このレビューはネタバレを含みます▼
もうタイトルだけで読まざるを得ないです。順に読んでると名塚目線の話かとおもいきや、表紙は白島と瀬野の2人という・・またこの表紙が危うくて綺麗で吸い込まれそう。
これって3人ともかっこう?生態になぞらえるなら本人たちが望む望まないに関わらず、名塚は家族、白島は兄、瀬野は白島を心の中で巣の外へ除けて、相手の眼に自分ではない誰かを感じながらもその器と成り代わって生きているような・・文字にしただけで辛い。1回読んで初めて上巻の意味がわかって2回目からは瀬野に感情移入しすぎて泣きました。
もしくは部分的には、瀬野というかっこうの雛が別の鳥の卵である白島を巣から落として、卵の親鳥である名塚が瀬野かっこうに愛を与え続けてるうちに瀬野かっこうを本気で愛する、的な感じもあります。それだと表紙があの2人なのも納得だし・・そうなると瀬野がぶっちぎり主役に躍り出ますね。
そもそもかっこうは何でそんなことするのかなと思って改めて調べてみたんですが、かっこうは体温が変動しやすいから体温が安定している別の鳥に托卵して育てさせるっていう説を読んでなんか腑に落ちたような気がしました。かっこうのそれは生存本能がなせる進化だけど、ヒトにこじつけて置き換えると他人を押しのけても欲しいのはその体温であり愛だったんだと。「他の人じゃなくて僕を愛して!」って叫んでるみたい。最後はかっこうがかっこうとして愛してもらえる結末に涙が出ました。良かったね、瀬野ちゃん・・・
ついつい長々としたレビューになってしまいました。正解はわからないけどもはや1日中この作品について考えていたいくらい考察がとまらない!まさに沼です。