このレビューはネタバレを含みます▼
パリッパリのエリート家庭に生まれた岩崎春輔は、父親の再婚で川嶋巧弥の弟となりました。高級官僚の父親と居酒屋で働いていた優しい母親、可愛らしい兄との幸せな生活は、親戚中の反対と嫌がらせで長くは続きませんでした。離れて暮らすようになっても、父親と春輔の二人への想いは変わらず、春輔はエリート官僚になった今も、兄の演劇公演には必ず駆けつけます。お兄ちゃんのことが好きで好きで堪らないのに、本人の前ではツンツン強がる春輔なのでした。おっとり人タラシなお兄ちゃんと、中二病的エリート弟とのラブコメです。『鍵のかからない檻』画廊を営む芦田遙は28歳の時に、両親を事故で亡くした遠縁の12歳の少年大介を引き取ります。全寮制の高校を卒業した大介は美大に進み、再び遙の側で暮らすようになります。片手間にモデルのバイトをする美しい大介を前に、絵筆を折り呪文のように「優しくしなきゃ」と繰り返す遙の心の闇が描かれます。明るく楽しい表題作を対をなす緊張感溢れるダークな愛のお話でした。