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レビュー

今月(4月1日~4月30日)

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シーモア島
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投稿レビュー
  • ウサギの国のナス

    松雪奈々/神田猫

    真顔キープを断念せざるを得ない面白さ
    ネタバレ
    2025年4月29日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 始まりから次に何が起こるか分かっていても、ワクワクが止められなくて困りました。パターン化されつつある?流れにニヤニヤしながら読んで、すぐにうっかり◯兵衛ならぬ神主が出てきた時には、予想してたとはいえ笑いが止まりませんでした。

    今回の主人公は、前作の稲葉より若く学生なだけあってノリが良く、心の中のツッコミが面白かったです。そして最初の危機(神主)を脱したかと思えば、秋芳との会話でまた話が通じなくて不毛なやり取りを繰り返した時には、諦めの境地に立つ人の気持ちが分かった気がしました。

    その後もやたら見解の相違?みたいなのが多くて…【座禅】という行為の意味が、一文字違いで大変な行き違いを起こすし、昔話が明後日の方向へ展開していくしで、真顔をキープするのが不可能なくらい笑ってしまいました。

    あとがきで先生は「那須くんと九里くん」どちらを出すかで迷ったそうです。結果的に那須くんが選ばれたにせよ、次作は九里くんが出てくるだろうと思います。けど、ここで「キュウリくん」なんて本当にいるんだ?と思った私は、頼まれもしないのに調べました。そしたら【九里】という苗字は「くり」「くのり」「くざと」と読むそうです。そこを無理矢理「キュウリ」と読ませる先生の強引さ…好きだなと思いました。

    最後に付け足しのようになってしまいましたが、笑いが多い中にも恋愛面の心境の掘り下げはしっかりあって、日本への帰還と永住の狭間で揺れる心理は読み応えがありました。成功する可能性がゼロじゃないけど限りなく低い。一度できても二度できるかは分からない。こういう葛藤って、私達の人生にも当てはまる気がしました。
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  • SV、恋の進捗について。

    中田アキラ

    「差」のある二人だけど恋愛偏差値は近い?
    ネタバレ
    2025年4月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 1冊丸々、前作『店長、恋です。』に出てきたSV米村さんのお話でした。作品とは関係のないところで、米村さんの前髪が気になってしまって…オンとオフの違いを出すにしても長過ぎない?と、ちょっと気が散りましたけど、それは置いておいて、充実した内容でした。

    年の差・社会人と学生(?)とか社員とアルバイトの立場の差などの設定も存分に使ってのストーリー展開はさすがでした。当て馬っぽい子の登場も、ただ引っ掻き回すだけとかトラブルを持ち込むだけじゃなくて、双方にとって実のあるものにする事でストーリーに幅が出てたと思います。

    「甘やかしているようで甘えてる」とか、二人の微妙な関係を絶妙な表現をする所も先生さすがと思いました。いつも心理分析の奥深さに感服します。色々と「差」のある二人でしたけど、恋愛偏差値は同じくらいでお似合いだったように思います。
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  • ウサギの王国

    松雪奈々/元ハルヒラ

    異世界特有のはちゃめちゃ感が面白い
    ネタバレ
    2025年4月27日
    このレビューはネタバレを含みます▼ まず最初に「瀬戸内に浮かぶ大久野島」というのが実在して、その別名2つも本当にあると知って驚きました。まるきりのファンタジーも好きですけど、本当の事も混ざってると想像が膨らむ気がしていいなと思います。

    内容については…面白いと聞いていたけど、まさかここまでとは思っていなくて良い意味で裏切られた感じです。始まりは日本版&男版「不思議の国の〜」で、異世界に迷い込むのですが、世界観の違いはあっても「基本は日本」です。生活様式から言語まで日本…であるのに、違う意味で「日本語が通じない」不毛なやり取りが、めっちゃ面白くて笑ってしまいました。

    その代表格がウサ耳族の重鎮の神主なんですが、この人がまぁ…自分の疑問に自分で独自解釈した答えを出して、周りというか本人(稲葉)が「違う。そうじゃない」と言っているのに聞く耳を持ちやしない…。あのうっかり◯兵衛も真っ青なくらいの突っ走りようで、やることなす事とんでもなくて、でも読んでる分には面白くて笑いました。

    半分を過ぎた辺りの「ナスとキュウリ」のくだりには笑ってしまいましたが、聞き覚えがある単語に反応して調べてみたら、この後のシリーズに『ウサギの国のナス』『ウサギの国のキュウリ』があって、もうこれは伏線確定でしょ!!と、ワクワクとニヤニヤが止まりませんでした。

    そんな風に次作に期待しながら読んでいたらば突然のどんでん返しに遭い、ラストでウルッときてしまいました。笑いも涙も取れるいいお話でした。
  • 店長、恋です。

    中田アキラ

    ギャップが楽しいコンビニ店員達の恋模様
    2025年4月26日
    中田アキラ先生といえば、私の中では『恋する鉄面皮』が不動の一番ですけど、こちらも良かったです。コンビニの関係者達…店長と店員・本社SVと店員の2CPと、店員と大学の後輩(並びは順不同)の3CPの話が一冊に詰まっていて、かなり読み応えがありました。

    私が特に好きなのは、最初のCPの東野です。あの、意味も理由もある(実は心優しき)ツンが堪りません。でもツンデレとは少し違うんですよね。イメージは同じ猫なんですけど、デレはない気がします。ツンが解けて心を開いていくのぎ分かるシーンが良かったです。「誰にも懐かない猫が自分にだけ懐く」みたいな優越感含みの感動がありました。

    残りの2CPについても、年齢なり性格なりのギャップがあって、そこから始まる恋模様が楽しめました。あと、何気に普段何も考えず便利に利用するだけのコンビニに、煩雑な仕事が多いことに気付かされました。言われてみれば、店舗によって客層も混む時間帯も、取り扱い商品も違いますもんね。宅配だって送れるし、切手も買える…改めてコンビニの仕事を知るのも楽しかったです。

    この後、シリーズ『SV、恋の進捗について。』があるので楽しみです。
  • くち嘘 Memories collection‐くちづけは嘘の味完結記念‐

    サガミワカ

    子供時代の槙尾は一見の価値ありの可愛さ
    2025年4月25日
    179ページ中、作品関係以外の9ページを抜いた170ページ・38コンテンツ、ファンなら是非ともコレクションに迎えたい1冊です。

    私は、子供の頃の槙尾が見られただけでも購入した甲斐があったと思っています。とにかくめちゃかわでした。小さくとも自分の置かれた境遇も、周りから向けられる視線の意味も理解していて、それでも自分を卑下したり腐ったりする様子はなくて、周りや社会を恨むでもない…ただ少し斜に構えた雰囲気があるだけで、基本的に大人の槙尾と変わらない、放っておけない可愛さがありました。

    子供時代から若い時に側にいた杜江やママのように、人間的に愛のある人達に囲まれて、大人になってからも恋人(?)に恵まれて、幾つもあった中で一番の幸せを得られたのではないかなと私まで幸せな気持ちになりました。
  • 俺のアオハルが進まない

    加藤スス

    ラブコメ好きな人には間違いない面白さです
    ネタバレ
    2025年4月24日
    このレビューはネタバレを含みます▼ シリーズ2冊め。全く失速する事なく相変わらず&安定の面白さでした。ラブコメ街道をひた走りながらDKらしい真面目さ素直さも無くさない…最高の笑いをありがとう!!と言いたいです。

    2冊めを読んでいて初めて知った事実(1巻に書いてあったかもですが)…彼等の通う学校に名前があったんですね?その名も「蒼春高校」に笑ってしまいました。他にも「◯半身と意思疎通ができてないとか何とか…」ちょっとした会話や表情まで面白くて笑いっぱなしでした。

    まさか公共の場で読む人も少ないだろうとは思いますが、多分笑ってしまうと思うので、内容(BL)と見た目(怪しげにニヤニヤ)の2つの意味で、人目に触れないように個人的な楽しみとしておくのが無難かと思います。

    ラストで金田と平の今後に期待できそうな出来事もあったので、スピンオフか番外編で読めたら嬉しいです。
  • 俺のアオハルは渡さない

    加藤スス

    DKの可愛さ・純粋さ・元気さが弾けてる
    ネタバレ
    2025年4月23日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 明るく楽しいお話が好きな方に全力でおすすめします。主役の昴と陣内のキャラ設定と、その守ってきたイメージが崩壊するシーン・アホで不毛なやり取りや妄想、何もかもが最高に面白かったです。脇を固めるイケメングループの金田の潔癖・平のガチオタ設定も細かな笑いを取れてて楽しかったです。

    少女漫画趣味を隠しながら理想のDK生活を楽しむべく、アオハルを死守することに必死な昴が可愛くて、そんな昴を見守る(という体で実は執着しまくる)陳内の空回り具合も楽しかったです。
  • 俺と隊長とアンラッキースケベの呪い

    丸井まー/おさらい

    直感で選んで間違いなしの新感覚BL
    ネタバレ
    2025年4月22日
    このレビューはネタバレを含みます▼ タイトルからして面白そうと思いましたが、裏切られる事なく面白かったです。始まって早々に呪いにかかるジョルジュ。呪いの詳細を聞いて、私も一瞬ジョルジュと同じように「それって寧ろオイシイ呪いじゃない?」と、思ってしまいました。それが都合のいい勘違いだと分かり始めた所から、先の展開に期待するあまりニヤニヤしてしまいました。

    そこからは楽しく読み進めていましたが、レビューを書く為に冷静に分析してみると、かなり新感覚なBLだと思いました。今までにない展開というか、微妙にありがちなジャンル分けに当てはまらないんです。設定ではなくて展開が、です。1巻でそれ(BL)っぽく結婚だの家族だのという話にはなるし、お互い悪い印象はない、体だけの関係でもない、いい感じの間柄であるのに…どうしてかくっつくわけでもないのです。

    2巻で当て馬っぽいキャラが登場したかと思えば、驚きの退場劇を見せられて呆気に取られたり、ジョルジュの母のぶっ飛び発言に笑わせてもらったり、ドタバタ感が楽しかったです。2巻の半分くらいまできて(正直やっとという思い)勢いと流れでお互いの気持ちに気づきます。

    そこからはテンポ良く進み二人の仲も深まって、感動のシーンもありました。「死は終わりでも永遠の別れでもない」とか、二人の瞳の色を「昼の空と夜の空」に例えて「正反対のようで深く繋がっている」とかの言葉にジーンときました。

    元はノンケ同士、くっ付くまでに長く色々ありましたが、暗く沈むような事がなく常に明るく楽しい事ばかりで、かと言って軽過ぎず、夫婦(夫)・家族の温かさに包まれる優しいお話でした。
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  • 獣欲に恋して

    くれの又秋

    若々しい熱量を感じるのにどこか爽やかな獣
    2025年4月21日
    一冊に二作品入っていました。「獣」という文字の持つイメージから、何かこう…猛々しく荒々しいキャラとか雰囲気を想像していましたが、ちょっと違っていました。

    獣と言っても大型犬(しかもレトリバーみたいな穏やかな感じ)が勢いよく戯れている…みたいな。でも「欲」ともあるので、そこは雄っぽい熱さはありました。あとDKとか学生の時の話が多くて、爽やかさや純情さ・可愛さもあって、それぞれのバランスが良かったです。

    DKものは綺麗系・可愛い系が多い中で、表題の方は特に受けが男らしいタイプというのもポイントが高いと思います。
  • BISEXUAL

    真崎総子

    少し変わったテイストのBLをお求めの方に
    ネタバレ
    2025年4月20日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『夜の姫僕』が良かったので読んでみました…が、大分変わったテイストのお話でした。タイトルまんまの登場人物が出てくるわけなんですが、雰囲気とかノリとかがギャグ調なのに内容は割とシリアスで重めなんですよ。

    真面目な話をしてるのに、1ページ丸々デフォルメの絵で描かれてるってのが何ページもあったりして、なんて言うか諸々のギャップが激しくて全体的にシュールな感じでした。でも読み出すとそれも味に思えてきます。

    タイトルから分かるようにバイの話なので、苦手な人は避けた方が無難だと思います。元々作者さんは少女漫画が主流のようなので、言葉や状況説明だけでハッキリしたBL描写って実は無かったりしますが、ややクズっぽい気配もあるので好みが分かれそうです。

    不思議なことにこちらの単行本はBLジャンルで、単話の方は少女漫画になっています。中身は同じでBLですので注意が必要です。

    ノリはギャグっぽく、でも設定や展開はシリアスに淡々と進みます。びっくりするような山場も二度ほどあって面白かったけど、意外にも一番驚いたのは本編終了間際のカタツムリの話でした。ただ単に自分が無知なだけですが、速攻で調べてカタツムリの生態に宇宙の神秘みたいなものを感じました。ちょっと変わったテイストのBLをお求めの方におすすめします。
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  • かわいいわたしのあなた

    茉白あさひな

    デビュー作とは思えない超ハイレベルな一冊
    ネタバレ
    2025年4月19日
    このレビューはネタバレを含みます▼ とてもじゃないけど、これがデビュー作とは思えない完成度でした。初コミックスの段階であの画力の高さ(シリアスは綺麗でデフォルメは可愛い・幼児から大人、老人までの描き分け)とストーリー性の高さに恐れ入りました。

    絵…シリアスは綺麗でデフォルメは可愛いし、幼児〜大人〜老人までの描き分けって難しいと思うのにしっかり出来ていて凄いと思いました。

    ストーリー…設定も展開も一冊に入れるには充分だと思うのに、無駄な要素がなくてどれも効果的でした。二人の現在に至るまでの経緯や人間関係、それぞれの職場の同僚たち脇キャラ、ラーメンや旅行・合コンなどのサブイベントなど、全ての事に意味があるようで…それはまるでどんな小さな部品も、確かな役割をもって働く高級腕時計のような仕上がりだったと思います。

    単なる恋愛とは言えない23年の月日、家族ではないはずなのに家族以上の関係、年の差、未来への不安、どれも重い話のはずが、明るい雰囲気を交えつつ優しい気持ちで読めました。これからが楽しみすぎる作家さんです。
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  • ひよこ、ロマンチック始めました!【イラスト入り】

    吉田ナツ/高峰顕

    すれ違いを超えた盛大な空回りが面白い
    ネタバレ
    2025年4月18日
    このレビューはネタバレを含みます▼ わくわくとハードル高めに読み始めましたが、軽ーく飛び越えてくれる面白さでした。とにかく一之瀬のやる事なす事・言う事から思考回路まで、何もかもが可愛くて楽しく読みました。後半は宇佐見も一之瀬に寄せてきた様に色々と脱線し始めて吹き出す面白さでした。

    宇佐見の一之瀬ひよこに対する苛烈なまでの粘着?執着?が行き過ぎてて…特に、「フードを被ったフルひよこ姿の動画を見てにやにやする」宇佐見を変態じみてると思う自分が、同じようににやにやしている事に気付いた時は、「私も立派に変態じゃん」と、軽く衝撃を受けつつも楽しかったです。

    後半もテンポ良く笑いいっぱいで面白かったです。好き合っているはずの二人が「何で、どうしてそうなる?」と、見事なまでのすれ違い…を通り越して盛大に空回る様子が最高でした。これから読む人へ…真顔キープに絶対の自信がある人以外は、人前で読むという行為はやめた方がいいと思います。

    恋愛面では笑える事の方が多いですけど、一つだけ(?もっとあるかもだけど)真面目に考えてしまったのは、「モテるって何だろう?」ということ。「多くの人に恋愛的な好意を向けられるけど、好きな人には好かれない」のと、「たった一人の好きな人に好いてもらえる」のと。どちらも真実でどちらも正解な気がしますが、私だったら宇佐見みたいに後者のモテるが理想だなと思いました。

    あと宇佐美は営業職・一之瀬は研究職で、それぞれの仕事や業界の内容についてもしっかり押さえてあって、ただ面白いだけじゃなくて勉強になる事もあり、中身の濃い楽しいお話でした。楽しい話が好きな人にお勧めです。
  • ハローモーニングスター

    倉橋トモ

    頑張るアイドル達にエールを送りたい
    2025年4月17日
    『ピンクとまめしば』シリーズのスピンオフです。1巻が黒川の兄アツトと別のアイドルグループ・ユキの話で、3巻がアツトのグループメンバー京介とゆうの話、2巻が2CPミックスの話という構成です。

    『ピンクと〜』のキャラも書き下ろしで出てきますし、黒川とアツトは兄弟なので登場回数も御子柴より多くあります。3巻を通してと、『ピンクと〜』との時系列が割と頻繁に前後するので、ゆっくり噛みしめながら読み進めました。

    『ピンクと〜』と違って完全に業界の話だったので、下積みやデビュー前、デビュー後の複雑な胸の内などがリアルに思えました。なんだか…現実のアイドルの子達も含め、頑張る人達にエールを送りたくなるお話でした。
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  • 天才魔術師による不器用師匠を愛する方法

    ミヤサトイツキ/篁ふみ

    奥深いテーマとキャラ達の関係性が興味深い
    ネタバレ
    2025年4月16日
    このレビューはネタバレを含みます▼ これは…主要キャラ三人のカップリングとか関係性で「思ってたのと違う…」現象が起こる可能性が高そうです。私が覚えてる中では2冊めくらい…?に珍しいパターンと思いますので、地雷がある人は気をつけてほしいです。私はネタバレを気にしない(というか、色々知った上で安心して読みたい)ので、分かった上で読んで楽しめました。

    心理描写の掘り下げと、その表現力が秀逸でした。不毛な恋愛を「低音火傷」に例えるところは素晴らしかったです。火傷ほど決定的で明確な傷や怪我にはならないけど、知らないうちにできる傷としてはそれなりに威力がある気がします。

    ストーリーは三人の恋模様と、ある陰謀を交えた形で進みます。事件・事故については軽く推理しながら読むのが楽しかったです。ラストでアキとヴェルトルの関係がはっきりしますが、私はそのシーンに作品のテーマが凝縮されている気がしました。

    「恋人」と「家族」で、二人は心の在りどころが逆だったんじゃないでしょうか。一般的に人は家族と恋人になりたいとは思わないですよね。それこそ遺伝子学的にそのように組み込まれているとかいないとか…だからまずは他人同士が「恋人」になり、その後「家族」に。逆はありません。

    アキはヴェルトルと「恋人」になりたかったのだと思います。でもヴェルトルにとってアキは「家族」だった…この、そもそもの出発点が違った為にどうやっても結ばれる事はなかったのかなと思いました。恋人ではないけど、お互いに大切な存在として許し合い認め合う、思った以上に重いテーマがあったように思います。ユースとアキの関係にも二転三転するような事実が隠されていて、そちらも読み応えがありました。
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  • のぼせるからだ

    ミナヅキアキラ

    叔父CPと甥CPの二本立て銭湯物語
    2025年4月15日
    『ドメスティックビースト』シリーズが良くて、こちらも読んでみました。でも出版年がだいぶ違うから単純比較は難しいです。こちらは約15年前の作品なので、今とはBL界のルール(?)というか流れみたいなものが違っている印象でした。何となくのイメージですが、昔の作品は下手したら事件一歩手前の割と強引な攻めや自信満々なキャラが多い気がします。

    それでも雰囲気作りが上手な先生なので、独特の空気感やセリフ・展開で読みやすかったです。内容としては、実家の銭湯を舞台にした叔父と甥CPの話で、表題作が叔父CP・スピンオフ的に甥CPの話が半々の割合でした。

    大人の叔父CPとDK甥CPのコントラストも楽しくて、私は甥CPの方が好みでした。大人は今も昔も展開の早さややる事にそう変わりはないけど、今時のDKと比べて15年前のDKは何やるにも初々しさがあって可愛かったです。
  • ピンクとまめしば

    倉橋トモ

    ドラマCDも聴いてみたくなる可愛さでした
    2025年4月14日
    黒川と柴ちゃん、生徒と新任教師、学生と社会人のはずが…見た目や精神年齢なんかがスイッチしているみたいで(元々そんなに年は変わらないけど)目が離せない可愛さがありました。

    この作品は、アイドルの弟で自身もデビューを考えていた程かっこいい黒川にキャッキャするのが正解な気がしますが、私には柴ちゃんの可愛さの方が魅力的でした。

    この後スピンオフの『ハローモーニングスター』が続きますが、その1巻でドラマCDについて語られていて…柴ちゃん役が代永翼さんで黒川役が立花慎之介さんだそうで、どちらも馴染みのある声優さんで容易に声が想像できて、しかも素人ながら私でも「これ以上ないくらいハマってる」と思いました。
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  • 殺し屋食堂

    衿先はとじ

    最高のハートフル・ヒューマン・ラブコメ
    2025年4月13日
    先生の作品は『騙されません、恋なんて』が大好きで、完結した時は凄くショックでした。そして今回…更に面白くてハートフルなラブコメを目一杯楽しませてもらいました。

    『騙されません〜』はオメガバースだったので、明るい中にも独特の暗さがあった気がします。今回もタイトルに物騒な単語が並んでいることもあり暗さがないとは言えませんが、どちらかというと明るめだと思います。

    全体的にラブコメ調で、食事が前面に出てきたり暁の状態などから、ハートフル・ヒューマンドラマ風な一面もありました。「匂いと記憶の関連性」はよく聞きますが、味覚も匂いを含むので同じように記憶を呼び覚ますのかなと思ったり。

    ほっこりニコニコするようなシーンや会話がたくさんあって、絵は基本綺麗でデフォルメしたのは可愛くて読みやすかったです。あまりストーリーに関係ない所で…Tシャツの絵が、かなり個性的でだいぶ前の早い段階から気になっていて、後で話題になった時は笑ってしまいました。

    二人の関係と暁の状態は大幅な進展があったと思いますが、その他にも面白そうな設定・キャラがいくつもあるので、是非とも続編を頂きたいです。
  • 童貞やくざとデリヘルくん【コミックシーモア限定特典付き】

    藤峰式

    キャラ達の「らしくない」ギャップが面白い
    ネタバレ
    2025年4月12日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ヤク◯の颯真は、性格・経験値など血統と強面以外は全然「らしくない」し、デリのあらたは職業柄になく純粋で…二人とも設定からして凸凹というかチグハグというか、ギャップが面白かったです。

    よく考えると「まぁ普通はないよね」と思える設定も、先生のノリと勢いに取り込まれて楽しめました。最終的には弟・跡目争い・元カレ・二人の未来など、小さな要素までも漏れなくフル活用して、万々歳のフィニッシュまで持っていく力量は流石でした。私の中で、当たりしかない作家さんの一人です。

    最後に表題作以外の作品がありました。こちらは年の差・溺愛・甘々・(訳あり)すれ違いストーリーでした。どちらも「お幸せに〜」なハピエンで楽しめました。
  • エスケープドロップ

    束原さき

    主従関係…弟編は可愛く兄編は大人っぽい
    ネタバレ
    2025年4月11日
    このレビューはネタバレを含みます▼ メインが弟CP、スピンオフとして兄CPの話で構成されていました。どのキャラも少しずつ違ったテイストでオールイケメン、そして絵がとにかく綺麗なので、何着ても何やっても様になっていて眼福でした。

    軸として弟カルロと弦の恋愛があって、それだけでも丁寧に流れが作られていて良かったですが、もう一つカルロ側の「日本に来たかった理由」が、作品をより深みのあるものにしていたと思います。

    そして兄CPのスピンオフも短いながら少数精鋭エピソードでしっかり纏めてありました。弟CPと違ってこちらは本格的な主従関係なので、身分差要素が加わって切なさや大人っぽい雰囲気が出ていました。

    どちらものCPも主(受)従(攻)関係にあって、受けが攻めを甘やかしたり嫉妬したりするシーンに愛情を感じましたし、可愛いなと思いました。
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  • ブルー・オン・ブルー

    中村まきの

    いよいよこれからって所で終わってしまう
    ネタバレ
    2025年4月10日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 絵も綺麗で、アメリカ空軍パイロットと医師という華やかなキャラ設定でワクワクしました。リアムが戦闘機のパイロットということで、押しの強さを「人の心に土足どころか戦闘機で乗り込むくらいの勢いで踏み込んできたくせに」と、空斗が言っていたのに笑ってしまいました。

    2巻のラストで当て馬?らしき人物が登場して、これから更に面白く…というところで「to be continued」になったまま(それが2017で)未だ続きが出ていません。考えたくないけど、続きを読むのは難しいのかな。残念です。
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  • 王子さまの子を孕んでしまったので、嫌われ者公子は逃げることにしました【特別版】(イラスト付き)

    成瀬かの/八千代ハル

    可愛いもの好きな人のハートに刺さります
    ネタバレ
    2025年4月9日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ちびっ子・ケモ耳(猫)・オメガバースなど、好みが分かれる要素が強めの作品かなと思います。好きな人にはかなり刺さると思います。私はちびっ子が大好きなので、デレデレしながら読みました。

    あとがきで先生が仰っていますが『竜の子は婚約破棄を回避したい』のファンの声に後押しされてできた作品らしいです。ちなみにイラストの先生も同じなので、読んだ事のある人ならよりイメージしやすいかと思います。私は『竜の子〜』レビューで続編希望と書いたくらい好きなので、こちらも良かったです。

    前半部分は割と時系列が前後しますが、混乱なく読めました。他には幾つか小さな伏線がありますが、後の溺愛っぷりの証明材料などに使われる際に回収されるので、頭の片隅に置いて置くくらいでドンドン読み進めて良いと思います。

    ただ一つ欲を言うなら…船長にも運命の番を見つけてあげて欲しかったかなと。当て馬なんて言えないくらい優しく思いやりがある人ですから、彼の幸せも見たかったです。
  • 嘘つきのmy α~相性最悪?なαクンとΩサマ~

    藤間みお

    待ってましたのスピンオフ…ハルミが主役
    2025年4月8日
    『Ω専用シリーズ』『Ωが欲を孕む時シリーズ』第三弾。待望のスピンオフです。私は『Ω専用〜』の二人が好きなので、そこによく出てきた(絡んできた?)ハルミのその後は気になっていました。

    この作品は上下で一括りだと思うので、一気に読むことをおすすめします。上巻で点とハルミの距離が近づき、無自覚ながらも求め合い、相手をもっと知りたいと思うようになります。点がいけすかない奴認定していたハルミの、思いがけず優しげな笑顔や子煩悩な様子と裏腹に上巻ラストで、ハルミに重要な秘密がある事が分かり…

    と、いい所(起承転結の転)で終わっても下巻をすぐに読める状態にあれば問題なし。いい流れのまま読み進められました。

    『Ωが欲を〜』は旧版で読みましたので若干違うかもしれませんが、大きくは変わらないという前提で…前作読んだ感想では、『Ωが欲を〜』が一番重く、『Ω専用〜』はDKから始まるので明るくやや軽め、『嘘つきのmyα〜』が前二作のいいとこ取りした合いの子みたいな感じでした。

    明暗・軽重・二人それぞれが抱える過去や現在の問題など、全てが程よく適量で家族関係ではヒューマンドラマのような温かさも見せてもらえて、シリーズ1の読み応えがありました。
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  • 獣はかくして愛に啼く

    沙野風結子/小山田あみ

    主役級の活躍する桐山とカワウソが見どころ
    ネタバレ
    2025年4月7日
    このレビューはネタバレを含みます▼ まずは先生に新作と完結の感謝を。
    あとがきで先生も仰っていたように、この作品はイラスト効果がかなり強いと思いました。まるで写真のように精緻で美麗なイラスト。細部まで拡大して堪能してしまいました。細かいところで言うと、どちらも鼻筋が通っているけど、鹿倉は真っ直ぐでゼロの方は中程で少し盛り上がりがあるんです。そんな微細な点まで描ききる腕に感動しつつ読み始めました。

    前情報から今作で完結と知っていて楽しみにしていましたが、出だしでカワウソ(早苗)が出てきた所からワクワクしましたし、何をやらかしてくれるのだろうと期待でニヤニヤしてしまいました。その後もカワウソ関連のアレコレは、作内キャラ達だけでなく読者の癒しでもあると思いました。

    今回は見どころが多くありましたが、一番は読者の好き嫌いに関わらず桐山関係でしょうね…変態なのは充分理解していたつもりが、それでも更に上を行かれて「擬似◯らないと出られない部屋」イベントが始まった時は、主役級(もしくは以上?)のインパクトにクラクラしました。変態桐山ここに極まれり…変態の最終形態を見た気分です。主従関係にあるイトウも強烈でした。

    桐山にしてもカワウソにしても、前三作に比べて笑えるまではいかなくても頬が緩むシーンが多かった気がします。当初からあった裏社会や闇社会の昏い面を見せながらも、どことなく光が差すような明るさがあるように感じました。

    そこで出版順に並べてみてびっくり。表紙の雰囲気が①夜から②夕焼け(朝焼け?)③朝方の明るさ(昼)④桜へと変遷していました。四作めの桜…季節は春。明るい印象しかありません。

    最後はだいたい予想通りだったけど、思いもかけない展開もいくつかあって、ちょいちょい裏切られるのも面白かったです。暗闇から明るい陽の光の下へ来れた二人を見届けられて幸せです。
  • 化け猫かたって候

    早寝電灯

    疲れ切った心に優しく染み渡る労りのお話
    ネタバレ
    2025年4月6日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 物語の世界観が独特で奥深くて素晴らしい。マナーやルール、犯罪などグレーゾーンがあるものもありますが、生死にはないんですよね。一線を越えるか越えないか。その一線の一歩か、もっとギリギリの半歩手前で踏みとどまった草太。そういう状態の時って、生を求めるのは心じゃなくて身体なのかもしれません。手作りの温かいご飯を誰かと食べることで、食事の温かさが心にも栄養として行き渡る…そんな気がしました。

    草太側の話も喜八側の話も生死に関わる苦しく悲しい話でしたが、数々の心に響く言葉に癒され気付かされて、幸せになる感動のストーリーでした。あとがきの物語のその後の考え方も私の想像していた未来と同じだったので、安心しました。

    先生の作品は、どれも沁みる名言が多くて漫画なのに文学作品を読んでいるような気になります。今回もたくさん名言がありましたが、一番を上げるなら「生きるために働きな 働くために生きるんじゃないよ」です。

    真面目に一生懸命になりすぎると、流れに乗ったまま目的と手段が逆になってしまった事に気づかない…生きること以外にも当てはまると思います。このセリフは本末転倒にならないようにと、優しく教えてくれているような気がしました。
  • 好きなひとの好きな人

    星倉ぞぞ

    ギリ許容範囲の執着系✖️可愛いストーカー
    ネタバレ
    2025年4月5日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 可愛くて平和な一風変わったすれ違いラブストーリーが楽しめました。絵が綺麗で読みやすいと思いますし、デフォルメしたちびっこケモ耳姿の空が可愛いです。でも「犬にしてはちょっと変わったケモ耳だな…」と思ってて、何回目かでやっと気づきました。これって「小熊だから、クマの耳だよね」と。

    ストーリーとしてはソフトで読みやすい、王道ものだと思います。ストーカー気質と言っても、あれくらいなら害もないし可愛いものだと思います。ちょっぴり蜜彦の執着が闇(病み)かかってますが、まぁギリギリ許容範囲の微笑ましさがありました。

    個人的には、お医者さん同士でやるお医者さんごっこがめちゃツボで、もう少し変態っぽくでも面白かったかもと思いました。あと162ページの蜜彦のセリフで「無くすのが怖い最後のもの」って何?と疑問が残りました。予想では「事後のアレ」だと思うのですが(持ち帰って集めていたような気がする)違うかもしれないので正解が知りたかったです。
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  • ベリーベリードドドドストライク♂ 【電子限定特典付き】

    ウジチャンマン

    楽しくて元気になれる新栄養素が詰まってる
    ネタバレ
    2025年4月4日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 何この面白さ、そして楽しく騙されて(?)この爽快さ…最高でした。この気持ちを分かってもらう為にも是非ネタバレ無しで読んでもらいたいです。

    この作品は、作中のキャラと読者までもが、ある意味騙されて初めて楽しめるのだと思います。ネタバレ無しでと言いながらも少し洩らしますと…「オメガバースのようで違うような」「運命の番のようなそうでもないような」「騙す気もないのに騙し騙され」とにかくいい感じに上手く拗れているところが最大のポイントで、面白さの核です。

    何でもないちょっとしたセリフも印象的でした。驚きのあまりに出た「え」が「ゑ」になってたり、「運命より運命的」という言葉が、これ以上なくストーリーに合っていたり、漫画の醍醐味である絵とストーリーとセリフの全てが高レベルでした。

    ビタミンBLとはちょっと違う…でも元気になれる何らかの新栄養素の詰まった作品でした。
  • ワイルドに魅せられて【電子限定おまけ付き】

    ほむらじいこ

    脇のキャラまで皆が活きていて面白い
    2025年4月3日
    『複雑!△△関係』シリーズを読んでからこちらを読んだので、ちょっとしたカルチャーショックを受けました。純粋に出版年が違うから当たり前ですけど、こちらは今風で面白かったです。

    前作でも設定に先生独自の工夫と意外性があって読み応えはありましたが、今回は更に磨きがかかっていたように思います。受け・攻めの過去と今の設定のアレコレは、一つ一つはよくあるものだと思うんです。でもそれを幾つか組み合わせてあると途端に珍しく、読者を惹きつける要素になると感じました。

    2巻まで来ても、大志が煮え切らない何とも自己肯定感の低い子で…でも不思議と卑屈とは感じさせない人として可愛さのあるキャラで応援したくなりました。

    あとは、当て馬が当て馬っぽくないというか、「いかにも」な演出ではなく、心情なり展開なりに自然と組み込まれているような流れが良かったです。

    龍・伊沢・先生・同僚、倫太郎と主役以外のキャラが多く、それぞれに重要案件に絡んでくるのにごたつかず、ストーリーを面白くすることはあっても邪魔せず共存していたのも凄いと思うし読みやすかったです。
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  • 盗賊王の溺愛花嫁【特別版】(イラスト付き)

    小中大豆/石田要

    溺愛以外は色々予想と違ったけど癒された
    ネタバレ
    2025年4月2日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 出だしというか、それこそ初めの一文からセンセーショナルで不憫受け感万歳…という空気で、この先朱璃にどんな過酷な人生が待っているのかと思いましたが、青天の霹靂に遭い自尊心を打ち砕かれたにせよ、持ち前の聡明さで己を立て直して幸せになれるしなやかな強さを持った人物で好感が持てました。

    タイトルの盗賊王というのもそこまで大事ではないだろう予測はしていましたが、まぁ…噂に尾ひれ背びれが付いただけで実際のアータシュは、スパダリで溺愛(これはタイトル通り)でした。

    途中、ピンチはあっても絶体絶命という程の緊迫感はなく、概ね安心して読めました。お子ちゃまも産まれてラストまで溺愛甘々のストーリーに癒されました。
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  • やたらやらしい深見くん【単行本版特典ペーパー付き】

    松本あやか

    3巻ずっと面白いハートフルラブコメディ
    ネタバレ
    2025年4月1日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 凄く、凄ーく良かったです。自分でも趣味(BL)が一般的に少数派だと認識しているし、実際に家族にも秘密にしていますが、その割に妙な羞恥心からタイトルや表紙を見て激しそうなのは避けて通りがちです。

    タイトルから勝手に(本当に申し訳ないけど)エ◯一辺倒かと思い込んでたんですが、読んでみたら全然で「やたら」は「とても」、「やらしい」は「色っぽい」に変換できて…「とても色っぽい深見くん」という、とてもハートフルで良い内容でした。

    読み始めたら読み始めたで、最初は梶の行動・言動から思い込みで「攻めザマァ」系かと思ったりしましたが(言い方が変だけど)良い意味でザマァって感じで、悪い印象は全くなく寧ろ好印象を持ちました。

    真面目に人生観なり恋愛観なりを語ったり悩んだりするのにコメディ要素も多分にあって、可笑しいセリフが何箇所もあって楽しくて仕方なかったです。

    深見の謎行動に梶がツッコむ数々のセリフが秀逸で、特に「性のソムリエか お前は」には吹き出してしまいました。3巻全て、満遍なく面白かったです。恋愛ものって、起承転結を考えるとどうしても「承」の部分で落ち着いた展開が多いと思うんです。それがこの作品は、ずっとアクセル全開のトップスピードで、山場はそれより更に高速で駆け抜ける感じなので、息つく間もなく常に楽しかったです。

    本編で最高に面白かったのですが、そこで終わらないのもまた流石で…3巻の描き下ろし、二人の妄想3P論争に吹き出してしまい、最後の最後まで笑わせてもらえて大満足の読み応えでした。
  • もっと可愛くなっていい【単行本版】

    星ノビル

    特別小冊子の二本立てがありそうで面白い
    2025年3月31日
    本編は甘々・溺愛・ロマンチックな内容で、それ故にやや現実感が薄い気もしました。幾つかの展開がソフトだけど強引な感じで、でも絵が綺麗でストーリーの運び方・キャラの描き方・見せ方が上手いので素直に読みかけて…片隅にいるBL脳ではない自分が「いやいや…普通はそんなハードル低くないんじゃない?」と、待ったを入れることがありました。それでも雰囲気に呑まれてしまえば、「BLはファンタジー」と良い方に捉えて楽しめました。

    特別小冊子、こちらは凄く面白かったです。「もしもシリーズ」みたいな感じの短編二本立てが最高でした。どちらも見事にキャラがハマっていて「本当にありそう」で「そーなるよね」としか思えない、頷きまくりのストーリーに笑ってしまいました。
  • メロウレイン ふったらどしゃぶり

    一穂ミチ/竹美家らら

    土砂降りが穏やかで優しい雨になったような
    ネタバレ
    2025年3月30日
    このレビューはネタバレを含みます▼ メロウの意味は「優しい」「心地よい」「穏やかな」「落ち着ける」「円熟した」などがあります。本編の激しい雨と比較してタイトル(メロウ)を彷彿とさせるゆったりとした内容が多い短編集でした。

    本編から共通してあるのは、基本何か重要な出来事や心境の変化・分岐点にある時にはいつも「雨」である事ですが、今回は季節によっては「雪」になったりします。でも内包するイメージはどれも温かく、小さな幸せに気付いて大きな幸福感を得られるようなものばかりでホッとしました。

    幾つかの短編では、実在する地名や名前が出てきて興味深く読みました。特に「京都の伊勢丹にしか売ってない土産」というのが、気になって仕方なく…それが何であるかを突き止めたくてネットで調べまくってしまいました(結果は分からず仕舞いで残念です)

    どれも宝物みたいに素晴らしい話ばかりで、何気ない日常や会話に小さな感動がたくさんありました。中でも私が一番好きなのは《海を見に行こう》で、名前のトリック(大げさでなく仕掛けと言えるレベルの事)に驚かされました。先生は、いつから構想を練っていたのかと、小説家としての才能に恐れ入ったし、本編のプロット段階から?…だとしたら天才だと思いました。

    本編は激しい嵐のような雨のイメージで、何かと生々しく痛々しい場面が多かったけど、こちらは本当にゆったりした気持ちで読めました。
  • 衝突!★★作戦【コミックス版】

    ほむらじいこ

    絵もストーリーもパワーアップしていた
    ネタバレ
    2025年3月29日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『複雑!△△関係』スピンオフ。私は、スピンオフの方が読者を引き込む力があった気がしました。約10年前の作品なので、所々流れとか事に持ち込むタイミングとか強引さはあったものの(以前は行為シーンは何割以上と決められていたそうです)今でも通用するストーリー性があったと思います。

    前作を引き継いでか?複雑で奇妙な関係性あり、タイトル通り自己主張のぶつけ合いという意味で衝突あり、押したり引いたりアップダウンが激しく楽しめました。

    修一郎の本心が汲み取れないままストーリーが展開していくので、敦士と一緒に読者も行動の裏にある心理を見極めながら読み進めます。8割方(残りは何となくの雰囲気で)全体像が見えたところで、めでたしめでたし…なんですが、最終話で事の始まり=修一郎の行動の原動力の源が説明されるので、そこで完全に腑に落ちた感じです。

    種明かしが2巻の最終話なので、真実までの道のり(2巻)が長いと思う人がいるかもしれません。あと(私は)好きになれないタイプの女の子が出てくるので、こだわりがある人は注意が必要そうです。
  • 月光坂の花屋敷

    木下けい子

    読み込む程深く濃く沈み込むような重めの話
    ネタバレ
    2025年3月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 先生の作品の中では重めの方かもしれません。そして業とか欲とか、込めた想いに濃さ・深さを感じました。最低でも2回は読まないと充分な理解は難しいと思いました。

    なぜなら、分かったつもりで(同じ所を何度も読んだり戻ったりしながら)読み終えて、レビューを書く段階になって気づいたのです…タイトルに「春」「秋」と付いてることに。それを踏まえて読み返してみると、また少し違ったイメージを持ちました。

    ぶっちゃけ「春」の持つ明るいイメージは全くなく(と私は思う)2冊を通して秋〜冬のイメージが強かったです。しかも、どちらかと言うと1・2巻で季節が逆な気がしました。それでも1巻が「春」というのには、先生としては理由があるんですよね。

    だとしたら…遠い春の訪れを待つ固い蕾のように(今はまだ寒いけどこの先の暖かさを予見させるような)逆説的な表現をしたかったのでしょうか。それとも単純に物語の中の季節の話でしょうか。どんな意味があるにせよ深く考えさせられる事に変わりなく、どんな思いを抱くかは人それぞれで…そういう書き方・読ませ方ができるのは素晴らしいと思いました。
  • 和田兄弟の諸事情

    さとる

    兄達の溺愛っぷりやズレた言動行動が面白い
    ネタバレ
    2025年3月27日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 試し読みで先が気になって仕方なく…BLカテではないと勘違いして購入しました。後から見たらBLでしたけど、1巻では全くと言っていいくらいBL要素はなかったです。強いて言うなら、これからはあるかもねの薄ーい気配があったくらいです。

    内容に関しては、《作品説明》がパーフェクトと思える仕事をしているので、かなり参考になると思います。特に最後の一文…「矢印飛び交う(!?)ハートフルコメディ」は、正に私がレビューで伝えたかった核ですし、「(!?)」という四つの記号には重要な意味があると思っています。

    ハートフルコメディも、ここに「ラブ」を入れたくなりますが、今のところは入れられない感じです。BがLしてないので。という訳で…レビューで足りないと思うのは「溺愛」の文字くらいでしょうか。兄達が末っ子を可愛がる程度と方向性がトンチンカンで面白いです。

    子育て要素を軽く入れたヒューマンドラマっぽい雰囲気とか、ドタバタ感のある楽しいお話で、終始顔を緩ませながら読みました。BL初心者やライトなストーリーを好む方におすすめです。
  • 【分冊版】キャラ文庫アンソロジーIV

    月東湊/円陣闇丸/夜光花/小山田あみ/小中大豆/笠井あゆみ/樋口美沙緒/yoco/英田サキ/高階佑/尾上与一

    中身の詰まった番外編としては重厚な内容
    ネタバレ
    2025年3月26日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『気難しい王子に捧げる寓話』番外編を読みました。本編も素晴らしく面白かったけれど、こちらも大満足の内容でした。

    番外編によくある「とにかく甘々なストーリー」や「その後のお話」というのも、もちろんありがたいし好きな作品であればこの上なく嬉しいものですが、今回は続編のような形を取りつつ短いながらもしっかり起承転結があり読み応え充分でした。

    ストーリーの中でも少し触れられていますが、「御伽噺だったら、末永く幸せに暮らしました」と、希望的観測を含めつつ暈して終わるところを、具体的に「何をどう(選択)して、どう幸せになるのか」現実の「生」を示してくれました。

    本編では、人生の、そして国の最大の危機を乗り越え、大きく成長したエセルでしたが、まだまだ色んな意味で甘さが残っていた気がします。それが、番外編で更に一皮剥けて真の王とも言えるまでに変貌を遂げた事には驚きました。
  • ナイトガーデン 完全版

    一穂ミチ/竹美家らら

    タイトルを纏ったような内容が素晴らしい
    ネタバレ
    2025年3月25日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『ふったらどしゃ降り〜』スピンオフであり和章の救済ストーリー。前作もそうでしたけど、今作もタイトルと本文との関わりが濃密で奥深くて、かなり読み応えがありました。

    「出会うはずのなかったものが出会ったのなら、それは出会うべくして出会ったのと同義なのだろう」とは、大いなるパラドックス・矛盾でありながら、真理・真実でもある…植物の世界においては、事実として存在すると知り、宇宙の理を聞いたような感動がありました。

    他にも植物関係で、「連理の枝」の解釈・意味合いは知っていたけど実在するものを見たことはなかったので、調べてそれらの写真を見た時の感動もなかなかでした。同じように「根上がり」は、言葉も何も知らなくて調べて驚きましたし、それらの姿・様子が本当に本文そのままを現しているようで、景色が目に浮かぶようでした。

    読者を巻き込むというか、和章と柊と同じ空間にいて、同じものを見ていると錯覚するくらいにストーリーに浸る事ができる力に圧倒されました。

    「とげ」「(色々な意味の)緑」などのキーワードが、何回も様々な場面で活かされていて、それぞれのキャラの心理描写にも深く関わっていて印象的でした。

    ただ一つ、何とも言えない後味の悪さみたいなものを感じてしまう事があって…前作にも居ましたが、脇の脇でありながら重要人物である「女」の言動・行動が、どうにも許せないんです。BLに出てくる嫌な女が苦手な人には(地雷までいかなくても)厳しいかもしれませんので注意が必要かもしれません。
  • 好物は愛しいあなたの腹のなか 【電子限定特典付き】

    蔓沢つた子

    ずっと続いてほしい大好きシリーズ4作め
    2025年3月24日
    シリーズ4作目。丸々一冊、前作の正親とグリムの続編でした。ずっとオムニバスで来ていたのが、ここへ来て初めての丸々1CPだったので、満足度は高かったです。

    1話毎のエンドの次ページにあるデフォルメされた絵が、一作目からずっと可愛いなぁと思って見ていました。この先シリーズがどうなるのか分かりませんが、イラスト集とか番外編とか少しずつでも良いし、普通に5作目でも勿論大歓迎なので、とにかく続いてほしいです。
  • 好物は真夜中のうちに腹のなか 【電子限定特典付き】

    蔓沢つた子

    どの子もみんな可愛くて幸せになってほしい
    2025年3月23日
    シリーズ三作目。基本パターンは同じ感じで登場人(猫)物は増えるので、連続で読んでいても時々「えーっと」てなりました。相関図が複雑なので、同世代なのに叔父・甥の関係に当たるとか、一度は理解したはずなのに違うCPの話を挟むとまたあやふやになる…とかもありました。

    子世代の話は、見た目も性格も親の遺伝子を引き継いでいるのが見て取れて「蛙の子は蛙」とか「この親にしてこの子あり」の諺みたいで、ストーリーに輪をかけて面白くしていると思いました。今回は一作目の親世代のお話もあって、昔のままのラブラブっぷりが楽しかったです。

    残すところあと一冊になりましたが、次はどのCPの話だろうと読むのは楽しみなのに、終わってしまうのは悲しいというジレンマに陥っています。
  • ふったらどしゃぶり~When it rains, it pours~ 完全版

    一穂ミチ/竹美家らら

    雨に関する全ての印象が愛しいものに変わる
    ネタバレ
    2025年3月22日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 赤裸々で明け透けなテーマ・内容であるのに、なぜか生々しさを感じさせない…それどころか、文学的で美しさを感じる上質な文章が素晴らしいです。

    挙げたらキリがないくらい素敵な文章が幾つもあって、メモを取ったし全てをお披露目したいのですが、しつこくなりそうなので、最高と思う一例だけ出したいと思います。落ちてきた水滴を「整が降らせた涙だった」と…この一文に、自分には1ミリもないセンスや高い文章力に脱帽したし、究極の逸品を見たような気がしました。

    あとは、タイトルが諺だと知り、内容とのユニゾンに深い意味合いとストーリーの重厚さを感じて、更に感動しました。そして設定的に一顕と整、二人の相手側にある都合とか理由付けには、どうしても無理やり感が出てしまうのではないかと懸念していました。

    普通の感性なら一顕と整の成り行きは理解できると思うのですが、相手方の言い分には説得力とか読者を納得させるだけの事情を探せるのかな…でも、そこが弱いとどうしても御都合主義っぽく感じるよな。などと分析しながら読んでいましたが、全くもって余計なお世話で…全員が無傷ではないものの次に繋がる最適解を出せたラストだったように思います。

    こちらシリーズもので、このあとスピンオフで和章の話がありますので、そちら(購入済み)を読むのが楽しみです。
  • 好物はこっそりかくして腹のなか 【電子限定特典付き】

    蔓沢つた子

    どの子もどのCPも可愛いくて推せる
    ネタバレ
    2025年3月21日
    このレビューはネタバレを含みます▼ シリーズ二作め。こちらだけでも読めるには読めますが、色々と感動や感慨に耽る為にも前作から読んだ方が何倍も楽しめると思います。

    前作が親世代の話だとしたら今作は子供世代の話で、前作同様に3CPの短編集という内容でした。連続で読むことにより、顔や性格・名前が親譲りだったりするので、誰が誰の子か分かりやすくてあまり混乱もせずに楽しめました。

    あと、これは人によるかもしれませんし、盛大なネタバレでもありますが、「なんだかんだ切なかったり悲しかったりもあるけど、結局最後はラブラブのハピエンに至る」ところが私好みでした。あとは猫獣人の見た目も性格も可愛くて、純粋に猫あるあるを楽しめました。
  • 好物はいちばんさいごに腹のなか

    蔓沢つた子

    シリーズ1作め。高評価も納得の面白さ
    ネタバレ
    2025年3月20日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 初作家さんでしたが、シリーズものは制覇したい質だし、とりあえず一冊読んでからとか様子見とかができないタイプなので、試し読みだけして全購入しました。1巻は、シリーズ3CPの短編集と別作品の短編1という内容でした。

    全購入なんて、こういう事ができるのも高評価とレビュー数の多さがあってこそで、評判通りに凄く良かったです。面白い…とはちょっと違うような気がしますが、タグを付けるならヒューマン(獣人だけど)ラブコメディですかね。微笑ましく楽しい場面もありました。

    大体の受けはチョロ可愛いくて、多かれ少なかれ攻めは強引で…でもしっかり愛はあって、どのCPもカラーは違えど優しくほっこりするお話ばかりでした。

    そしてお子ちゃま(しかもケモ耳)は最高に愛らしく、獣人の中でも猫獣人オンリーなので猫好きには堪りません。聞いたことのない猫種の名前を見て、調べては写真を見て「可愛いー」となり、楽しさが割り増しになりました。BL・猫・お子ちゃまなど、私の好きなものが詰まった作品でした。

    シリーズとは別の短編も良かったです。受けはシリーズの子達と系統が似ていて…おバカではないんだけど鈍いとか素直とか共通点はあって、こちらは本当にヒューマン(獣人じゃない)ラブコメディの執着愛でした。

    シリーズはもちろん、他の作品も軒並み高評価なので、そちらも読んでみたいです。
  • ヒーリングパラドックス 【電子限定特典付き】

    昼寝シアン

    異常な状況が常態化したら日常になるのかも
    ネタバレ
    2025年3月19日
    このレビューはネタバレを含みます▼ とても初コミックスとは思えない仕上がりでした。1巻は種蒔き…攻めのもはや執着とは言えない粘着&強すぎる想いは、執念を感じさせるインパクトがありました。

    2巻からはタイトルにdeeperの文字が増えて芽吹から成長へ…deeperの意味がよく分かる内容でした。ここで「higher」と上を指す単語ではなく「deeper」を使うことで、例えば深海のような暗さや、土の中のような根深さみたいな、何となく負のイメージを連想させるというのがポイントだと思います。

    2巻までくると執念だって可愛いもので、憚る事なく言ってしまえば殆ど「ストー◯ー」ですよ、一舞。いや…対象は直斗限定なので、彼の名誉の為にも良く言えば「善良なストー◯ー」ですかね。

    一舞の深く強すぎる想いが大きくなるに従い、着実に直斗にも変化が訪れます。その事を何気ないシーン(44ページ・中段)の言葉と絵でやんわりと、でも明確に心情を表す手法が秀逸でした。
    ⚠️ネタバレ注意…「対等になれる気がしない」という言葉に、綺麗に割り切れなかった割り箸の絵を当てているところ。

    3巻では、揺らぐ事ない大樹になったかのように…更にパワーアップした一舞には、正直引いてしまいました。読んでる時は第三者目線で「ゾクッ」で済んでた体感も、これがもし私に向けられていたら?と考えると「ゾッ」としました。

    周りから見たら「異常」な状況もお互いが納得した上で必要としていて、いつしか常態化したならそれは「日常」になるのでしょうか。完全なハピエンとは言えないような、限りなくハピエンに近いメリバのような、不思議な読後感になる作品でした。
  • 君に想ふ、碧

    束原さき

    綺麗で透明感のある絵とストーリーが素敵
    2025年3月18日
    先生の作品は『Powder Snow Melancholy』でストーリーの面白さと綺麗で透明感のある絵にハマり、二作品を残して作家さん買いする勢いで読んでいます。明るい作品と切なさ強めの作品がある気がしますが、今回は切なさ強めだと思います。

    碧の抱える想いや過去は、結構キツイものがあると思うんですが、そこはDKの若さと強さで落ちきる事なく浮上できてた気がします。鳴海と碧、二人の時は無邪気なDKそのものなのに、碧の過去が絡むと途端に表情も空気も翳りを見せて、寂しげになるのが対象的で、明暗の見せ方が上手いなと思いました。

    DKにしては大人というか精神年齢が高めな言動・行動が多くて、周りの大人達も(大人だから当然)理性的なので、どうしても全体的に綺麗にまとまっている(まとまり過ぎている?)感はありました。私はそういう映画みたいに綺麗な作りが好きなので良いなと思いましたけど、濃い味が好みの人には、あっさりめに感じるかもしれません。
  • 気難しい王子に捧げる寓話

    小中大豆/笠井あゆみ

    究極のすれ違い・両片思いに教訓を得られた
    ネタバレ
    2025年3月17日
    このレビューはネタバレを含みます▼ これだけのレビュー数にこの高評価は伊達じゃない!!自信を持ってお勧めできる面白さでした。寓話というだけあって、確固たる芯の部分とその他諸々…数多くの教訓が込められた素晴らしい一冊でした。

    究極のすれ違いで両片思い…これほど複雑な関係は見た事がなく、のめり込む面白さでした。お互いに(意図的であるないに関わらず)偽りの自分がいて、それぞれに偽りの相手を愛し、憎み、葛藤する…どこまでも捩れた愛憎劇にハピエンを予想しながらも気の抜けない展開でした。

    エセルは変貌前、オズワルドは本性がバレた後の、あの何とも気まずい羞恥心が湧き上がるようなシーンの数々には、読んでるこちらまで心の声を聞かれてるみたいな、失敗を見られたみたいな、気恥ずかしい気持ちになりました。

    二人それぞれどちらの苦悩も理解できるし、どちらの心情・行動も仕方のないことで、だからこそ起こるすれ違いが面白くもあり切なくもあり…。ラストは、偽りの部分も含めて愛しあえる関係になれた二人に心から安堵しました。軽すぎず重すぎず、でも読み応えのあるストーリーに引き込まれました。
  • オメガの婿取り

    黒井よだか

    オメガバース×ヤク◯の新鮮な組み合わせ
    2025年3月16日
    オメガバース×ヤク◯ものって、珍しい組み合わせな気がします。しかも強面の若頭がオメガって…私が読んだ中では初めてだと思います。◯回目のプロポーズのようなギャグっぽい面も多少はあるけど、オメガバースにしてもヤク◯にしてもそれぞれの世界について真面目に語られていて満足度が高かったです。

    まず初めに真と義治の関係を見たところで大体のストーリー展開を予想して、しかもその予想が正しいと思っていたところにドーンッと、真のバースを突きつけられて訳がわからなくなる…そこからが本当の楽しさの始まりです。

    オメガバースとヤク◯、どっちの世界観も中途半端になることなく上手く噛み合っていて面白かったです。配信中となっているけど、内容的には完結している気がします。せっかくのオメガバースだし、番外編でもいいので二人の子供が見たいです。
  • 双子×征服【電子限定描き下ろし付き】

    椿野イメリ

    色々過激な設定ながら嫌悪感はなく楽しめる
    ネタバレ
    2025年3月15日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ある日突然、大富豪から一文無しへ。家族には自分だけ置いて去られ借金のカタにされ…など、色々と極端な逆シンデレラストーリーという感じの出だし。

    急な没落に呆然とするルミを借金のカタにしたのが双子の高秀と秀悟で、高圧的かつ傲慢な態度に振り回されるルミ。…なんですが、何だかんだお互いに絆されて最終的にはラブラブ3Pに落ち着きます。タイトルからも分かる展開なので、お互い以外はダメという人にとっては地雷設定だと思います。

    何かと読む人を選びそうな過激な設定ではありましたが、ルミは「馬鹿な子ほど可愛い」、双子は受け溺愛のスパダリで絵も綺麗。好みの設定とは言えないものの不思議と嫌悪感はなく、三者三様に愛されキャラというか憎めない面があって、最後は「誰が何と言おうと当事者が幸せならそれが正義」と思いました。
  • 嘘には向かない職業 sequel

    金井桂

    真逆な個性のスイッチングが魅力的な二人
    2025年3月14日
    シリーズのスピンオフの続き。
    上巻で、雪矢は基本かっこ良くて…かっこいい人のかっこ悪い面って、逆説的に可愛いなと思います。奏真は基本が可愛いくて…可愛い子が意思を込めた目でキリッとした表情をするとかっこいい。二人の真逆な個性のスイッチングは見た目に楽しく、恋人として心理的に成長していく様子は微笑ましかったです。

    下巻で、↑のように読者として上から愛でていたら、いきなりの男前な雪矢の宣戦布告(28ページ)にクラッときてしまいました。この場面を奏真が見ていていたら、ハートに一撃必殺のクリティカルヒット喰らっただろうなと、ニヤニヤ妄想してしまいました。

    上下通して気になったのは、セリフの吹き出し周りの文字。これって業界の流行なのかな?もしくは先生のオリジナル?かどうか分かりませんが、面白いアレンジだなと思いました。シリーズを遡って調べてみたら、今までも時々同じ手法で書かれたシーンがありました。今回は頻出していたので目立っていたし、面白い趣向だなと思いました。
  • 罫線上のカンタータ【電子限定描き下ろし付き】

    早寝電灯

    内容も構成も秀逸で繋がった時の感動が凄い
    2025年3月13日
    これは…言葉にならないくらいの感動を巻き起こす作品でした。世の中のありとあらゆる褒め言葉を並べたい衝動に駆られるくらいの。

    まず構成。短編集かと思いきや、一冊が2組のCPから成る変則的な作りになっています。最後の書き下ろしで、分かりやすく時系列がまとめられているので、参考になりました。

    ここで重要になってくるのが、タイトルのカンタータ(ちなみにイタリア語)です。調べてみると「カンタータとは、独唱・重唱・合唱および楽器伴奏から成る大規模な声楽曲。交声曲。」のことだそうで、なるほど…別々の話かと思いきや、最終的に(厳密には途中も)しっかり一つにまとまってるんですね。

    構成も凄いものがありますが、それぞれのCPの展開も素晴らしくて、どちらか一方だけでも充分読み応えがあるのに合わせ技の相乗効果で何倍も楽しめました。細かい設定や伏線めいた会話や行動が、精密機器のような緻密さで組み立てられているようでした。諸々の事が最後に繋がった時の感動と快感が最高で、ぜひ皆さんにも味わってもらいたいです。
  • だから、悪役令息の腰巾着! 忌み嫌われた悪役は不器用に僕を囲い込み溺愛する

    モト/小井湖イコ

    サモン頼みのフランの自由な行動が面白い
    2025年3月12日
    2巻まで読みました。配信中となってはいますが1巻だけでもふんわり終わってると思います。なので1巻で相性をみてから2巻という手もありかと思います。同じように2巻も一応の区切りはついています。

    私は2巻の方が盛り上がりもあって面白いと感じました。2巻は、起こる事件も解決法も凝っていた気がするし、新キャラの役どころが未知数な感じで、色々と(当て馬?キーマン?普通に良い人?)などと考えて予想するのが楽しかったです。

    フランの誰よりも高い治癒能力という設定が、それなりに本編でも活かされていましたが、どこよりも効果を発揮したのが番外編だった事に「いやいや…使い方」と、笑ってしまいました。フランに関しては、独り言なり行動パターンなりが独創的で、メリット・デメリットの計算も計画も杜撰だし、どうも最後はサモン頼みっぽい呑気な性格に笑わせてもらいました。

    3巻以降も続くのであれば、プラウドとルイスのその後を読んでみたいです。
  • おねがいヒーロー涙をみせて【電子限定描き下ろし付き】

    早寝電灯

    ユキの抱えるトラウマが強烈すぎました
    ネタバレ
    2025年3月11日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『52ヘルツの共振』に心を揺さぶられてから、先生の作品を読むこと4冊め。他の作品もだけど、設定が斜め上を行っている気がします。良い意味で匂わせ(伏線?のようなもの)があって、読者には「何があるんだろう」「何かトラウマがあるのかな」と思わせておいて、その真相がいつも思いがけなくて驚かされます。

    作品自体は凄く良いんですけど、ただただ個人的な感情で申し訳ないのですけど、ユキのトラウマ元の女が生理的にダメでした。何ていうか…クズ男の女番?みたいな。何がしたいのか、どうしたらああいう行動に出る思考に陥るのか、謎でしかなく。確かにトラウマを植え付けるだけの過去ではありますが、ちょっとショックが大きかったです。
  • 番未満の僕らはきっと【単行本版】

    あらた六花

    タイトルにも表紙にも細かい設定が活きてる
    ネタバレ
    2025年3月10日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『僕の番はサラブレッドΩ』のスピンオフ。人それぞれ好みのCPや設定があるかと思いますが、私にはスピン元よりこちらの方が刺さりました。(不憫受け・切ない・丁寧な心理描写の掘り下げなど)

    二人のバース設定が重くて辛い…これぞオメガバースというのを前面に出しながらも、優しさと思いやり溢れる展開やラストに感動しました。そしてタイトル…途中途中で度々意識させられて、いかに作者さんが考えなり思いなりを込めて付けられたのかを見せつけられた気がします。

    何気ないのに原点回帰するような、二人の関係を彷彿とさせるかのように絶妙な…タイトルの持つ威力を改めて感じました。それは、あとがきも同じで、「鈴蘭の花言葉を調べてみて」と先生の一言が載っていて、最初は意味が分からなかった(そしてごめんなさい…調べる気もなかった)のですが、番外編を読んで納得。

    二人のお子ちゃまの名前(すず)だった?んですかね。改めて見ると、各巻のカラー表紙にも単話の表紙にも鈴蘭がありました。そこで真面目に調べたところ、鈴蘭の花言葉は色々ありますが、作品に沿ったものとしては「幸せの約束・希望・幸福の再来」などがあり、細かい設定にまで神経を配れるセンスに感動しました。
  • 雷々来世

    野白ぐり

    前世の記憶に導かれ…もう一度生き直す二人
    2025年3月9日
    何作か先生の作品を読んで…異世界ものも現代ものも独自の世界観を創るのがお上手だなと思いました。コマ割りとかキャラの表情の付け方が映像的で、脳内でドラマか映画のように流れるように読めます。
    言葉にしなくても空気感・行間を読ませる組み立てが素晴らしいと思いました。前世の記憶というのは、自分(世の中の大半の人)にないものなので、ロマンとか憧れが強い設定ですよね。冒頭で早々に巡り会った二人が、苦しみながら傷つけあいながらも、少しずつ前世の記憶と関係を取り戻す作業は興味深かったです。
  • 恋する救命救急医 ベターハーフ 【電子オリジナル】

    春原いずみ/緒田涼歌

    穏やかなCPに突如吹き荒れる嵐の予感
    ネタバレ
    2025年3月8日
    このレビューはネタバレを含みます▼ シリーズで一番穏やかなCPと思っていた二人だけに、今回の問題はなかなか強烈でした。藤枝の方は、問題という程のことではなくメインストーリーの中でも語られていた話だったので、それほどの驚きはありませんでしたが、宮津の方が…。

    それも宮津本人ではなく妹の事なんですが、彼女が、まぁビックリするような理屈に合わない・理不尽な事を、さも当然のように主張してくるんです。フィクションで実在しない人物であるのに、心底呆れたし怒りが込み上げてきました。
    宮津が穏やかで優しい気質だから尚更、妹の人間性の低さが強調されていた気がします。

    藤枝の方は自分の意思決定の範囲にある問題だけど、宮津の方は相手(妹)あってのことなので、まだまだ揉めそうな雰囲気です。ただ、今回の話はシリーズの時系列的に戻るので、色々とあっても現在の状況に落ち着くだろうことが救いです。
  • 金銀ささめくひみつは夜

    野白ぐり

    世界観と綺麗な絵のマリアージュが素敵
    2025年3月7日
    1巻完結としては、ギリギリまで無駄を削ぎ落としながらもしっかりした世界観がありますし、絵の綺麗さも世界観にこれ以上なく合っていて引き込まれました。
    ミカドとアロイの関係は、読み進めるごとに分かるような自然な流れがあって読みやすかったです。全体的に薄味なストーリーだと思いますが、二人の過去や現在までの関係・アロイの母の介入や彼女の葛藤など、所々に引き締め効果のある設定が入るので、あっさりしているのに満ち足りた気持ちになりました。
    特にアロイの母の隠された(読者には明かされるけどアロイは知らないままの)事情は、私の中ではまぁまぁ強めのインパクトがありました。サラッと数コマで流されていましたけど、実は重要なピースではないか?と思っています。この彼女の葛藤があったらばこそ、ラストが引き締まった気がします。
    ただ、やっぱりあっさり系ではあると思うので、濃いめのストーリーが好みの方には少し物足りないかもしれません。
  • 声はして涙は見えぬ濡れ烏

    ウノハナ

    両方読んで、私は兄CPの方が好きでした
    ネタバレ
    2025年3月6日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『ハイブリッド・スターダスト』のスピンオフで、スピン元の聖人の兄の話です。スピン元は【読み放題】で読めますのでそちらで読みましたが、シリーズものは全制覇したくてこちらも購入しました。
    先生の作品は、真面目で切ないものからコメディ系の明るいものまで、幅はあるしどれも面白いです。特に切なさの表現に何とも言えない独特な翳りと苦味を感じます。スピン元の話も大企業の跡取り関係の争いや、人生に対しての悩みなどありましたけど、こちらの方が(兄の話というのもあり)登場人物の年齢も高くて、それに応じてしがらみも多く、難儀な点では上回っていました。
    心によく効くブレーキを持ってる人って、知ってか知らずか、意識とも無意識とも考えるより前に自分にブレーキをかけてしまうのでしょうか。凛を見ていると、そうする事が息をするように身についているようで切なかったです。
    ラストで再会した後の様子を見て、いかに自分を抑えていたかが伝わってきました。
    どちらかだけでも楽しめますが、両方読んだ方が兄弟の関係性やお互いの気持ちがよく分かると思います。
  • 君に注ぐ100dB

    宮田トヲル

    高純度キラキラ爽やかDKラブストーリー
    2025年3月5日
    3巻まで読みました。ダイヤモンドを太陽光に翳した時のあの七色の輝きに似た、キラキラ感いっぱいの作品で、DKならではの爽やかさ・可愛さ共に純度が高めで眩しいくらいでした。
    タイトルから音楽関係と予想はつきますし、実際、音楽を介して二人の仲も深まりますが、意外に思ったのは「100dBは、ガード下で聞く電車の音と同程度の騒音」という事です。色々とあまりに爽やかだったので、勝手に「小鳥の囀り」とか「小川のせせらぎ」くらいを思い浮かべていました。でも、このギャップも作家さん的にきっと何か意図があるのでしょうから今後が楽しみです。
  • 最推しの義兄を愛でるため、長生きします!

    朝陽天満/カズアキ

    推しパワーで力強く生きるアルバが可愛い
    ネタバレ
    2025年3月4日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 5巻まで読みました。異世界・転生などファンタジーものであってもラノベとは思えない重厚な作品もある中で、正しくラノベと言える作品だと思いました。1冊のページ数が多く、量的な読み応えはあるのにライトな内容、それでいてしっかりした世界観があるので楽しめました。昔懐かしRPGと今どき乙女ゲームが合わさったようなストーリーで、私は乙女ゲームはやったことありませんが面白かったです。
    1冊のお値段がなかなか…なので、私は1巻無料を活用させてもらい様子をみました。1巻は序章という感じで、アルバの小悪魔的な可愛さと健気さ素直さがドストライクで、楽しく読み進められました。
    2巻からキャラ設定や展開などが色々と本格化してきます。3巻からは陰謀・策略など更にヒートアップしてストーリーとしてはかなり楽しめますが、BLとしては(恋愛というより治療的な意味の)キスしかないので、実質的なBL要素はほぼありません。
    4巻の早い段階で、そもそもの始まりだった乙女ゲームとしてのエンディングを迎えます。ゲームの世界では「めでたしめでたし」で終わるところから新たなストーリーが紡がれる…みたいな流れです。
    5巻では3・4巻ほどの大波はないものの、小〜中波が幾つもあって楽しめました。5巻まで読んでもBL要素はほぼないままでしたので、その辺をどう思うか、お子ちゃま中心のストーリーである事など、相性を見てからの購入をオススメします。
  • シュガースカルとディープキス【コミックス版】

    朔ヒロ

    ホラーが苦手な人でも大丈夫!!な面白さ
    2025年3月3日
    あらすじと試し読みを見て…「先生の作品は好きだし、出だしは面白そうだけど怖くないかな」と、少し不安でした。でも諦めきれなくて読んでみたら、ホラー関係は読むのも見るのも(屋敷類に)入るのも全くダメな私でも大丈夫だったし、凄く面白かったです。
    先生もあとがきで「コ◯ンが読めて、アン◯チュラルが観れる方ならいける」と仰っていて、私が当にコレでした。特にコ◯ンは小学生でも観れると思うので、大抵の大人は大丈夫な気がします。
    出だしから雰囲気のある夜泉との出会い、突然のイベント発生と能力開花、序章からアップテンポで引き込まれました。1巻を読み終わってもまだ夜泉の為人や役どころ、バックグラウンドなどに謎が多くて、今後の展開に期待しかありません。
    それと陽名の抱える問題とが、どう関係してくるのか?も気になるところです。
  • ケダモノアラシ ―Count on me baby!―

    黒井モリー

    何かと「新」が多くて明るい気持ちになれる
    2025年3月2日
    シリーズについては、詳しく順番などを書いて下さっているレビューがあるので省略して…ザッとの内容は、城崎家の話が3話分、アレックスと和久・黒崎と桐ヶ谷の話が1話ずつありました。
    どのCPの話にも新たな展開があって…城崎家では、晶の弟くん(圭)が新たに加わりました。アレックスと和久にも新キャラ?登場の予感があり、黒崎と桐ヶ谷は、大きな進展はないけど心の距離が縮まって信頼関係が築けてきたような雰囲気がありました。
    そして、お子ちゃま達が相変わらず可愛いのなんのって…イチオシの翔ちゃんは、やることなす事可愛い上に話す言葉まで可愛いし、双子の蒼汰・夏向は見ているだけで可愛くて、三兄弟の癒し効果は絶大でした。
    毎回、何かしら問題らしき事柄が浮上するものの、考え方の切り替えや周りの手助けを力に上手いこと乗り越えていく姿に、元気をもらったり気付きを得たりしている大好きなシリーズです。
  • 或るシカリオの愛

    砂原糖子/稲荷家房之介

    イメージと違い重厚でシリアスな内容でした
    ネタバレ
    2025年3月1日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『猫屋敷先生と縁側の編集者』シリーズが面白くて、こちらも読んでみました。内容は、明らかに実在する南米の国を舞台にしながらも架空の国だそうで、私にはその国は明るいイメージなのですが、ストーリーは重くて暗めでギャップがありました。ていうか…タイトルにキーワードが入ってるんですよね。そもそも明るくなりようがないのですが、英語でなかった為に(言い訳です)単語の意味を知らなくて、良いイメージを持って読み始めてしまった訳です。ジャンル的に苦手な人もいるかもしれないので、タイトルの意味を調べてから読み始めるのが良いかなと思います。
    ストーリーは、外国なのに映画でも観ているように情景が思い浮かぶので、さすが先生と思いました。稲荷家先生のイラスト効果も絶大でした。心理描写については…深いのは勿論、含みも多くあった気がします。行間を読ませるような、ハッキリと言葉にしないのに何となく察せられるような、絶妙な言葉選びでした。明らかに『猫屋敷先生と〜』のカジュアルさとは違うと感じましたので。
    「幸運と幸福は、必ずしも同じではない」自分はツイていると明確に理解できても、幸福は終わったとも思っている。…というルカの言葉。その、似て非なる2つのもの…人によっては同質のものである場合もあるし、どちらか一方でも充分ではないかと思う人がいる事を考えると、どちらも望んでしまうルカの複雑な気持ちが分かる気がしました。
    その道では一流ではあるのに何処か欠けた状態の二人が出会い、それぞれに再生・生き直しをする重厚なストーリーでした。
  • 高羽秋仁のファインダーの森【ファインダーの鼓動特別小冊子より】

    やまねあやの

    読み易い行動パターン…文字通りすぎて笑う
    ネタバレ
    2025年2月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 漫画とイラスト類で15ページありました。こういう特別小冊子って、本編の内容に沿わなくても良くて、妄想や理想、想像で色々楽しめて面白いですね。
    今回もケモ耳設定でカッコ可愛い二人を見られて満足です。その上、大いに笑わせてもらいました。駄犬ならぬ「駄熊」とか、「ハニートラップ」とか。特にハニートラップは、名実ともにまんま過ぎて吹き出してしまいました。
  • ヒミツの社内恋愛が波乱なんですけど?【電子限定描き下ろし付き】

    ニクヤ乾

    波乱の連続でラブコメ一歩手前の面白さ
    2025年2月27日
    『社内恋愛の相手は俺ですけど?』の続編です。2巻とせずに新しいタイトルを持たせる事で続編と気付かない人がいるかもしれませんが、こうして分けてもらえると1巻ずつレビュー評価できるので、私としては嬉しいです。
    ゲイである事だったり社内恋愛だったり、一般的に大っぴらにしない事が多く、社内恋愛においては禁止する会社もあると聞きますから…その2つを秘密にする事でハラハラ感が生まれます。そして、表向きは犬猿の仲というプラス要素で、タイトル通りの波乱の予感…面白くなりそうな要素しかない感じで楽しめました。
    二人の関係を追うだけでも盛り上がりそうな所へ、しっかりした仕事要素も絡ませて、ついでに当て馬役まで乗っけてあって盛りだくさんの内容でした。
    芸能界のちょっとしたスキャンダルのシーンでの心理学を用いた情報撹乱の手法の説明や、綾川の掘り下げた自己分析には「へぇ」とか「なるほど」と、感心して頷きまくりでした。
    色々な要素が、お互いに影響し合って良い効果を出しているようで楽しかったです。
  • 白銀の人狼は生贄の王子に愛を捧ぐ

    伊達きよ/ミギノヤギ

    珍しいタイプの逞しい不便受け設定が面白い
    2025年2月26日
    直近で読んだ先生の作品『アズラエル家の次男は半魔』が、コメディ風味で面白かったのに対して、こちらはコメディ要素はないけど、違う意味で面白く読み応えがありました。
    主人公のシャニが、見た目は美人でも中身が大層男前で…境遇としては「不憫」であるのに、その性根の逞しさと賢さから単なる不憫受けに留まらないんです。それこそ両雄並び立つ勢いで長のニィルと双璧を成すのですから大したもので、その辺のアレコレが面白かったです。
    不憫受けは好きで色々と読んでいますが、大体が可愛い系だったので、シャニのような見た目も性格もカッコいい系は珍しくて、でも守ってあげたくなるのは可愛い系と同じで、新鮮なキャラ設定でした。
    完結とはなっていませんが、一応キリのいい所で1巻は終わっています。完結してから読みたい派の人でも(絶対とは言えないけど)たぶん大丈夫だと思います。何となく私の感覚では、設定・展開的に続編は厳しさを感じるので(ほぼ全ての伏線を回収済み)番外編が出るだけでも嬉しいな…といった感じでしょうか。
  • 勤労部長高羽秋仁の果敢な部下教育【ファインダーの密約特別小冊子より】

    やまねあやの

    色々と分かっていても面白くてクスッとなる
    2025年2月25日
    漫画とイラスト・作者さんのコメントなど正味16ページありました。短いながらも、それぞれのキャラの特性を活かしたセリフや行動、流れが楽しかったです。
    お決まりのパターンと言えばそうですけど、何というか…安心感?安定感?みたいなものがあって、幼児が何度も同じ絵本を読んでもらいたがる(内容を知っていても面白いと思う)気持ちが分かった気がしました。
  • 修学旅行で仲良くないグループに入りました【電子限定描き下ろしイラスト付き】

    隠木鶉/510

    漫画のように読みやすいDKピュアストーリー
    ネタバレ
    2025年2月24日
    このレビューはネタバレを含みます▼ とても読みやすく可愛いお話でした。DKの学園ものは、漫画では時々読みますけど、小説ではあまり読まないので新鮮でした。雰囲気としては、漫画の世界をそのまま小説にスライドした感じでした。挿絵があるので、色々なシーンをイメージしやすく、脳内変換で漫画みたいにして読んで楽しみました。
    クラス替えや修学旅行の班決めでのアレコレ…誰もが一度や二度は経験あるだろうから、雰囲気や心境は共感しやすいと思います。後半に渡会視点からのショートストーリーがあるので、そこでそもそもの始まりだとか気持ちの流れみたいなのが分かる、何気に重要パートだった気がします。
    あとはもう…好みの問題ですかね。「DK学園もの」というピュア要素一択なので、エ◯もなければ、異性同性・人間関係とあらゆる面でトラブルもなく、まったり・のんびり読めます。それをどう思うか。好きな人はキュンとくるはずです。
    私としては、ぜひシリーズ化して頂き、四天王の他のメンバーの恋模様についても読みたいです。
  • 青年実業家 麻見隆一のリトルモンスターが来た日【ファインダーの渇望特別小冊子より】

    やまねあやの

    ページ数・お値段以上に充実&楽しめる一冊
    ネタバレ
    2025年2月23日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 正味16ページですが、それだけではない充実した内容でした。まず「見出し」…グチャグチャに消された文字の横に「来」と書いてありますが、元々は何と書いてあったのでしょう?気になりすぎて拡大してみ(見)たり、引きでみ(見)たり、視覚に囚われず内容から想像してみたり、色々試しましたが分かりませんでした。
    そして、麻見のセクシーお風呂シーン…アヒル隊長がぷかぷか浮いていたり、よく見たら横のシャンプーボトルがカエルだったり、もう一つはペンギン?だったり、スパダリ麻見には似合わなすぎて笑ってしまいました。
    最後のお楽しみページ…麻見邸の見取り図は、めちゃくちゃ興味深くて隅々まで読み込んで楽しめました。
    何だか「間違い探し」のような感覚で細かい所まで楽しめて、ページ数・お値段以上にお得な一冊でした。
  • 極道さんは先輩パパで愛妻家

    桜城やや/佐倉温

    史と赤ちゃんの可愛いハーモニーに癒される
    2025年2月22日
    極道さんの新シリーズが始まりました。前3巻で史の可愛さにハマって以来ずっと追いかけています。児童くらいの年の史も可愛いですけど、今度は赤ちゃんが登場して、ちびっ子好きにはたまりません。赤ちゃんと一緒に新たなキャラも出てきて、しかもなかなかインパクト大な性格なので、今後も楽しめそうです。
    赤ちゃんと史に癒されている間に、うっかり子育てBLと勘違いしそうになりましたが、後半にしっかり極道要素も入るので、メリハリがある内容だったと思います。
  • 中野くんと坂上くん

    エムロク

    BLジャンルにして沢山の人に読んでほしい
    ネタバレ
    2025年2月21日
    このレビューはネタバレを含みます▼ タイトルが…よくある青春DKものみたいで、可愛い感じの話を想像してたのですが、めっちゃ本格的アクション・ハードボイルドなストーリーでした。それでいて中野の語彙センスとか発言のタイミングとかのズレが絶妙で、凄く面白かったです。
    序章と書いてある通り、ゆっくり…車だったらローギアのスピードという滑り出しだったので、こちらものんびり構えていたら、いきなり!!トップギアのスピードになるからビックリしました。あまりのギャップに完全に意表を突かれて、出だしからワクワク感でいっぱいになりました。
    35%くらいまで読み進めて、いいだけ色々と起こっていても坂上サイドのことは何も分からず…の状態が続きます。それでも↑中野の語り口調や行動が面白いし、飽きさせない・よそ見させない面白さがありました。
    70%辺りで視点変換があって、坂上サイドの過去と心境が語られるので、そこで全体像が見えてきます。上巻は、とんでもない所でというか中途半端なシーンで終わるので、上下巻揃えてから読むのが得策だと思います。
    下巻は、上巻を引き継いで今までにない緊迫感のあるシーンから始まるのに、過去一のんぴりした中野の様子に吹き出してしまいました。アテレコとか、暇とか言って…そんな場合じゃないでしょ!?と、思いつつ笑ってしまいました。ここで「和洋進化」と聞こえる言葉が出てきます。私は、正しい発音を読み上げ機能を使って聞きました。そしたらほんとうに「和洋進化」と聞こえて、思わず「ホンマや」とニヤけてしまいました。
    坂上視点で語られる最後のSSまで抜かりなく面白かったです。物騒な台詞や単語が飛び交う割に、何とも微笑ましい様子に笑ってしまいました。
    全体を通して、しっかりBLしているのに、ジャンルが違うのは何故なんでしょうか。何となくですが…行為のシーンが直接的ではないから?という気がします。なので、ストーリー性重視の方にお勧めです。
  • 勤労カメラマン高羽秋仁の充実なる主夫生活【ファインダーの熱情特別小冊子より】

    やまねあやの

    名実共にファン必見のお宝小冊子の1冊め
    2025年2月20日
    お宝を発掘した気分です。本編は大ファンであるのに、これら(他に3冊あります)小冊子の存在には最近気づきました。内容は、総ページ20に対して、全くイラスト・漫画などがないページ(出版情報)は、たったの1ページだけでした。こんなに正味ページの多い小冊子は初めてで、名実共にお宝だと思います。
    主夫…という事で、洗濯物を干すシーンがありますが、白?のブリーフは分かるとしても、あの柄の靴下は「ない」気がして可笑しかったです。どんなに頑張って想像しても麻見のものとは思えないので、あり得るとしたら秋仁のものかな…とか考えると楽しかったです。デフォルメした絵で小冊子の醍醐味を感じさせつつ、本編のハードボイルドな雰囲気も併せ持ったままページ数の何倍も楽しめるような内容でした。
  • Ω専用シリーズ

    藤間みお

    更なるスピンオフも始まって期待しかない
    ネタバレ
    2025年2月19日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『Ωが欲を孕む時シリーズ』のスピンオフ?スピン元?…正確にはどちらか分かりませんが、とにかくシリーズもので3巻まで読みました。
    『Ωが欲を〜』は旧版で読んでいて、こちらは読みそびれていたので新装版で読みました。『Ωが欲を〜』は、NEXUSの店長が出てくる話なので、大人だしオメガバース特有のやるせなさや苦しさがありました。対してこちらはDK時代から始まるので、決定的に辛いシーンはなくて読みやすかったです。元気で気が強いΩとか、実家の裕福さが(一般的な設定と)逆とか、薬の副作用など興味深い設定が色々あって面白かったです。
    3巻できな臭い動きがありましたが、あそこで「肝の設定」をどうするか、一線を越えるか越えないかで泥沼コースorすれ違いスパイスコースが分かれて、読者の感想が分かれてたと思います。そういう風に軽く揺さぶりをかける展開も良い刺激になったと思います。
    明るく元気なオメガバースって、意外に少ないので貴重だし楽しめました。そして、2シリーズを通して気になっていた「ハルミくん」ですが、他の読者の方々も同じだったようで…スピンオフが始まっているのを知って小躍りしてしまいました。もちろんそちらも読むつもりです。
  • 【単話】今夜、俺は決める

    木下けい子

    CMを見ているよう…短いながらドラマがある
    2025年2月18日
    先生、さすが!!という内容でした。実質ページ数は、たったの15ページです。でも、その15ページにしっかり起(承)転結があるし、何とも言えない温かく優しい、ほっこりした気持ちになるストーリーでした。
    短いながらもドラマがあるので、CMを見ているような気がしました。
  • 毒を喰らわば皿まで

    十河/斎賀時人

    私も毒を喰らわば〜の精神で5巻を待ちます
    ネタバレ
    2025年2月17日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 善と悪が表裏一体となったような重厚なストーリーでした。主人公はさながらサイコパスのような情け容赦のない性格をしていて、合う合わないが大きく分かれそうです。それでも彼なりの正義はあって…善悪・白黒など区切る事のできない、多かれ少なかれ私達も経験したような「誰も悪くないのに何故か揉める」絶妙な人間関係や感情の渦に巻き込む圧倒的な力に引き込まれました。
    絶体絶命・崖っぷち・四面楚歌の状態から自身の頭脳だけを武器に形成逆転に挑むアンドリム。日記(手紙)の一部を抜き取って全く違う意味にする、誤解を招く言動で釣る、故意に聞かせる(または聞くよう仕向ける)など、小細工から心理戦まで見どころだらけでした。
    ストーリーとしては1巻完結と見なして良いと思います。2巻からは、終盤からラストまでの端折られた部分の話になります。内容がかなり独善的で凄惨な面があると思うし、アンドリムのキャラもアクが強すぎて受け付けない人が一定数いそうなので、1巻(無料)を読んで相性を見ることをお勧めします。正直、私は1巻を読んで気が抜けてしまい、続きを読む気力が衰えてしまいました。でも4巻揃えてしまっていたので、よろめきながら読みました。
    結果、2巻も入り組んだ人間関係と秘められた事象・事実の数々を突き詰める作業は、唸るような面白さでした。事実上、1巻完結と見なして良いと思いますが、1巻では明かされなかった重大かつ驚愕の真実が出てくるので、無理でなければ読んでもらいたいです。(もしかしたら、続きを書く為の後付けかもしれないので、余裕があれば…くらいの気持ちで)読まなくても大勢に影響はないくらいの真実だと思います。
    3巻は、2巻よりももう少し多めに1巻の後日談みたいな話がありました。具体的にはお子ちゃまとマラキアの事など。3巻も相変わらず作り込まれた謎と真相は面白かったのですが、敵に対する非道っぷりも変わらずでした。
    4巻まで来ると、良くも悪くもアンドリムの思考や行動に慣れてきて、綺麗めに終わると思ったストーリーも、ポストアンドリムキャラ達の台頭で、結局、4巻通して無慈悲さの滲むものになっていた気がします。
    レビューを書く時になって気づきましたが、幸か不幸か完結になっていません。ここまで来たら、5巻が出たら必ず読むつもりです。
  • 俺に惚れたらたべてやる

    毬田ユズ

    餌付け…じゃなくて食事って大事
    2025年2月16日
    タイトルの字面だけを見ると「なんか偉そう…」とか「なんで上から?」とか思っちゃったりしたけど、内容は全然そんな事なくてハートフルなお話でした。
    主人公のチャラいというか軽いノリで、失礼なあだ名を付けて構ったり食事の世話を焼いているうちに恋が始まる…出だしが面白かったので読んでみました。ちょっとした推理小説みたいに、何も情報のない状態から少しずつ距離を縮めていく様も良かったし、受けの複雑な生い立ちや事件などを絡めて山場を幾つか作る展開も面白かったです。
    それなりに重めの設定ではあるけど、全体的にホッと温かい気持ちになれるお話でした。
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  • 九尾の狐と子連れの坊主―永遠に―

    三原しらゆき/りんこ

    本当に…「永遠に」心に残る感動の作品です
    2025年2月15日
    シリーズ三作め。うっかりシリーズラストの四作め『円仁ちゃんのだいぼうけんまとめ〜』から入った(順番を間違えた)とは思えない、素晴らしく感動のラストでした。
    あの愛しくて可愛い円仁ちゃんからは想像もできないラスト…でも、誰もが納得の、誰にとっても最上のラスト…ではないでしょうか。他の方も仰っていますが、涙なしには読めません。だけど、悲しみの中にも確かにある「生」の先への希望と喜び…現世が終わりではなくて、その先でも繋がっていられる幸せ…涙ながらにクスッと笑ってしまう、そんな感動を与えてくれる素敵なお話でした。
    出会いを感謝するレベルの作品だと思います。ぜひ皆さんにも読んでもらいたいです。ただ一つ残念な事はといえば、完結していることでしょうか。できる事ならもっとずっと円仁ちゃんを見ていたい。番外編でも良いので、いつかまた書いて貰えたら嬉しいです。
  • 九尾の狐と子連れの坊主 【電子コミック限定特典付き】

    三原しらゆき/りんこ

    円仁ちゃんの健気さが沁みるし泣ける
    2025年2月14日
    シリーズ二作め。思ったより早い段階で円仁ちゃんが出てきて嬉しくて興奮してしまいました。間違えて最新刊から読んでしまった私は、ニコニコ可愛い円仁ちゃんしか知らなかったので、初登場の時とのギャップに少しドキリとしましたが、程なく笑顔を見られるようになって安心しました。
    円仁ちゃん…可愛いくて愛でるだけの存在かと思いきや、小さいながらも抱えてるものは重く大きくて、何度も泣いてしまいました。いい年して漫画を読んで泣くなんて…と思うけど、親になってから子育てものは沁みますね。単なる娯楽とは言えない、充分すぎる読み応えがありました。
    何となくビジュアル的な観点から、坊主頭のお坊さんはどちらかと言うと苦手だった(同じお坊さんでも髪の毛があればいい)のですが、絵が綺麗可愛いしストーリー性が高いので、大好きまではいかないけど気にならないくらいにハマってしまいました。
  • 九尾の狐となまぐさ坊主 【電子コミック限定特典付き】

    三原しらゆき/りんこ

    デビュー作とは思えない深みと温かみがある
    ネタバレ
    2025年2月13日
    このレビューはネタバレを含みます▼ シリーズ第一弾。…であるのに、私は真逆の4作目『円仁ちゃんが大ぼうけんする本まとめ〜』から入りました。表紙の円仁ちゃんのあまりの可愛さに惹かれて読みましたが、やはりというか当然、キャラだのなんだの分からないことも多かったのですよね。なので順当に1作めからリトライしました。
    この作品が商業デビュー作ですと、あとがきを読んで驚愕でした。ストーリーも一種独特で面白いし、絵なんて熟練レベルの上手さ・綺麗さだと思いながら読んでいましたので、信じられない気持ちでした。実際、先生の作品を新着順に並び替えて確認してしまいましたから。
    内容は、↑のように独特で適度に凝っていて面白かったです。主人公が坊主ということもあり、人(動物)助けやら霊的な何やらに、恋愛的な要素とか色々混ざり合うような深みと温かみがありました。そして、全てが(先に読んでしまった)可愛い円仁ちゃんへと続くと思うと、バックグラウンドを見ているような楽しい気持ちになりました。
    いいね
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  • 子連れΩ、偽装交際はじめました

    しおのこうじ

    子育て(プラスオメガバ)好きな人にお勧め
    2025年2月12日
    ストーリーとしては、王道シンデレラストーリーだと思います。が、これにオメガバースとちびっ子子育て要素が入ると、夢みがちなものから現実的なお話になる気がします。とか言いつつ…オメガバースでも辛すぎるシーンはほとんどないし、子育てと言っても幸多は手がかからなくて可愛いしで、全体的に穏やかな気持ちで幸多くんを愛ながら読みました。
    私が子育てものが好きな理由は二つあって、一つは親への共感、二つめは子供の可愛さで、特に二つめの子供の可愛さは購入の決め手になりがちです。今回も幸多くんが可愛かったです。他にもケイの控えめでチョロい性格と神門の飄々としているようで頼り甲斐のある所なども見所でした。
    特に2巻の番外編集は、本編よりもずっと糖度が高くて楽しかったので、2巻だけでもお勧めしたいくらい良かったです。
  • 何それ愛かよ【単行本版】

    ろじ

    『青と碧』シリーズ2・最強?最恐?な二人
    2025年2月11日
    ビックリしました。『青と碧』のスピンオフと知らずに読み始めて、人間関係図の所で初めてそうと分かりましたから。よくよく作品紹介を確認すれば、しっかり『シリーズ2』とありますけど、作家さん買いしてない人なんかは、結構知らない人がいるんじゃないかな?と思います。
    内容は、『青と碧』を引き継ぎながらも、大人というかもう少しシリアスな印象でした。誰にでも何かしらあるような、心の葛藤とか枷とか傷みたいな、実態はないけど存在感だけはやたら大きい「何か」について突き詰めていくような、多少のヒリヒリ感はあった気がします。
    それにしても…圧巻の読み応え・絶妙な心理描写・セリフがそこかしこに散りばめられていて、良い意味で盛大なブーメランが返ってくるシーンが何回もあって、その都度してやられてしまいました。
    間接的に、でも直接と同じかそれ以上の強さと破壊力で、本人もそうと気づかないまま「好き」を伝える…その手法が素晴らしかったです。
  • ハネチンとブッキーのお子さま診療録

    佐原ミズ/北岡寛己

    出会いに感謝するレベルの素晴らしい作品
    ネタバレ
    2025年2月10日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 青年マンガは、電子漫画大賞など何らかのキャンペーンでもない事には全く無縁のジャンルでしたが、ご縁があって本当に良かったです。始めは分冊で無料で読んで終わりかと思いきやハマってしまい、読んだ分も含めて再読する自信があったので単行本で2巻まで購入しました。ちなみに、子供にも読ませようと(反抗期で憎たらしいから親の気持ちを分からせたいという下心満載で)紙にしました。
    内容は、ざっくり言うと子育てものですが、それだけではなくてヒューマンドラマ×医療×社会問題と、扱うジャンルは幅広く、でも表面をサラーッと撫でるだけで終わらずにしっかり掘り下げてあって読み応えがありました。
    普通の子育てものにあるような、心に訴えかけるような展開に涙したり癒されたり感動したりする事にプラス、医療という論理的な角度からの見解があるから、普段と違ったテイストを味わえました。更に、どこまで踏み込んで良いのか分からない事が多い社会問題についても、医療(人命救助)の観点から切り込んであって奥深い内容でした。
    面白いし泣けるし、不安になったり癒されたり、人の温かさ冷たさに嬉しくなったり悲しくなったり、とにかく色々な感情が揺さぶられました。出会いに感謝するレベルの作品だと思います。
  • グッドバイトゥロンリネス【分冊版】

    渋江ヨフネ

    本編で身を引いたジノも幸せになっていい
    ネタバレ
    2025年2月9日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『グッドバイトゥデスティニー』のスピンオフで、ジノとルカの話です。本編のレビューにも書きましたが…こちらは本編の2巻に収録されていますので、重複購入しないようにご注意を。
    今回主役のジノは、本編に出てきた時からただの当て馬にしては存在感があるし、悪い奴でもなさそう(受けの為にあえて悪役に徹してる感じで)気になっていました。今回のお相手はジノの幼馴染みであり片腕であるルカで、ここでも本編同様にバースの壁が立ちはだかります。このオメガバース独特の報われない恋の予感漂う切ない感じが、イタリアンマフィアの影と相まって大人っぽくて、私はスピンオフの方が好みでした。
    身を引き傷ついた先に、変わらず昔からあった小さな幸せを手に入れられて良かったです。
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  • 君に降る言の葉は【単行本版】【シーモア限定特典付き】

    イズミハルカ

    抜き出された言葉が歌詞のように心に沁みる
    ネタバレ
    2025年2月8日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 最初にハッキリ言ってしまうと…「最後までいたしません」ので、ストーリー性重視かつ心の繋がりや心理描写の丁寧な掘り下げで満足できる人向けの作品だと思います。
    所々小説のワンシーンを抜き出した素敵な言葉のピース達は、繋げたり並べたり…心に沁みる歌詞のようでした。一人で勝手に「アニメ化された時に主題歌のフレーズにしたら雰囲気出るよな」なんて考えてしまいました。
    「すれ違い」は、多くの作品で切ないとか苦しいとかのイメージがあるけど、この二人は経験値という意味でも性格的にしてもどこまでもピュアで、「甘酸っぱい」のような優しい言葉が似合う気がしました。雪のシーンにも、寒さより心が温かくなるような、ほっとなるような空気があったと思います。
  • Ωの花燭 共鳴恋情

    岩本薫/幸村佳苗

    意外なタイプのお相手にワクワクしかない
    ネタバレ
    2025年2月7日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『共鳴シリーズ』を小説も漫画も全制覇(『αの花嫁』は分冊と単行本の両方買い)しておいて今更…ですが、このシリーズ、ほぼ始めからカップリングが分かっているんですよね。恋愛ものにありがちな「誰と誰がくっつくか」のハラハラ展開はないのです。それが嫌とかではなくて、首藤三兄弟のお相手達は、それぞれに最初からしっくりきていたのですが、ここ李里耶まで来て初めて「意外な相手だな」と思いました。
    何となく李里耶は、凛とした立ち居振る舞いと言動で清廉潔白なイメージがあったので、年下ワンコ系とか若干(すみません私情が入り込みすぎかもですが)病んでる系とか、李里耶が光(白)としたら影(黒)くらい真逆な感じがしました。あの濃淡はあれど大体いつもある隈とか、心なしか焦点が合っていない時があるような目とか、執着系の臭いがしました。
    とは言え、李里耶のピンチにカッコよく登場して救うシーンは良かったです。だけどもイメージアップした直後にあらら…な展開になって、こちらまでドキドキ。そのままいい雰囲気になるかと思いきや、圭騎の登場にジェットコースターさながらの急降下を見せつけられたりと、まだ1巻なのに見せ場がいくつもあって凄く面白かったです。
    李里耶にも旺にも家柄的なしがらみがあって、当主やら許嫁やらの気になるワードが出てきて、今後の展開が楽しみで仕方ないです。
    李里耶が主役のスピンオフですが、若い時の圭騎が見られるのも眼福です。圭騎がナイトみたいにカッコよくて、二人並ぶとただの親友とは思えないくらいお似合いで、そりゃ二人のオーラに充てられたらモヤモヤするし嫉妬もするよな…と、同情する気持ちもあります。でも、あの李里耶を手に入れるのに楽な道を通れる訳がないので、これから旺がどんな試練をどういう風に乗り越えていくか楽しみです。
  • キスは捜査のあとで【ペーパー付】【電子限定ペーパー付】

    すう

    新感覚ながら懐かしさも感じる年の差CP
    ネタバレ
    2025年2月6日
    このレビューはネタバレを含みます▼ アラフォーで、そこそこモテそうなのに後輩塩野の(側から見たら分かりやすい)猛プッシュには鈍くて単純な多古井が、オジサンなのに可愛く思えました。
    塩野の塩対応は、周りから見たら分かりやすくても、多古井のようなタイプには逆効果なのが面白かったです。私は「いつになったら気づくか」耐久レースしたら楽しそうと思いましたが、一巻完結にそこまでの時間はなくて、塩野が正面突破したのが鮮やかで潔くて見直してしまいました。
    どっちかというと私は、塩野のような無表情・表情筋死滅気味のキャラは苦手でしたけど、身体を張って多古井を守ろうとしたり、妙な嫉妬でズレた行動取ったりするのを見て、違うタイプの可愛さを感じました。
    二人ともギリギリ年齢的に平成生まれだと思うんですけど、どうにも多古井の行動・言動から昭和臭がするのが、古くて新しい気がして、新感覚ながら懐かしさも感じました。ノリは令和なので、三つの元号のミックス感が楽しかったです。
  • 白の九尾は月影の皇子に恋う

    ミヤサトイツキ/サマミヤアカザ

    もふ可愛さと後半の流れ・展開が良かった
    2025年2月5日
    紫春の色恋沙汰に疎くて純粋な様子が可愛いかったです。キスを接吻なんて言われると…何だか読んでるこっちが恥ずかしくなってしまいました。世界観が中華だからキスと言えないのは分かるんですけど、そこは何とか口づけくらいの表現にしてくれたらなぁと、悶えてしまいました。
    他にも、好意を伝える前にキスしてしまい、「順番を間違えた」とか言ってて…何ルールか分からないけど律儀に守ろうとしているのも可愛いです。
    ストーリーとしては、起承転結の起で「お!!」と思わせて続きが気になる好スタートでした。ただ、続く承がちょっと長かったかなーと思いました。転から結まではリズム良く進んで凄く盛り上がったので、承でも軽くあと1・2件何かしらの動きを見せてもらえたら、より流れが良くなった気がしました。後半に重心がある作品だと思います。
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  • 君ってやつはこんなにも【電子限定漫画付き】

    文川じみ

    全く違うタイプの二人なのにどっちも可愛い
    ネタバレ
    2025年2月4日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 先生の作品は6作めで、どの作品もDKらしい(DKものを多く読んでいるので)切なかったりほのぼのしてたり、年齢特有のノリやユーモアが楽しくて面白くて大好きなんですが、中でもこちらの作品はずば抜けて良かったです。
    まず出だし…突き詰めて考えたら、「絶対に言っちゃいけない部類の嘘」だと思うんですよ。でもこれが、嘘から出た実になり、視点変換をする事でより面白みが増した気がします。
    そして、もう一つは視線転換…一歩間違うと(それくらい賛否両論あると思う)くどい…になってしまう恐れがある手法をプラスに持っていく技は、さすがの一言でした。表に出た言葉だけを追いかけたら一方通行で筋が通った会話なのに、裏(心の中)では双方向で真逆に向かっているような流れになっていて、二倍楽しめました。
    結果オーライになったものの、本人たち以上にこっちがドキドキハラハラさせられて楽しかったです。あとは、共学設定なので周りに結構な頻度でJKが出てきますが、女子特有の絡み方をしてくるタイプの子はいなかったので、楽な気持ちで読めました。
  • ロマンティック ロボティクス

    新田祐克

    遺伝子に乗り受け継がれる愛の繋がりに感動
    ネタバレ
    2025年2月3日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 私もそうですが、このレビュー数の少なさを見るに「ファンの方の多くがシリーズだと知らないのでは?」ないでしょうか。順番としては『春を抱いていた』『〜ALIVE』(合本版あり)『〜afterword』『愛してるでは重すぎて』『ロマンティック ロボティクス』ですけど、『ロマンティック〜』は時系列的には『〜afterword』の前の話です。でも順番通りに読む事で「あぁ…そう繋がるのか」と、宇宙ほどに広大なロマンを感じられると思います。
    一目惚れを「遺伝子が欲しい」と堂々と表現するシーンで、科学者らしい?変わり者ぶりに笑ってしまいました。でも、遺伝子ってその人そのものだから「その人を丸ごと好き」って言ってるのと同じで、ある意味、究極の愛の言葉かもしれないと思ったりもしました。
    あと、何でもないような数式が、座標を取ることでオシャレに生まれ変わる図が、個人的に刺さりました。漫画だからこそできる絵の効果を存分に発揮している素敵なシーンだと思いました。
    注意点として…地雷がある人は気をつけて下さい。『春を抱いていた』とは別の問題(あちらはリバ)…受け攻めの予想が逆になる人がいそうです。私は地雷ではありませんけど逆でしたので、一応。
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  • 愛してるでは重すぎて

    新田祐克

    頼りなさげだった翔の成長が見られて嬉しい
    2025年2月2日
    『春を抱いていた』のスピンオフで岩城の息子、翔の話です。今までも充分すぎるくらい綺麗な絵だなと思っていましたけど、更にパワーアップしていて眼福でした。特にフェイスラインと口元の線が絶妙で、見入ってしまうくらいでした。
    翔の頑固な素直さ、堕ちても失う事のない純粋さ、脆そうで強靭な心など、多くの矛盾を抱えたアンバラスさが、本人は歯痒いでしょうけど、見てる側からすると眩しいくらいに魅力的に映りました。
    自分が迂闊な質だと理解していて、でも「自覚がないから迂闊なんだ」と自己分析も出来て素直に認められるところが可愛い。いつも最適解を出すのに必死で、つけ込まれないように一生懸命だけど、詰めが甘いというか何というか…で、様々な窮地に陥ってしまうところも可愛いかったです。
    でも、なんだかんだ最後は持ち前の人柄の良さで人脈を広げられたり地固めができたりで、しっかりと成長していく姿が見られて良かったです。窮地に立っても宗馬と二人で乗り越えていく姿は、香藤と岩城にも重なるところもありました。親子なので岩城と翔は、無尽蔵に人を惹きつけるホイホイ的な所が特に似ている気がしたけど、宗馬は血の繋がりがないから当たり前だけど誰にも似てなくて、全然違った行動や言動をすることで本編とは全く別のストーリーになっていて楽しめました。
  • 春を抱いていた afterward

    新田祐克

    究極の愛の形に魂を揺さぶられる感動の作品
    ネタバレ
    2025年2月1日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 1話めに『〜ALIVE』の延長のような短編があって、その後は100年後の話になります。あれだけの感動を巻き起こした作品の100年後…当然、あの二人もその頃生きた誰もいない世界の話に、何を感じるのか、はたまた何も感じないのか恐る恐る読み始めました。
    運命、輪廻転生、繰り返し繰り返し…寄せては返す波のように、時を超えて何度も巡り会う…だけど同じ波は二度とないように、魂は生まれ変わって何度も何度も。『〜ALIVE』まででも壮大な愛の物語だと思ったけど、二人の愛は、それこそ宇宙のように無限に広がり、終わりなく紡がれ続けるのだと信じられました。
    一颯が夏空野に言うセリフに「…この引力から抜け出れる気がしない」というのがあって、それはそのまま『春を抱いていた』シリーズ作品に当てはまる言葉だと思いました。違うのは、「抜け出る気もない」という点でしょうか。作品の魅力にずっと浸っていたいです。私の中で「究極の愛の形」であり、魂を揺さぶられる作品です。
    読む順番としては『春を抱いていた』『〜ALIVE』(合本版あり)『〜afterward』で、この後二作品続きます。
  • 春を抱いていた【合本版】

    新田祐克

    二人の壮絶な愛の軌跡を見たような超大作
    2025年1月31日
    最高で最幸な二人の愛の軌跡(奇跡)を見たかのような、人生のドキュメンタリーを観たような、数々の名場面に立ち会えた幸せを感謝したくなるような超大作でした。特に私は合本版で読んだので、物理的にもボリューム感に圧倒されました。読んでいる最中も読んだ後も、「感動」とか「感激」という表現では全然物足りないと思うような、凄まじい衝撃を受ける内容でした。
    芸能界の、人生の煌めき、翳り、醜くも美しい創作の世界…虚構であると同時に、確かに存在する真実もある…何とも言えない感覚になりました。芸能界特有の浮き沈みや処世術、スクープにスキャンダル、どこまでも禍々しくドロドロとしているのに、二人が存在することにより何故か優しいものになる…それはまるで「毒も少量なら薬になる」ように、心や人間関係を腐らせて終わらせるのではなく、再生させるように不思議な力が働いているようでした。
    合本版の3巻『ALIVE』、このラストは号泣必至、思いもかけない、本当に青天の霹靂のような展開で、胸が張り裂けそうになりました。何日か引き摺るでしょうし、なかなか消化できるものでもありませんが、それでも読むことをお勧めしたいです。漫画・小説に限らず、どんなジャンルにも「これだけは押さえておきたい」ものってあると思うんです。BL漫画でしたら、この作品がそれに当たる大作だと思います。
  • 「BODY-KILLER!」番外編集【電子限定版】

    高城リョウ

    ファンには嬉しい一冊
    2025年1月30日
    58ページ中、正味48ページ・10作品ありました。相変わらず(と言っていいものか…でも私は好き)アキラがチョロ可愛くて楽しかったです。改めて考えてみると、パティシエと外科医って、どうやっても交わらないと言うか、そもそも出会うことさえない職種な気がして、そのマッチングが面白い作品だなと思いました。
    いいね
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  • 半魔の竜騎士は、辺境伯に執着される

    矢城慧兎/央川みはら

    本編とスピンオフのテイストの違いも面白い
    2025年1月29日
    1・2巻と、それぞれに大きな事件(事故)があり、巻ごとに解決する事、作品全体で最終的に解決する事、諸々が上手く絡み合いストーリーが進みます。3巻だけは集大成という感じで、4割までで本編は完結します。残りはキースとユアンのスピンオフという構成でした。約半分ものページ数があり、ちょっとした事件も起こるので、かなりのボリューム感でした。ラストで、キースの身の上にヒヤッとする事が起こりますが、本編にはなかったようなファンタジー設定が効いていて面白かったです。
    3巻の前半(本編)で、オリビエが「テオドールが過去に愛した人」の話をしていて、その時はピンとこなかったし、本筋に関係のない脇道の話だろうから気にしなくていいか…と(まさか伏線だとは思わずに)流していた、その答えが、後半のスピンオフに出てきました。勘の良い人なら本編のその場で答えが分かったでしょうけど、私は鈍い残念組で、いきなりの答え合わせにまんまと驚かされてしまいました。
    表紙のカラーイラストを拡大して見ましたら、カイルの瞳の色が1〜3巻へ行くごとにどんどん赤くなっていて…何かしら作者さんの意図がある気がしました。適度に作り込まれた設定や世界観が上手く機能して、読み応えのある面白い作品になっていたと思います。配信中となっていますが、一応の完結はしている気がします。
  • 悪癖 【電子限定特典付き】

    イイモ

    映画化、ドラマ化してほしいような濃い内容
    2025年1月28日
    評価が高かったので気軽に購入したけれど…なんか色々壮絶で、振り切れていて、狂気と愛の狭間にいるような、深淵を覗き込むような、感動と衝撃でいっぱいの読後感でした。
    1話から目まぐるしい展開で、ハラハラドキドキさせられっぱなしの病んだ空気に精神を削がれながら読みました。普段私が読む系統と乖離していたので…いや、だけど怖いもの見たさの加減が絶妙で、絶対に苦手なやつだと分かっていても読み進めてしまう「何か」が、確実にある作品でした。
    2巻までで大門と小島の仄暗い過去が大筋で見えてきて、二人の闇(病み)にも慣れて、3巻でこのまま…と思いかけた所から4巻ラストまでの驚愕だらけの怒涛の展開が圧巻でした。上質なサスペンスドラマのような、難解な推理小説のような、人間の欲望と裏の顔をこれでもかと見せつけられ、誰も彼も真の姿が見えてこないような錯覚に陥るシーンの数々に圧倒されました。
    4巻でのダメ押しのどんでん返しには驚きしかありませんでした。「海底が隆起してエベレストができた」と、信じられないような事実を目の前で見たような衝撃でした。
    始めは、ちょっと変態ぽい構ってちゃん(小島)と面倒見がいい(大門)二人の秘密の社内恋愛の話…かと思ったし、病み(闇)系はそんなに…と思っていたので、作品チョイスを間違えたかもなんて考えちゃったけど、いやいや全然!!でした。
    確かに人間の闇や裏の顔を晒す醜悪な面もありますが、読んでみると「愛についてとことん突き詰めた感動の話」でした。レビュー評価の高さも3・4巻まで読めば納得ですし、当たり前だと分かりました。これから読む人には、是非ともネタバレなしで読んでほしいです。
  • アズラエル家の次男は半魔

    伊達きよ/しお

    リンダの魔の設定が面白可愛いくて楽しめた
    2025年1月27日
    先生の作品は何冊か読んでいて、優しい話・切ない話・楽しい話と色々あって、どれも好きです。こちらも期待していましたが、期待を上回る面白さでした。雰囲気的には『幸せになりたいオメガ、騎士に嫁ぐ』に少し似ているかな?と思います。本人と関係者、それぞれに悩みなり考えなりあるにはあるんですけど、根本的に明るいんですよね。当事者たちは、常に本気だし一生懸命なんだろうけど、なんかちょっと…所々色々とズレてて面白いです。
    勿論それだけではなくて、高位魔族の設定などはしっかり禍々しくて緊迫感のあるシーンもありました。だけど、リンダの半魔の性質が…◯魔ですから、そこはやっぱり怖さがないので、どうしても可愛いとか面白い雰囲気になっちゃうよね…という感じでした。
    あとは、展開の予想というか希望というか…が、大きく外れない(極端な悲劇・苦しみ・悲しみはほぼない)ところに安心感があって楽しく読めました。ただ一つ、リンダの◯魔展開がやけに乗り気で、先生の筆乗りの良さを感じました。やたらエチくて、そこだけは想像以上でした。先生の既読作品の中では一番かなと思います。半魔は半魔でも、正直微妙と思っていた(すみません)◯魔要素…意外にも要所要所で効いていて面白かったです。
  • エロ漫画家とアシくん

    博士

    漫画の中に沢山の優しい気持ちが詰まってる
    ネタバレ
    2025年1月26日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 正直、試し読みだけではそんなに当たりを引けた感じはしなかったんですけど、その後の小冊子のお試しを読んでピンと来ました。その時には絶対に私好みだろう自信がありましたし、レビュー評価の高さにも後押しされて購入後、即読み…凄く良かったです。
    加賀の何とも言えないヘタレ具合?ダメっぷり?が見え隠れする中(いや隠れてないかもだけど)、芯の部分にある素直で真っ直ぐで、ある意味欲望に忠実な所が犬っぽくて可愛かったです。そういう意味では文月くんは、庇護欲をそそるような加賀とは違った可愛さがありました。犬で言ったらチワワみたいで、大きなウルウルした瞳で見つめられたら…そりゃ加賀でなくても何でもしてあげたくなるのが分かりすぎて共感しかなかったです。大型犬と小型犬が仲良く戯れ合う光景を見ているようで和みました。
    ただ可愛いだけではなくて、二人の間にある隠れた関係を掘り起こす展開もストーリーの軸を強固なものしていたと思いました。何より、漫画家を主人公にする事で、今までも私なりに理解していた「業界の仕組み」みたいなものを、数字や金額などで示されたことで、作家さん達の苦労や努力を具体的に知れたのが良かったです。より一層、作品や作家さんをリスペクトする気持ちが強くなりました。
  • ウサ耳おっさん剣士は狼王子の求婚から逃げられない!

    志麻友紀/星名あんじ

    タイトルからの逆転に笑ってしまう
    ネタバレ
    2025年1月25日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 面白かったです。スノゥの、何とも呑気でぼんやりしてる(自分の事なのにどこまでも鈍い)のがツボでした。本人(スノゥ)以外の誰もが「ノクトに狙われてる」「外堀から埋められてる」と分かるのに、どうして…と思うけど、そんな天然な所が良かったです。で、そこからいざくっついてみれば、かかあ天下で尻に敷かれる王子という図で、タイトルからの逆転劇に笑ってしまいました。
    最初の人物紹介に二人の子がいたので、結末というか二人の関係とかは分かった上で読み始めたのですが、これが…読み進めてもスノゥのことを「おっさん」「男」と断定していて、オメガバースでもないのに何故、子供?の疑問が消えませんでした。それから「髭」というワードも何回も出てきて、さすがに色々気になりだした頃…4分の1まで読んで、初めて子供が産まれる理由とスノゥの年齢が明かされます。「髭」は、表紙のカラーイラストをよくよく見てみると、確かに薄っすら白い髭がありました。人物紹介の絵にも申し訳程度にありました。こういう情報とか設定を、そう重要でないにしても4分の1まで明かさないという手法が面白かったです。
    全体の8割までで一応の完結です。残りの2割は、後日談などの短編集という感じでした。愛情たっぷりの描写とストーリーで、楽しく癒されて満足感でいっぱいになりました。
  • 猫と若頭

    ゆくえ萌葱

    ブサにゃんだからこその可愛さがある
    2025年1月24日
    ブサにゃん、可愛いかったです。猫好きで『白刃と黒牡丹』も好きで、この2つが合体したらそりゃもう最高だろうと読んでみましたら、想像以上でした。そして正味42ページという大容量で、お値段以上の満足感でした。
    注意点(という程でもないけど私がそうだったので)としては、『白刃と黒牡丹』本編と時系列が多少前後するのと、ぶさにゃんが主人公の『おれはブサメンー猫つづりー』を読んでからの方がいいかもしれない(私はまだ未読です)点です。どちらにしても問題なく楽しめるとは思います『おれはブサメン〜」も読むつもりです。
    ブサにゃんの可愛さに盛り上がってしまいましたが、黒井と白樺もしっかり出てきて、ブサにゃんを交えてのやり取りが面白かったです。
  • 運命かもしれない恋

    渡海奈穂/草間さかえ

    学術的にも古平の分が悪くて笑ってしまう
    ネタバレ
    2025年1月23日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 『完璧な恋の話』が良かったので、こちらも読んでみました。アラサーの、今が盛りの人達にしてみたら「とんでもなく長い時間(20年くらい)のすれ違い・思い違い」の恋のお話…なのに、切なさより面白さの方が勝つという明るく楽しい内容でした。
    タイトルでは『運命かもしれない恋』なんて言ってるけど、いやいや…もうね、これは「きっと宿命レベルの恋」なのだと思います。古平としては「三度目の正直(三度目は断じてない)」であっても、名久井と読者からしたら「二度あることは三度ある」という見解の相違が面白かったです。
    実際、読んでいて途中までは「二度で済んでるっぽい」感じで進みます。でも、内心「これ絶対三度あるやつでしょ」と、ニヤニヤ・ワクワクしてしまいました。古平の陥る状況があんまり面白いので、要らぬお世話を焼いて調べてしまいました。→「ベイズ推定」という確率の理論を使って計算すると「二度あることは三度ある」確率は75%。「三度目の正直」の確率は25%だそうです。という訳で、学術的にも古平の方が圧倒的に分が悪くて笑ってしまいました。
    結局、「二度あることは三度ある」で、でも「仏の顔も三度まで」とも言いますし、四度目がなくて本当に良かったと安心しました。
  • 逃がしたくないあいつはキスも知らない【シーモア限定描き下ろし漫画付き】【コミックス版】

    九尾つなし

    天然というか魔性というか…とにかく可愛い
    2025年1月22日
    これは…好みが分かれそうな作品です。攻めより受けのタイプが合うかどうかが大きい気がします。無自覚に可愛さを振りまき、純情で初心な行動・言動を前面に出して攻めを惑わす愛され受け…のようでいて、無意識に計算しているようなあざとさを感じなくもない…。星評価よりも高低のレビューを参考にするのがいいと思います。私は、天然系や無自覚・無意識に攻めを翻弄するキャラは嫌いじゃないので面白かったです。
    あとは、所々シチュエーションが飛ぶというか、ん?と思うような流れがありましたけど、『俺のバージンは売ってない』にも似たような場面転換があった気がする(でも何度か読み返すとちゃんと繋がります)ので、作家さんの特徴かなと思います。
  • 白い虎侯爵と子狼の親愛なるガーデナー

    滝沢晴/鈴倉温

    人も植物も愛情でもって育つのだなと思った
    2025年1月21日
    最近よく読む作家さんです。異世界・獣人ものが多く、どれも設定や展開が凝っているなと感じます。一冊にまとまっているのに読後感はそれ以上で、満足感が高いものが多い気がします。
    今回の設定は、獣人と人間が混在する架空の現代です。主人公の新太郎は、植物にしか興味がなく、本物(貴族という意味)のスパダリを見ても1ミリも靡かないどころか、NOをハッキリ伝えられるし、嫌なら事をされたら一切の我慢も躊躇もなくぶん殴ってでも逃げる…全く保身に走らない真っ直ぐな性格が楽しかったです。それと、そんな新太郎にぞんざいな扱いを受けて呆然とするヒューゴが、滑稽で面白かったです。
    一見、タイトルのガーデナーとストーリーと全然関係がないように思えるけど、発芽率と不登校を並べて考える発想が凄いし、子育てとの共通点みたいなものを感じさせられたりして、水面下で密接に絡み合ってるのが分かりました。理人の名前の由来や薔薇・宝石の名前など細かい設定まで考慮してあって、一つ一つがパズルのピースのように、小さいけど重要な役割を持っていたと思います。
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  • 僕らの食卓 ~おかわり~

    三田織

    厳しくも温かい…人生を学んだ気がする
    ネタバレ
    2025年1月20日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ビックリしました。100件ものレビューがあるのに、星評価5って…続編だから、ほとんどが本編を読んで良かったと思う人が読んでる訳なので、高評価は分かるにしても凄いですね。
    2巻を通して(特に2巻)二人の恋愛というか関係性に重点を置きながらも、大小問わずたくさんの問題とか問いかけみたいなものがあって、答えを出したり今ではないと先送りしたりしながら日々を紡いでいく、厳しくも温かい…現実の生活そのままの世界があった気がします。食事って、生きることそのものですから、作品を通して家族や食卓を囲む大切さを知った気がしました。
    私の良くない癖で「勝手に誤変換してしまう」というのがあるのですが、2巻途中まで種くんが豊のことを「ゆかた」と言っているのに気づきませんでした。作家さんは、種くんに「豊」を「ゆかた」と言わせることで、細かい(幼くて言い間違える)所まで表現していたのに、勝手に「ゆたか」と誤変換していたのでした。1巻から誤変換していてショックでしたし、大いに反省しました。
    豊も穣も、もっと言えば種くんとおとうも、辛い過去があってなお笑えるようになった今と相手を想い合う様子に、ほっこり温かくなって癒されました。
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