ブランクコード【単行本版】
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ブランクコード【単行本版】

サノアサヒ

共依存の檻の中

ネタバレ
2025年4月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ だいぶ遅れて読みましたが、どハマり中です。
サリエリとモーツァルトが共依存するような話でした。
お互いに愛を確認し合って幸せになれる話ではないと思いながら読み進めましたが、ラストまでその気持ちが変わりませんでした。

すごく怒られることを覚悟で言えば、この2人は離れた方が前に進めると思いました…BLなのに、本当に本当に申し訳ない…

でも共依存の檻の中入ってしまってお互いを気遣って傷つくばかりだった関係が、恵介が離れた事で違う方向に動き出す。藍は一人で病院に行く決心をし、一人で楽曲を作り、恵介なしで動き出したのは“死にたい気持ち”以外の感情が出てきたからだと思います。
恵介自身も献身的な愛は藍を追い詰めていると、心のどこかで感じていたのでしょう。
だからこそ、どうにもならなくて、切なくて、重い。

藍が受け入れてハピエン、という話にはしなかったのは作者様が誠実に話を作っていたんだな…と感じます。
この話を見逃していたボンクラで申し訳ない…

すごく刺さる話でした。何度でも読みます。
最適解がないので、落とし所を探るしかない話です。

バンドのメンバーもすごく良い。突き放さず介入せず、でもずっと見守ってる。彼らは、もし2人が心中したとしても受け入れる覚悟はあったのでは…

願わくば、いつか藍も恵介もあるがままの自分を受け入れて、その上で手を取り合って欲しいです。
人生は長いし、まだ30年も生きてない2人には残りの時間がたくさんある。やり直しも生き直しもできるので、人生を積んで「あんなこともあったよなぁ」とお互いに笑い合える時が訪れるよう願ってやみません。
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