ふったらどしゃぶり~When it rains, it pours~ 完全版
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ふったらどしゃぶり~When it rains, it pours~ 完全版

一穂ミチ/竹美家らら

雨に関する全ての印象が愛しいものに変わる

ネタバレ
2025年3月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ 赤裸々で明け透けなテーマ・内容であるのに、なぜか生々しさを感じさせない…それどころか、文学的で美しさを感じる上質な文章が素晴らしいです。

挙げたらキリがないくらい素敵な文章が幾つもあって、メモを取ったし全てをお披露目したいのですが、しつこくなりそうなので、最高と思う一例だけ出したいと思います。落ちてきた水滴を「整が降らせた涙だった」と…この一文に、自分には1ミリもないセンスや高い文章力に脱帽したし、究極の逸品を見たような気がしました。

あとは、タイトルが諺だと知り、内容とのユニゾンに深い意味合いとストーリーの重厚さを感じて、更に感動しました。そして設定的に一顕と整、二人の相手側にある都合とか理由付けには、どうしても無理やり感が出てしまうのではないかと懸念していました。

普通の感性なら一顕と整の成り行きは理解できると思うのですが、相手方の言い分には説得力とか読者を納得させるだけの事情を探せるのかな…でも、そこが弱いとどうしても御都合主義っぽく感じるよな。などと分析しながら読んでいましたが、全くもって余計なお世話で…全員が無傷ではないものの次に繋がる最適解を出せたラストだったように思います。

こちらシリーズもので、このあとスピンオフで和章の話がありますので、そちら(購入済み)を読むのが楽しみです。
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