俺がおまえに恋してやんよ
」のレビュー

俺がおまえに恋してやんよ

ARUKU

人は幸せになるために生まれて来た。

ネタバレ
2025年4月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 5/7編集済。
自己肯定感が恐ろしく低い受け蛍茶屋。
彼女が出来れば幸せになると思い込んでいて、色々頑張ってても上手く行かない。
それを象徴するようにメスを得られないオスの鮭のお話しも描かれています。

蛍茶屋には遠方の実家に病を抱える母と1人で母をみている妹がいて仕送りも欠かさない。蛍茶屋の家族もこのお話の鍵となっています。

そんな蛍茶屋を放って置けなくてちょっかいを出して来た、住む世界が違うと蛍茶屋が認識するイケメンモテ同僚の刑部。
徐々に距離が縮まって刑部が蛍茶屋のボロアパートの隣に越して来るまでに。

この時の二人が甘々で幸せいっぱいです。
サメの寝袋姿のかわいい蛍茶屋と蛍茶屋がかわいくて仕方がない刑部。見ている私もニマニマしてしまうほど。
合間で可愛いミニキャライラストも沢山楽しめます。先生のミニキャラはとてもかわいくて癒やされます。

細かいところですが刑部が職場での蛍茶屋の細々とした心配りをちゃんと見ていて評価する場面も好きです。特に男性でこの心配りが出来る人は中々いません。

このままま甘々ハピハピで終わらない、絶対何かあるのではとヒヤヒヤしつつも、甘いふたりの幸せの日々がお願いだから最後まで続いてくれと半ば祈りながら読み進めました。

そして、あぁ…やっぱり。
これこそが唯一無二のストーリーテラーARUKU先生の作品、一筋縄で終わるお話な訳がありません。

家族思いの蛍茶屋。離れて暮ら母を妹1人にまかせる訳にいかなくなりました。ままならない人生。その生活の中で以前切望していた彼女が出来ます。
もう刑部の元には戻らないのでしょうか…。そこにすれ違う刑部の姿が…。

ARUKU先生の紡ぎ出す言葉は今作も素晴らしく、心に響きました。

恋愛ものでも上辺だけの話ではなく、社会の中で家族の事情とかままならないことを抱えなからも、人に優しく真面目過ぎるほど真面目に生きて来た主人公をきっちり描くところもARUKU先生ならではの好きなところです。

この作品は、ままならない今の時代を生き、もがきならも、人に優しく真面目に生きて来た読者達に対して、「人に甘えていいんだよ」「幸せになっていいんだよ」というARUKU先生からの温かいエールなのではと勝手に思っています。

今作も素晴らし過ぎる「唯一無二のARUKUワールド」でした。何度も何度も読み返す作品が増えました。
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