またね、神様
」のレビュー

またね、神様

ヴヤマ

人生は上書きの連続

ネタバレ
2025年4月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ 堂々の2巻完結。大まかに分類すると、1巻は依存地獄、2巻は自立救済に焦点を当てたストーリー展開になっていると思います。
そういえばはるか昔、金八の鉄也さんが言っていた…人という字は人と人が支え合っているというあのアドリブ。おそらく多分実はそれだけでは不十分で、相手にもたれかかっている状態の「人」からいずれは「立」(ごめんなさい適当)にならなければ、やはりどうしても共依存の範疇を越えられないのですよね。
その点両と幸太郎はいっぺん地獄に堕天して上昇した天使みたいなものなので、1巻と2巻では面構えが全然違う。修羅場をくぐり抜けた猛者の顔をしています…(途中、同僚の女性が両の気を引くシーンがあるのですが「やめとけ…あーたの手に負える男じゃないから…」なんて同情を禁じ得ませんでした)
問題を見て見ぬふりをした大人、幸太郎の母親の愚かさをコテンパンに責めることもできますが…人間は少しコンピューターに似ているところがあって、一度でもプログラミングされたものは自発的に修正し上書きすることがない限り、ずっとプログラミングされた通りの感情を味わいそれに連なる行動を取ることになる。しかもその植え付けられたプログラムが恐怖と共にインプットされていたら、なおさら焼き付けられてなかなか抜け出すことは叶わないのに…壮絶な出来事を直視し咀嚼し立ち直った両と幸太郎はその中で誰よりも人間だった。
未知なるもののおそろしさから逃避するための触れ合いが、やがてお互いをただ感じたいという慈しみに変わり、その愛が広がっていき…両のすべてを包み込みあそこまでイカレた母親をも改心させることができた幸太郎には、マジで教祖様の素養があるかもしれない。
そして、大団円…両に笑いかける幸太郎からは、仏やマリアにも劣らない後光が射していました。

あとがきより…何年にも渡り大変楽しませていただきましたが、意外にも病み系は得意ではないというヴヤマ先生。
これをきっかけに漫画人生は続くとのことで、病み系ではなさそうな次回作も楽しみに待ちたいと思います。
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