このレビューはネタバレを含みます▼
水走龍仁は父親を亡くしてから心を病んだ母親と二人で暮らす大学生です。ウーパーイーツで生計を立てる龍仁のたった一つの癒しが、お好み焼き屋の若き二代目•菖蒲虎幸です。小学生の時に溺れかけた龍仁を救けたユキは、お腹を空かせた龍仁に自作のお好み焼きを食べさせてくれたのでした。龍仁はお金がないからと、お礼に父親の形見のきれいなペンダントをユキに渡します。それからずっと二人はお互いを特別に想い合ってきたのでした。ある日、夕暮の土手で二人は初めてお互いの気持ちを明かします。幸せなファーストキスの後、帰宅した龍仁は気がつくと数時間前のユキの店にタイムリープしていたのでした。いつも明るい龍仁が家で耐えている母親の病み、龍仁の父親の故郷の龍神伝説、ユキが可愛がっている小さなトカゲなど色んなエピソードと二人の恋が、時間をかけてじっくりと一つに集約されてゆきます。タイムリープは何度か繰り返されるのですが、龍仁が二人の「初めて」の後にタイムリープしてしまい、まだしていないユキが自分に妬くのが可愛かったです。男前美人のユキがとっても魅力的な、しっかりと読み応えのあるお話でした。