ネガ
」のレビュー

ネガ

はらだ

唸った

ネタバレ
2025年5月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ はらだ先生の作品を購入し読むのは初めてです。
あちこちで見聞きするのでもちろん存じ上げてはいて、試し読みはたくさんしてきたし世界観がたぶん自分に合うって思っていたけどドンピシャでした。
私にとって記念すべき1作目の「ネガ」、おそろしいくらい良かった。他にも気になる作品がたくさんあるので、今後片っ端から読もうと思います。

「後悔の海」「スイメンカ」この続きものの2つの短編は、私の中で一生忘れられない話の一つになるかと。
三角関係の話は掃いて捨てるほどあるけど、今まで出合った中で突出してた。
P11で振られた男の子の表情にグワンと衝撃を受けてからはずっとヒリヒリした状態で読みました。
ところでレビュー書くまで気付かなかった、3人に名前がないこと。

卒業式にずっと好きだった子に告白し振られた男の子。
「キモい」と言い捨て振った男の子。
そういう首尾になることを期待して画策した男の子。
3人目の男の子、なりふり構っていられなかったのが「スイメンカ」読んだらよく分かりました。
振った子も、振られた男の子が卒業後は画策男(名前が無いとレビューちょっと大変)と付き合ったのもそれぞれの意思ではあります。
でもそうなるよう導いた男の子は結局ずっと怯え続けている。罪悪感か。真っ向勝負をしていない自信の無さか。
幸せそうな時もあるけどちょっとしたことですぐに不安の渦に巻き込まれる。路地裏で半ば無理やりのセ、、は見ていて辛かったです。

そうか虚しいか。どうすればよかったのかな。どうすればいいのかな。私には分からないよ。「もう好きじゃない」って言われた時、自分に向けられた言葉かと思ってギクッとしていたね。後ろめたいものがあると大変だね。今更余計なことは言わないでいいと思うけど、相手の男の子には優しくしてあげて。一緒にいてくれてるんだから、傷付けるような言動はしないであげてね。ということくらいしか言えない。

この2つがあまりに強烈だったもんでレビューもこれに絞る形になってもうた。
短編なのに大長編を読んだ後のような疲労感に襲われました。何せ「ネガ」なんで心地良いというのとは違うんだけど嫌な感じではないです。頭が心が痺れてます。圧倒されてます。
はらだ先生って何者?語彙喪失だけど…凄い人ね。
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