シャングリラの鳥
」のレビュー

シャングリラの鳥

座裏屋蘭丸

切なすぎる。

ネタバレ
2025年4月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ ふっと眠るタイミングを逸した夜中。 電子書籍整理を思いついたは良いが、片付けあるあるに落ち、3巻をじっくり再読。 多くのレビュアー様達から評価高い作品ゆえ、躊躇いつつも書きます。
楽園とはいえ、春を売る男娼島。 買う男達には桃源郷でも、売る方はそれなりのものを抱えています。 そんな気持ちを納め、豊かな自然に囲まれた豪奢な建物の中での美酒美食、居心地良いベッド、仲間達との会話。 これだけ見れば、性を謳歌する健全な若者達。 が、それを手放せない為の犠牲。 果たして、天秤にかけたら?
そんな島に試情夫として雇われたアポロは現在、離婚調停中。 お金のために降り立ちます。 元がストレートな彼に、仕事を覚えてもらうためにフィーと言う男娼がマンツーマンでつきますが、初めて触れ合って確かめながら優しく触れるアポロにフィーは何かを感じます。 いわゆるストリートチルドレン上がりのフィー。 生い立ちから島に来るまでの壮絶極まりない人生でした。 この出会いは吉か凶か。 3巻で、とうとうフィーとアポロの関係に決定打が。 島のオーナーは二人の関係に敏感? 知ってか知らずかフィー専属のアポロに他の情夫となる事を頼みます。 それを境に、二人の気持ちは離れるどころかますます強力に引き合い、とうとうフィーは客に拒絶反応を示すようになり、一方のアポロはフィーへの独占欲が膨れ上がり、妻との未来は考え無いのにフィーとは、決して交わしてはならない情の禁断域へと。 3巻の中で、オウムのような鳥がミミズを食すシーン。 シャングリア内で小鳥ちゃんと呼ばれている彼等は実は、島に飛んでくる客達に食される醜いミミズと連想させるシーン。
フィーのタトゥーの意味が、必ず自分の求める世界に流れ着けるとの深い意味があるとの事ですが、二人がそんな世界に無事に辿り着きますようにと祈るばかりです。 いけない、いけない、もう4時! 最後に、どうかオーナーがどこまでも味方の良い人でありますよう。
いいねしたユーザ8人
レビューをシェアしよう!