子限定おまけ付き】

    黒田くろた

    攻めの愛が重いけど暗くなく面白いラブコメ
    2025年9月18日
    試し読みした範囲でも、仮婚とか太一の職業がヒモとか(ヒモは職業ではない)コメディ系の雰囲気を醸し出してましたけど、そのままのノリでした。太一はともかく、涼介はシゴデキの社会人でモテる設定なんだけど…会話や行動なんかがDKみたいで楽しかったです。

    涼介がやたら愛が重い発言をするのですが、どんなにストーカーっぽくてもどんなに執着が凄くても、病み(闇)要素が皆無だから明るいんです。ボケとツッコミみたいな感じで笑ってしまいました。あと、思い出で妄想することはあっても、ギリギリ変態臭がしない点も良かったと思います。家事が全然とかも、いまいちスパダリになりきれないダサさも逆に可愛かったです。

    この作品、主人公は太一で彼の心情の変化を丁寧に拾いながら進んでいきますが、物語の中心は太一でも笑いの中心は断然涼介だと思いました。
    いいね
    0件
  • 二階の悪魔さん 地獄への帰り方、探してます。

    谷崎泉/稲荷家房之介

    W購入もあり…数Pに一度吐き出す面白さ
    2025年9月17日
    普段はBL沼の住人なので、先生の作品も何作も読み込んでいます(お気に入りは『スクランブルメソッドシリーズ』です)が、一般小説は初めて読みました。コメディということもあり、もの凄〜く面白かったです。数ページに一回吹き出してしまうくらいで…これは「決して何か食べながら・飲みながら読んではならない」作品だと思いました。あと人前で読むのも危険かもです。

    BL小説は、イラストありのものは特に外出先では人目が気になって読みづらいので電子で家でしか読みませんが、一般小説なら大丈夫…ということで紙にしましたら、これがうっかりだった?かもしれません…電子なら特典のSSが付いています。

    SS読みたさに電子も購入するつもりです。ちなみに…紙では約250ページありました。続編に超〜期待しています!!
    いいね
    0件
  • 女王と仕立て屋[コミックス版]

    スカーレット・ベリ子

    スピード感と交差の美しさに圧倒される
    2025年9月16日
    先生の作品は、なぜか『四代目・大和辰之シリーズ』から読んでしまい…あまりの激しさに読みきれず『ジェラシー』を積んでいます。その後『保坂さんと三好くん』で、読み応えはあるのに辛くない作品に出会って印象がガラッと変わりました。こちらも凄く濃い内容で凝った展開が面白かったです。

    おちゃらけたムードの中に人生観・仕事・家族・恋愛・アイデンティティなど盛りだくさんの要素が、全く渋滞することなく、それでいて複雑に絡み合う展開は素晴らしかったです。まるで某体育大学の「集団行◯」を見ているようなスピード感と交差の美しさに圧倒されました。

    子供っぽいようでちゃんとした大人のけじめをつけられる大海。円熟した大人であらゆる面で先輩であるはずが、大海を手に入れる為なら我慢せず子供のように手を伸ばす志田。二人のコントラストも見どころでした。内容もですが、キャラたちが(同僚や姉さえも)誰も彼も魅力的で全てが極上の一冊でした。
    いいね
    0件
  • 星に願いをかけるには

    イーライ・イーストン/冬斗亜紀/麻々原絵里依

    絶体絶命の危機回避に奔走する展開が面白い
    ネタバレ
    2025年9月15日
    このレビューはネタバレを含みます▼ シリーズ3作め。今回の主人公ジェイソンと初めに(まともな形で)関わるのが、1作めの主人公で2作も登場したティムで、彼の近況報告がまぁ…予想はしていなかったけど幸せそうで嬉しくなりました。アメリカとクイックのなせる技という感じでした。

    雰囲気として起承転結でいうなら1作めが「起」、2・3作めが「承」で、2作めとサバイバル面が似ていると思います。CPとしては初めてのパターンのクイック×クイックだったので、秘密保持という観点からの危機は薄めでした。それよりもっと深刻なトラブル・危機に晒されて絶体絶命…と思われる中、誰からも重要視されていなかったジェイソンのヒトとしてクイックとしての能力の高さを知らしめる展開にハラハラし通しでした。

    マイロの親しみやすさと正反対のジェイソンの堅物さは好みが別れそうですけど、3作めにして一番スリリングで面白かったです。
    いいね
    0件
  • カラスとスズメ[コミックス版]

    こん炉

    お互いで充電し合う様子が可愛い
    2025年9月14日
    始まりかたが面白くて読み始めました。全体的に現実的な部分とお伽話のような部分とがいい具合に混ざり合った、不思議な雰囲気の作品だったと思います。カラスの心の空洞の話や学校生活のあれこれは現実的で、スズメのピュアさやほわほわ可愛い様子にメルヘンを感じました。

    性格もキャラも正反対に思える二人が、お互いの良さを見つけて仲良く充電し合う関係が微笑ましい作品です。
    いいね
    0件
  • ミケちゃんとクロせんせ

    櫻井タイキ

    相手に対するリスペクトを忘れない姿が素敵
    2025年9月13日
    表題作と短編が2作入っていました。表題作は、私史上2回目?くらいかなという珍しい設定でした。パターンとしては…少ないながらも「リバ」とか「攻め×攻め」パターンのどっちがどっちだ!?問題は割と読んだことありますが、「ネコ×ネコ」パターンは希少だと思います。

    「攻め×攻め」パターンは、どちらが打ち負かすか…どうしたら優位に立てるか…などアイデンティティとか矜持とか、火花散る男のプライドをかけた戦いというイメージです。一方「ネコ×ネコ」パターンは、元が受け入れる側だからか相手にはもちろん、自分にも労りや思いやりの心を感じるし、何よりも相手に対するリスペクトが感じられるところが良いなと思いました。

    それは別として、単純に学園もの・教師と生徒の話というだけでもわいわい楽しく読めました。
    いいね
    0件
  • 蝶よ花よ、君よ

    熊猫

    短編だけど濃くインパクトのある内容に満足
    2025年9月12日
    配信中となっていますが、お値段とページ数から察するに短編で完結なのでは?と思います。表紙などを除いて正味37ページ…短い中にも起承転結がしっかりありましたし、絵が綺麗なのもあり、転から結までの流れに多少思い切りが良すぎた感(ぶっちゃけ「そーはならんやろ」と思いました)が、ページ数を考えるとアリかなと。

    匂いに敏感…という程ではないけど、例えば加齢臭や体臭って人によって全然違ってて、私の場合は男女問わず快・不快と好き・嫌いが一致しているので、馨くんの感覚は分かる気がしました。

    初めての作家さんでしたが面白かったので、他の高評価の作品も何作か読んでみたくなりました。
    いいね
    0件
  • ほむら先生はたぶんモテない

    せかねこ

    試し読みでクスッとした人全員におすすめ!
    2025年9月11日
    100以上のレビューがあって星4.9って…ちょいモンスター級の高評価だと思います。内容は、人によっては「星5じゃ全然足りない」くらいだと思います。私もそうで、あのゆるゆるな空気感と二人の関係が大好きで、正直終わってほしくないくらいでした。

    内容はとても面白いのですが、一冊がそれなりに高額で(単行本ではないから)普通の漫画とは違う(4コマ風)こともあり、合わないと厳しいかもしれません。なので試し読みをしてからの購入をおすすめします。この高評価は、作風とマッチして人が読んでのものだと思うので。ちなみに私は、読みにくさの問題もあり、紙で購入しています。

    このあと楽しさはそのままに…数年後の二人『先生日誌』が続編であります。
    いいね
    0件
  • 保坂さんと三好くん[コミックス版]

    スカーレット・ベリ子

    どこまでいってもグレーな大人のラブコメ
    2025年9月10日
    いきなりセンセーショナルなシーンから始まるので、曲がったことが嫌いな私が、このまま読んでもいいのか一瞬迷いました…犯罪まがいの執着愛って苦手なので。だけど読んでみたら、限りなく黒(犯罪)に近いグレーのような?白(執着はあるけど純粋な愛)に近いグレーのような?不思議な感覚になるお話しでした。

    恋とか愛って不思議なもので、見るだけでも好意がなければりっはなハラスメントになるのに、少しでも気持ちがあれば受け入れられるし許すことも許されることもできるし、その先の触れることをも欲してしまう。

    三好くんの場合、保坂さんの天然キャラと海のように広い心・深い愛情に助けられてたように感じました。設定や展開が、かなり凝っていて楽しめました。

    先生の作品は『四代目・大和辰之シリーズ』の前2作は読んだけど『ジェラシー』は怖すぎて読めていません。どんどん過激になる気がして読めずにいます。ですが、こちらは苦しさはなく楽しく読めました。保坂さんは天然だし、三好くんは子供っぽいし、歳の差もあるので様々な不安要素を撒き散らしながらも、秀逸なセリフや心理描写の掘り下げで大人のラブコメを楽しませてもらえました。
    いいね
    0件
  • あなたのお城の小人さん ~御飯下さい、働きますっ~(コミック)

    美袋和仁/п猫R/栗原一実

    健気で可愛いだけじゃない骨太のストーリー
    2025年9月9日
    試し読みの段階で心を掴まれて、出たばかりの3巻まで一気に読んでしまいました。普段はBLばかり読んでいて、そちらでも子育てものは好んで読んでいますが…BLだからか(?)子供もほとんど9割がた男の子なんです。なので、女の子が主役というのは新鮮でした。

    あまり詳しくないのですが、令嬢ものとか異世界転生ものとかの王道ストーリーかなと思います。私にとってはBL以外で初めてだったので既視感もなく楽しめました。

    子供好きだったり子育て経験のある人だったら、始めの辺りで泣いてしまうのではないでしょうか。本来なら庇護されてしかるべき年齢(2〜3歳)にも関わらず、一人で生き抜かなければならない過酷な状況、その姿に健気さにほろりとしました。

    読み進めていくと、裏に潜む謀略や国家機密などが明らかになって、最初に思っていたよりずっと細かく丁寧なプロットがあることに気付かされます。
  • 見習いコンシェルジュは理想の上司をひとりじめしたい

    川琴ゆい華/たつもとみお

    最高のお仕事BL
    2025年9月8日
    初めての作家さんでしたが、高評価に違わぬ面白さでした。お仕事BLでもあるので恋愛の割合は少し下がりますけど、どちらも丁寧な掘り下げで物足りなさは全くなかったです。二人の職業がホテルのコンシェルジュなので、おそらくはリアルに近い仕事内容と数字(1日の問い合わせ件数など)が知れて、ためにもなったし面白かったです。

    あとは、先生独自のキャラ設定というかセリフまわしが、独特で楽しかったです。生まれも育ちも東京近辺と思える広瀬が、いっぱいいっぱいになると時々「…知らんけど」とか「知らんがな」とか関西弁になってて笑っちゃいました。

    蓮条も「よくよく考えたら、俺に限って〜ヘマはあり得ない」の決めゼリフが、シゴデキ男の風格があってかっこ良かったです。…であるのに、恋愛感情に慣れていないのか鈍感なのか、好きの表現がなぜ「わずらわしい」になるのか、そしてそれをリピートする意外な姿にニヤついてしまいました。

    BLとお仕事の他にも、コンシェルジュ関係でトラブルや緊急事態など様々なことご起こるのを、スマートかつエレガントに、時に荒々しく解決していく様子もハラハラ感があって楽しめました。
    いいね
    0件
  • あっくんとまーくんPINK4

    sunoma

    天然受けのパターンを外さない政宗が可愛い
    ネタバレ
    2025年9月7日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 表紙などをのぞいて正味28ページありました。ドタバタコメディみたいな可愛いすれ違いが楽しかったです。

    どうしてもフェ◯をしたい政宗と(本編から)頑なにさせたがらない亜蘭との攻防戦が見ものでした。学校で盛り上がってしまった二人…政宗が「フェ◯か帰るか」の二択を突きつけると、まさかの「帰る」選択で落ち込む政宗ですが、妙なすれ違いが楽しかったです。

    真面目な子って、何に対しても(それが性的なことであっても)勤勉で向上心があるのはいいと思うのだけど、根本的に方向性が間違ってる気がします。案の定、それが攻めにバレて経緯から内容までを包み隠さず言わされて、お叱りを受ける…パターンを外さない天然政宗が可愛いかったです。
  • あっくんとまーくんPINK1~3再録完全版

    sunoma

    正反対のようでお似合いの二人が可愛い
    2025年9月6日
    『あっくんとまーくん』本編後のお付き合い編のお話です。本編では(こちらも最初の方は)デッサンのようなやや粗めの筆致が少し気になりましたけど、内容の面白さに相殺されて楽しく読めました。話が新しくなるほど絵も綺麗になっていったので読みやすかったです。耳と尻尾の生えた亜蘭やデフォルメされた絵は特に可愛いかったです。

    あの荒くれ者の亜蘭が、まるで崇拝するように政宗のために動き回る姿に想いの強さとか本気度が感じられて…政宗は幸せ者だなと思ったし、二人でいれば最強であらゆる困難を乗り越えられるはずと信じられる気がしました。

    犬(亜蘭)と飼い主(政宗)みたいな二人とくれば、大体駄犬がパターンですけど、亜蘭は賢くないだけで飼い主想いの忠犬みたいで可愛いかったです。ほのぼのともほっこりとも微妙に違う、現実的な面も見せられるけど、なんか優しい気持ちになれる作品です。
  • 幽霊探偵 久良知漱 全3冊合本版

    アイダサキ/ワカマツカオリ

    善悪を超越した先にある「生」について学ぶ
    2025年9月5日
    英田せんかの一般小説カテゴリーの作品です。あれから一年…悲しみが薄れることはありませんが、ようやく読んでみようと思えるようになりました。

    読んで字のごとく、「幽霊からの依頼を受ける探偵さん」とお手伝いをする女子高生の話ですが、職業とするからには「料金形態はどうなってるか?」とか「意思の疎通は?」とか疑問がありました。そんな中読み進めていくと、直ぐにお茶目な文章で面白おかしく説明されて…強烈に懐かしさを感じました。

    主人公たちを取り巻く世界・現実は、主軸が幽霊であるが故に物悲しい気持ちになる話なのに、解決した時には彼等にとっても主人公たちにとっても救済になる…亡くなった者たちから生きる意味を教わるような深い話でした。

    3巻めに入って気づきましたが、三崎坂の喫茶店「乱歩」やフロランタンの専門店、たい焼き屋など実際にある(またはあった)と知って、リアルで雰囲気を味わってみたいなぁと思いました。写真を見るだけでも不思議とノスタルジックな気持ちになって、それと共に「先生の作品は生き続けて、ずっと私たちの心に残り続けるのだな」と思えました。
    いいね
    0件
  • あっくんとまーくん 2024改訂版

    sunoma

    正反対に見える二人が本当はベストカップル
    2025年9月4日
    始めは、見るからにヤンキーと見たまま優等生のミスマッチだけど、わちゃわちゃ可愛いギャグ寄りのDKものかと思っていました。そもそも正反対くらい違う二人がどうして一緒にいるのか分からないまま読み進めることになりますが、どんどん明かされるバックグラウンドが(特に政宗)結構DKには厳しく深刻で、そんな中言葉は少ないけど寄り添うように勇気を分け合う姿が良かったです。

    1巻まで読みました。2巻は番外編集?のようなのでいずれ読みたいと思います。その前に続きのお付き合い編『あっくんと まーくんPINK』1〜4を読みたいと思います。
  • いきものBL図鑑~世界は××に満ちている~【単行本版】

    璞つぶこ

    楽しく為になる上にBLとしても面白い
    ネタバレ
    2025年9月3日
    このレビューはネタバレを含みます▼ いきもの擬人化BLとは…初めての試みでもあり多少無理があるのでは?と思う設定だけど、思いの外、凄く細かい所まで学術的にも正確に掘り下げてあって、楽しいし勉強になりました。

    上巻は、ペンギン・キリン・カタツムリ編でした。どれも本当に興味深くて面白かったです。可愛さでは圧倒的にペンギンで、家族愛もありキュンとしました。キリンは知ってるようで知らない生態のあれこれが意外でした。カタツムリに関しては、知らないことばかりでびっくりしました。特に右巻き・左巻きがあるなんて初耳でした。

    下巻は、ホンソメワケベラ・ゾウアザラシ・イルカと、海のいきものの話でした。ホンソメワケベラは初耳でしたけど、魚なのにかなり知能が高いとか雌雄の在り方が、珍しいとか不思議とかでは括れない、奇跡のいきものだと思いました。ゾウアザラシの雄の生き辛さは相当なもので、生態としては面白いけど気の毒すぎて笑えませんでした。イルカは、知能が高いのは知っていましたし、幾つか知識として分かるものもありましたけど、それ以上に与えられる情報が多くて為になりました。

    動物でもなんでも割と雑学には自信があったのに…9割方知らないことだったのは、ちょっと悔しいけど面白かったです。主にエ◯方面に関しての知識なので、知らなくても大丈夫かもですけど(笑)
    いいね
    0件
  • 恋邪魔な幼なじみがムカつく【電子限定おまけ付き】

    うすいしっぽ

    攻め・受け「らしくない」所が面白い
    2025年9月2日
    受けも攻めも、それぞれの家庭環境も何かと特殊だったりイレギュラーな感じで、単純そうに見えて意外と深かったりするので楽しめました。あとちびっ子が好きなので、軽く子育て要素があるのも良かったです。

    まず受け、ちょっとおバカなお坊ちゃんですが、できないのは勉強だけで、人としてはその辺の大人よりしっかりしていて、頼もしい場面もありました。攻めは、文武両道で良いお兄ちゃんで優等生タイプですが、案外芯は受けより細いような気がしました。

    対外的・肉体的に守っているのは攻めだけど、心理的・内面的に守っているのは受け…のように感じる特殊な構造で、なかなかない設定が深みを出していたように思います。
  • 初恋フェイクファミリー

    町田とまと

    ラブコメ調のヒューマンドラマのよう
    2025年9月1日
    分かりやすくチョロ可愛受け・年下攻めで、タイトルまんま初恋の相手となんちゃって家族を演じる、ドタバタ・ラブコメディかと思いきや、それだけではない面白さがありました。

    手段はどうあれ…哉芽の真尋への想いは本物で、生来のしっかり者気質もあって、途中何度か保護者と子供の立ち位置が逆転しているようで楽しかったです。哉芽はヤク◯の坊ちゃんという立場を使って、真尋は大人として組員として相手を守る…どっちがどっちでも、親子でも夫夫でも家族として成り立っている二人ぎ幸せそうで良かったです。

    ラストで、大人としてはやや頼りない感じだった真尋が働く姿を(読者にも哉芽にも)見せることで、作品が引き締まった気がします。しかもちょっとしたトラブルを簡単に(意外にも)スマートに解決してしまうから、かっこよかったです。
    いいね
    0件
  • 刑事と灰色の鴉

    高遠琉加/サマミヤアカザ

    スリの利き手は心臓だーの一文にグッときた
    ネタバレ
    2025年8月31日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 先生の作品で最初に読んだ『世界の果てで待っていて』にハマっての二作品め。どちらも未完の上に長らく続きが出ていない(予定もない?)のを承知の上で、評価の高さに我慢できずに読んでしまいました。

    結論から言うと、まぁびっくりするくらい良い所で続く…となるので、ご自分の性格と相談の上で読み始めるかどうかは自己責任でお願いしたいです。ちなみに2巻のあとがきで先生は「3巻完結」と仰っているので、待つにしても残り1巻ではあります。

    『世界の果てで待っていて』でも思いましたが、やはり言葉のセンスが卓越していると思いました。始まって直ぐの玲のターンの一行目で、いきなりグイッと惹きつけられます。

    「スリの利き手は心臓だー」の一文は、芸術的と言えると思いました。他にも叙情的で矛盾しているようで…でも真理で、やけに腑に落ちる言葉の数々がありました。「ー矛盾を抱えたまま、それでも地球は回っている」は、小説の中だけでなく現実世界の理でもある気がしました。

    1巻の残り2割を切った辺りでの先輩刑事の言葉が、まぁ重いです。「警察は正義の味方じゃない」から始まり「万人にとっての正義なんてない。正義は規定できない」と。法で正義は貫けない、犯罪だけが正義を全うすることができる特殊な状況(タイトルを彷彿とさせる正にグレーゾーン)に絶望的な気持ちになりました。

    それは刀浦も同じで、彼は彼なりの(警察とも犯罪とも違う?)正義の元に動いているような気がしました。健斗へ問いかけた言葉「おまえはーお前が、言えるのか」…この「は」と「が」のたった一文字が、計り知れない差を生んでいると思いました。

    主語はどちらも「お前」ですが、「は」なら純粋な問いかけに聞こえます。だけど、重ねて更に「が」に変えることによって、私は反語のような威圧感を感じました。「お前が、言えるのか(言えないよな。言わないよな)」括弧内のセリフまで込みで投げかけられてるような、もっと言えば「言わせねぇ」まで聞こえるようでした。

    本編にマジシャンが出てきますが、それこそ作家さんは言葉・文章を自在に操るマジシャンみたいだなと改めて思いました。
    いいね
    0件
  • 転生第八王子の幸せ家族計画(コミック)

    南野のこ/八月八/山田J太

    可愛いく頑張り屋でちょっぴり強かな幼王子
    2025年8月30日
    普段はどっぷりBL沼に浸かっているんですけど、何かの拍子にこの作品に出会いまして…リエトのあまりの可愛さに序章も序章の1巻が出たばかりなのに買ってしまいました。

    正直…リエトのやることなすこと「自分が可愛いって分かっててやってるよね」と、確信犯めいたあざとさを感じないでもないのですが、それでも可愛いと思ってしまう自分に勝てませんでした(笑)

    見た目5歳のリエトの中身が何歳なのか分かりませんが、どうやらリーマン世代みたいなので、とにかく大人ではある…中身(大人であること)をカモフラージュする為に殊更に子供っぽくしてたのかもしれません。

    あざとかろうが何だろうが、とにかく可愛いし全てに偽りがなく相手を思う真心があるので、読者も兄王子達も絆されて愛おしく思うようになるのかなと思いました。

    可愛く頑張り屋で、ちょっぴり強かなリエトを盛大に愛でるストーリーです。
  • 恋のついでに御曹司【特別版】

    名倉和希/小路龍流

    秀逸なタイトルを裏切らない面白さに大笑い
    2025年8月29日
    万人受けはしないかもしれませんが、好きな人にはハートに刺さりまくると思います。溺愛・甘々・ラブコメ・可愛い受けがお好きな方にお勧めします。

    笙真の性格には読み始めて直ぐから気づいていたけど、軽いというか考えなしというか…チョロ過ぎて笑ってしまいました。笙真のそういうキャラから来るタイトルなんだなぁと。優先事項は恋で、御曹司(稼業?)はついでって…そういう意味だと分かると、タイトルの秀逸さが光っていると思いました。

    御曹司をこなすにあたり、目標像と現実とのギャップとか、何のことはないミッションに対して難しく捉えて面白おかしい発言をするとかも笑えました。森下は森下で、見た目のクールさと心の声とがかけ離れていて、こちらも楽しかったです。父親の慎太郎も息子可愛さに頭がお花畑になっていて、ちょっと変態ぽくて…何だかんだ一番常識的なのは執事の花木しかいない感じで、ラストまで漕ぎ着けたのが不思議なくらいドタバタで面白かったです。

    ラスト付近で気がつきましたが、笙真が母親のことは「母さん」と言うのに、父親のことは「お父さん」と呼んでいて、たった一文字の「お」に心理的距離ではなくて尊敬や敬愛の情を込めているようで素敵だなと思いました。

    性根の良さと可愛い顔くるいしか取り柄がないような笙真だけど、己を正確に分析できている割に自己肯定感が高くて、幼いところはあるけれど物事の真理を突くような発言もあって、誰もに愛される理由が分かる良い子だなと思いました。
  • 兄貴の友達 僕らのおうち

    はなげのまい

    楽しくて癒される最高で最強のラブコメ
    2025年8月28日
    本編もDKの世界観全開で良かったけど、こう易々と超えてこられるとは思っていなくて、あまりの面白さに感動しました。柿本が社会人に、ゆうやが大学生になり、会話のノリや思考回路はDK時代とあまり変わらないけど、二人の愛が強く大きなものになったと感じました。

    ゆうやは相変わらず(?)空回ってる様子が回し車を回す小動物みたいで可愛いくて、柿本は社会に出たのもあって大人の余裕というか貫禄みたいなものが付いたように思いました。

    恋愛ものなので喧嘩やすれ違いもあるんですけど、普通の展開や心情と全然違うというか…解決法がいつも斬新で好きが溢れてて、楽しいし癒されます。浮気や当て馬の入る余地がゼロで、お互いがお互いのことしか見えてないのが分かるのもいいなと思います。若干、頭がお花畑化してる様子の二人ですけど、全然嫌な感じはないし寧ろ誇って良いのでは?と思えてしまう清々しさがありました。

    ラスト付近に二人を取り巻くキャラ達(ゆうや兄&母・高良)が出てきて盛り上がるシーンも楽しかったです。まだ二人の生活はスタートしたばかり…これからの展開にも期待しかないです。
    いいね
    0件
  • 獅子王アルファと秘密のいとし子【特別版】(イラスト付き)

    小中大豆/みずかねりょう

    シアの秘密を徐々に明らかにする手法は流石
    ネタバレ
    2025年8月27日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ケモ耳・ちびっ子・シンデレラストーリーなどのワードに惹かれる方にお勧めです。表紙からも何となく分かるように、基本、安心・安全の王道ラブストーリーだと思います。なので、ジェットコースターのような激しさはありません。だからといって平坦なわけでもなく…例えるなら、ハイキング寄りのピクニックみたいな感じでしょうか。

    あらすじにあるので、最初からヴィスラン側の隠し事は分かるんですけど、シアの秘密がね…最初から辻褄が合わなくて?と思いながら読み進めて、少しずつ明らかにする手法が上手いなと思いました。ミランは、もっと出番を多くしてほしいくらいに可愛いくて眼福でした。
    いいね
    0件
  • とある書店員の恋物語

    たき猫背

    とある書店員達、それぞれのラブストーリー
    2025年8月26日
    とある書店を舞台にした3CPのオムニバス形式のストーリー…これが一冊に纏まっているのでかなり読み応えがありました。どれも優しい雰囲気で、所々切なさはあるものの苦しさはなくて温かい気持ちになれました。

    私は、やっぱり最初のCPが好きです。一番ページ数を取ってあって丁寧な心理描写の掘り下げがあるというのも大きいけど…一番は健太郎の可愛さにやられたからですかね。会話のテンポや内容は今どきだと思うんだけど、どことなく古風な雰囲気が初々しくて一生懸命なところもいい。

    冷静に分析してみると、樽谷への近付き方(初動の演出)なんかは、かなり計算ずくというか強かさがある気がするんです。でも、実際は一所懸命で一途さしか感じない…不思議な魅力がありました。DKって、若いって、怖いもの知らずで繊細で強くて弱い、アンバランスでパワフルで、そりゃ迫られたらキュンとくるし、心も動くよなぁと思いました。
    いいね
    0件
  • 机の下の秘密のやり取り「社長、会議に出てください!」番外編【電子限定版】

    海野幸

    仕事も恋愛も真面目に取組む姿にホッとする
    2025年8月25日
    BLなのに、分かっているのに、女性目線で重盛のことを「こういう人と結婚したら幸せになれそう」と思いました。見るからにイケメンでも、明らかにやり手のエリートでもないけれど、その他大勢の一般人にとって接しやすくて、目立たないけれど確かな実力がある…こういう人間力のある人に憧れます。

    恋人である二人が、真面目さ故に二人だけしか居ない社内での距離感を計りかねて、そわそわ落ち着かない様子でいるのが楽しかったです。
    いいね
    0件
  • バイトの宮川君は店長が好き 番外編集

    端丘

    番外編らしく個性的・独創的で面白い
    ネタバレ
    2025年8月24日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 1巻)ネコ化する理由とか原因とか細かいことはともかく…獣耳・尻尾設定ってキュンが詰まっている気がします。あと、ネコ(受け)がネコ化なら攻め(もしくは読者)の夢や希望が溢れていそうですが、今回は攻めのネコ化という点が面白いです。

    その意外性プラス、ネコの宮川くんが可愛くて、彼を可愛がる店長もまた可愛くて、短いながらも眼福でした。一人で勝手に「店長がネコ化しても可愛いだろうな」いやいや「二人ともネコ化するパターンもありだな」と、妄想が膨らみ楽しかったです。

    2巻)着替えがなくて仕方なく(?)着ていた変な絵のTシャツについて語る宮川君の虚無顔とセリフに、普段あまり表に出ない感情がダダ漏れしているようでクスッと笑えました。

    一回スキンシップを許されたから、若い宮川君はグイグイ行きたがるんですけど、そこを何とか理性で止めようとするアラサー店長の心の動きが、どことなく叙情的でじんわり響きました。

    3巻)闇(病み)が深めな姫川君の話がインパクト大でした。彼はモブ出身のキャラだそうで…私は、説明されて初めて「そういえば居たかも」くらいの存在感でしたが、なんか色々と怖かったです。やってることはほぼ犯罪だと思うけど、害はない(悪い子ではない)と信じたい。
  • やさぐれ男、異世界で色悪騎士が愛する王子の身代わりとなる

    小中大豆/奈良千春

    言葉選びのセンスが秀逸で重いテーマに感動
    ネタバレ
    2025年8月23日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 軽口を叩くシーンはあるけれど全体的に明るい印象はなくて、夜のシーンが多いこともあり暗めでテーマも重かったです。だけど、極度の困難にあっても未来を信じ希望を持って皆を導く礼夜の姿は、夜を照らす一筋の光のようでした。

    ストーリーの軸は「国取り合戦」で、礼夜が日本での経験を元に知略・突飛な戦略でもってのし上がっていくまでが、時代劇のようで読み応えがありました。そこへ王子とのやり取りやヴィダールとの愛などが合わさってきますが…全ての事に生死が絡んでくるんですよね。何もかもが命懸けなので、展開に重みがありました。

    恋するのも命懸けで、その表現が秀逸でした。恋に…一般的な「落ちる」ではなくて「堕ちる」と言っていますし、「用心していたのに、いつのまにか深く囚われていた」とも言っていて、礼夜が恋におちる事を負のイメージで捉えているのがよく分かる表現でした。

    一般的な人ではなくて、主人公・礼夜が恋におちた時の心境・状況を、これ程上手く表現できる作家さんは稀だと思うし、言葉選びのセンスに感動しました。

    礼夜が、愛だ恋だの感情を心底軽蔑していて全く信じていない、そういった感情を持つことさえ許されない…そういう十字架を自分自身に課しているのが伝わってきて、持ってしまった時の絶望が「堕ちる」の文字の違いに感じられて深いなと思いました。

    系統的には『気難しい王子に捧げる寓話』に似ていて、ストーリー性重視の作品かなと思います。
  • コッコとのこと

    三田六十

    虚構かもだけど深く大きな愛の話に感動した
    ネタバレ
    2025年8月22日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 初めての作家さんでしたが、試し読みの感触が良くて読んでみました。試し読みでは、ニワトリの擬人化も可愛かったし、雛の段階で雄か雌かで将来が変わる…というのも知識として知っていたので、逃げ出した先には(絵柄的にも)ドタバタラブコメ系のハピエンしかないと思っていました。

    が、意外にも性別や種族・常識までも乗り越えた深く大きな愛の話で、まさか涙するシーンがあるとは思ってもいませんでした。コッコが、オットから貰うものの全て(夫そのもの・名前・一緒に寝ること・働くこと・昼寝でさえも)に、全身で喜びを表して心から幸せそうで、それでいて依存するのではなく、生きる目的みたいな固い決意をもって別れを選ぶシーンには、切なくて泣けました。純粋無垢な魂は、世間擦れした男(オット)の心・生き方さえも変えてしまうのだなと思い知りました。

    この作品の何が凄いかと言うと…結局、オットは(もっと言うとコッコの周りの者全員が)最後まで真実(コッコは雄だから卵は産めないと)伝えないんですよね。つまりは、誰もが嘘つきでこコッコを騙しているも同然だと思うんです。この場合、「相手を思いやる嘘」とは少し違う気がします。でも、誰一人として悪者はいない絶妙な落とし所が凄いと思います。

    突き詰めれば、「誰も真実を伝えていないだけ」で、「嘘つきではない」のかもしれません。それでも信じているコッコからしてみれば「虚構の世界」なわけで…複雑な心境になりました。

    可愛い作画とストーリーであるのに、ある意味メリバのような結末で、でも誰もが幸せな気持ちになる、不思議で優しいお話でした。真実を伝えることが、必ずしも幸せに繋がるわけではないと学んだ作品でもあります。
  • 淡雪国の壮麗なる日々

    サブロー/もちゃろ

    愛らしい二人に終始顔が緩みっぱなしでした
    2025年8月21日
    読み始めてすぐから薄々「面白さの一番の要素はギャップかな」と思ってはいましたが、これが想像以上に激しくて笑ってしまいました。冷酷な王子のイメージとは反対に、やたら動揺しやすく素直な反応をするヒサギ…侍従のクサバにツッコミを入れられる度に「はっ」とか「む」とか、心の声がダダ漏れなのが楽しいです。

    鈍感で一生懸命なカナンも可愛いくて、恋を現象だと思っている(つまり経験はおろか聞いたこともない感じ?の)初心さが堪らない。それなのに夜のテクニックは仕込まれているという妙な極端さも初々しくて愛らしにキュンとしました。

    カナンの努力の方向性が…間違ってるわけではないんだけど、でも明らかに、そして大幅にズレていて、それもこれも下手したら「あざとさ」を感じそうなものだけど、そういう嫌な感情は1ミリも芽生えず、ただ応援したくなるような可愛さしかありませんでした。

    誘い受けと襲い受けの両面がある、ニュータイプの受け(カナン)とヘタレ攻め(ヒサギ)の攻防がトンチンカンで、でも好きが溢れていて楽しいです。ヒサギとクサバの言動は、熟練のお笑いコンビみたいで面白かったです。全体的に外で読めないくらいにニヤニヤしながら読みましたけど、従者らしからぬクサバの受け答えには吹き出してしまったほどです。
    いいね
    0件
  • 鮫は桜に恋をする【コミックス版】

    強面なのに愛情深い鮫島が犬みたいで可愛い
    2025年8月20日
    内容が同じかは分かりませんが、1巻は【読み放題】の同人誌版を読んで、レビューもそちらにしました。単行本版は2巻からです。なので今回は2巻のレビューをします。

    1巻が出会いからのDKものだとしたら、2巻は大学生編(ただし先輩・後輩なので桜木だけ)という内容でした。大学は、高校の延長線上にある「学校」なのに何もかもが違いすぎて、それが原因で起こるすれ違いなどがメインのお話でした。

    その他に(性)生活の悩みなどもあり…桜木は真剣なんでしょうけど、何だか楽しかったです。相談に乗ってあげてる尾田っちの虚無顔などの百面相に笑ってしまいました。

    すれ違い・修羅場・惚気・切なさ・ラブラブ…色々てんこ盛りで楽しめました。この後、同棲編が始まると聞いて読むのが楽しみです。
    いいね
    0件
  • 恋する救命救急医 それぞれの空 【電子オリジナル】

    春原いずみ/緒田涼歌

    芝居の幕間・小休止のような軽い内容
    2025年8月19日
    タイトル通り…7CPそれぞれの「空」にまつわる短編集。短いながらもシチュエーションややり取りにCPごとの特色が出ていて、穏やかな気持ちで読み進められました。…が、最後の貴志×森住の話だけ、らしいと言えばらしいのかもしれませんが微妙で(内容があるのかないのかよく分からない上に短かった)軽くズッコケてしまいました。

    どのCPも二人の絆とか育むものがあるのを感じられて、ほっこり読んでいたのですが、最後だけあまりロマンチックさがなかったのです。まぁ…そこが現実主義者らしい貴志っぽい気がしないでもなかったですけど。

    シリーズの大ファンとか、推しCPが出てくる話は絶対に外せないとかでなければ、読まなくても今後のストーリー展開に影響はない気がします。芝居だったら幕間、いわゆる小休止のような軽い内容でした。
    いいね
    0件
  • 「BUDDIES」番外編集【電子限定版】

    倫敦巴里子

    甘〜い雰囲気が仲の深まりを感じさせる
    2025年8月18日
    表紙・目次などを抜いて正味25ページ、2作品。レビューを書く為に情報としてページ数を調べましたけど、読んだ直後はそんなことまで頭が回らないくらいの満足感がありました。要するに「ページ数以上のものがあります!!」と言いたいです。少なくとも本編が刺さった人には、是非とも読んでもらいたいです。本編より甘い雰囲気で良かったです。嬉し恥ずかし甘酸っぱいシーンも、二人の関係が深まったのを感じられました。
  • さあ、俺に恋をしろ【SS付き電子限定版】

    倫敦巴里子

    どちらも濃密で深い、痛みを伴う大人の話
    ネタバレ
    2025年8月17日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 表題作と別作品がありました。このような場合、私は「どちらかが、より好み」な事がほとんどなんですけど、今回はどちらも凄く良かったです。

    表題作は、二人の性格と特徴がはっきりしていて、それ故の演技への拘りや姿勢の違いが明確で、対照的(正反対)過ぎる為に役者としては対立しライバル視し合うも、恋愛対象としては惹かれる…複雑な心情にグッと引きつけられました。

    演技を通して魂同士がぶつかり合うみたいなシーンは、絵の表情からも心の叫びみたいな空気感がひしひしと伝わってきて、演技の奥深さにぞくぞくしました。そんな中、息抜き的なポジションにいる城之崎のマネージャーの腐女子っぷりが楽しかったです。

    もう1作の『君は一万光年のひかり』は前後編で、もしかしたら苦手な人がいるかもしれない設定でした。私は特に地雷がないので隠された意外な展開に度肝を抜かれたし、そういうのも大人のBLとしては「あり」で面白いと思いました。以下、本気のネタバレになりますのでご注意を…

    役は変わりません(つまりリバはない)が、相手が変わります。どちらも固定を望む人には厳しいかもしれません。
  • Donut Ring「初恋の嵐」番外編【電子限定版】

    凪良ゆう/木下けい子

    弁護士もかたなし…バカップルぶりが楽しい
    2025年8月16日
    シリーズを小説も漫画も読んでいたので、番外編が出て嬉しくて当然のように読んでみました。内容は、ライトなドタバタ・ラブコメでした。二人の関係については、色々と問題提起はあるものの…進展も解決もないまま終わります。唐突な終わりに唖然としましたけど、続きがあると思って楽しみに待ちたいと思います。

    とあるシチュで、蜂谷が入江を「ムッツリスケベ」と言っていて、頷きつつも「いや、もっと上の段階へ行ってる『変態』なのでは?」と思ってしまいました。そんな変態ムッツリの入江が好きで、何だかんだ入江の口車に乗せられて、あれよあれよと流されて一緒になって変態プレイをしている蜂谷がちょろ可愛でした。

    蜂谷のことになると馬鹿になる入江のポンコツぶりにも笑ってしまい、弁護士と言えども恋をすればただの人…しょーもないバカップルぶりが楽しかったです。
    いいね
    0件
  • アヒルの卵【SS付き電子限定版】

    倫敦巴里子

    やや不健全で屈折したキャラが多い気がする
    2025年8月15日
    表題作と別作品が二作ありました。今回は、2作目以外は屈折したキャラが多かったように思います。特に1作目の攻め、3作目の受けが、病んでる…とは少し違う曲がり方をしている気がしました。そして、モテないだけで一見普通そうなお相手までもが染まっていって、結果CPで不健全さが強調されていたような…。

    屈折した相手を好きで、受け入れて、ただ一人の相手と思うなら、ほとんど一心同体みたいなもので…飼い主が飼い犬に似てくるのに近いと思いました。特に表題作は、犯罪スレスレだと思うのに、好きな人にされるなら警察沙汰どころか嬉しいと思えるんだから、何事も気の持ちようというか、ものは言いようというか何なのか、イケメンなら何をしても許されるような空気の近さを感じました。
    いいね
    0件
  • 狼王子とパン屋の花嫁【シーモア限定特別版】(イラスト付き)

    釘宮つかさ/サマミヤアカザ

    優しい気持ちになるハートフルファンタジー
    2025年8月14日
    出だしから好みの予感がして、どんどん先へ読み進めたくなりました。具体的には「安心安全・王道・溺愛・甘々・ラブストーリー・もふもふ添え」という内容かなと。そんな感じで気楽に読んでいましたが、割と早い段階で思いがけない秘密が明らかになり…ただただ甘いだけではないぞと、適度な推理要素も加わって、更に私好みで面白くなりました。

    表紙の次のカラーイラストからもエンドは読めますし、予想と大きく違うこともなく、それでいて細かなアップダウンはあって飽きさせない楽しさがありました。
  • 放課後エキセントリック【SS付き電子限定版】

    倫敦巴里子

    表題作DKとすれ違い社会人CPの二作品
    2025年8月13日
    表題作3話と前後編の別作品がありました。内容は、表題作がエキセントリックなDKの話、もう一方がトラウマ急に拗らせた社会人BLでした。

    DKの話は、タイトル通りエキセントリックな趣味嗜好が共感はできないものの…そして可愛いさもあまり感じないながらも、大真面目に可笑しな事を言ったりやったりするのが面白かったです。

    私は後半の話の方が好みで、何とも奇妙なすれ違い状態になっていたり、特に純の心の傷を思うと切なかったけど、大人の恋愛らしくて読み応えがありました。こういう「想い合っているのに心理的・物理的にすれ違う」ストーリーの組み立てが、抜群に上手な作家さんだなと感心しました。
    いいね
    0件
  • 銀色きつねは愛されアルファ

    葵居ゆゆ/カワイチハル

    バース設定に拘る人は注意が必要かも
    ネタバレ
    2025年8月12日
    このレビューはネタバレを含みます▼ シリーズものとはどこにも書いてないけど、『愛されオメガの幸せごはん』のCPが出てくるので、軽くリンクしています。前作の二人は運命の番だったけど、今回はタイトルからも何となく察せられますが、アルファが受けなんですよね。何気にこれって漫画でも小説でも凄く珍しい設定だと思います。そうなる為にはアルファ同士のCPが考えられますが、とにかく少ないパターンですよね。

    結局、バース設定の予想も外れて驚かされて、その他諸々私はこちらの方が好みでした。様々な葛藤や痛みを乗り越えて、決められた「運命」ではなく自分が「運命」を選ぶのだと信念のような強い想いで結ばれた二人が羨ましくもあり、微笑ましくもありました。

    凛一のお兄さんはかなりいい性格でしたが、なんか憎めない人で、素人読者ながら料理のしがいがあるタイプだと思いました。お兄さんの救済作を見たいので、シリーズ化を強く希望します。
    いいね
    0件
  • 新妻くんと新夫くん おかわり 【電子限定特典付き】

    蔓沢つた子

    ヤンデレ度と変態度がエスカレートして…笑
    ネタバレ
    2025年8月11日
    このレビューはネタバレを含みます▼ おかわりと言うだけあって一冊丸々表題作で、めいっぱい楽しめました。前半部分は、付き合いが長くなればあり得そうな内容が多くて、それ自体は普通なんですけど、いちいちアホエ◯な展開になるのが面白くて笑ってしまいました。

    ポイントとしては、今まではヤンデレ進化する新妻に引いていたはずの新夫が、新妻の新しい一面を見つける度に変態度が増していく新夫に新妻が引くという逆転現象が起きていることです。そして妙な解釈違いをした新妻がおかしな方向へ進み始めて、また新夫の変態度が増す…みたいなやり取りも良かったです。

    後半で辻ヶ堂が参戦してくると、水面下で冷静に損得勘定をしつつも、余裕なさげに新妻愛を全開にしている姿が微笑ましかったです。受けを溺愛してカッコ悪いくらい愛情を示すのは、逆にカッコ良いと思いました。

    辻ヶ堂の出現で、ラストスパートをかけるように新妻のヤンデレが加速して危うく最終形態まで行きかけた時はハラハラしましたが、それも含めて楽しくて何杯でもおかわりしたくなりました。
  • 新妻くんと新夫くん【電子限定特典付き】

    蔓沢つた子

    ヤンデレ受けを可愛いと思える日が来るとは
    2025年8月10日
    表題作とシリーズとは別作品が半々くらいの割合で入っていました。『新妻くんと新夫くん』は、新妻のヤンデレ具合に磨きがかかりエスカレートしていて面白かったです。そして、前よりももっと可愛いと思いました。なんて言うんでしょうね…基本は新夫と同じで「怖い」とか「キモい」という表現が合うと思うんですけど、見た目と行動に反して(多少行き過ぎ感はあるものの)健気なんです。新夫の為に料理を頑張るとか、自分のことは何を言われても無頓着なのに新夫に対する評価には全身全霊を傾けるとか、単純さが忠犬みたいで可愛いくて愛おしく思えました。

    新夫もそんな新妻に絆されたのか、新妻がどん底の時のサポートには愛があった…いえ、愛しかなかった気がします。まさか自分がヤンデレにハマって、しかも可愛いと思う日が来るなんて思いもしなくて、新鮮な出会いでした。
  • 強面の純情と腹黒の初恋【特別版】

    海野幸/木下けい子

    不安な時は、自分を信じる事から始めよう
    ネタバレ
    2025年8月9日
    このレビューはネタバレを含みます▼ これほど端的で的確な内容を表したタイトルもなかなかないだろうと思えるタイトルだなと思います。一言で言ってしまえばタイトルのままなんですけど、海野幸先生ですから…もちろん実際の内容は色々と入り組んでいで読み応えがありました。

    双葉と梓馬それぞれの性格の掘り下げや、気持ちの揺れ動きと恋愛感情の描写など、見どころがたくさんありました。双葉の不安感の原因を探っていった時に「相手(梓馬)を信じられないのではなくて、自分を信じられない」事実に行き着きます。

    その時に二人とも腑に落ちたようでしたが、私も同じで…「自信」て、「自らを信じる」という漢字の通り、自らを信じられない状態を自信がないというんだな。自信がないから不安になる…なるほどなと妙に納得できて、人生勉強になりました。これからは、不安になったら自分を信じることから始めてみようと思います。
    いいね
    0件
  • くさかんむりに化けると書いて

    蔓沢つた子

    対照的な2CPの話…シリーズ1作め
    2025年8月8日
    表題作と『新妻くんと新夫くん』の二作が半々くらいの割合でした。私は『新妻くんと新夫くん』『〃おかわり』を読みたくて、シリーズ1作めのこちらから読みました。

    そんな前置きがあり…表題作は、多少突飛な流れやセリフがあるものの、ほとんどが至って常識的で一般的な二人の恋愛と感じました。その反動もあり、『新妻くんと新夫くん』はなかなかに衝撃的で刺激的で楽しめました。

    正直に言うと、ヤンデレ系は得意ではなくて分かっていれば避けることの方が多いので、新妻の性格・人格が判明してすぐに「選択をまちがえたか?」と思いました。でも、流石は続編が出るだけあって、あろうことか新妻を「可愛い」と思ってしまう自分がいて、軽い衝撃を受けました。苦手が逆転してハマってしまう未知の魅力がある作品だと思います。
    いいね
    0件
  • 黒き獣と夜の花【シーモア限定描き下ろし付き】【コミックス版】

    丸田ザール

    明るい陽だまりのような春樹に癒される
    2025年8月7日
    タイトルは志賀(黒き獣)と春樹(夜の花)のことを表していると思いました。志賀は裏社会の人間という意味で黒、春樹は盲目というところから夜を連想しました。夜は暗いので、どちらも黒や暗いイメージがありますけど、読んでみると春樹が纏う空気とか印象は、断然「白」なんです。明るい陽だまりがとてもよく似合います。

    ある一面では似たような(暗い)ところがあるけど、その実…正反対とも思える二人がとてもお似合いで、志賀の職業柄殺伐とした描写もあったのに、何度も春樹の微笑みに癒されました。

    デビュー作?とは思えない完成度でした。
  • 妄想ばかりでごめんなさい【SS付き電子限定版】

    村上左知

    パステルカラーのように優しい癒しBL
    2025年8月6日
    先生の作品は、全体的にゆったりした流れと優しい雰囲気で、切なさはあっても心が削がれるような致命的な悲しみはまずないので、穏やかな気持ちで読めて癒されます。そういう意味では、BL初心者の方におすすめです。逆に猛者の方には物足りないかもしれません。

    表題作3話とスピンオフ2話、喫茶店を軸に2CPの話が入っています。私はどちらかと言うとスピンオフの倫太郎の話が好みでした。苦労者・見た目と中身のギャップがある二人のキャラ設定がツボでした。単純にケンカップルが好きというのもあるけど、ケンカまでじゃなく犬(ボーダーコリーとパピヨン)のじゃれ合いみたいで可愛かったです。
    いいね
    0件
  • メルティホワイトアウト[コミックス版]

    鯛野ニッケ

    絵もストーリーも芸術的に美しく素晴らしい
    2025年8月5日
    ある意味、芸術的な作品だと思います。なんかこう…クラシックコンサートを聴いているような感覚になりました。そこに言葉はなく、音しかないはずなのに、物語が、世界が広がって見える…みたいな。もちろん漫画なので、言葉はあるんですけど、文字や音以外の何かが感覚的に伝わってくるようでした。

    演技に対してかなり本格的に掘り下げてあって、素人にも「役者によって同じ作品が全く別ものになる」のが理解できましたし、そういう演技ができるが故の苦悩と恋愛を絡めたストーリー展開も素晴らしかったです。そして、芝居の世界・二人の世界に読者を惹きつける、圧倒的な絵の美しさ!!非の打ち所がない完成度でした。綺麗なだけじゃなく、可愛かったり儚げだったり優しい微笑みだったり、読み応えも見応えもありました。

    真樹の役者魂と辰彦の脚本家魂が、求め合い刺激し合って作り出す芝居と、肩書き込みで惹かれ合う恋が織りなす世界観が、映画みたいに素敵でした。
    いいね
    0件
  • 家計簿課長と日記王子【特別版】

    海野幸/夏水りつ

    重くはないけど、切なく考えさせられました
    2025年8月4日
    タイトルからは繋がりにくいですが…ざっくり言うと、家計簿をつけて節約生活(というか、もはや人生)を送る課長と、ある事をきっかけに共同生活をする事になった節約とは縁遠い部下のお話です。

    周平の強迫観念にも似た節約思考に対して伏見が言った「楽しそうに節約する人はそれでいいと思うけど、課長はそうじゃないみたいに見えた」というセリフに、思いやりの心を見つけて感心しました。私だったら速攻で節約=ケチのレッテルを貼ってしまいそうです…。そういう色眼鏡で見ない所に人としての徳を感じました。

    実際、無関係の読者である私から見たって伏見の買い物に「それは無駄使いでは?」と思うような出費もあった気がします。私が周平寄りの考え方をするというのもあるでしょうけど、伏見マジックというか、彼の言葉・考えを聞くと周平同様、妙に納得してしまう自分がいました。

    そうやって、節約(家計簿)・お金・日記・王子と、タイトルから過去、考え方など様々な要素を上手く繋ぎ合わせてあったと思います。特に光るブレスレットの話はガツンと響きました。軽い気持ちで読み始めましたが、思いの外切なく考えさせられるお話でした。
    いいね
    0件
  • 食べちゃだめなのにおいしいです

    山田2丁目

    スタンダードな前作、逆転現象が面白い今作
    ネタバレ
    2025年8月3日
    このレビューはネタバレを含みます▼ シリーズ最新作。前作の世界観はそのままに、穂高と大喰が従兄弟という設定で穂高は少し登場します。始めは少し混乱しましたけど、穂高は鬼業界で名が知れ渡ってるだけで、前作とは別高校が舞台です。

    前作も面白かったけど、「鬼とヒト」との関係性を考えるとスタンダードな設定・展開だったと思います。ヒトが鬼に食われる→鬼を恐れる→ヒトである事を隠す&逃げるというような。

    今回は、奇妙な捩れ現象が功を奏していた気がします。本来なら逃げる立場だと思うヒトが鬼に迫り、どうにかこうにか自分を食べさせようとする→鬼が倫理観を大事にして食べまいとする→結末は見えてるのに必死な攻防戦を繰り広げる…というような逆転現象が面白かったです。

    細かな設定で言うと、大喰の可愛い見た目に反してキリッと男前な性格や、巨ツノへの拘りが先行して大喰に執着していた赤石が恋を意識する瞬間など、色々とギャップも楽しめました。
    いいね
    0件
  • 恋をするにはイケメンすぎる

    リオナ

    見た目はイケメン、中身は天然で面白い
    2025年8月2日
    「イケメン」というワードが、これ程ネガティブに捉えられてるのに面白いってのが新鮮でした。イケメン周辺で起こりやすそうな困りごとから事件まで、あらすじにあるエピソードは普通かなと思います。でもそこで終わらないのが先生で、イケメンなのにどこかズレてる西園寺のキャラとか、ネガティブシンキング対策に向かった先が料理教室とか、小さな意外性が様々な面白味になって大きな楽しみに繋がっていくようで、とっても楽しかったです。

    BLなので、料理教室の先生が男性なのは分かりますけど、出会って恋して(すれ違いもあるかもしれないけど)ハピエンでめでたしめでたし…ではなくて、昴先生の暗黒とも言える過去がなかなかの衝撃で笑えました。恋の駆け引きみたいな展開も工夫があって面白かったです。
    いいね
    0件
  • 黒猫にキスを

    鈴木レモン/湊はつはる

    ほぼ恋愛関係の話なのに飽きずに楽しめる
    ネタバレ
    2025年8月1日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 穏やかそうな表紙とタイトルに加えて、多くはないけどそこそこあるレビュー数と、小説では珍しいくらいよ高評価に釣られて読んでみました。ざっくり全体について言わせてもらうと…それほど大きな事件・事故・国家間のいざこざなどはありません。ほぼほぼ二人の恋愛についてのお話なので、込み入ったストーリーを好む方には向かないかもしれません。それでも高評価に違わぬ面白さがありました。

    始めはニデル視点から語られ、良い意味で緩い話ぶりが楽しかったです。レガートに関しては、真面目で堅物、実直なキャラ設定を前面に出してこられたので、素直に受け止めていました。その後レガート視点に転換すると、何やら不穏な空気になり…「この先、二人の関係はどうなるの?」という大事な所で、焦るでもなく「やる事やってて、実は男性相手も経験あり」とか、イメージが180度変わって少しがっかりしたりもしました。

    二人の関係が明るみになった後もレガートは、現代風に言うとセフ◯関係を安易に受け入れられる緩さとか、この期に及んで「恋情ではない」と言えてしまう配慮・道徳観の無さとか、あまりに世俗的な普通の男過ぎてビックリしました。

    相談を受けた元上司の「お前、結構な最低男だぞ」という言葉に頷きしかなかったし、誰がどうジャッジしても「クズ」だと思うのに…そう言い切れない何かがある不思議な人物でした。どうなることかと思った二人でしたけど、周りに助けられて大団円のラストを迎えられて良かったです。
  • 溺愛ホストにご指名いただきました【電子限定おまけ付き】

    ヤマヲミ

    あとがきまで余す事なく面白い
    2025年7月31日
    作家さん買いの方向で色々読んでいます。今回も面白かったんですけど、ただ1点「おもらし」系は得意なほうじゃないので、そこだけちょっと乗りきれませんでした。私だけかもしれませんが、苦手な人は気をつけてほしいです。

    でも相変わらずコメディと恋愛とのバランスが良くて、二人の心情に合わせて上がったり下がったり楽しませてもらいました。そして期待の「あとがき」は、今回も最高に笑えました。先生の独り言のようなノリツッコミ、願望のような軽い愚痴のような文章も面白かったです。
  • 鏡よ鏡、毒リンゴを食べたのは誰?

    小中大豆/みずかねりょう

    命を削るようにして輝き続けた十年とその先
    ネタバレ
    2025年7月30日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『呪禁師〜』がコメディテイストが少しあって面白かったので、同じ作家さんだからと同じノリで読み始めたら全然違いました。重過ぎない程度に互いの愛を切望し、同時に仕事についても人生そのものであるかのように真剣に、命を削る覚悟でもって向き合う二人の、あらゆる意味で成長を見られた、そんなお話でした。

    溺愛とは真反対の天才肌だけど無節操な攻め、不憫で頑張り屋、繊細だけど内面に不屈の闘志を燃やすアンバランスさある受け…出だしからずっとハピエンとは縁遠そうな展開が続きますが、目が離せない面白さがありました。

    十年という長すぎる年月は、いい大人になってからの初恋の代償でしょうか。お互いにお互いの本心を盛大に見誤りながらも阿吽の呼吸で歩み続ける二人は、約束せずとも運命共同体のようでした。

    2巻まであるので、ずっと永利の苦しいターンが続くのかと思いきや、1巻でいい感じのラストを迎える形で綺麗に纏まっています。2巻は続編という感じで、難しい役どころに主演でチャレンジする話です。この先あるであろう時代劇出演で、もっと永利の新境地や新しい顔を見たかったので、完結なのが残念です。
  • こぼれるアンビバレンス【コミックス版】

    はかた

    DKながら、ちょっと大人な内容で良かった
    ネタバレ
    2025年7月29日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『さんかくトワイライト』のスピンオフ。前作で微妙な立ち位置と役どころで、主役でなかったのもあるけど微妙な終わり方をした渉のお話です。

    どちらも良かったけど、同じDK同士とはいえ渉が高3だったりバイト内容(バーテンダー)だったりで、やや大人な雰囲気のあるこちらの方が、私は好みでした。

    あと、受けのタイプも大分違います。前作はヤンキー・駄犬タイプ、今回は訳ありツンツン坊やで、同じ可愛いでも侑吾みたいなタイプは、ツンの裏にある事情を知りたくなるし見守りたくなってしまって、渉同様に目が話せなくて気になりました。

    タイトルの「アンビバレンス(両面性)」も上手い付け方するなと思いました。これは渉と侑吾、どちらにもいい当てはまるのだろうなと思いましたし、より複雑なストーリーに仕上がっているように感じました。前作の二人も出てくるので、その後の関係性も分かって良かったです。こちらのシリーズは、順番に読んだ方がいいと思います。
    いいね
    0件
  • 愛しのXLサイズ

    重い実

    絶対に面白いので、まずは一冊読んでほしい
    2025年7月28日
    先生の作品は、『ビッ◯なスズキくん』を読んでとてつもなく感動しました。…が、なかなか心理的負荷が強かったので他作品は何となく「同傾向だと感動はしても辛いかも」と敬遠しがちでした。

    でも読んでみたら全然重くなく面白かったです。先生の作品は、何とも言えない雰囲気というか世界がありますよね。凄くシュールなんだけど、その世界に染まってしまうと可笑しなことも当たり前に感じて、何だかんだ納得させてしまう力がある気がします。

    笑わせようとギャグやコメディに全振りしているわけではないのに、真面目にちょっとズレた事を言うのが面白さの根源だと思います。あと、解説なしのやりっ放しの小ネタの数々も楽しかったです。例えば…小林くんが突然(しかもなぜか途中の17から)素数を数え始めた時は「何が始まった?」とワクワクッとしたのに、何のフォローもなしとか。突然「ブルータスお前もか」と始まったり、北斗七星みたいにつけられたキスマークとか。意味があってもなくても、入れ込むタイミングや小ネタのチョイスが絶妙で笑えました。
  • 呪禁師百鬼静の惑乱

    小中大豆/yoshi

    百鬼の過去と真の力が明らかになる重要巻
    2025年7月27日
    『呪禁師〜誘惑』の続編です。前作と比べて、事件としても過去の掘り起こしにしても重かった気がします。それに比例して百鬼の仕事内容も手始めの一件以外は、真面目で本気の(つまり本当の力を使う)ものだったと思います。呪禁師の真の力を使うからといって、怖い話ではないのでホラーが苦手な人も大丈夫だと思いますけど、全体的に暗いしドロドロしていて、違う意味で苦手な人がいるかもしれません。

    私としては、コメディ要素のある軽めのホラーやミステリー×BLは大好きなので、シリーズ化してほしいなと思います。今回、百鬼に師匠がいて師弟関係で仕事をしていたことが明らかになり、一人になった後は鳴海を迎えて二人で仕事をする…年の近い二人なのだから師弟というより相棒の方が近い気がします。なので、今後もバディものとして続けてほしいなと思いました。
    いいね
    0件
  • 新宿69へヴン【単行本版】

    ウノハナ

    小冊子も良かった
    2025年7月26日
    本編は単話版で読み、レビューはそちらに書きました。単行本版は20P小冊子だけの購入なので、今回は小冊子のことについて…

    ページ数は決して多くないけど、本編のような心が軋むようなシーンはなくて穏やかな気持ちで読めました。特にヒロムの、ささくれ立った雰囲気が抜けて全幅の信頼を置くように九谷に心も身体も預けている様子に安心しました。九谷しか見えてなくて、全方位に目を光らせては嫉妬する姿が可愛いかったです。
    いいね
    0件
  • お参りですよ -特典集-

    山本小鉄子

    お楽しみ&特別感いっはいでした
    2025年7月25日
    この素晴らしさを何と表現すればいいのか、どう伝えればいいのか悩むくらい良くて…とりあえず最初から最後までずっとニヤニヤしながら読むくらいに面白かったです。

    元々本編があって番外編集があって、更に今回は『特典集』ですから…名前からして特別な気がしますよね。読んでみた感想は、ほとんどがどこそこで購入した方限定の「特典」的な意味合いのもので、他に番外編や書き下ろしみたいなものとか、小冊子とか、色々な意味合いのものが合わさったような感じのものでした。

    私は、パラレル漫画みたいな特殊設定のお話が特に面白いと思いました。やたら兄弟がかち合うシチュも、独特の気まずい雰囲気に笑ってしまいました。お菓子のアソートボックスのようにお楽しみいっぱい、特別感いっぱいの内容でした。
    いいね
    0件
  • 呪禁師百鬼静の誘惑

    小中大豆/yoshi

    正反対な二人の対比と百鬼の仕事が面白い
    ネタバレ
    2025年7月24日
    このレビューはネタバレを含みます▼ シリーズ1作め。『気難しい王子に捧げる寓話』がとにかく面白くて、こちらも読んでみました。今回は百鬼の重そうな過去を仄めかしながらも、軽めのノリで楽しく読めました。

    鳴海が言う百鬼の紹介内容が、雇い主である人に対して一切の配慮も忖度もなく、正直かつ正確にぶった斬る感じで面白かったです。為人や仕事内容・仕事に対する姿勢を聞いて笑えるなんて、最初から先が楽しみで期待しかありませんでした。

    真偽の入り混じった不思議な力と魅力的な人柄とに鳴海が振り回されながらストーリーは進みます。「偽」については、大抵その場ではっきりと知らされるので分かりやすいですけど、最後の紙人形については何もなくて「真」?なのかどうなのか気になって仕方なかったです。

    鳴海や百鬼本人の言葉から、イカサマのようでもあり何らかの力が働いたようでもあり…おそらくは「真」だと思いますが、ちょっとモヤモヤしました。でも、そんな未解明な部分も含めて面白かったです。
    いいね
    0件
  • kitty,kitty,kitty! -ケダモノアラシ-(分冊版)

    黒井モリー

    永久保存したい可愛さが詰まってる宝箱
    ネタバレ
    2025年7月23日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 待っていればいつかは纏まるだろうから…と、暫く犬のように待てをしたのですが、ついに可愛い誘惑に負けて分冊で購入してしまいました。でも全然後悔はしていません。むしろ120%読めて良かった「可愛いの宝箱」みたいなお話でした。

    私は翔ちゃんと双子も大好きですが、それと同じくらい(出番は少ないのに存在感のある)陸くんが好きで、分冊1のナッティのかぼちゃパイのシーンでの翔ちゃんと陸くんの対比がめちゃ可愛でした。

    あとは分冊3の大人たちが描く「子供たちの将来への妄想」も良かったです。翔ちゃんと双子は、両親の良いとこ取りをしたみたいな好青年に、陸くんも爽やかで優しげに育っていて、みんなイメージ通りでカッコ可愛かったです。複数回の再読にも耐えられる永久保存したい純度100%の可愛さが詰まってます。
  • 落ちこぼれオメガと一途な騎士の溺愛結婚【SS付】【イラスト付】【電子限定SS&コメント入り】

    佐竹笙/兼守美行

    色々と思い込みを裏切られるのが面白かった
    ネタバレ
    2025年7月22日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 作品タグが「初心」1つだけというのが、何とも潔くてクスッとしました。オメガバースで(タイトルの)落ちこぼれで「初心」とくれば、私は自然とオメガの受けを想像しましたが…意外にもスーパー攻め様のアルファの方で、良い意味で裏切られて楽しかったです。

    あとは、「アルファもオメガも男にしか現れない」という設定が独特で、BLが当たり前に成立する世界観を自然に見せるのが上手いなと思いました。

    初心というか世間知らずというか、おぼっちゃまのイルネド(アルファ)に、しっかり者のセノ(オメガ)が手ほどきをするうちに…というお話でした。最初のイメージ通りにストーリーが進むのかと思いきや.…心根の純粋さはそのままに案外世の中の仕組みを理解していて、社交性もあり処世術を知っているイルネドに驚かされたり、職業柄?擦れてると思っていたセノが清らかだったりと、意外性も多くて楽しめました。

    個人的に、セノとイルネドの父とのやり取りが面白くて、腹の探り合い・裏のかき合いのような雰囲気を出しつつ、実はセノの為人を浮き彫りにする重要な見せ場の1つだったように思います。
    いいね
    0件
  • 【新装版】いぬとねこ。

    カワイチハル

    作風・設定・絵に可愛いが溢れてて癒される
    2025年7月21日
    セリフ(吹き出し)がほとんどない4コマ漫画風の作品で、初めての感覚が新鮮でした。そして犬・猫(後半ではそれ以外の生き物たち)の擬人化も不思議で斬新な設定だったと思います。絵の何とも言えない可愛さも魅力的です。

    擬人化は、特に条件やルール(どんな時に人型になるかなど)がないようで、なかなか唐突で行ったり来たりが激しいんですけど、のんびりゆったりした雰囲気の中ほっこりほのぼのした気分で読みました。

    犬・猫の二人(2匹)以外の種族を超えた心の触れ合いも温かい気持ちになりました。カテゴリーはBLですけど、キスシーンくらいしかないライトな内容なので、どなた様にも楽しめると思います。229ページの大容量でずっと幸せな気分で読めます。癒されたい人・時におすすめです。
    いいね
    0件
  • ファインダーの蜜月 特別小冊子

    やまねあやの

    誇張でなく本当に「特別」でした
    2025年7月20日
    色んな意味で「特別」でした。作品そのもの(ストーリーや設定)としても、秋仁がアニメイト池袋に潜入することも、組織(アニメイトという企業)や漫画業界の裏事情のことも、何もかもが特別で新鮮で面白かったです。その上、このお値段で52ページもあり、凄く読み応えがありました。

    最後の方にあった漫画が下書きから清書になるまで?のような流れが分かるページとか、先生とアシさんや編集さんとのやり取りが分かるページは、舞台裏を覗き見る感覚で楽しめました。
    いいね
    0件
  • 今度は死んでも死なせません!

    海野幸/十月

    相手の為に変わろうとする姿はかっこいい
    ネタバレ
    2025年7月19日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 現代版ファンタジーという感じで、つい最近読んだ『コールドスリープから目覚めたら』の逆バージョンみたいでした。『コールドスリープ〜』は未来で目覚める話なので、その逆で過去に行くことになります。その辺のそもそもの設定はファンタジーでもいいのですが、あと一つ、湯峰の性格というか人間性が、ちょっと行きすぎていて現実にはいなさそうと思いました。

    湯峰のは人が良いを通り越していて、彼の言う「困ってる人」は、私の中では困ってないんですよね。「試験は、過去問の有無に関わらず勉強すればいいだけ」だし、「アルバイトの後釜探しは、辞める本人ではなく店側がやること」だし、「宴会の会場探しは、困り事とは言わない」と思いました。本当に誰が見ても困ってる人を助けるのなら立派だと思うけど、そんな困りごととは言えないような事で身を削るなんて…湯峰の為には当然、本人の為にもマイナスでしかないのでは?と思いました。

    貴文の憤りや焦りに当てられて、同じかそれ以上に感情移入して鼻息も荒くのめり込んでしまいました。そして、思った以上、予想以上に山あり谷ありがあって、物語としては面白くていいことなのでしょうけど、入り込んでしまっているので辛いターン・考えさせられることが多かったです。

    普通は、未来を変える為に前と逆だったり違う事をすればいいと思いそうだけど、そうじゃない…それでは何も変わらない。正解はなくても最適解を出す為の苦しい戦いの末、考え方を変えれば行動が変わり、未来も変わると気づくことができる深い内容でした。
    いいね
    0件
  • 「放蕩息子と恋の穴」番外編集【電子限定版】

    九號

    ページ数学以上の内容と面白さに大満足
    ネタバレ
    2025年7月18日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 「完結表記」は一応の目安という感じで捉えているので、普段からあまり気にしていませんが、本編は完結したと思っていたので、少しでもこの番外編集は嬉しいです。正味26ページ程ではありますが、適度にコマ数や文字数が詰まっているのでページ数以上に読み応えがありました。

    学園祭のコンテストみたいなので、一位になる予想をしていた蒼佑が平然としている穣に「嫉妬してほしかった…」みたいな事を言う場面で、「毎日のように好きをぶつけられて〜」と思う穣に、恋愛的に強くなったなぁと感慨深かったです。そして、愛されてる自信のあるセリフに満ち足りた余裕を感じて、少し羨ましくもありました。

    ストーリーに全然関係ない所で、コンテスト出場の先輩の名前「中田嶋翔」くんが、気になって仕方なく…ずっと「名字の上か下の一文字はどっちか要らないんじゃ…中田か田嶋でよくない?」と、どうでもいい所で立ち止まったりして面白かったです。
  • 密事は後宮の中で【電子限定おまけ付き】

    秋山花緒

    後宮×BL設定が新鮮で楽しめました
    2025年7月17日
    初めての作家さんでしたけど、絵が綺麗でストーリーも面白かったです。中華系のお話が好きな人におすすめです。後宮という女の園に、グイッとBLをねじ込む斬新さがストーリーの肝で笑わせ所でもあって楽しめました。ただ…配信中になってはいても、一冊で起承転結がスッキリ纏まっているので読み応えが…とか、複雑な人間関係が…とかはあまりなかった印象です。

    事件や陰謀も、状況や力関係から大方の犯人や黒幕も透けて見えるのであまり深刻な空気はなく、ふんわり・さらっと雰囲気を楽しむ感じかなと思います。

    他の作品を見てみると『君主様シリーズ』がすごくいっぱい出ていて気になりました。次はこちらのシリーズを読んでみたいです。
    いいね
    0件
  • 世界の果てで待っていて

    高遠琉加/茶屋町勝呂

    色々と衝撃的で物凄いものを読んだ気がする
    ネタバレ
    2025年7月16日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 小気味いい文章と所々文学的な表現に珠玉のセンスを感じました。雨音や形容詞(夥しい)の聞き慣れない使い方など沢山ある中で一番を挙げるなら…私はこれ、「首から先が断ち切られた花みたいな、取り繕いようのない沈黙」です。沈黙という音のない状態を表すのに、聴覚じゃなく視覚で訴えるその手法に感嘆しかありません。

    二人の深層心理が絡み合うシーンでは、既の所で有耶無耶になった、櫂谷本人にも分からない気持ちの表現方法が逆にリアリティがあったと思います。相手を好ましく思う気持ちはあるのに、それが恋情に似た何かとは確信できない…したくない?複雑な想いが伝わってきて、理性的で理論的な人にありがちな思考回路で櫂谷らしいなと思いました。

    対して統一郎みたいな勘の強いタイプは、理論より理屈より今ある事実と感情を元に動いて「結果が全て」と考えるのではないでしょうか。行動・言動の全てにおいて櫂谷と対照的で、それでいて同じ熱を感じる二人の空気感にずっと触れていたいと思いました。

    1巻は主に統一郎視点で語られ、2巻は櫂谷視点で語られる割合が多かったです。そういう視点変換も後から考えると伏線のような気がしました。読者はもちろん、櫂谷でさえも知らなかった統一郎の真実、統一郎が見ている、追いかけているものを突き止めようとするならば、それは効果的かつ必要な設定で、先生の手法に衝撃を受けるばかりでした。

    一見、1巻と同じようなパターンで事件に関わる展開に軽い気持ちで推理を楽しみながら(本当に…どうしてそんな気楽にいられたのかと後になって思いますが)読んでいて、物語に暗い影を落としながらも過去として動かなかった二年前の事件が、突如として襲いかかってきます。

    そもそも「辛い過去」と思っていても、裏とか別の真実があるとか思ってもいなかったところへ青天の霹靂的に降って湧いた、重要で重大な事実…その衝撃は凄まじく、櫂谷同様に底知れぬ闇に飲み込まれたような気がしました。

    その辺の真実を突き止めようと、櫂谷が鴉や統一郎と距離を詰める時の心情や表情の揺れ・軋みなんかの表現が独創的で斬新でした。先生独自の文章と世界観が確立されているのを感じましたし、凄く好みでした。

    2巻のラストは、物語の核心に近づいた一番いい所で続く…パターンなので、何かしら叫んだのは私だけではないはずです。完結してから読みたい人は注意が必要です。
  • 麻見隆一の兎年症候群【ファインダーの陽炎 特別小冊子より】

    やまねあやの

    美麗で可愛いラビット達の天国が見られます
    2025年7月15日
    シリーズの小冊子の中でも最っ高ー!!私の中では一番です。19ページ中、イラスト等を除いた正味11ページ。ラビットシンドロームということで…麻見と秋仁のウサ耳は、本来のキャラ設定を壊すことなく良い感じですし、何より五つ子がメロメロになること間違いなしの可愛さでした。

    麻見似の二人と、秋仁似の三人でベビーのうちから個性が際立っていて可愛いかったです。名付け方もセンス…は微妙だけど分かりやすくて面白い。ベビーを連れて仕事する麻見様は、手に持つ物騒なものとのギャップがシュールでクールで最高でした。

    このラビットシンドローム、独立させてこれはこのシリーズで続けてほしいです。幼稚園・小中高・大と、成長する五つ子たちを愛でながら見守りたいと思いました。
  • 麻見隆一のファインダーの逆襲!?【ファインダーの抱擁 特別小冊子より】

    やまねあやの

    二人の話も良いけど、蔵出し画像に惹かれた
    ネタバレ
    2025年7月14日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 19ページ中、表紙・イラストのみを除いた正味12ページありました。内容は、この二人の力関係でこのシチュなら、まぁ…こうなるよねと、相変わらずと言うかお決まりと言うかな流れでしたけど可愛かったです。

    個人的に、いつものわちゃわちゃも良かったけど、最後の「蔵出し画像」の飛龍のおパンツ問題(?)が、めっちゃツボでした。問題提起から落ち着く先まで頷きながら楽しく読みました。
  • 溺愛紳士と恋するマカロン

    野原滋/せら

    細かい設定が120%活きていて素晴らしい
    ネタバレ
    2025年7月13日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 先生の作品は『そらの〜』シリーズが特に好きで、他にも何冊か読んでいて、今作もまた「設定が絶妙」だと思いました。トラウマや隠したい過去など様々な負の部分を知らないまま読み進めていると、待たされたら待たされた分だけ想像が膨らんで、終いには「これで大したことない理由だったらがっくりくるかも」と良からぬことを考えてしまう私がいます。しかも今回は、半分まで読んでも光の過去が明かされないので、ますますその気持ちが高まって…ぶっちゃけ失礼にも「しょーもない過去だったら許さんぞ」くらいに思っていました。

    だけど、事実が明かされた時(ちなみに半分を超えてすぐのタイミング)には、すんなり腑に落ちましたし、やっぱりさすがと思いました。幸不幸とか辛苦の匙加減というか心の負荷に対する感覚が、1ミリの狂いもなく正確なんだろうなと思います。タイトルやキャラ、ノリや空気感・ストーリー展開など、諸々の設定とダメージを与えすぎない「加減」の付け方が素晴らしいです。

    ブランを介して光の過去と香取の過去を繋ぎ合わせる演出も凄いなと思いました。コンパクトに端的に言ってしまえば、分かりやすくハピエンで、私もそれを求めて読んでいる訳ですが、本当に細かい所まで考えられたストーリーで読み応えがありました。
  • あの日、隣で歌っていた 【短編】

    早寝電灯

    幸せのブーメランに心が温まる
    2025年7月12日
    『52ヘルツの共振』で先生のファンになり、作家さん買いする勢いで読んでいます。今回は、短編でこのお値段で…正直、サラッとふんわり雰囲気を楽しむ感じかなと思いましたが、全然違いました。

    まずページ数…お値段以上の正味44ページもありました。ストーリーには先生らしい核があったし、短い中にもドラマがありました。物でも人でも大切にされている様子を見ると羨ましくなる気持ちは分かります。でもそれが曲なら?…というのがポイントで、「あの曲がうらやましい」ってセリフが、凄く切なく響きました。そしてラストに明かされる真実が、とっても素敵で心温まる幸せのブーメランという感じでした。
  • シャチさんとラッコくん

    まつぼっくり/みずかねりょう

    ラッコ獣性の可愛さにハートを撃ち抜かれた
    ネタバレ
    2025年7月11日
    このレビューはネタバレを含みます▼ これは…かなり高い確率で好みが分かれる気がします。できれば試し読みや高低のレビューを読んでからの購入をお勧めします。

    それでも読んでからしか本当のところは分からないかもしれません…私は、どんな要素も程々が良くて、溺愛・甘々などが特にそうで、過ぎれば冷めてしまう傾向があります。それでも先生が仰るところの「山なし谷なし溺愛、甘々、スパダリ〜」作品であるのに、凄く好みで楽しめました。

    大前提の設定が、どうやら日本とは違う?「夢の国」の話ですし、性別での婚姻制限もなく、獣性に感しても「異種族間の婚姻の場合、その子供にどう特性が遺伝するのか」など難しい説明は一切なく、ふんわり「そういう世界」で「そういうもの」としてストーリーが進んで行きます。もう本当に二人の恋愛だけの話です。

    あとは鯱地さんはともかく、白石くんのキャラですよね…これはイラスト効果が絶大で、美麗で可愛くて私はハートを撃ち抜かれてキュンときました。見方によってはあざとさを感じるような幼さも丸ごと可愛くて、ずっと見ていたいと思いました。
  • 望田くんは恋をしている

    木下けい子

    良い意味で思わせぶりな感じや空気感がいい
    ネタバレ
    2025年7月10日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 先生の描く絵は、どのキャラもどことなく憂いを含んでいるような気がします。それなのに全然暗さはなくて、桐生だったら大人の余裕を、望田なら手を差し伸べたくなるような健気さを表しているようで大好きです。

    それから何とも言えない空気感が堪らない…あれだけ勘が良く読みが深い桐生なら、確信が持てないだけで実はもう望田くんの気持ちに気がついてる(?)ような気がしてなりませんでした。

    望田くんのDKのような純粋さ純情さと年相応の思慮深さが、この絶妙な距離感と緊張感で進む恋心を、素敵なマーブル模様のように仕上げている気がして良かったです。今のところ望田くんの片想いなんだけど、どことなく両片想いの雰囲気もあるような…良い意味で思わせぶりな感じも深みがあって好きです。
  • ひーくんと昴さんは犬猿の仲

    奇妙なケンカップル…真剣な姿が面白い
    ネタバレ
    2025年7月9日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 何この奇妙なケンカップル…凄く面白いです。単純な私は、タイトルと出だしから本当に犬猿の仲と思い込んで読んでいて、まんまと騙されてしまい楽しかったです。次から次に明るみになる事実に、その場しのぎのような、後出しジャンケンのようなノリで脚本作りする二人が、悪ノリする子供みたいでした。

    設定こそ学芸会レベルのような気がしましたが、大人(それも警察官でエリート)が真剣に演じれば生々しさもあって真実味が出る気がするし、意外にも(失礼)事件については軽いながらもシナリオがしっかりしていて楽しめました。ラストの弥彦の爆弾発言的な一言が、今後どう関係してくるのか気になります。
    いいね
    0件
  • 恋する救命救急医 蒼穹2 【電子オリジナル】

    春原いずみ/緒田涼歌

    仲間の連携と結束で高杉の過去に立ち向かう
    ネタバレ
    2025年7月8日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 前作から続く過去からの来訪者達に心乱される訳ですが…過去の事実は変えようがありませんから、そこは仕方ないにしても、人は変われますよね?それなのに、彼等(谷田部と会社の上層部)は、あまりに自分達に都合良すぎませんかと呆れ半分で問いたくなりました。

    負の部分が目立つ過去に対して、今回、高杉の脇を固める現在の仲間達の連携と結束は素晴らしかったです。特に篠川の行動と言動が光っていたと思います。大人の見解と余裕があって、見守る姿勢を徹底して必要な時に適切な助けをするに留める対応は、見習いたいくらいでした。

    フォローするにも受け身と攻めのフォローがあるという話は、なるほどと思いましたし、タイプに合わせて誰を充てるか考えるのはさすがだなと。そして誰も何も言わないけど、篠川は攻受どちらもできるマルチ型ではないのかなと考えると楽しかったです。
  • グッドバイライラック

    ゆき林檎

    無言の間や目線で語るような深みがある
    ネタバレ
    2025年7月7日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 初めての作家さんなので断定的なことは言えないけど、他作品も似たような印象ならば「ストーリー性重視」の作家さんかなと思います。帰結までの展開や心理描写がとても丁寧で、小説の行間を読ませるに近い空気感もあって、そう感じました。あと、言葉に良い意味で含みがあって、無言の間や目線でさえも何かを語るような、深みがある気がしました。

    それを強く感じたのはラストの「俺のこと…好き?」と聞かれての返事、「愛しいよ」でした。加藤を含めて読者のほとんどが期待していたのは、多分「好き」で、それ以外の言葉は不正解で不誠実に感じてしまったのではないかしら。でも私は「愛しい」に「好き以上の情の深さ」を感じました。嘘偽りのない先生の心そのもの…そして、このアンサーが示すエンドは、受け取る側(加藤と読者)に委ねられているように思いました。

    明らかなハピエンともバドエンとも違う、限りなくハピエンに近いメリバのような、人によってエンドの解釈が違うだろう深い話でした。私の中では「好き」よりも「愛しい」の方が、恋愛だけでない多様な「愛情」を含んでいるように思えるので、メリバよりのハピエンですが、そうとは言い切れない重い言葉だなと思います。
  • 悩める小説家のための怪異デート

    海野幸/街子マドカ

    苦手な人も怖いもの見たさで読める楽しさ
    2025年7月6日
    『良き隣人のための怪異指南』の続編です。前作も今作もタイトルから分かる通り、大前提として「ホラー要素」があります。ですが、こういう曖昧な事象に対する感性とか耐性とかって数値で測れるものじゃないのが厄介で…結局「人による」んですよね。怖いもの全般が苦手な私でも前作は大丈夫だった(というかギリギリ読めた)んですけど、他の読者さんは怖かった人の方が多かったみたいで「前作よりマイルドにした」と、あとがきで先生が仰ってました。

    という訳で、前作よりもホラーとしては怖くないと思います。私の場合、(先生の作品の場合は、ですけど)ホラーといえど半分ミステリー感覚で読んでるので…「この怪異の原因は?」「正体は?」と、伏線やヒントを元に考えるのが面白くて、ホラー要素のマイルドさには気付きましたけど気にはならなかったです。怪異の謎も全然当たらなかったので、色々考えながら読んで充分楽しめました。

    あとは内容と関係ないところで言うと、怪異に名前をつけようというシーンで、御影の壊滅的なネーミングセンスに唖然となり、友春のツッコミに全力で頷いてしまったのが面白かったです。こういう面白さはそのままに、ホラー要素は加減しつつ、シリーズ化してほしいなと思います。
  • 愛なんて叫ぶはずがない

    倫敦巴里子

    虚勢を張る千歳がダサかっこ良くて可愛い
    2025年7月5日
    『BUDDIES』でハマり、作家さん買いする勢いで色々読んでいます。どの作品もですけど、迷いようがない一本道のようでいて、紆余曲折・アップダウンがあるものだから、一冊に収まりきらない面白さがある気がします。

    あとはキャラ設定が独特だし強烈でインパクトがあります。何となく斜に構えた感じの主人公が多いイメージですが、擦れてるのとは違う…傷つきやすい心の持ち主で、実際に傷を持っていて、それらを抱えながら隠しながらも強くあろうと戦っているような、虚勢を張る感じに近い気がします。

    双子も信吾もそれぞれに何かままならないものを抱えながらも頑張る姿が、たとえ虚勢だってDKという若さの特権で可愛く思えました。利己的なように見えて思いやりの心を隠し持つ千歳が、要所要所で空回っているところが個人的に好きでした。デキる奴のダサいシーンって意外に女性の需要が高い気がします。
    いいね
    0件
  • コールドスリープから目覚めたら

    海野幸/麻々原絵里依

    人生観が変わるような学びがありました
    2025年7月4日
    これは、BL小説という括りでなくても良いような気がします。寧ろBL要素(いたすシーン)を取っ払ったSFファンタジーとして、BLを読まない人にも読んでもらいたい…とてもとても考えさせられる、重厚感のあるお話でした。

    篠の経験した二十年(コールドスリープ)の空白は想像できない感覚で、「案外変わってない」というセリフがあったけど、どうでしょう。都会と田舎、住宅街とビジネス(混合)街とかにもよるかもしれないけど、ここ数年の間に近所で建て替えられたり更地になったりしたのを、私自身が5軒以上見て時が経つのを感じたばかりなので、二十年ともなればもう少し劇的に変わっているような気がしました。

    私も実体験から篠の時代の流れに対する寂寥感・寂寞感は何となく分かるような気がしました。でも天涯孤独の身の上の孤独感は、なった者にしか分からないのだと思います。血縁という繋がりもなく、本来生きていたはずの時代からも切り離され、ありとあらゆるものから遠ざかっていくような…寄る辺ない心許なさはいかほどか。

    そんな中で渡良瀬の存在は、唯一の光で歴史と同じかそれ以上に頼れるものだったのだなと思いました。かつての教え子に歳を越されて、教えられたり学んだり年齢以外にも様々な逆転現象が起きて色々と考えさせられました。重過ぎないけどしっかりしたテーマがあって、読み応えがありました。
  • 死にたがりは吸血鬼に溺愛される

    ヤマヲミ

    設定・展開と世界観が凝っていて面白い
    2025年7月3日
    今回は予想以上に濃くて面白かったです。元極道の雄琥とレオナルドそれぞれの設定も凝っていて良かったし、過去の二人にどういう関係があったのかとか、伴侶になるまでのあれこれなど展開も楽しめました。関係ないかもしれませんけど、背中の刺青・雄琥・レオ(レオナルド)と、三つ全てが「虎」に関係していて、そんな所まで凝ってるなと思いました。

    細かい事で言うと…吸血鬼って作家さんごと作品ごとに多少の違いがあるので、先生独自の設定が見られたのもポイントです。あとは吸血鬼だけでなく人狼の大上四郎を脇役で登場させたのも良かったと思います。彼の登場で、一気に人ならざるものの存在する世界観が、現実味を持って広がりを見せたように思いました。かなり掘り下げ甲斐があるキャラなので、大上を主役にしたスピンオフにも期待したいです。

    先生の作品は、本編から書き下ろし、あとがきまで余すところなく面白くて、最後まで笑わせてもらいました。
    いいね
    0件
  • 王子と狼殿下のフェアリーテイル

    小林典雅/小山田あみ

    終始末っ子気質全開のフランが可愛いすぎる
    ネタバレ
    2025年7月2日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 読み始めてすぐ、自力で『王子ですが、お嫁にきました』とリンクしていると気付けた時は、誰にともなく鼻高々になってしまいました。そちらも面白いのでお勧めです。スピンオフの『恋する小リス、いりませんか?』もご一緒にいかがでしょう。

    リンク先のシリーズとこちらは系統が似ていると思うので、どちらか好みであればどれも刺さると思います。私の好みにはビタッとハマり、終始ゆるゆるの締まりのない顔で読んでしまい、人前で読むには危険すぎる面白さでした。そんなコメディ風のノリと、小山田あみ先生の美麗すぎて写真のような、絵画のような素晴らしい絵とのギャップが、何ともシュールで御伽噺が異世界風に感じられて良かったです。

    最初から最後まで笑いの波に乗って楽しく読みましたし、フランの終始一貫・筋金入りの末っ子気質が可愛くもあり可笑しくもあり…自分の息子だったらと思うと正直微妙だけど、見てる分には最高でした。高校生並みの頭脳でもって幼稚園児並みの要求を通そうと目論む姿に笑いっぱなしでした。あとがきで先生が、フランを「のび太くん受け」と言っていて、その言葉選びのセンスに衝撃を受けるレベルで納得してしまいました。

    もふもふ要素や妖精・魔女・ドラゴンなど異世界要素がてんこ盛りでしたけど、渋滞することなく上手いこと良いとこ取りしていたように思います。
  • 蓮木くんと三毛くん

    山森ぽてと

    三毛の可愛さ初さ・天然ぶりにキュンとくる
    2025年7月1日
    初めての作家さんだし、特にお勧めされた訳でもなかったんですけど、試し読みしたら三毛くんの可愛さに心を撃ち抜かれてしまい読んでみました。可愛い以外にもアップダウンがあって楽しめるし、獣人設定を活かした展開が面白かったです。

    中でも一番絡みの多い獅子原と鳳、この二人には(私が勝手にですけど)ラブの予感がするので、是非スピンオフや番外編を書いてほしいです。上階の極地系の二人の生態も気になりますし、シリーズ化してもらいたい作品です。

    絵が綺麗可愛くて三毛くんに癒されること必至…なので、獣人が苦手でない人皆さんにお勧めです。
    いいね
    0件
  • 恋する救命救急医 蒼穹 【電子オリジナル】

    春原いずみ/緒田涼歌

    二人共が悪手を打ったと思うけど乗り越えて
    ネタバレ
    2025年6月30日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 藤枝×宮津CPからウエルカムと来てラプンツェル(高杉)の話とは…なかなかに振り幅が大きかったです。そしてまだ火がつく前の、単なる小火で終わるか燃え広がるかの分かれ道でどうして…「自分だけで何とかしなくては」と、二者択一で間違った方向に行っちゃうかなぁ。そこは「立原に相談する」という事実上の一択じゃないのかなと思いました。

    でもって、教えてもいないのに勤務先まで過去(谷田部)がアポ無しで図々しく出張ってきた時には、思わず舌打ちしてしまいました。そしてその後もなりふり構わずな感じで、しつこく付き纏う過去に毅然と立ち向かう高杉に多少安心したのも束の間…私の予想と篠川の杞憂が当たり「だから言ったじゃん」の流れには辛くなりました。

    でもってカップリング相手が年下の立原先生だから、度量を求めるにも無理があり…これまた一番取って欲しくない行動に出てしまうのが残念でした。「俺じゃ頼りにならない?」と拗ねるタイプは……「頼りにならない」と言わざるを得ないと思うのは厳しいですかね。「頼られたがる人って、頼りなく映る」この矛盾。そう感じるのは私だけでしょうか。立原には、頼らない高杉を責めるのではなく、頼られない自分を…責めなくてもいいけど頼られる自分に近づけるように頑張ってほしいと思いました。
    いいね
    0件
  • ろくでなしと俺

    木下けい子

    思い通りにいかなくても何だかんだ幸せそう
    ネタバレ
    2025年6月29日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 表題作と別作品1話が入っていました。表題作は、かなり私好みで面白かったです。主導権を握ってるつもりが(逆に握られている訳ではないけど)何故か振り回され…自分が選ぶ立場だと強気でいながら、離れるそぶりを見せようものなら追いかけてしまったり…ヘタレじゃないけどダメダメで、溺愛とは言えないけど絆され愛があって、温かくて楽しい内容でした。

    あと、今回みたいな攻め・受けのイメージが普通と逆な感じも良かったです。ぼやきながらも、ヒモ系ふんわり攻めを経済的・精神的にお世話するしっかり者の受け、愛と笑いがあって楽しかったです。
    いいね
    0件
  • 嘘つきと弱虫

    久我有加/木下けい子

    最終的に自分達の弱さを克服できて良かった
    ネタバレ
    2025年6月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 初めての作家さんでしたが、面白かったです。麦人の想い人…そんなん百発百中、何かのCMにあるように99.99…ほぼ100%で音也に決まってると、読者も本人以外の全てのキャラが分かってるというのに、音也だけが罪深い鈍感さで事態を複雑化しているのが見どころでした。

    よくあるような鈍感さとはひと味違う独特の鈍感さで、麦人の好きな人(=音也)自分で自分に腹を立てたり嫉妬したり、最大級の空回り具合に笑ってしまいました。

    タイトルに絡めた弱虫(音也)と嘘つき(麦人)の弱虫は分かるけど、嘘つきはちょっと違う気がしました。そんなに悪意もメリットもない事を考えると「ほら吹き」に近いと、私は思います。本人が言っていた「見栄っ張り」とも微妙に違うような気も…ないではないでしたけど、最後は二人とも己の殻を突き破ることができたようで良かったです。

    評価の高い作品が多いので、他のも読んでみたくなりました。
    いいね
    0件
  • 鮫は桜に恋をする【同人版】

    ヤンキーを可愛いと思えるくらい良かった
    2025年6月27日
    購入して読むつもりでいた作品でしたが、【読み放題】で同人版が読めたので「単行本版とそんなに違わないだろう」と思って読んでみました。

    好みとしてDKは好きだけどヤンキーはそんなに…しかも素行が悪くてヤ◯チ◯なんてと思っていたのに、絵が綺麗なのもあって嫌悪感がないどころか好きになりました。さすが人気のある作品は引き込むパワーが違う感じです。

    本編も良かったけど、おまけや書き下ろしの量が(思ってた以上に)多くて、しかも内容が濃くて最後まで楽しめました。身の詰まったたい焼きのような満足感です。2巻の大学生編も読むつもりです。
  • 幸福の王子様と―僕らの知らない物語―【単行本版(限定描き下ろし付き)】

    日尾ねり

    番外編で全員が幸せになれたようで良かった
    2025年6月26日
    ストーリー性重視のとても優しく素敵なお話しでした。内容的にはやや重めで、佐原の過去と現在の境遇は、苦労の一言では言い切れない孤独と辛さが滲んでいました。一方で篠塚の方は、職業柄?大変なことはあっても慶事を扱う職場ですし、本人の人柄や性格もあって楽観的な雰囲気が対照的で、グラデーションのように混ざる感じが良かったです。

    二人ともアラサーらしい落ち着いた雰囲気で、ゆっくり一歩ずつ慎重かつ確実に距離を縮めていく様子にも好感が持てました。苦労の末に掴んだ幸せ…安息の場所を見つけた二人に心からの祝福を伝えたくなりました。あとは、篠塚の後輩・桑野が相当良い仕事をしていたと思います。

    番外編が特に素晴らしく、ただ調子がいいだけでもおちゃらけているわけでもなく、飄々としながらも根は真面目だし芯はしっかりしている骨のあるやつだと思いました。二人を祝福する姿にも性根の良さが出ていた気がします。
    いいね
    0件
  • 靴川selection

    靴川

    人気の二作品が読める豪華でお得な一冊
    2025年6月25日
    人気の高い二作品がまとまった豪華な一冊を【読み放題】で読めて大満足でした。1作めは個別にレビューしたので、今回は後半のレビューをします。

    大体の展開は読めてしまうものの、ストーリーの肝になる仕掛けが面白かったです。ミイラ取りかミイラに…のような流れも楽しめました。あとは個人的に、妹が(重要ポジションにあるわけではないので拘る事でもないんだけど)やけに幼稚に映ってしまい、もう少し賢く強かに立ち回ってくれればもっと面白かったかも…と気になりました。

    何だかんだ良い子ではあるんですけど、BLに出る以上は(あくまでも私の勝手な希望です)何らかの女らしさがあると、よりストーリーに幅が出る気がしました。
    いいね
    0件
  • あいをしる星【ペーパー付】【電子限定ペーパー付】

    池森あゆ

    「あい」を知り「あい」に守られて.…
    2025年6月24日
    小説も含めてBL関連の本を何百冊読んだか分かりませんけど、叔父×甥の組み合わせは極少で、義理の関係を除けば数冊あるかないかだと思います。なので、近親ものが苦手な人は注意が必要です。

    どんな作品でも不憫受けには幸せになってほしいと願いつつ読んでいますが、今回綾の置かれた境遇は不憫というより不幸に近い気がして、幸せに「なってほしい」ではなくて「なるべき」と強く思いました。それくらい心も身体も傷ついて苦しんで…それでも昔隆宏と見た星を心の羅針盤に真っ直ぐな心で生きていく姿が、切なくて悲しかったです。

    全体的に二人の想い以外の明るい要素はないのに、どこか優しく温かく心に沁みるストーリーでした。二人の間に芽生えたもの、それを「あい」と表現している点に色んな意味で厚みを感じました。

    「あい」は、まず「愛」だろうけど、少しの「哀」もあるかもしれない…「相」「間」もしかしたら違う「あい」も。タイトルの付け方も素晴らしいと思いました。
    いいね
    0件
  • ヒトの世界の歩きかた

    イーライ・イーストン/冬斗亜紀/麻々原絵里依

    前作以上に深みと奥行きのあるストーリー
    ネタバレ
    2025年6月23日
    このレビューはネタバレを含みます▼ シリーズ二作め。前作で少し出てきたローマンの話でした。前作は、血統的に純潔のクイック(ランス)が主役だったので、設定と会話ややり取りが斬新かつ新鮮で「とにかく面白い」という感想でした。

    それが、今回主役のローマンは自分の代からの、ある意味突然変異なので…重大事件の前後で降りかかる何もかもが不憫で仕方なく、ジェイムズとの別れのシーンではローマンの気持ちに感情移入し過ぎて、悲しさに泣けてしまいました。

    DEAのマットが町に来てから暫くの町の秘密絡みのアレコレは、前作同様に面白かったです。インフルエンザがどうのとか、映画館での出来事とか、本人達が大真面目なだけに行動と言動のあまりの落差に吹き出してしまうくらい笑えました。

    あと原文を読んでいるわけではないので(物理的にも能力的にも)実際のところは分かりませんけど、とても文章力が高いと思いました。それでいて難解ではなく読みやすいです。

    例えば「マッドクリークの秘密」について聞かれたローマンが「答えようにも何か言えば《真実に近すぎるか、支離滅裂かだ》」と考えたのは、これ以上ない上手い表現で、的のど真ん中を突いてると思いました。

    他にも「《すべての不可能を排除して残ったものが、たとえどれほどありえなくとも、真実なのだ》」という表現、これは、超有名などこかの探偵が言っていたような気もしますが…この時・このシーンの心情にシンデレラフィットする名言だったと思います。

    高評価も全面的に納得の内容でした。この後の三作も楽しみです。
  • クラスのイケメンと地味キャラがバンド組む話

    イズミハルカ

    タイトルの印象と違って真面目&重めでした
    ネタバレ
    2025年6月22日
    このレビューはネタバレを含みます▼ タイトルからDKものと分かるし、何となくラブコメ風なストーリーを想像して読み始めましたが、だいぶ違っていました。何かこう…明るくオープンなイメージがあるのに、実際の内容は暗めでクローズド気味で、ピアスの描写は特に「んー?隠すようなことでもないような」そして「現実的には隠しきれないような」気がしてなりませんでした。

    もっと「陽キャと陰キャの組み合わせの意外性」とか「意外な二人が、これまた意外な流れでバンドを組む」とかプラス方面な衝撃を与えられると嬉しかったかなと思います。私は、どちらも陽キャにも陰キャにも振り切れていない気がしました。

    なかなかDKにしては重い過去や現状があって真面目なお話だったと思います。音楽を題材にしているだけあって、文章に詩的なものを感じたり、バンド名の「シーグラス」みたいに光るセンスの言葉が散りばめられていて素敵でした。
    いいね
    0件
  • ふたりの夜のすごしかた【一気読み!】

    村上左知

    スピンオフまで流れる様に違和感なく読める
    2025年6月21日
    読み放題にある作品はほとんど読みましたが、優しいお話が多い印象です。多少切なさの強い作品もありますが、今回はそこまでではなかった気がします。タイトル通り、本編とスピンオフとが一冊にまとまって【一気読み!】できたので、スピンオフへ流れるように入れました。

    本編とスピンオフの2カプを比べると、スピンオフの方が切なさが濃かった気がします。攻めよりかは受けのタイプが違っているのが影響してるのか…桃真は気が強くてツン度が高めだから素直になるのに時間がかかった結果、切ない時間が長くなったのかなと思いました。とはいえ、私はスピンオフの桃真の方が好きで、素直になれないけど愛されたがりの所が可愛いなと思いました。
    いいね
    0件
  • 不意打ちの春雷【特典ペーパー/電子限定描き下ろし付き】

    黒井つむじ

    DKのキュンが詰まったラブストーリー
    ネタバレ
    2025年6月20日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ラストでやる事はやってますけど、全体的にピュアでキュンいっぱいのラブストーリーでした。蓮の純粋さは、良くも悪くも幼稚園児レベルに未熟で、その素直さが人を幸せにもするし傷つけもする…それが原因で摩訶不思議な両片思いみたいになっているのが可愛らしかったです。

    切なさはないものの、恋愛を通して相手の気持ちを考えたり、相手を気遣うことを知っていく二人(というか主に蓮)の成長を見守るのが楽しかったです。

    出番はあまりないけど、友人の湯川の二人に関する独り言やツッコミがいちいち的確で端的で笑ってしまいました。二人きりの時にはない立ち位置での解釈が楽しいです。なので、湯川目線の書き下ろしは最高でした。
  • 月への吠えかた教えます

    イーライ・イーストン/冬斗亜紀/麻々原絵里依

    独特の設定と個性豊かなキャラ達が魅力的
    2025年6月19日
    高評価から予想はしていましたが、それにしても予想を上回る面白さでした。小説を300冊くらい(?)読んできて、星評価4.4以上(レビュー数が二桁以上ある)作品は好みの傾向がどうあれ、ほぼ間違いなく面白い事が多いです。それが、今回は4.8ですから…間違いなかったです。

    犬の設定は斬新ですが、それだけで面白いわけではなくて、犬と人間の心の中の鬩ぎ合いとか、人間とのやり取りとかが楽しかったです。アメリカンジョークも面白くて、何回も吹き出してしまいました。海外の作家さんは二人目ですけど、どちらも文章自体は真面目だし、内容も至って真剣です。なのに,会話のチグハグ感や濃いキャラの言動・行動がぶっ飛んでいて笑いを誘うんです。

    特にランスの母親(リリー)は強烈で、いくら悪気がなく愛情しかなかったとしても、これは…と思うような仕打ち(と言えると思う)には目をむいてしまいました。とにかく最初から最後までアグレッシブで肝っ玉母ちゃんみたいなキャラが光っていました。
  • 眼鏡のまま、キミと寝たい。【描き下ろしおまけ付き特装版】

    桃ノ木みのむし

    珍しくて面白い設定が活きていて面白い
    ネタバレ
    2025年6月18日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 眼鏡店に勤める眼鏡フェチで綺麗な眼鏡美人のヒモ生活を送る詩音くん。ドタバタコメディっぽくて楽しかったです。途中出てくる当て馬くんとオーナーの関係とか、天野の一種独特の変態ぽさと理系特有の(?)性的な事までも突き詰めないではいられない性格とか、笑いの要素がそこここに散りばめられていて面白かったです。

    他にも小さな要素だけど天野の瓶底ダサ眼鏡とセンスのいい眼鏡をかけた時のギャップ、オッドアイなどの小技も効いていました。オッドアイについては、珍しい設定だけに何かしらイベントがあったら良かったかなと思います。
    いいね
    0件
  • ヤバい後輩とヤバい恋【描き下ろしおまけ付き特装版】

    高乃トキ

    キャラ達の隠しきれないヤバイ面が面白い
    ネタバレ
    2025年6月17日
    このレビューはネタバレを含みます▼ タイトルからして…執着度合いがストー◯ーっぽい原田はヤバイ後輩とだと思うし、彼との恋もヤバイかもしれない。あと同僚の坂月みたいなパワハラとか盗聴・盗撮魔的な違う意味でヤバイキャラもいて、何だか色々と意外な展開が多くて楽しめました。

    浦賀が必死に隠す黒歴史…であるのに、ふとした弾みでどうしても顔を出してしまう元ヤン臭。頭隠して尻隠しきれず…な展開も面白かったです。絵が綺麗で読みやすく、綺麗に纏まった一冊でした。
    いいね
    0件
  • キャラメル味の恋と幸せ【SS付】【イラスト付】

    葵居ゆゆ/古澤エノ

    マウロの健気さ・優しさ・鈍さまでも可愛い
    2025年6月16日
    王道シンデレラストーリーだと思います。なので安心して読み進められました。反面、割とはっきりめに展開が読めてしまうのが、人によっては難点かもしれません。それでも入り込んで読めるのは、キャラ達のバックグラウンドや設定が凝った作りになっているからだと思います。

    マウロが作るタフィーのキャラメルのように、甘さとほろ苦さのハーモニーが素晴らしく、どちらか一辺倒ではない良さがありました。

    あり得ないくらいの素直さ・いじらしさのあるマウロ、突き抜けた鈍感さも許せてしまう可愛らしさがありました。
  • どうしようもないけれど

    夏目イサク

    その時その時の二人の関係を見られて幸せ
    2025年6月15日
    勝手に完結したと思っていたので、番外編?後日談?的に「これからのこと」を読めて嬉しいです。本編は全集の方で読みました。その時から順調に時を経て…親戚の子の成長と共に自分たちの時の流れを意識して、この先も緩やかに年を取っていこうと穏やかににこやかに話す二人のラブラブぶりが素敵でした。
無料会員登録でもっと見る