夜ごといとしい神様へ
」のレビュー

夜ごといとしい神様へ

後野オカピ

優しいくじろ様

ネタバレ
2025年4月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ 人々の願いを聞き、土地を守り続けてきた優しい神が忘れられ、神社もなくなり、祠に雪をぶつける子供達。それでも静かにそこにいる優しい神は、昔山で迷った子供の清澄を保護して、懐かれ、一緒にいたい嫁になってと請う清澄に、子供の戯言だとも知りながら、大きくなって気持ちが変わらないなら、と縁を結んでくれる。純粋な清澄の思いは成長しても変わることなく、祠にお供えし神の迎えを待ち続けている。そんな冒頭から始まる、神との縁のお話。
似た話は他にもありますが、本作は明るい恋愛が描かれているようでいて、その裏の神と人との関係が切なく、くじろ様の優しさに温もりを感じながらも、哀愁等の情感が滲むように作品全体から感じられる作品。
先生の作品は何作目かですが、いつも読みやすいのに、話の核や骨組みがしっかりあって、キャラの心情描写も丁寧で、読み応えがあります。描く世界やテーマを感じるというか、話に骨太な世界観があり、読んでて感じるものがあります。とても好きな先生。神の視点の神秘性がコマ(絵)から感じられるような描写も素敵でした。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!