このレビューはネタバレを含みます▼
私にとっては進んで手に取る本ではありませんでしたし、5年も前の作品ですが、これこそご縁でしょうか。
コンビニを利用する客、店員さん達の人生模様を描いた作品です。 コンビニあるあるはもちろん、様々な客が混じり合い流れて行く、まるで交差点上の様が綴られています。
夜のみのバイトに入る島さんと言う老齢の店員さん。 いわゆる今どきの機械操作や客あしらいをテキパキ出来る筈もなく、ほぼ同世代としては共感出来る要素満載で、クスリとしたり応援したり。 カウンター越しの一瞬一瞬の出会いも利用する頻度が増えていけば顔馴染みとなり、交わす言葉も多くなりますが、島さんの過去はおいそれと他人様に話せるものではありません。 背負ったものが重すぎて、それでも日々大切に島さんは働いています。 辛い目にあった人ほど人に優しく出来ると言う見本のような島さん。 お涙頂戴の作品では決して無いけれど、人生の階段をある程度、そこそこ登った人にとっては、島さんの行為、姿にじ~んとくるものが、きっとあるはず。 私には計り知れない人生であったろうに、ホンワカした表情、優しく語り口、大いなる人類愛と鋭い洞察力。 夜のコンビニは行ったことないですが、島さんが実在したならサンダル突っかけ、毎晩でも通いたい。 小学生の頃は、偉人伝なんかを読まされましたが、正直、私の役に立つことはなくて、むしろ一般に生活する世の中の人達の生き方が人生の手本、参考書。 これは主観ですがこの作品。 中、高校の図書館に置かれても良いのではと想いました。 あ〜、でも。 島さん、ひっそり暮らしたい方だから嫌がるかしら?