光が死んだ夏
」のレビュー

光が死んだ夏

モクモクれん

BL的純愛ブロマンス

ネタバレ
2025年3月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ 今夏アニメ化という宣伝動画をたまたま見て、最新話まで一気読みしました。すごく面白かった。

主人公・光(亡き本人)・ヒカル(偽物)の純愛が軸にあるブロマンスです。そこにホラーやミステリーのエッセンスが散りばめられていて物語に奥ゆきがあり、絵の雰囲気と相俟って惹き込まれる作品になっています。

ホラー演出は多めですが、個人的には上記の前提が上回るため恐怖感はゼロで、光(本人)・ヒカル(偽物)・主人公の感情の動きのほうに意識がとられます。彼らの言葉の端々から伝わる特別な感情がせつなく美しい。

人間とは違う存在であるヒカルに愛情の観念はないのですが、快楽など本能的な欲求はあって、無意識的に主人公との一体化(作中では「混ざる」)が進んでしまう。そのふれ合い方・侵食の仕方、お互いの表情、理性で抑えきれない衝動や暴走、快楽などの描き方が繊細で素晴らしい。

主人公を言いくるめてさわらせて、さわって、脳まで刺激しちゃう…ヒカルの欲求がよくわかる。
主人公をドロっと覆ってしまうところなども扇情的です。
それらをお互いに「気持ちいいこと」とはっきり自覚してしまっている。さらにお互いにそれぞれの好意を寄せ合っていく。
ので、これは作中で描かれずとも様々な展開や裏設定が想像できてしまう…。
おそらく、あらゆる柵や抵抗感がなくなったらどこまでも許し合って混ざり合えちゃう、そんなふたり。人外のほうは制御が下手なので大変なことになりそうです。

とくに印象的だったシーンは、風呂場でもつれ合うところ。導入からの流れがとてもよかったです。

…と、さながらBLレビューのようになりましたが、物語としては「ヒカル(偽)自身もよくわかっていないヒカル存在の解明と、町の謎解き・問題解決」のお話です。

林道の巻くんの件など、ずいぶん後の話数でネタ明かししてくれて「へぇそうだったん」と唸ったりするので細かな伏線回収に期待できそうです。

ふたりが最終的に幸せに結ばれるといいなぁ、亡き光くんにもなんらかの救済が描かれるといいなぁ、と思っています。
絵の美しい作家さんで、漫画に込めたいメッセージや想いを強く受け取れます。お身体に気をつけつつ長く漫画を描かれてほしいなと思います。応援しています。
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