このレビューはネタバレを含みます▼
ダンスの世界で出会う二人。
母親がダンスの途中で帰らぬ人となり、踊れなくなった晃介(受)と、その母親に密かに恋をしていて告白できないまま亡くなられてしまった淳(攻)
お互いが表面には出てこない母親という女の影を背負いながらも、徐々に惹かれあっていく話。
ノンケ同士が恋に落ちる珍しい話で、それゆえの葛藤も大きい。
当て馬はいないし、BLお約束のハプニングもない。
登場人物の悩みや葛藤が繊細に織り込まれた美しい物語だと思いました。
晃介が父親にカミングアウトした時、彼の背中に父親が「愛してるよ!俺も母さんも」と投げかける言葉。
お墓参りで、淳が晃介の母(の墓)に告白する言葉。
どちらも愛に満ちた素晴らしいシーンで泣けてきます。
全体的に抑制が効いた、大人の物語です。
路地裏やトイレで貪るようなキスをしなくても、互いに愛し合ってることが伝わります。
ゆっくり読んで、何度も読み返したい話です。
ダンスのシーンが美しいので、もっと長い話で読みたかったけど、余計な枝葉がなかったからこそ綺麗に収束したのかな、とも思います。