このレビューはネタバレを含みます▼
父親は実業家で芸能事務所の社長、母親は世界的大女優という七光のモデル•俳優の熊谷匠真にBL映画の主役オファーがきます。相手役は匠真がずっと憧れていた44歳•実力派の美祢雅治で、憑依型の天才肌でヤ◯チ◯と評判の美祢はクランクインであまりにも感情ののっていない匠真にこっそりとエロシーンの演技指導をしてくれます。そのお陰で難航したシーンのOKもすんなりと出て、匠真は美祢に頼み込んで演技指導込みの同居を始めるのでした。忙しすぎる両親に放置されてマネージャーの葵に育てられてきた24歳の匠真は、世間一般の暮らしも愛情も知らない天然不思議ちゃんです。一方、人タラシの天才という美祢の外面は、すべて匠真の父親が売れるために仕組んだ虚像で、本当は真面目な努力家なのでした。学生時代に両親を亡くした美祢は社長を信じて仕事をしてきたものの、商品として扱われてきたことに傷ついており、憎い社長の息子というカードを手に入れて復讐を画策しています。劇中劇のBL映画とリアルの二人の関係、感情、複雑な背景が絡み合い、時折入るエロが程よい緩急となっています。下巻で美祢の思惑が明らかにされ、二人の関係の進展が楽しみです。